異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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188 大望

 新たなジョブを獲得した高揚感で浮き立っていたが、一晩寝て朝食や日課をこなしているうちに熱も収まってきた。

 

 屠竜士の腕力のジョブ効果は、剣士と同じ小上昇だ。

 HPの代わりに体力と器用に補正がかかり、耐久面はさほど向上していない。

 もちろん、メインジョブに据えた時の身体ステータスの補正まで含めると分からないが、そちらは鑑定やジョブ効果に表れないので判断できない。

 

 戦士と騎士のジョブのように剣士から補正項目自体が変わっているので、これも順当な強化ジョブではなく、派生ジョブに過ぎないのだろう。

 

 

 さて、検討すべきはセナクロワの今後の育成ジョブについてだ。

 パーティージョブ設定から彼女の取得ジョブを確認し、候補を考える。

 

 1つは暗殺者。

 

 

暗殺者

 効果 知力小上昇 精神小上昇

 スキル 状態異常確率アップ 状態異常耐性アップ

 

 

 状態異常の付与に特化し、同時に自身の状態異常耐性も上げることで、拘束役としての役割を確立するジョブだ。

 しかし彼女が今後迷宮深部での戦闘を考慮した上で必要とした、腕力にも敏捷にも補正はなく、前衛をそのまま務められるかは疑問となる。

 

 パーティーに効果が及ぶメンバーの他ジョブでも腕力補正は少ないし、敏捷なんてさらに少ない。

 自分の魔法の火力アップは嬉しいが、前線が崩れてしまっては元も子もない。

 魔物にこちらの強化以上の状態異常耐性があったら目も当てられなくなってしまう。

 

 無難に強いがそれが通じなくなったら、相手を止める前に太刀打ちできなくなるという不安もある。

 原作の範囲を超えて、おおよその知識もなくなってくる深部の階層の魔物に、出会してから無効でしたでは怖い。

 

 非常に強力なジョブであることは間違いないが、彼女の戦闘スタイルと合わないことと、『付与増強』のスキルで状態異常についてはある程度ならカバーできてはいるので、候補としては少し落ちるか。

 

 

 次に、昨日取得したばかりの屠竜士だ。

 その補正を改めて確認する。

 

 

屠竜士

 効果  腕力小上昇 体力微上昇 器用微上昇

 スキル 対竜類強化 ガッシュ

 

 

 4属性の魔法耐性があるドラゴンに、防御面も含めて優位を取れるだろう『対竜類強化』と、新たな攻撃スキル。

 先ほど考えたように、ドラゴンの出現階層以外は剣士の使い勝手とあまり変わらなそうな気がする。

 

 攻撃スキルでセナクロワの火力が上がっても、魔物を倒すのは獲得経験値が増加する自分の方が望ましい。

 現状でも稀にパーティーメンバーが倒してしまうことはある程度許容しているが、抑え込むパワーは変わらないまま仕留める能力だけ上がるのは困りものだ。

 ドラゴンの階層突破に困った時に育成するくらいかなぁ。

 

 ……ジョブの獲得数のために、自分もそのうち剣を持って竜を仕留めないといけないのか、これ?

 石化させた後にガリガリ削ればいいなら、というかそれじゃないとできる気がしない。

 

 

 後は……魔剣士。

 

 

魔剣士

 効果  MP小上昇 腕力微上昇 知力微上昇

 スキル 武器スキル強化 剣技指定 空き

 

 

 ガッシュという新たな剣技スキルが選択肢に加わったが、遊び人のようにジョブ自体と指定元のジョブの2種類のレベル依存となる魔剣士に、実用性はないだろう。

 もしかしたらハイクラスのスキル武器の効果を『武器スキル強化』でさらに引き上げて、鬼のような強さを誇るのかもしれないが、それを運用するには剣技の指定元のジョブも育成しなくてはならない。

 詠唱省略やパラレルジョブ、経験値のボーナスがあって、やっと使えそうな感じだ。

 

 もう魔剣士のジョブは、Lv1の剣技スキルの性能確認用として割り切るしかないのかもしれない。

 取得できた時はワクワクしたんだけどなぁ。

 入浴準備でのMPの補正くらいにしか使えていないぞ。

 

 

 ……さて、ここまでセナクロワのどのジョブを育成するか考えてみたものの、結局自分たちのパーティーにとってはどれも今ひとつになりそうだ。

 

 作中の彼らには、魔法すら避ける絶対回避の不動のメインタンクがいて、引きつけた隙をついて即座に敵を石化して沈める脅威のサブアタッカーもいた。

 うちは皆にスキル武器を持たせて発動率を補い、大盾と牽制で囲まれないように捌いている状況なので、同じ運用は難しい。

 

 となれば、剣士の先にあるという()()()()というらしいジョブを目指すのが無難かなぁ。

 腕力に剣士以上の補正を望めそうだし、前に聞いた話では敏捷の上昇にも期待できそうな気配がする。

 仮に後者がなくとも、魔法使いにとっての魔道士のように、順当な強化を得られるであろうという安心もあるのが大きい。

 

 

 結局、今のところは剣士のままで迷宮通いを続けることにしようと結論付けた。

 

 剣士に変更してから7日程度しか経っていないのだから、それも当然という顔をされる。

 転職と異様な討伐スピードにやっと慣れたくらいで、新たなジョブがどうのと言われても難しいよな。

 魔道士の取得を機にレベルについてだけは説明するべきか。

 

 

 

 方針も決まったので、本日こそ27階層の突破を目指して迷宮だ!

 

 ……と、意気込んで移動した小部屋の先が待機部屋へと繋がっていた。

 行き止まりのように見えた狭い通路の奥を進むと、突然開けた部屋になっているなんて嫌がらせか?

 会った魔物を片っ端から焼いて回っていただけの善良なパーティーなのに……。

 

 ボスに合わせてポイント編成を確認しながら思い当たる。

 探索の最初の方で、モロクタウルスを避けて自分が切った方の通路だった気がしてきた。

 いや、違ったかも、……たぶん。

 

 どの道この階層でレベルアップを狙う予定だったので、前倒ししただけだ。

 万能丸と麻黄の在庫は売るほどできたので、回復薬を切り替えるのにも十分だし、よしとしよう。

 

 

 

 開いていたボス部屋へと突入し、煙が集まりだす。

 

 

ハーフハーブ Lv27

ハートハーブ Lv27

ハーフハーブ Lv27

 

 

 ハットバットやピッグホッグみたいに、鑑定ウインドウに表示された文字は間違い探しのようなボスとの名称違いだが、見た目は大きく違う。

 なにせハートハーブは太い茎をハート型に曲げた、歪な様相の魔物だからだ。

 なんとなく、型に固定されて四角に成長したスイカを思い出す。

 

 ラブシュラブの造形を先にしてしまったせいで、形状がこんなことになるのを余儀なくされたんだろうか。

 そういえばあいつもラブシュラブとラフシュラブで、パッと見どっちだか分からない名前だな。

 

 

 セナクロワから事前に聞かされたハートハーブの説明は、ハーフハーブとそう変わらないものだった。

 スキルも使ってこない、飛び抜けた攻撃もなく、体当たりばかり。

 

 違うのは、剣で枝を切り落とすと、近くの別の枝が伸びてくることだそうだ。

 こちらを攻撃するために成長するのではなく、現状復帰のようにほぼ同じ形状を保とうとするらしい。

 モデルとなったハーブの繁殖力が、ここに活きている……のか?

 

 まぁこちらはそんなの関係なく、ファイヤーストームで焼いていくんですが。

 

 

 モロクタウルスが出なくてよかった。

 道中と違ってボス部屋では戦闘を避けられないし、あちらの弱点をつくために肝心のボスに耐性のある属性魔法を放っても意味がないしな。

 

 クールタイムごとの魔法を連発しながら、タイミングを見てメンバーが状態異常付与ののった攻撃を入れていく。

 削っても形が復活する体というのは、逆に当たり判定の大きさが維持されていることになるのでは?

 ニードルウッドあたりとランクが入れ替われば、本当に初心者向けの魔物に思えてくる。

 

 続けていたほぼ一方的な攻撃で、ハーブたちは麻痺や石化を経て煙へと変わった。

 麻黄の方は見慣れているのでアイテムボックスに仕舞い、ボスのドロップ品をよく見てみる。

 

 

緑豆

 

 

 グリンピースによく似ているが、こちらは乾燥した硬い豆だ。

 他の薬と同じで、漢方かなにかの原料モチーフのアイテムなんだろう。 

 

 薬草採取士のジョブに付け替え、手のひらに乗せた豆を見つめて生薬生成を念じる。

 

 

万金丹

万金丹

 

 

 1つの緑豆から2つの丸薬が作られた。

 原典では生成に失敗していたようだが、どうやら薬草採取士Lv30では問題なくスキルを使えるらしい。

 レベル制限があったのかもしれないが、23階層以降のボスなのだから、入手階層的にも妥当だろう。

 

 ハートハーブが道中の魔物として出てくる56階層以降のボスの方は、万能薬を生成するのにLv50が必要かもしれないけど、それはだいぶ先の話だ。

 その頃には、基本ジョブのレベル上げなどは楽になっているだろうし。

 

 というか、そんな階層まで自分たちは進むのか?

 迷宮討伐の義務なんてないし、(しがらみ)のある爵位持ちになんてなる気はないしな。

 土地やそこの住人の管理なんてしていたら、悠々自適な生活は望めないだろう。

 まず、そういうことに精通した人材を探すところから始まるし。

 

 万能薬やエリクシールを常備したいのは山々だが、危険を冒してまで無理に迷宮に潜る必要はない。

 生活に必要なジョブを揃えて、お金を楽に稼げるようになったら素材を買い集めればよさそうだ。

 そのラインがどこまでなのかが分からないが、今後次第か。

 

 

 

 問題なくボスを倒せることが分かったので、ボス部屋の出口に進んで、28階層の入口小部屋へと出てくる。

 先日考えたように、弱点属性のないロックバードを相手にするのは面倒なので、27階層に戻ってボス部屋周回といこう。

 

 このランクの階層では、ボス1体とお供の魔物が2体出現する。

 

 『対植物強化』でボス諸共に楽に処理できるハーフハーブが大当たり。

 前衛組の対処に注意が必要だが、同じ火魔法で弱点を突けるグミスライムもあたり。

 ハズレはファイヤーストームに耐性があって、肉弾戦にも気をつけなくてはいけないモロクタウルスだ。

 

 出現率に偏りがあるのでハズレを引くことはほとんどないのだが、出てきた時には毎回ボスより長く生き残る。

 そのため、タウルスが出た時は慌ただしい。

 

 ミーラスカの大盾で隔離してもらいながら、アコルトがいち早く石化させるべく鞭を打ちつける。

 残りのお供がハーフハーブなら、ボスとともにセナクロワに任せて、シャオクも槍でモロクタウルスの拘束へと加わるし、グミスライムならばそちらをセナクロワが、ボスはシャオクが担当して凌いでいる。

 10セット以上も魔法を撃つまでの間には、さすがにモロクタウルスも石化するので、そうなれば博徒を外して他のドロップアイテムを拾った後、休憩しながらウォーターウォールで攻撃だ。

 

 そんな対応に迫られる戦闘も、10回に1回程度なのでそれ以外はサクサクと進めて周回も捗っている。

 

 

 昼食には肉を焼いて気力を回復させ、午後からも周回を継続させた。

 ボス部屋よりも、小部屋から待機部屋までの間にモロクタウルスを含む群れが湧いたときが面倒に思える。

 待機部屋に通じる道が他にないのはこの2日で調べ尽くしているし、群れの魔物の数は最大5体なので、ボス部屋よりも引く確率が高いしな。

 

 消費した牛バラ肉の補充と考えることにして、たまに現れる生肉業者はラッキーだったとしよう。

 他の戦闘で圧倒的に楽をさせてもらっているので、これ以上求めるのは罰当たりか。

 

 

 

 緑豆を増やし続けること数十戦目、ついに念願の瞬間が訪れる。

 

 

スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv50

魔法使いLv50/英雄Lv45/探索者Lv49/森林保護官Lv48/遊び人Lv47/巫女Lv43

 

 

 大きな区切りとなるLv50に、魔法使いが到達した。

 同じ場所にリポップするので小休止のタイミングも調整しやすい上に、ボスなので経験値も多いので、固定周回はやはり効率がいい。

 

 

魔道士

 効果  知力中上昇 MP小上昇 体力微上昇 精神微上昇

 スキル 中級火魔法 中級水魔法 中級風魔法 中級土魔法 下級氷魔法 下級雷魔法

 

 

 ジョブ設定にポイントを振って確認してみれば、しっかり魔道士の項目があって、そこには各種初級魔法が中級となり、氷と雷の新たな属性が加わったスキルが並ぶ。

 マスクデータの未達条件などがなくてよかった。

 ジョブレベル依存の火力やボーナスポイントの差もあって、もうしばらくメインジョブは魔法使いのままだが、この世界にくる前からの憧れだったので嬉しさも一入(ひとしお)である。

 

 今の戦闘にも慣れたので、博徒の役割が終わったらボーナスポイントを獲得経験値に変更するのをやめ、ジョブを魔道士にすることにして、ちびちび育てようか。

 弱点が揃っていると討伐が早いので、あんまり切り替えられることが少ないんだけれども……。

 

 倒すより先に石化し終えるモロクタウルスが出た時くらいしか、なかなかジョブを切り替えるタイミングがない。

 

 出ないほうが戦闘自体の危険度が下がるのでありがたいと言えばありがたいのだが、その後の戦闘でタウルスが出たのは2回だけだった。

 祝福されているのかいないのか、いまいち分からない。

 

 

 戦局が決まった後にジョブをつけることになるので、まだ魔道士の魔法は使えていない。

 目先の物事に囚われず、驕らず瀟洒(しょうしゃ)な態度で魔物を仕留めていく、なんて賢人ぶった振る舞いで何周かしたが、結局新魔法の魅力には抗えなかった。

 

 人間は愚かだ。

 エルフだけど。

 

 今回は、ボス部屋から出る前に実際に魔法を使って試してみよう。

 

 

「新しい魔法を覚えたから、今ちょっと試してみるね。

 慣れてないから、すぐに戦闘に使うかはまだわかんないけど」

「……新たなジョブを得たということですか?」

 

「うん。

 じゃああっちに向かってやってみるよ」

 

 

 アコルトのジト目を受け流すように、出口が出ていない壁の方にくるりと体を向けて、タクトを握り直す。

 最近は何でも受け入れてくれるようになったが、その訝しむ目つきにも慈愛を感じ……はしないか。

 

 

 全体魔法は対象がいないと使えないから、確認するのは単体魔法と壁魔法かな。

 中級魔法はバーン、アクア、ウインド、ダート、氷と雷はアイスとサンダーのはずだ。

 

 比較用にファイヤーボールをボス部屋の壁に向かって飛ばしてみる。

 ヒュッと空を駆けた先で壁に命中し、小さな花火のように火の粉が散った。

 

 続けて、バーンボールと念じてを思い浮かべた。

 

 火球の大きさはほとんど変わらないが、頭上に出現した際のジリジリとした焼け付く熱さが違う。

 顔を逸らしたくなるような熱源を真っ直ぐ正面に動かすと、先程よりも明らかに速く飛んで壁にぶつかった。

 壁面に残る衝突痕も、黒く焦げついた様子も、威力が段違いだ。

 

 これが、中級。

 

 でも、現時点ではファイヤーボールのダメージの方が高いんだろうな。

 それがジョブレベル依存のスキルで、諸々の計算が終わった最終的な数値でダメージが決まるのだと思う。

 

 仮に同じ人物が風を切るような速度で銅の剣を振り抜いても、デュランダルをそっと押し込む方がダメージが高いし、スパッといきそうだ。

 武器自体の質であったり、『防御無視』や『攻撃力5倍』といったスキルの効果で、運動エネルギーを簡単に凌駕する。

 ……まぁ問題は、そのどちらも数値として見えないことなんですけどね。

 

 

 漫画やゲームみたいに考えればいいか、システムがそうなっている世界だし。

 

 各種ステータスに、ジョブや装備の補正、スキルの効果などが重なってダメージを算出するはずである。

 だから装備品に該当しないものは耐久値やスキルの算出がされないので、その分計算に乗らない。

 武器や防具は装備しないと意味がないぜ、というやつだ。

 

 手でほぐせば解けてしまう糸でできている身代わりのミサンガだって、装備さえしていればスキル効果で致命攻撃を肩代わり、なんて真似が通用するのだ。

 とりあえず見た目とダメージは一致しない、とだけ認識しておけばいいだろう。

 魔道士のジョブレベルが上がってくれば、今度は見た目通りにファイヤーボールより威力が高くなるんだろうけど。

  

 

 他の属性や壁魔法もいくつか見てみる。

 どれも初級魔法よりエフェクトが派手だ。

 幸い、バーンウォールとアクアウォールがお風呂場の水受けになんとか収まりそうな幅で助かった。

 ウォーターウォールが複数枚重なった大きさを想定しておいた自分に感謝する。

 

 アイスウォールを発動すると、以前シームラウ家の厨房で魔道士が見せた氷の塊と違わぬサイズのそれが生成される。

 迷宮の中はひんやりと薄暗いが、あの時できなかったように皆ペタペタと触って冷たさを確かめている。

 

 まだ夏季ではあるので、家でも涼を取るために活用したい。

 

 

「これは……間違いなく……」

「そう、魔道士のスキルだね。

 詳しくは今日帰った後、リカもいる時に色々と説明するね」

 

 

 セナクロワは特に飲み込めない様子であったが、目を細めて額を押さえた後、頭を振るってからしっかり頷いた。

 

 もう一つ、試しておこう。

 雷属性魔法である。

 

 パーティライゼーションで自分を指定し、強壮丸を使ってMPを補充してから、サンダーボールと念じる。

 

 頭の上に、裸電球のように明るい光球が浮かび上がった。

 その周囲にパチパチと静電気のような何かが弾けている。

 

 蛍光灯やLEDのない世界で、人工的っぽい光を見たのは久しぶりだ。

 いや、魔法とかいうトンデモエネルギーだから人工もなにもないんだが。

 

 他の単体魔法と同じように迷宮の壁にぶつけてみると、そのまま霧散して消えた。

 暗闇の中で線香花火を落としたように、スッと消えていくのはなんだか切ない。

 だが攻撃魔法なのでそれを受け止めるのは魔物になる。

 あちらはたまったもんじゃないだろうな。

 

 

 サンダーウォールの方も使ってみる。

 

 先程のサンダーボールを平たく引き伸ばしたような、白く光る壁が現れた。

 面積が広い分、雷光もバチバチと音が強めである。

 

 あれだ、コンビニの入口にある……集まってきた虫を処す電灯だ。

 グラスビーやビッチバタフライが触れたら、バチンと弾けてくれるんだろうか。

 ダメージで考えれば、とても一撃で倒せるはずもないけども。

 

 電気柵みたいなものなので、これは味方も触れては困るやつだな。

 使い所は、弱点属性が突けなくて、移動も少ない魔物……は、ゴーレムだっけ。

 でも複数体いるなら全体魔法のほうがいいしな。

 

 盗賊にでも襲われたら防護柵のつもりで出せばいいくらいか。

 そもそも襲われるような事態になってほしくないが。

 

 

 

 一通り実演をしてみれば、その後は当然戦闘で使用するかどうかの話になる。

 といっても、パラレルジョブへの組み込みがなぁ。

 

 ボーナスポイントの割り振りを見直して、ひとつ思いついた。

 

 

 現在パーティライゼーションで選択してあるのは、アイテムボックスの強壮丸の列だ。

 大量の万能丸の在庫は抱えているが、使用頻度としては自分のMP回復目的の使用が一番多いから、強壮丸を使い切るまでは変えられない。

 それに全体手当てが使える巫女をセットしているから、HPについてはそちら任せだし。

 

 そこで、薬草採取士をセットして手持ちの緑豆の半数以上を生薬生成で倍の万金丹へと変え、1列を埋めてパーティライゼーションのアイテム指定をこちらに変更する。

 これで自分のMPの回復も、仮に誰かが被弾した場合の回復も、対象メンバーを選ぶだけで強化版の薬として連続使用できる。

 

 万能丸よりも回復量が多いはずなので、パラレルジョブに設定している巫女のジョブを外せるのではないかという案だ。

 魔道士の魔法の威力が使い物になるまで、即ちレベルを最低限に上げるまでが早められるんじゃないだろうか。

 

 

スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv50

魔法使いLv50/英雄Lv45/探索者Lv49/森林保護官Lv48/遊び人Lv47/魔道士Lv3/博徒Lv36

 キャラクター再設定    1 鑑定          1

 ワープ          1 詠唱省略        3

 7thジョブ       63 獲得経験値10倍   31

 必要経験値1/10   31 パーティー項目解放   1

 パーティライゼーション  1 知力         15

                       (残0/148pt)

 

 

 巫女Lv43の知力微上昇と、魔道士Lv3の知力中上昇ではどのくらい開きがあるんだろうか。

 及ばないにしても、中級魔法1発が増えるのだから多少は追いついてくれると期待しよう。

 MP回復速度上昇も切って端数を知力へと振った。

 

 一旦この編成でボス部屋へと突入し、石化が入ったり、戦況が終盤となった際にパラレルジョブを一段落として獲得経験値を20倍にするスタイルだ。

 

 

 夕方の帰還まで、あと少しこの編成で周回を続けよう。

 

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv50
魔法使いLv50/英雄Lv45/探索者Lv49/森林保護官Lv48/遊び人Lv47/魔道士Lv3/博徒Lv36
(村人5 農夫1 戦士30 剣士30 僧侶30 巫女43 商人30 錬金術師29 細工師30 薬草採取士30 村長1 賞金稼ぎ19 騎士7 暗殺者7 魔剣士7 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人24 盗賊30)

アコルト   兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv38

シャオク  ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv37

ミーラスカ  牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv35

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 探索者Lv33

セナクロワ  猫人族 ♀ 27歳 剣士Lv30



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次回は6/1更新の暫定予定です。

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