=力は使い方が肝心である=
「初めまして調月 リオ。私はシャーレの先生です」
夜……私はミレニアムの生徒会長である調月 リオに会いに来た。
「不法侵入と言う言葉を知っているかしら?」
「今日この時間に来るとメッセージは送ったはずだよ?」
「えぇ、だから警備を強化したと言うのに……貴方のポケモンの力を侮っていたわ」
私の相棒はセキュリティの高い場所だろうと行くことが出来る。
悪用はしたくなかったが、何度かメッセージを送っても無視をされたので少々強引な手に出たと言う訳だ。
「それで要件は?」
「解っているはず……アリスの件だよ」
天童 アリス……AL-1Sに対して調月 リオと言う少女は排除を試みている。
私はそれを止めに来た。
「先生は彼女についてどのくらいご存じなのですか?」
「キヴォトスを滅ぼす力を宿していること以外は普通の少女だと思っているよ」
「それが一番危険なことなのですが……」
リオは呆れた表情で言う。
それに対して私はこう質問した。
「危険だから自分が悪者になってでもゲーム開発部からアリスを引き離す気かい?」
「はい」
決意の籠もった良い目だ。
「君の考えは理解出来るけどやり方は肯定出来ないね」
「……どうしてですか?」
「単に気に入らないだけさ……ところで話しは変わるんだけどね……」
私は少し間を置いてから再び口を開いた。
「私もこのキヴォトスを滅ぼすことが出来るのだけれど……君は私を排除するかい?」
「……え?」
戸惑いの声を漏らすリオ。
私は構わず続けた。
「正確に言えばポケモンの力だけどね……例えば大雨を起こしてキヴォトスを海の底に沈めたり、例えば日照りを起こしてキヴォトスを干からびた荒れ地にすることが出来る」
嘘はついていない。
現に私の手持ちにはそれを可能とする伝説のポケモンが二体ともいる。
「力はただの力……扱い次第で善(もしくは正)にも悪もなる。私のポケモンたちも君たちの持つ銃も……アリスもまた同じではないかと思うよ?」
「しかし……」
「まあ、心配するのは解るよ。けど、もう少しの間静観してくれるかな? 一応、アリスにはこちらで用意した電子戦特化の最強のボディガードを付けているからさ」
「……解りました。ただし、少しでも危険と判断したらその時は」
私は、私が正しいと信じる道を進むだけです……
彼女はそう宣言した。
=ものひろい=
「先生、この子について相談があります」
セリカがシャーレを訪れて来た。
理由は以前セリカが保護したニャースについてらしい。
「どうかしたのかい?」
「実はこの子、気が付いたら色々な物を拾って来るのよ」
「あぁ、それは特性ものひろいだね」
ポケモンにはそれぞれ特性を持つ。
ニャースの場合はものひろい、テクニシャン、きんちょうかんの三つのうち一つの特性を持っている。
セリカのニャースはものひろいだったらしい。
「落ちている物を拾って来ているだけだし、ヴァルキューレに落とし物として届けるといいさ」
「解ったわ」
「……ちなみにどんな物を拾って来るんだい?」
「えっと……例えばこの金色の玉とかね」
「……セリカ、それは私が元いた世界の物のようだ」
ニャースは一体何処からそれを拾って来るのだろうか?
取り敢えず、ヴァルキューレに落とし物として届け、落とし主が出なければそのままセリカの物になる予定だ。
=これはいわゆるツンデレですか?=
「先生、ミレニアムで新しくポケモンを保護しました」
ユウカがわざわざシャーレまで報告に来てくれた。
「プラスルとマイナンか……この子たちなら危険性はないと思うよ。この子たちは今どこに?」
「ゲーム開発部のモモイとミドリに懐いているので彼女たちに任せる予定です」
「そうか……」
あの二人なら大丈夫だろう。
「ゲーム開発部と言えば、彼女たちの処遇について寛大な処置を感謝するよ」
ゲーム開発部は廃部寸前だったが、一応まだ存続出来ることになった。
「先生が礼を述べることではありません。それにまだ廃部の可能性は残っています」
ミレニアムプライスと言うミレニアム最大級のコンテストに成果を出さないと廃部が決まるそうだ。
「彼女たちなら乗り越えることが出来る……君はそう思っているのだろう?」
「……どうでしょうね?」
私の言葉にユウカは惚けるのであった。
=カロリーを気にするお年頃=
「……以上がトリニティで確認したポケモンになります」
「あぁ、ありがとうハスミ」
報告に来たハスミに礼を言う。
トリニティでも多くのポケモンが現れたようだ。
今のところ凶暴なポケモンはいないようである。
「トリニティはポケモンについてどう考えている?」
「共存を望む者もいれば排除すべきと言う意見もあるそうです」
「まあ、そうなるよね……」
ポケモンたちと仲良くしろと言うだけなら簡単だ。
しかし、それを強制しては意味がないだろう。
生徒たちが自ら進んで歩み寄ることが大切だが……難しい話である。
「正義実現委員会としてはポケモンたちの保護および監視をこれからも続けます」
「そうしてくれると助かるよ……そうだ、話には変わるが君は牛乳は飲めるかい?」
「牛乳ですか? はい、飲めますが……」
「じゃあ、これを飲んで貰えるかな?」
そう言って私は冷蔵庫から牛乳の入った瓶をハスミに渡した。
「これはミルタンクと言うポケモンのミルクでモーモーミルクと言うんだ」
「モーモーミルク……ですか?」
「そう。飲んでみて」
「は、はい……いただきます」
ハスミはモーモーミルクを飲む。
「お、おいしい!?」
「それは良かった。このモーモーミルクは私の世界でも人気でね、甘くて栄養満点なんだよ」
このモーモーミルクを近々キヴォトスで発売する予定だ。
ミルクだけではなくヨーグルトやアイスも発売する予定である。
「せ、先生……もう一本頂けないでしょうか?」
「いいけど……このミルクはハイカロリーだよ? 一本飲むくらいなら平気だけど飲み過ぎには気をつけてね」
「……や、やっぱりいいです」
カロリーを気にするお年頃なのはハスミ以外もそうなのだろう。
低カロリーの商品も考案した方がいいかもしれないな。
=美食を求める者=
「このポケモンについて教えてくれる?」
ヒナ委員長がシャーレを訪れて来た。
私はヒナからポケモンの写真を受け取った。
「ゴンベだね。おおぐいポケモンと呼ばれている通りかなりの大食いでね……もしかして何処かの店で被害が出たのかい?」
「……ある意味でそうかもしれない」
ヒナの様子がなんだか疲れているように見える。
「実はそのゴンベと言うポケモン……美食研究会と言う連中と一緒にいるの」
「美食研究会……聞いたことがあるよ。確かその名の通り美食を追い求めていて、気に入らない店は爆破すると言う……」
「そう……その通りよ」
ゲヘナの子たちでヒナたち風紀委員会の取締の対象なのだろう。
「写真を見る限りだとこのゴンベは嫌々連れ回されていると言う訳ではなさそうだね」
写真では金髪の生徒と一緒に逃げるゴンベの姿が写っている。
「えぇ、どうやらこの子は自分の意思で彼女たちと行動しているようね……この場合、どうすればいいのかしら?」
「もしも保護を考えるなら君のアブソルに任せると良い……だが、無理に美食研究会の子たちと引き離す行為は私はオススメしないよ」
「相手は犯罪者でも?」
「あぁ……君たちからしたら悪人でもポケモンたちからすれば大切な人だからね」
「そう……解ったわ」
ヒナはそう応えると、部屋を出て行った。
=レポート5のトレーナーおよびポケモン=
セリカ:ニャース
モモイ:プラスル(予定)
ミドリ:マイナン(予定)
???:ゴンベ
連邦生徒会預かり:ミルタンク
ユウカはロリコンと言うより可愛い物好きと言う認識です。
では、また次回もよろしくお願いします