異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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124 一隅

 目の前には、あの日コンパクトミラーで見た自分がいた。

 褐色の肌も、銀色の髪も、なによりその顔も水面に映った自分にそっくりだ。

 

 転生エディットエルフがもう1人……!?

 

 いや、よく見れば瞳の色は綺麗な赤色だし、身長も自分よりは高くアコルトに届くかといった程度だ。

 自分の目は青色だし、その……スタイルも若干こちらがいいと思う。

 

 

「名を述べなさい」

「は、はい!

 此方(こなた)は……、わたしはリカヴィオラと申します!」

 

 

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 村人Lv4

 

 

 おおーい、なんか出始めの一人称の翻訳が怪しかったが、特殊な出の方ですか?

 声自体は自分より少し高い……と思う。

 この環境では録音して自分の声を聞くことはできないので確実ではないが、他の面々から声まで似ているという反応はなかったので違うんだろう。

 

 

「この者は別の商館から移って参りまして、昨日付けで当商館所属となりました。

 不徳の致すところではございましたが、先程の私の反応もご納得いただけるかと思います……」

 

 

 確かに奴隷を入荷した翌日に、紹介状付きでそっくりの容貌をした人物が訪ねてきたら、関係者と思うだろう。

 親類か何かが買い戻しに来たとか。

 

 近くに呼んで並んで見比べてみると、リカヴィオラという少女の方が肌の色が若干濃かったり、髪の色もあちらは銀というよりも白に近い感じだった。

 身長だってこちらがソールが厚くて高さのあるパンプスで、あちらが平底の靴だから同程度なだけで、脱いでみれば結構違うと思う。

 

 顔立ちはアコルト曰く、あちらの方が幼さが残る感じらしい。

 勝ったな(?)

 

 ……まぁそこは18歳と15歳の違いだろう。

 中学生と高校生の違いみたいなものだ。

 言ってて悲しくなるが。

 

 

「よく似てはいるようですがこちらに心当たりはありませんし、その子にもありません……よね?」

 

 

 あったら怖いんですが。

 

 

「この方に見覚えや、思い当たることがあれば述べなさい」

「ございません」

 

 

 わりと即答だった。

 

 その後もいくつか奴隷商人から確認があったが、ほとんど知らないとか分からないという返答であった。

 嘘はついていないようだし、この状況をよく分かっていない様子にも見える。

 

 そこまででタストイが少女を下がらせた。

 

 

「別の商館から一応は妾用奴隷として移って参りましたが、本人はずっと家事仕事ばかりを覚えたがるようでして……。

 前の商館でも、その前でも同様だったそうです。

 もちろん妾用としても他の仕事が熟せる方がよろしいのですが、そればかりで体を傷つけられても困りものですので」

 

 

 契約内容を確認すると性奴隷にも了承済みであったそうだが、それについても覚えがなかったらしい。

 騙されて奴隷になってしまったのかもしれないが、いくつも奴隷商を経由しているそうで元を辿れないようだし、ここでも1つ前の商館でも、了承済みの妾用奴隷として仕入れているので、ただの家事用奴隷に降格はできないようだ。

 

 慈善事業じゃないし、不利益を被ってまで当人の不利な契約を訂正してやる義理もないだろうしな。

 年齢的にも値段が高いだろうし。

 商館同士の間で売り抜けで済んでいる内はまだ大丈夫だが、身請けされたらその後は主人次第だ。

 

 

 仕入れて話を聞いてみればそのような事情だったところに瓜二つの客が来れば、繋がりを意識してもおかしくはないか。

 

 自分の姿に似たような少女がよろしくない目に遭うのも想像したくはないが……。

 非常に気がかりではあるが、まずは自分たちに必要な人材を探すほうが優先でもある。

 

 

「その、彼女は一旦置いておいて……。

 戦闘奴隷を見せていただけませんか?」

「かしこまりました。

 そろそろ準備も整っている頃でしょうから向かいましょう」

 

 

 彼女の説明の際は同情を誘うような言い方だったが、さすが商人、切り替えが早い。

 部屋を出てみると、すでにリカヴィオラは妾部屋に戻されているようだった。

 

 タストイに続いて階段を登り、扉を開けてもらって奴隷が整列する部屋へと入る。

 

 人間、人間、エルフ、狼人族、猫人族……。

 レベルも20台の者までいたし、しっかり前衛向けの戦士や獣戦士のジョブを並べてくれたようだ。

 当然年齢はミーラスカよりも少々上にはなるが、体格も含めて貫禄のある者たちばかりだ。

 

 こちらが身に付けている一部の白銀装備あたりに気づいたのか、若い自分たち相手にも敬意を払ってくれる様子も感じられる。

 質問にも明快に返答をくれるのでありがたい。

 

 うーんどうしよう。

 良さそうな者もいるが、この分ならやっぱり帝都にも足を運んだほうがいいかなぁ……。

 自分たちは帝都に行った後に、またすぐ戻ってくるという芸当もできるわけだし。

 

 身内で相談がしたいとタストイに伝えると、先程の応接室を使ってもらって構わないとの返事を受けた。

 階段を下りて部屋へと戻り、3人隣り合ってソファに座って、渡されたベルを見つめる。

 

 終わったら鳴らせば、タストイや給仕が来てくれるそうだ。

 

 

「どう、かな?」

 

 

 身のこなしや立ち振る舞いについては、アコルトのチェックでもよさそうな奴隷は何名かいたようだ。

 商館在籍時や、この前のオークションの出品前見学の奴隷と比較してのチェックでだ。

 

 年齢やら相性も含めて、帝都の商館を訪問してからというのが3人の見解となった。

 

 しかし話題の中心は───

 

 

「やっぱりあのリカヴィオラって子だよね」

「はい、お嬢様に大変似ていらっしゃいました……」

 

「わたくしも気になっております」

 

 

 ミーラスカはどちらかというと契約内容の方だろう。

 奴隷になるしかない場面で、性奴隷の可否を選べなかった様子に心を痛めているのかもしれない。

 

 仮にうちで引き取るとなると……。

 

 

「……将来的に冒険者のジョブに就くことができるのでしたら、お嬢様が単独で移動される場合に周りを欺くことが可能ではないでしょうか?」

 

 

 うん、それ思った!

 思ったけど先に言われた。

 

 背格好の調整だけなんとかしておけば、遠目に見られるくらいならバレないだろう。

 このアコルトがそっくりって言うくらいなんだし。

 

 顔まで検められたら瞳の色で一目瞭然だが、逆にそれ以外なら肌の色も髪色も誤差に収まるはずだ。

 写真がないと思われるこの世界では、横に2人で並ばない限りは記憶の中での間違い探しまでしかされないし。

 

 パーティーにだけ入れておいて、本人の希望通り普段は家事をしてもらえばそのうち冒険者にもなれるだろう。

 所有奴隷を把握されるシームラウ家や騎士団が懸念だが、ワープ使用の場面で自分の身柄が押さえられてはいけないのは今も一緒だしな。

 

 

 こちらとしては迎え入れられそうな理由付けはできた。

 あとはあちらの情報次第かな。

 こなたってなんだよ、こなたって。

 

 アコルトとミーラスカにも、あの子に話を聞いてからだと伝え、ベルを鳴らすことにした。

 

 

 涼やかな金属音が流れた後、タストイが入室する。

 

 

「ご相談はもうよろしいのですか?」

「はい、あのリカヴィオラという子なんですが……」

 

「はい、はい!

 やはり気になられますよね!」

 

 

 商館としても訳ありっぽい奴隷は早々に捌きたいんだろう。

 

 褐色肌のエルフ自体は、フウルバリよりずっと南方の別国には多いらしい。

 そこからこのソロンブルク帝国に入って北上するとだんだん薄くなり、このあたりではフェルスのような白い肌が普通となるのだと教えられる。

 

 自分くらいの淡褐色は帝国領の南側で、それよりほんの少し濃い程度のリカヴィオラも同じあたりの出身ではないかと考えられるそうだ。

 自分の出身地ははぐらかしたが、異端の肌ではないことに安堵した。

 ダークエルフにもちょっと期待したが、そういうものではないらしい。

 

 当然商館としてもそのあたりについては彼女に聴取したそうだが、本人は父親と物心がついた時から各地を転々として暮らしていたようなので明確な出身地は分からないと言っていたそうだ。

 

 その父親はというと、すでに亡くなっているらしい。

 母親の方は顔も知らないのだとか。

 最後に居着いた村で父を看取り、その村で親子で世話になっていた住人の下で生活を続けていたが、人頭税がかかる年齢になって奴隷になった、というのが得られた情報だそうだ。

 

 教育についてはほぼ父親からだということなので、あの癖のある一人称もそこ由来だろう。

 エルフのドリード語だけでなく、ブラヒム語も奴隷になる前に父から教えられたようだし、生活の中で関わりのあった人間のサリニク語も多少はわかるそうだ。

 

 ……きな臭すぎる。

 ミーラスカの細い目が更に細くなっている。

 

 周辺地域にはいない肌の色をした、高く売れそうな了承済みの若い妾奴隷を仕入れたと思ったら、これを聞かされたタストイの心情よ。

 いかにして捌くかを考えなければというところで、いきなり親族みたいな顔をしたエルフがやってきたらそりゃあ……ねぇ。

 紹介状には名字持ちとまで書いてあるし。

 

 実際は関係ないがその娘に興味があると分かったら、なるべく穏便に、是非とも身請けをと誠実に情報公開をしてくれるので、こっちとしてはありがたいが。

 

 あとは本人と話してみるしかないだろう。

 

 タストイに確認すると、直接の問答も構わないそうだ。

 特に禁じている情報もないし、好きに話してもらっていいらしい。

 代わりにどうかご購入をという要望を目で訴えてきている。

 

 ちなみに金額はというと58万ナールと言っていた。

 

 

 

「こな……、わたしに聞かれたいこととはなんでしょうか?」

 

 

 タストイが退室し、その後入ってきたリカヴィオラが前のめりに寄ってくる。

 とりあえず向かいのソファに座ってほしいと伝えると、素直に腰を下ろした。

 

 この場では自分の指示には従うように命令されているようだ。

 

 

「タストイ殿からある程度あなたのことを聞きましたが、直接お話ししたいと思いました。

 まずその……『此方(こなた)』というのは、お父さんに教えられたんですか?」

「はい!

 言葉は父上にお教え頂きました!

 商館では言葉遣いを直すように仰せつかって居りまするが、他の部分に注力致しますとしばしば間違えてしまいます!」

 

 

 元気でよろしいが、なんか意味は通じるがめちゃくちゃな翻訳を受けているな。

 父親が古めかしい言葉を使っていたのか、緊張しているのか商館で学んだらしい丁寧語と色々混ざっておかしくなっている。

 (ちん)とかが出てくるよりはマシだが。

 

 

「『こなた』はそのままでいいので、他は気をつけてもらえると助かります」

「はっ、畏まりました!」

 

 

 できてるのか、それ。

 この子、自分の影武者になれるか?

 口調は武者が混じってるけど。

 

 

「家事奴隷を目指していると聞いたんですが、なぜでしょうか?

 妾奴隷のほうが大事に扱われると思いますが」

「その……手続きを任せきりにしておりましたら、いつの間にやら妾の扱いに為っておりました!

 お世話になった方と商人の方が、その方が財を残せるのだと仰っておりましたので……」

 

 

 リカヴィオラが身売りをした際の代金はと聞くと、その住人の手に渡ったそうである。

 ほーら、やっぱり。

 借金をしてまで世話をしていたそうだが、食事などは特に質が落ちたとかもなかったようだ。

 

 水準を維持するために本当に借金をしていて、その恩として受け取った……という線もなしではないが、契約内容の方から考えれば黒にしか思えない。

 高額売却にするために手を出されなかったのなら、そこだけは救いか。

 商館での確認でもそっちは白で、病気もないとのことだし。

 

 

「家事仕事に付きましては、商館で従事されておられる皆様の御姿が大変格好良く、此方(こなた)もそう在りたいと考えました!

 幸い、商館に移りました時点でブラヒム語の教育は十分だとご評価を頂きました為、家事手伝いを学ばせて頂いております」

 

 

 識字はいいとして、言語教育は十分……なのか?

 それとも自分の自動翻訳がバグってるだけで、本当は正しい言葉遣いのかもしれない。

 エセ古語と敬語が混じってポンコツな会話として聞こえるが、意味としては通じる単語が使われているわけだし。

 

 意思疎通ができないわけではないし、いいか。

 

 

「それに、あの、妾としての教育内容が、此方(こなた)には、しょ、少々過激でありまして……」

 

 

 現代だったら萌えるシチュエーションかもしれないが、自分と似た顔が頬を赤らめてそういう話題を口にしていると考えるとダメージを受けてしまう。

 いや、普段は自分の顔は見えないから、リカヴィオラは客観的には可愛いんだけどね?

 

 妹、妹と思うことにしよう!

 それなら似ていても愛でられる。

 ……フェルスお姉様のことを言えないな、これ。 

 

 

 話題を変えよう。

 聞けることは聞いておかないとな。

 

 

「魔物を見たことはありますか?」

「はい、父上が床に伏せる前に、鍛錬に連れ出されまして対峙したことがございます!

 後に聞かされてみれば、そこが迷宮であったと知りました」

 

 

 探索者は取得済み、と。

 

 

「スローラビットなるウサギの魔物を捕えた父上に『斬り伏せてみよ』と剣を持たされ、手を痛めながら泣く泣く仕留めました。

 その際に魔物が落としたウサギの肉を、父上と焼いて食したことは今でも偶に思い出します」

 

 

 なんちゅうことをしとるんじゃ、パパ上様。

 何の仕事をしていた人なのかと聞いてみたが、動けていた時でも少々の鍛錬の他はほぼ生活のための家事作業だったそうだ。

 

 ……待てよ。

 ギルド買取ですら150ナールだかのウサギの肉を売却せずに食べたってことは、実は結構裕福だったんじゃないか?

 泣いている我が子のためにその場で調理するよりも、それを売って好物をたくさん買ってやったほうが喜ぶし安くあがるのは誰だって分かる。

 

 生命に感謝するという高尚な思想だったにせよ、育てた家畜などではなく迷宮に無限に湧く魔物のドロップアイテムだ。

 レアドロップアイテムをそんな風に扱うなんて……、火力と討伐数が異常な自分たちじゃあるまいし、普通は考えにくい。

 

 各地を転々としていたなら、固定収入は難しいだろう。

 父親の生前から食生活が変わらなかったのであれば、それができるだけの資産を持っていたはずだ。

 

 そして娘を生活に困らせないだけの資産を管理できた父親なら、自身の死後のことも考えていないわけがない。

 動けなくなった時点で世話になった住人とやらに預けて、お願いしていたと考えるのが妥当だろう。

 

 慎重に話題をずらしつつ確認してみたが最後の村にいたのは2年弱で、昨年の初秋には父が亡くなり、半年程経って今年の春には奴隷の手続きをされたことになるようだ。

 たったそれだけの間で妾奴隷として売却しなければならない額の借金ができるか?

 

 悪い方向にしか考えが向かないので、これ以上の詮索はやめよう。

 唯一の家族を亡くしている彼女には、これからのことしかないのだから。

 

 

 トラウマみたいな初討伐の思い出話だったが、今ではちゃんと魔物だと理解して剣を握ることもできるそうだ。

 戦力になるかは別として、いざというときに動けるだけで十分だろう。

 予定としては家事担当のつもりだし。

 

 

「家事についてはどの程度できますか?」

「炊事に洗濯に掃除と、何でもお任せ頂けます!

 以前の商館には、お屋敷勤めをされていた方も居られたので、『もう来なくていい』と言って頂けるほどに上達致しました!」

 

 

 ……それは仕事を覚えたから、という意味だよね?

 このあたりはタストイから聞いたほうがよさそうだな。

 

 父親とした焚き火が好きだったらしく、火の番は得意らしい。

 朝から留守番をお願いして、帰ってきたら家が無くなっていたなんてことだけは勘弁してほしい。

 

 

 

 呼び鈴を鳴らし、タストイを呼ぶ。

 一旦リカヴィオラには部屋の外に出てもらって、先程の質問だ。

 

 

「彼女の家事はどの程度の腕なのですか?」

「おぉ、ご関心が出てこられましたか!

 これまでの商館では熱心に学んでいたようで、一般の民家ならある程度は任せられるほどだと担当の奴隷商から聞いております。

 本職のお屋敷付きとは比べられないでしょうが、まだ若いので長年仕えることを考えればお買い得ではないでしょうか?」

 

 

 なるほど、『来なくていい』とはそういうことか。

 この辺りの土地では目を引く容姿で若いので、そこそこの家事奴隷として一緒にいれば先に買われてしまうと思われたのかもしれない。

 

 後ろを振り返り、アコルトと目を合わせる。

 小さくにこりと笑って頷いてくれた。

 

 反対に振り返り、今度はミーラスカだ。

 リカヴィオラが出ていった扉へと向けていた視線をこちらに向けて、微笑んだのが分かる。

 

 

 ……よし。

 

 ボーナスポイントを調整しつつ、タストイに向き直って交渉の口火を切った。

 

 

「彼女……、リカヴィオラはおいくらでしたか?」

「……!

 先程申し上げた通り、58……いえ、57万ナールでどうでしょうか?」

 

「初年度奴隷ではありませんでしたか?」

「ええ、そうではございますが……、南方の容貌で、処女で性奴隷の了承もありますので……54万ナールでは」

 

 

 今冬に税金を納めるのがこちらになるというのもあるが、なんだか押しに弱そうだな。

 言ってみたら割と通じて内心吃驚している。

 

 やはりそっくりの顔が交渉してきたことに、だいぶ動揺しているとみえる。

 この機会に厄介払いもしたいはずだ。

 

 

「本人も家事奴隷を希望しているようですし、そこにあの給仕の方と同じ侍女服も付けて、もう一声頂ければ是非とも彼女を迎えたいところです」

 

 

 アコルトからリュックを受け取ってその中に手を入れつつ、アイテムボックス操作を発動してジャラジャラと金貨を移す。

 硬貨の音を聞いて観念したのか、タストイが大きく息を吐いてから顔を上げた。

 

 

「……そうですね、服をお付けしまして……52万ナール!

 これ以上はどうやったって負かりません!」

 

 

 最後に大きく値引いて、タストイが線引きした。

 表情からしても、腰元で握った拳の様子からも、これが最終ラインだろう。

 さらなる値引きを求めたら、破談となりそうな様相だ。

 

 

「……では、そちらでお願いします!」

「ありがとうございます……!

 そうしましたら……、あの娘に当館の侍女服をお付けして52万ナールのところ、運命的な巡り合わせを祝福いたしまして特別に36万4000ナールとさせていただきましょう!」

 

 

 たった今これ以上は値下げできないと言ったばかりでガクンと価格の落ちた奇妙な事態でも、タストイ本人は真剣な表情だ。

 おかしいよね、使ってるこっちだって意味がわからないもん、これ。

 

 パッシブスキルのカルクに作用することで、無意識のまま処理されてしまって本人が認識できないとかなんだろうか。

 他人に作用するスキルとしては結構恐ろしい方だよな。

 

 流石に奴隷についてはアイテムと違って仕入れの4倍の売値ではなかろうが、いくつか商館を移っているらしいし3割削られたらギリギリなんだろうか。

 

 思考を逸らしつつもトレイに硬貨を並べ、それをタストイが確認する。

 同時に給仕の1人を呼んで、指示を出していた。

 

 数え終わると、いつもの奴隷保有の諸注意を聞かされる。

 一通り終わったところで扉がノックされ、侍女服に身を包んだ銀髪の少女が現れた。

 

 リカヴィオラがキョロキョロしていると近くに呼ばれ、自分のインテリジェンスカードとともにタストイが手続きを進める。

 

 

「こちらで奴隷所有の操作が完了いたしました。

 遺言のご変更やその他の手続きにつきましては、いつでも当館をご利用ください」

 

 

 リカヴィオラの情報について、他者から聞ける情報はもうなさそうだろう。

 自身が着る侍女服を様々な方向からワクワク顔で見つめる彼女に声を掛け、商館を後にした。

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv30
魔法使いLv30/英雄Lv26/探索者Lv31/僧侶Lv29/森林保護官Lv25/巫女Lv14
(村人5 農夫1 戦士20 剣士9 商人30 錬金術師1 細工師1 薬草採取士30 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人1 盗賊1)


アコルト   兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv24

シャオク  ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv21

ミーラスカ  牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv10

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 村人Lv4


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次回は6/30更新の予定です。

6/26 12:05
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