=便利屋68の社長=
現在、私は便利屋68の事務所にいる。
「先生、いらっしゃい」
部屋の奥で不敵な笑みを浮かべる人物……彼女がここのボスである陸八魔 アルその人だ。
「今は君一人かい?」
「そうよ……私一人のタイミングを狙って来たのでしょ?」
「バレバレのようだね」
だが、誤算が一つある。
それは彼女の隣に立っているポケモンだ。
「…………」
こちらを警戒しているそのポケモンの名はキリキザンと言う。
勝つためには手段を選ばない非情な性格の個体が多く、裏切りは絶対に許さない主義。
見た感じだとレベルも高いだろう。
「それでご用件は?」
「アビドスから手を引いてくれないかい?」
と言うと、アル社長はテーブルに置かれたコーヒーを一口飲む。
「無理な相談ね」
「だろうね。君たち便利屋……つまり何でも屋は信頼が第一だ。クライアントを裏切れば便利屋68の名に傷がつくことになる」
「えぇ、そうよ」
「……でも、相手が裏切る可能性があるのであれば話は違うのではないかな?」
今度は私がコーヒーを飲む。
そして、こう続けた。
「君たちはカタカタヘルメット団の後任。前任はどうなったかは……自ら手を下した君たちなら解るだろ?」
「もちろん。でも彼女たちは依頼に失敗した……だから捨てられたのよ?」
「確かに捨てられる理由はあちらにあった……だが、君たちがそうならないとは限らないのでは?」
「……私たちが負けるとでも?」
キリキザンから殺気を感じる。
下手をしたら攻撃を仕掛けて来るだろう。
「成功したとしてもきちんと報酬が振り込まれる可能性はあるのかい?」
「先生、貴方は最初に信頼が第一と言ったわよね? それはクライアントもそう……成功報酬を払わないと向こうの信頼が失墜するわ」
「あぁ……でも大人は君たち以上に悪知恵が働く。例えば契約書とかね」
「…………」
思うことがあるのか彼女が黙り込んでしまった。
私はコーヒーを飲み干してから立ち上がる。
「よく考えるといい……君の行動一つで便利屋68の今後が決まるからね」
事務所のドアまで移動し、最後に私はこう彼女に告げた。
「そうそう、今回の件がひと段落したらこちらから君たちに依頼をお願いするよ……その時はよろしくね」
そうして便利屋68の事務所を後にした。
「……でアロナ、あのキリキザンのレベルは測定出来たかい?」
「はい。レベルは84です」
今までこのキヴォトスで会ったポケモンの中で一番高い。
便利屋68……やはり敵にすると厄介かもしれない。
=フィールドワーク アビドス編(1)=
キヴォトスに迷い込んだポケモンは、その多くが各々に適した環境で暮らしている。
既に新天地を見つけているポケモンについては、保護ではなく観察を行うことにした。
「あのカバみたいなポケモンはなに?」
「あれはヒポポタスと言うポケモンだ」
現在、アビドスにて野生のポケモンたちを観察中である。
護衛としてアビドス対策委員会のシロコとホシノに来て貰っていた。
「オスとメスで模様が違っていてね……あっちがオスであっちがメスなんだ」
シロコの問に補足説明を加えて答えた。
「あっちのサボテンみたいなポケモンはサボネアと言う。向こういるのはサンドだな」
「ポケモンたちがいっぱいだね~」
「あぁ……特に砂漠地帯を好むポケモンが多く生息しているな」
こうして自然の一部となりつつあるので、私個人としてはポケモンとの共存を歩んで欲しい。
だが、未知なる存在を受け入れるのは簡単な話ではない。
過去のシンオウ地方……かつてヒスイ地方と呼ばれていた頃の文献でそのことがよく解る。
(私がこの世界に来たのはその為……と言うのは考え過ぎだろうか?)
ともあれ、私は私の出来ることをやるだけだ。
=早すぎた登場・・・そして退場=
「ところでさ~……アレもポケモンなの?」
ホシノの言うアレとは遠くの方で暴れている巨大な鉄の蛇のことだろう。
「いや……多分だがアレはキヴォトスの生物だろう」
「うへぇ~……生物じゃなくてロボットだよね?」
パラドックスポケモン
元の世界の未来のポケモンは皆ロボットみたいな姿をしているが、今はそのことは置いておこう。
「空に向かってビームを放ってる……何かと戦ってる?」
「あぁ、多分だがこの子たちが原因だろうね」
シロコたちに私の手に乗っている小さな存在を見せた。
「せんせー、その子は?」
「メルタンと言うポケモンだよ」
ホシノの問に答える。
メルタンは私の手の上で楽しそうにダンスを踊っていた。
「この子たちの好物はズバリ鉄さ」
「成る程……あの蛇は捕食されている最中なんだね~」
「鉄を食べる……銀行強盗に役立つかも?」
「ポケモンを犯罪に使うのは先生許しませんよ? もちろん、生徒である貴女達が犯罪を犯すこともですからね」
それにしてもメルタンがアビドスに生息しているとは驚きだ。
あの蛇がいるからか……それとも他に美味しい物があるのだろうか?
遠い未来に穴だらけの巨大な船がアビドスに発見されることになるが、使うことが一生ないので放置されるようです。
=柴関ラーメンにて=
「らっしゃい!」
入店すると挨拶が聞こえてきた。
だが、声を掛けたのは店長でも店員でもなかった。
「やあ、イシツブテ。今日も元気そうだね」
このイシツブテは柴関ラーメンの店長が保護しているポケモンだ。
なんでもお腹を空かせていたところを店長がラーメンを食べさせ、イシツブテが懐いたらしい。
「よう、先生。空いている席に座りな」
店長の言葉に従って席に座る。
すると、イシツブテがお冷やをテーブルまで持ってきてくれた。
「ありがとう」
私はイシツブテに感謝の言葉を掛け、店長に大盛りラーメンを注文した。
=ペロロ様登場!?=
「うぅ……ペロロ様……」
阿慈谷 ヒフミはガックリと項垂れながらブラックマーケットの道を歩いていた。
彼女がどうして落ち込んでいるかと言うと、彼女の大好きなペロロとよ「ペロロ様です! 様を付けてください!!」……ペロロ様と呼ばれるキャラクターグッズを手に入れることが出来なかったからである。
「ペロロ様……欲しかったな~」
ペロロが「だからペロロ様です!!」……ペロロ様が無いのであればこんな場所に用はない。
ヒフミはブラックマーケットの出口へ向かって歩いていた。
「あぁ……空からペロロ様が降ってきたりしないかな~」
とあり得ないことをぼやいた直後、本当に空から何かが降ってきた。
「え……うそ……?」
目の前に落ちてきた物体にヒフミはその場に固まる。
白くて丸っこいフォルムをしている舌を出した鳥みたいな生物……そう、紛れもなく
「ペロロ様!?」
=答え・・・=
「この子はメタモンと言うポケモンだね」
突然ヒフミがやって来た。
なんでも空からペロロ様が降ってきたそうだが……
「ペロロ様じゃないんですか?」
私は彼女が抱えているペロロ様……に擬態したメタモンについて教える。
「メタモンはへんしんと言う技を使って言葉通り様々な物に変身することが出来るポケモンなんだ」
へんしんを使う前の姿を見せると、ヒフミが「か、かわいい……」と小声で感想を漏らした。
確かに可愛いと思う。
「どんな物にもへんしん出来るですか?」
「あぁ、試しにそうだな……これにするか」
今日買ったお茶についていたスカルマンと言うフィギュアをメタモンに見せる。
ちなみにこのスカルマンと言うのはモモフレンズと呼ばれるキャラクターブランドでペロロ様もその一つらしい。
「さあ、メタモン。これに変身してみてくれ」
すると、メタモンはヒフミの元を離れてからペロロ様からスカルマンに変身した。
「本当に変身した!?」
「うむ……今度はヒフミに変身するんだ」
私の言葉を聞いてメタモンはヒフミに変身した。
「わ、私だぁ!?」
目の前にいる自分と同じ姿の存在をまじまじと見るヒフミ。
しばらくしてあることを思いついたようだ。
「この子がいればお一人様一個のモモフレンズグッズが二つ手に入るのでは?」
「頼むからポケモンを使っての悪巧みは辞めてくれ」
その後、メタモンは一時的に私の方で預かることになった。
学園のトップと相談&説得して必ず引き取りに来るそうだ。
=レポート2のトレーナーおよびポケモン=
アル:キリキザン
柴関ラーメンの大将:イシツブテ
ヒフミ:メタモン(仮)
私はアル推しです!!
ではまた