=万魔殿のシンボルとして=
「……マコト先輩、その子はなんですか?」
イロハはマコトに問いかける。
「あぁ、昨日怪我していたところを私が拾った……べくしゅん!」
答えた後でくしゃみをするマコト。
机の上には右前足に包帯を巻いているわかじしポケモンのシシコがいた。
「このシシコと言うポケモンはカエンジシと言う立派なライオンになるようだ。カエンジシはおうじゃポケモンと呼ばれて―――べくしゅん!……いる。キキキ、この万魔殿のシンボルにピッタリとは思わないか?」
「……ソウデスネ」
イロハは棒読みで答える。
内心「猫アレルギーなのにそこまでしますか……」と呆れていた。
「まずは成長過程を動画投稿し万魔殿の宣伝とする! イロハ、手伝―――べくしゅん!」
めんどくさい……そう思いつつもイロハはマコトの頼みを手伝うのであった。
ちなみにシシコの動画はそれなりにバズったと言う……
=風紀委員会のお仕事=
「ヒナ委員長、何を見ているのですか?」
風紀委員会の委員会室にて動画を見ているヒナに天雨 アコが問う。
「万魔殿の羽沼 マコトの動画よ」
「嗚呼……あれですか」
マコトが投稿するシシコの動画の存在は風紀委員会の面々も認知している。
人気取りのための姑息な手段……アコはそう考えていた。
「それにしてもマコト議長が投稿した動画がここまで人気になるなんて……」
「最初は見向きもされていなかったわ。けど、先生が高評価といいねをしてからぐーんと伸びたわ」
先生のことだからシシコが可愛いからと言う理由で高評価などしたのだろうことは二人とも予想がついていた。
「まさかあのタヌキはそこまで計算して……」
「それはないわね。恐らくただの偶然だと思うわ」
動画を見終えたヒナは端末を切って机の上に置く。
「このポケモンを傷つけているのであれば保護すべきだけれど、動画内でも動画外でもその形跡はない」
「けど、放置するわけにはいかない……と言うことですね?」
「その通りよ」
とそれらしい理由を述べるが、実際のところはシシコに癒やされているだけのヒナである。
=可愛い+可愛いは最高=
ある日の万魔殿……
「おや、イブキと一緒にいるあのポケモンは……」
学園内の校庭にて、遊び疲れて寝ているイブキの隣に一緒に寝ているポケモンがいた。
恐らく一緒に遊んでいたのだろう。
イロハは持ち歩いていた図鑑でそのポケモンが何かを確認する。
「こねずみポケモンのピチュー……ですか」
図鑑の説明を見る。
怒らせると大人でも痺れさせる電気力を持つ。
逆に言えば怒らせなければ問題はないだろう。
「それに今引き離すのは不可能でしょうね」
イブキはピチューの手を握っている状態である。
無理に引き離す方が危険とイロハは判断。
自身がいつも使用している毛布を持ってきてイロハとピチューに掛けた。
=給食部期待のポケモンたち=
ゲヘナ学園の給食部は深刻な人手不足に加えて予算と時間も不足していると言うのが現状だった。
部長の愛清 フウカの腕前は高いが、個人が優れていても給食部全体の腕前は低い。
千人単位の生徒を相手にするので質より量を重視してしまう為、どうしても味が落ちてしまう。
クレーム(大半が給食部は悪くない)が多く、酷評のせいで予算が削られて行く。
予算が減ればそれでやりくりするため、また味が落ちていく……と言う悪循環に陥っていた。
と言うのはつい一ヶ月前のことだった。
一ヶ月前、一匹のポケモンが給食部に現れた。
バリアーポケモンのバリヤードだ。
バリヤードはジオヅム、ストライク、ガラガラ、コータスなど多くの仲間を連れて来た。
ジオヅムが具材を塩漬けし、ストライクが具材を切り刻み、ガラガラが具材を叩いたり生地をこね、コータスがコンロの代わりとなって具材に火を通していく。
最初は「わけのわかんない生物が作った料理なんて食えるかよ!」と言っていた利用者たちだが、ポケモンたちが調理した料理を一口食べると黙々と平らげてお代わりを要求した。
ポケモンたちは実力も高く、給食部を襲おうとした生徒を一瞬のうちに沈静化することができる。
「みんな、今日もありがとね!」
フウカは毎日ポケモンたちにお礼を言う。
当然、自分も頑張らないと自身も料理の腕を磨いていく。
ポケモンたちのおかげでゲヘナ給食部は救われたのであった。
ちなみに……
給食部の牛牧 ジュリがシャーレの先生に相談し、先生が野生のバリヤードを送り込んだことはフウカは知らないのである。
=美味しいものを求めて=
「失礼しますわ!」
おやつ時、誰かがシャーレのオフィスにやってきた。
恐らくゲヘナの生徒らしき少女ともうかポケモンのバシャーモだ。
「やあ、初めましてだね。私はシャーレの先生だよ……君は?」
「私は美食研究会の会長を務める黒舘 ハルナ、こちらは私の相棒兼ボディガードですわ!」
「バシャ!!」
美食研究会と言えば、以前アカリとゴンべに出会った。
その時はポフィンを渡したのだが……その件だろうか?
「今日はどうしてここに?」
「先日アカリに渡したポフィンと呼ばれるお菓子についてです」
嗚呼……やっぱりね。
「もっと欲しいの?」
「はい是非!!」
目を輝かせながら両手を出す。
バシャーモの方を見ると「あきらめてくれ」とでも言っているかのような顔をしていた。
「ごめんね。今は材料がないんだ……代わりにこれで我慢してくれるかな?」
そう言っておやつに用意していたポフレを渡す。
「これは?」
「ポフレと言う別のお菓子さ」
ハルナはポフレを一つ食べる。
すると、目を見開いた。
「お、美味しいですわ!」
「気に入ったかい?」
「はい!」
私はバシャーモにもポフレを渡す。
バシャーモはポフレを美味しそうに食べ始めた。
=餌付け=
ハルナがやって来てから一時間後。
「先生、ご無事ですか?」
と部屋に入って来たのは火宮 チナツと相棒のタブンネである。
「やあ、チナツとタブンネ。今日どうしたんだい?」
「美食研究会の黒舘 ハルナがシャーレのオフィスに現れたと聞いて来たのですが……」
「彼女ならもうここにいないよ」
ついさっき帰った後だった。
「先生、黒舘 ハルナはどうしてここに?」
「あぁ、私の作ったお菓子を気に入ったらしく貰いに来たようだ」
チナツとタブンネにもポフレを渡す。
タブンネは目を輝かせながらポフレを食べる。
それを見てチナツもポフレを食べた。
「……美味しい」
「それは良かった。ハルナも偉く気に入ったようで悪事をしないのを条件にお菓子を定期的に渡すことにしたよ」
これでしばらく美食研究会のテロ行為が無くなるのでは?
そう言うとチナツが「だと良いのですが……」と答えた。
=レポート14のポケモンおよびトレーナー=
マコト:シシコ
イブキ:ピチュー
フウカ:バリヤード
ハルナ:バシャーモ
チナツ:タブンネ
その他
給食部所属
ジオヅム、ストライク、ガラガラ、コータス
今回はゲヘナ編でした。
マコトは絆ストーリーを参考にシシコに決定。
フウカのバリヤードはアニポケを参照、ハルナのバシャーモもアニポケでの大食い話を見て決めました。
では、次回もお願いします。