異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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129 漸進

 食事中もシャオクに聞くことが多かったので、夕食を食べ終わるのが遅くなってしまった。

 お風呂の用意をしながらも、スキルについて考える。

 

 結局、魔法攻撃力上昇のような付与スキルは存在しないみたいだった。

 自分のようなパラレルジョブでなくても、通常攻撃に比べて魔法の威力は高いのでそれも当然のような気もする。

 

 物理のほうが火力も技術も補助も必要なものが多いのだから、その差を埋めるためのスキル、と思った方がいいだろう。

 自分はそこに詠唱省略という能力までもらっているんだし。

 

 魔法使いと知った上でカルムが勧めてこなかった時点で、魔法火力に直結するのが知力上昇しかなかったのが当たり前と言えば当たり前か。

 劇的に戦闘を優位にするスキルがあるのなら、知られていないわけがない。

 キャラクター再設定やパラレルジョブ、ボーナス装備がチート級なだけであって、この世界のシステム自体はかなりシビアなものになっている。

 

 複数スキルの組み合わせでシナジーを考えられるのは、それを試すことができるだけの資産のある上澄みの上澄みの領域の話なのだ。

 ボーナススキルの鑑定様のおかげで、自分はダブルやトリプル、クアッドスキルの運用を考えられる状態にあるということに過ぎない。

 

 

 それにしても、将来連続魔法を使用する際のMPの補給方法は、何かしら考えなくてはならない。

 スキルには負担軽減するものはなかったし、

 フライトラップのボスのアニマルトラップを周回して、強壮丸から強壮剤に切り替えていく、とかか。

 

 階層の魔物で全体魔法2発なら、ボスでも6発程度で倒せそうな気もする。

 カルメリガだとフライトラップは1つ下の12階層だしな。

 

 他には、……あ。

 それこそ『回復強化』か!

 

 薬草のモンスターカード……、ハーフハーブだったかな?

 万能丸の原料を落としたはずなので将来的には大量に狩ることにはなると思うが、如何せん23階層以降の魔物にすぐ辿り着けるわけはないので、落札依頼を出すことになるだろう。

 

 

 ほとんどのボーナス装備のスキルはモンスターカードのスキルで再現可能であったが、『対人強化』などの一部スキルはその中にはないことも分かった。

 

 固定と呼ばれる、ギルド神殿でのジョブ確定の儀式の際に得られることのある装備にも付与されているらしいスキルだ。

 度々ゲームに例えるが、イベント限定装備みたいなものだろう。

 それなら特殊なスキルがついているのにも納得できる。

 

 逆に、ボーナスポイントで取得できる他の能力も、なんらかの方法で再現できる可能性がある。

 

 例えば自爆玉だ。

 ボーナス魔法のHP全解放がそれに当たるんじゃないだろうか。

 文字通りHPを全部使われてしまっては終わりなので使って試すことは出来ないが、字面では同等の効果に思えるしな。

 

 いつか自爆玉やそのMP版が手に入るようなら、他のメンバーも魔法使いになれるかもしれない。

 

 

 

 ぼーっと作業をしていたらいつの間にか湯船から湯が溢れていた。

 

 皆を呼んで入浴に移り、豪快にお湯を使いながら髪も体も洗う。

 アコルトは自分についているので、今日はリカヴィオラも落ち着いて入れているようだ。

 

 順番に湯船にも浸かり、片付けも終えて居間に戻る。

 残っていた飲み物をそれぞれ飲み干し、朝の雑事用に甕に水を補充しておいた。

 

 寝床はどちらにするのかと確認すると、よければ今日は2階にお邪魔したいと申し出てきた。

 もじもじした様子がいじらしい。

 持ちうるビジュアルは完全にツボだからな、自分そっくりということを除けば。

 

 枕を持ってこさせ、寝室へと向かう。

 

 自分が動かないと始まらないので、中央のベッドにゴロンと寝転んだ。

 その隣にアコルト、その向こうにシャオクが横になる。

 

 反対隣にはこのところミーラスカが居たわけだが、彼女は蝋燭の灯を消す前にとリカヴィオラに先を譲った。

 

 

「し、失礼致しまする……」

 

 

 だいぶ緊張しているらしい。

 枕を抱える腕もガチガチだ。

 

 明かりを消したミーラスカもベッドに入ったことを確認し、就寝の挨拶をして瞼を閉じる。

 いつもと違う人物が隣りにいると思うとなかなか寝付けなかったが、シャオクの寝息が聞こえてくるとつられて睡魔が襲ってくる。

 

 それでもまだ意識はあったので薄く目を開けてみると、強張っているリカヴィオラの背にミーラスカがぽんぽんと手を添えていた。

 そのリズムに安心したのかは分からないが、次第に不要な力が抜けた様子の彼女からもゆっくりとした息遣いが聞こえてくる。

 

 微笑ましい様子に思わず笑みを浮かべて息を吐くと、何やら自分にも心地よいリズムで触れられていることに気付いた。

 いいよアコ……、自分にはしなくて……も…………。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 めちゃくちゃしっかり寝られた。

 

 アコルトの中での妹ポイント(?)が上がってしまった気がする。

 くそう。

 

 伸びをして起き出してみれば、いつも通り誰も居ない。

 結局人が増えようが、自分の寝坊助は変わらないということだ。

 

 迷宮に向かう際は装備品を身につける必要があるので、朝食を終えるまでの間だけ緩い部屋着みたいな服装が置いてある。

 わざわざ整えることもないのでアコルトも寝室まで上がってこない。

 

 階段を降りて、顔を洗って口を濯ぐ。

 

 目を擦りながらも皆におはようと声を掛け、朝食が並べられたテーブルを前にして椅子に座る。

 焼き立てのパンを割ってバターを塗りつつ、改めて周りを見回した。

 

 当初用意した6席の内、5席が埋まっている。

 パーティーメンバー用として準備したわけだが、非戦闘要員になるリカヴィオラを迎え入れたことで、将来的に足りなくなることは明白だ。

 

 次の仲間が増えた時に椅子の予備も考えるかなぁ。

 テーブル自体はお誕生日席を作ればあと2席分は使えるんだし。

 

 昨夜の様子を聞いてみると、リカヴィオラもしっかり休息できたようだった。

 それでも大人数には慣れていないようで、寝付くまでは緊張するので偶に一緒に寝る程度に留めたいと伝えてくる。

 そこは本人に任せるし、1階に人が居てくれたほうが助かることもあるしな。

 

 逆に他のメンバーで1階で休みたい者はいるかと今更ながらに聞いてみたが、皆慣れてしまったので手は挙がらなかった。

 指を折って数えてみれば、ミーラスカですらこの家に来てからすでに半月が経っている。

 まぁ気分転換をするとか、いつでも言ってくれて構わないとした。

 

 

 食事を終えて、お湯と水を各所に作って回る。

 それが終わると寝室へと戻って着替えだ。

 

 ミスティックミスリルメッシュトップを装備して、ミスリルメッシュスカートを履く。

 頭にはミスリルサークレットを付けるから、思い浮かべるだけでも噛みそうなカタカナだらけだ。

 

 その上に身につけるのはアコルトが用意した、袖だけ薄い素材のブラウスだ。

 いつだったか序盤だけやったMMOのログイン報酬かなんかでもらった服に似ている。

 シアースリーブとかいうオシャレな名前だったのを思い出した。

 

 深めの紺色の生地で、オフホワイトのメッシュスカートとの対比でオセロみたいに思えてくる。

 それを覆うオーバースカートも暗色系で合わせ、細いベルトで留めた後に聖銀製のタクトを入れるホルダーもセットした。

 

 ソックスを履いてオストリッチパンプスに履き替える。

 立ち上がってアコルトに調整してもらってから、左手をリングに通してフィンガーバングルを装備した。

 身代わりのミサンガはすでにつけているので、これでモノトーンエルフの完成だ。

 喪服ではない。

 

 終始近くで見ていたメイド服のリカヴィオラと、ほぼ同じ身長になった。

 上げ底って偉大だ。

 1人だったら鏡の前でポーズなんかとっちゃいそうな気にもなるが、1人でもないし鏡もないのでスクショタイムは訪れません。

 

 皆も剣や盾以外は準備できたようなので、家のことはリカヴィオラにお願いして迷宮へ向かうことにした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 カルメリガの13階層で、昨日はシャオク抜きだった戦闘を今日は4人で確かめてみる。

 敵に肉迫される前にほとんどの戦闘を終えているし、数少ない接触時にもミーラスカがしっかりと捌けているので問題ない。

 着実に大盾使いへと成長している。

 

 シャオクも納得してくれたので、ついに上の階層を試してみることにする。

 

 候補として挙げられたのが、カルメリガではなくシームの15階層である。

 出現する魔物はフライトラップにロートルトロール、ラブシュラブらしい。

 

 群れの魔物の数が増える16階層の一歩手前であること。

 すべて火属性を弱点としていて、階層の魔物がこれまで相手にしてきたフライトラップであること。

 ロートルトロールの麻痺させられるという攻撃には、すでに耐性装備で対策済みであること。

 

 これらを考えて、様子見としても相応しい狩り場だと述べてきた。

 戦い方も数もほぼ変わらず、メインとなる魔物も同じだ。

 必要な手数や、ロートルトロールやラブシュラブの相手が難しければもう少しミーラスカのレベルを上げてから出直せばいいだろう。

 

 皆とも意見を交わし、同意も取れたのでカルメリガからシームの迷宮へと移動した。

 

 

 

 適当に5階層あたりの入口小部屋へと出てくる。

 そのまま出入り口を抜けて迷宮外へと離脱した。

 

 シームの15階層ヘはまだ足を踏み入れていない。

 シャオクも2桁階層に向かう前に街を移動したので、当然未踏だ。

 となれば周囲に立っている階層案内の探索者に頼る他ない。

 

 えーっと、パーティーを解散……、いや入ってもらって、と考えたところで気付く。

 こんな魔法使い然とした探索者がいるか。

 

 案内は当然1:1だし、する側もされる側も探索者だ。

 人数分払って全員送ってもらうというのも一般のパーティーには不自然だし、勧誘の際に誰からされたのかは分かってしまう。

 シームで魔法使いのはずのミツキからパーティー勧誘されたという情報が万が一にも漏れたら、面倒なことになる。

 

 

「私が適任かと思われます」

 

 

 アコルトが名乗りを上げた。

 

 シャオクは一応はすでに鍛冶師になっている日付ではあるし、アイテムボックスを空けなくてはジョブを変更できない。

 ミーラスカは探索者の呪文を唱えたこともないので、教えるにしてもアドリブ対応は危険だ。

 任せられるのはアコルトしか居ないな。

 

 狩人のジョブを探索者へと変更し、パーティーから脱退させて銀貨を預ける。

 目の届く範囲で待機し、アコルトの帰還を待つことにした。

 

 

 少しして、アコルトが戻って来る。

 鑑定で目星をつけた1人目の探索者に無事案内してもらえたらしい。

 レベルが分かると大体の踏破階層を想像できるのでありがたいな。

 

 アコルトをパーティーに勧誘し、そのまま迷宮の入口へと向かう。

 階層選択を任せて、先を行く背中に続いて進んだ。

 

 

 シームの15階層の入口小部屋に辿り着いたので、アコルトのジョブを狩人へと変更する。

 同時に今後も階層案内が必要な場合は、とりあえずアコルトに対応してもらうことを伝えた。

 

 さて、まずは討伐まで何発必要なのかの手数の確認だ。

 13階層で弱点属性で2発なら、15階層なら3発に収まってくれないか。

 

 索敵をお願いして、フライトラップだけの群れに案内してもらう。

 通路の先にいるのは……2体だな。

 

 

フライトラップ Lv15

フライトラップ Lv15

 

 

 小声で皆に声を掛けてからファイヤーストームを念じる。

 道の奥で発火した魔物たちが、周囲を見回すかのように体を大きく仰け反らせる。

  

 何かしらを感知してこちらへと傾き、そのまま葉や蔦のような部分を使って移動し始めた。

 植物の魔物には目もないのに、どうなっているのだろうといつも思う。

 

 魔物たちとの距離が半分以下になったところで、二度目の全体魔法が襲いかかる。

 束の間の再炎上はしたものの、当然2発ではフライトラップたちを煙に変えることはできない。

 

 団扇のように広がった口を広げて飛びかかってくる魔物を、ミーラスカの大盾が弾き返す。

 鋭そうな葉を使った攻撃も、シャオクの鋼鉄の盾が進路を塞いで防ぎ切った。

 

 フライトラップが位置取りを直し、再びグワッと口を広げたタイミングで3度目のファイヤーストームが発動する。

 発火のエフェクトが見えた瞬間、2体は揃ってドロップアイテムへと姿を変えた。

 

 3発、これならやっていけそうだ。

 15階層なら多少なりとも経験値は上がるはずだし、シーム領の迷宮に入っているという実績にもなる。

 

 ミーラスカも、大盾で受けた手応えも大きく変わらないようなので大丈夫そうだ。

 

 

 次なる検証を進める。

 

 ロートルトロールは人型の魔物のはずだ。

 対応するモンスターカードは猿だったらしいしな。

 

 アコルトに周囲を探ってもらう。

 他はどちらも葉のある植物だから、這いずったりする音以外の物音になるだろうか。

 

 おそらくそれだろうという音の主の方向が分かったらしく、そちらを目指して案内についていく。

 

 

 

ロートルトロール Lv15

フライトラップ Lv15

ロートルトロール Lv15

 

 

 いた。

 不規則な音だったというが、足だけでなく時々前傾姿勢で手をついて歩き回っているからか。

 

 まっすぐ長い通路なので、距離としては先程の戦闘より遠い位置にみえる。

 ならば近づかれる前に仕留められるかもしれない。

 

 1回目の火魔法を発動し、皆にはその場に留まらず後方へ下がるように指示した。

 なるべく到達までの時間を稼ぎたい。

 

 植物よりはトロールたちの方が、流石に移動速度が速い。

 それでもこちらも距離を取り続けているので、フライトラップとの中間地点くらいで2発目のファイヤーストームが命中した。

 

 原作をして、目付きの悪い毛むくじゃらの浮浪者と評された容貌は言い得て妙だ。

 発火エフェクトで舞う火の粉を嫌って、腕を振り回しながら向かってくる。

 

 近づいてくるとその体躯の大きさに吃驚した。

 ミーラスカより大きい。

 大盾がなければ、こんなのに囲まれたら恐怖でしかない。 

 

 走りながら腕を振り上げ、突進しつつそれを叩き下ろそうと切迫する。

 だがその前にクールタイムが完了した。

 

 念じ続けた3度目のファイヤーストームが炸裂する。

 炎のエフェクトがロートルトロールの身を包む。

 

 

ゴッ!

 

 

 ダマスカスの大盾に何かがぶつかる鈍い音が聞こえる。 

 え、まだ倒せていない!?

 

 もう一方のロートルトロールの攻撃は、大盾を避けた進路上でシャオクが鋼鉄の盾で防いでいた。

 そちらではゴゥン!、と大銅鑼のような音が響いた。

 

 チラチラと顔の近くで弾ける火の粉が鬱陶しいのか、初撃を防がれたことからか、2体の猿人が距離を取る。 

 ミーラスカもシャオクも防御姿勢は崩さない。 

 足元へ鞭を伸ばして、アコルトも警戒を強めている。

 

 そこで4回目の全体魔法が追いついた。

 

 発動の確認と共に魔物がアイテムに変わる。

 金属らしい塊のようで、いびつな形のインゴットみたいだ。

 その1つに合わせて鑑定を行う。

 

 

 

 

 なんだっけ……、錫杖(しゃくじょう)のシャクの字……。

 

 

「スズですね」

 

 

 そう、それ!

 シャオクはこちらの表情を読んだわけではなく、その後にはどちらのアイテムボックスに仕舞いますかという問いが続いた。

 今後数も増えるだろうから、受け取ってこちらで管理することにした。

 

 (すず)といえば、タンブラーなんかに使われたりする熱伝導率のいい金属だったはずだ。

 思えば高級宿のコップも似た色をしていたような……。

 

 

「……じゃなくて、今4発必要だったよね?」

 

 

 加工とかの話は置いておいて、目下の問題は必要な手数だ。

 想定とズレがあるのは大問題である。

 

 

「はい、植物ではございませんでしたので」

 

 

 あ。

 

 そうだ、森林保護官の『対植物強化』……。

 先程まで食虫植物とばかり戦っていたせいで忘れていた。

 問題は解決しました。

 

 以前話しておいたとはいえ、皆3発目の魔法の後にも戦闘態勢は崩さずに継続していた。

 自分だけじゃん。

 

 素直に忘れてたことを詫び、別途出現するであろうラブシュラブも植物に該当するので、ロートルトロールが一手多く必要になるので要警戒であるとの認識を共有した。

 

 これまでの植物の体当たりと違って筋肉ある獣の力を込めた攻撃なので心配していたが、ミーラスカは押されることもなくこの階層では不動の盾となれた。

 物理ダメージ軽減や体力補正の装備スキルも貢献していそうだし、準備しておいてよかった。

 

 手数の目処がたてば、戦闘の動きも想定しやすくなる。

 

 

 

 

ラブシュラブ Lv15

ラブシュラブ Lv15

 

 

 遠くにハート形をした、ニードルウッドよりも低い庭木のようなものが生えている。

 職人に剪定された後、少し放置して伸び始めたくらいの感じで、輪郭がぼやけてはいる。

 スポーンするなら綺麗な姿で出てくればいいのに。

 

 作中では枝を飛ばす遠距離攻撃があると述べられていた。

 こちらは階層に対して過剰すぎるほどの防具を身に着けているから問題ないと思うが、かなり鋭い射出攻撃のように書かれていたからちょっと怖いな。

 

 まずは先制攻撃の火魔法をお見舞いする。

 包まれた炎に慌てふためいた……というわけではないが、ガサガサと葉を揺らしてこちらを認識したように見えた。

 顔なんてものはないので、印象でしかないが。

 

 のそりのそりと動き出すが、幹も短いので移動はかなり遅い。

 だからこそ遠距離攻撃があるようだが、これだけ離れていれば大丈夫だろう。

 

 2回目の全体魔法を発動し、まだ距離のあるラブシュラブを観察する。

 葉の隙間から見える枝には棘があるように思えた。

 近づいて実際に確認したくはないが、ツルッとした木の肌ではないことだけは見て取れた。

 

 更によく見ようと乗り出した途端、スッとシャオクがその前に出る。

 風を裂く音がして、直後にカカカカッとシャオクの持つ盾が何かを弾いた。

 

 床に散らばったのは、先程見た棘の生えた枝である。

 

 

「枝を飛ばしてくる前に、今のように体を震わせてきます」

 

 

 魔物の種類を聞いた時に言ってた気がする……。

 当の自分は、その揺れに乗じて枝の形状を見ていただけとか間抜けが過ぎるだろう。

 

 ごめんなさい気をつけます。

 基本はミーラスカの陰に隠れて、魔法を撃つ際に視認のために顔だけ出すくらいでいいかもしれない。

 

 牛歩のような歩みを再開したラブシュラブに3度目のファイヤーストームを発動すると、仲良く2体とも煙に変わる。

 

 やはりこの階層の植物は3発。

 気をつけるべきは遠距離の棘と、手数も防御も必要なロートルトロールだな。

 水魔法を持つフライトラップは詠唱のためにその場に留まるし、水球が当てられそうな距離になる前に詠唱中断か討伐ができそうだ。

 

 残されたドロップアイテムは木の板だ。

 落とし主より明らかに厚い板材なのは気にしたら負けか。

 

 肉類なんかは可食部だけが手に入る仕様なんだから今更だけど、違和感が凄いのはどうにかなりませんかね。

 

 

 

 魔物の出ない小部屋に移動し、今後の方針を考える。

 必要な魔法の回数を頭に入れておけば、戦闘は問題ない。

 装備を事前に整えたことで、この階層でもやっていけそうだ。

 

 ジョブの育成についてだが、僧侶がLv30に到達した。

 派生ジョブはなにもでてこなかったので、条件を満たしていないか、そもそも発現するジョブがないかだろう。

 

 僧侶のジョブ効果は、精神小上昇にMP微上昇だ。

 つまりパラレルジョブから外しても、火力が落ちることはない。

 その分、MPが減ってしまうので強壮丸を使う頻度は高まりそうだが、それだけだ。

 

 これでやっと戦士の育成が行える。

 順調にいけば、念願の遊び人解放だ。

 

 逸る気持ちを抑えつつ、魔物の索敵をお願いした。

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv31
魔法使いLv31/英雄Lv27/探索者Lv32/戦士Lv20/森林保護官Lv26/巫女Lv20
(村人5 農夫1 剣士9 僧侶30 商人30 錬金術師1 細工師1 薬草採取士30 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人1 盗賊1)


アコルト   兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv25

シャオク  ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv22

ミーラスカ  牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv14

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 探索者Lv9



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次回は7/17更新の予定です。

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