異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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189 認識

 それから10周程度で夕食の時間になってしまったので、魔道士のレベルは大して上がっていない。

 やはり中級職というのは上がりにくいらしい。

 

 何度も魔法を使ってみて、新たな発見もあった。

 クールタイムの違いである。

 

 初級魔法のファイヤーストームは11秒程度の待機時間なのに対して、中級魔法であるバーンストームはおそらく15秒と結構なズレがある。

 ゲームシステム的な感覚が強くなるが、まとめて3連発みたいな攻撃は、詰め詰めで発動していたら最初と公倍数のターンしかできないのだ。

 

 毎回トリプルスキルの3連発にするには、中級魔法に合わせた15秒のサイクルにする必要があるが、それではダメージ効率が落ちて勿体ないし、戦闘時間も延びる。

 魔法使いと遊び人の同スキルによる単純な再発動のタイミングに慣れすぎていたので、ちょっと訓練が要りそうだな。

 

 逆に良かった点もある。

 ズレて発動せざるを得ないことが、自然にスライムたちの被弾時の肉質変化を継続させてくれることだ。

 初撃から最大火力で撃ちこめて、念じ続けるだけで時間を測る必要がなくなるのは、思考の短縮に繋がってくれる。

 

 帰宅前の最後の戦闘に挑む際、遊び人のスキル設定を中級火魔法にしてみたが手数が増えてしまったので、まだダメージはファイヤーストームの方が勝っているようだ。

 どこまでジョブレベルを上げれば分水嶺となるのだろうか。

 

 

 

 自宅に戻ってから食事の準備を手伝い、料理も揃ったので皆でテーブルにつく。

 皆どことなくそわそわしている様子だったので、食べ始めてから切り出すことにした。

 

 

「まず、今日自分は魔道士のジョブを取得できたよ。

 アコたちには迷宮で見せたけど、お風呂の準備の時にも見られるから、リカも気になったら後で来てね」

「めでたいことにございます、御主人様!」

 

 

 分かっているんだか分かっていないんだか、パチパチと手を叩いて称賛してくれる。

 素直で可愛いな。

 

 だが他の皆が聞きたいことは、そこではないはずだ。

 

 

「それと、えーっと前提として……。

 ジョブにレベルがあるとされるのは、アイテムボックスの数がわかる探索者だけ、って認識でいいんだっけ」

「言い方からすると、ミツキ様は違う意見のようですけど……、そうですね。

 それ以外のジョブは十分な経験を積むとか、何年経ったからとか、そういう考え方が一般的です」

 

「『他のジョブにもおそらく指標のようなものがあるはずだが、確認する術がない』と書かれた本が図書館にございました」

 

 

 たぶんこちらの言わんとしていることを汲んでか、シャオクが通説としての意見を述べてくれる。

 ジョブに関する本を探した際に、ミーラスカもそういった文面を見逃さなかったらしい。

 

 魔物を倒すと何かしらのモノが得られ、それが貯まって段階が上がると、探索者はアイテムボックスの容量が増える。

 他のジョブは確認できるものがないし、アイテムボックスも固定数だったりで、おおよそ測るものがない。

 そして得られたソレは、通称で経験と呼ばれる。

 

 この世界の常識に透けた、システム感が拭えないナニカを思わせる。

 フレーバーテキストの匂わせのように、創造主が様々な文献にその片鱗を散りばめて、認識を浸透させようとしていたり……は考えすぎか。

 あっても不思議じゃないが。

 もしかしたらジョブの果てには、詳細な鑑定のような能力で、保有経験値なんてものが見えたりするのだろうか。

 

 

「まず、探索者と同じように、他のジョブにも経験に応じて成長するレベルは存在するんだ。

 インテリジェンスカードにも出てこないから他の人は確認できないんだけど、装備のスキルスロットのように自分には情報として見ることができる。

 証明する手段もなかったし、無駄に混乱させるから控えてたんだけど……」

 

 

 見えないものが見える。

 武器や防具のスキルスロットなんかは鍛冶師であるシャオク以外には衝撃は薄かったかもしれないが、今回のジョブレベルについてはどう思われるんだろう。

 

 

「お嬢様が前々から、ジョブについて何かを基準にしているとは思っておりましたが、やはりそういうことでしたか」

「戦闘に慣れるとは別に、経験が()()()()()()という言い方もしていたので、なんとなくは……」

 

 

 ……あれ。

 理解が早いというのもあるが、日々自分の発していた言葉の端々にあった違和感が、彼女らの中で推論を組み立てるには十分過ぎる材料だったらしい。

 

 魔物を倒すことで、その倒した回数なのか内容なのか、一定の基準を満たすこと。

 保有ジョブなる、当人が転職できるジョブがわかること。

 そして新規にジョブを取得する条件を揃えることなど、1つ1つの言動を思い返してみれば、何かしらの事由を分かったうえで行動しているのではと疑われる要素しかない。

 

 普通は経験は()()ものだろう。

 貯まるなんて言葉は、基準を満たしたり用途があるときくらいにしか使わない。

 

 …………他に失言していないといいなぁ。

 山ほど出てきそうで聞きたくもないが。

 

 

 と、とにかくだ。

 ジョブにはレベルがあって、自分のパーティーの者は通常より多く経験が得られるなど、影響を受けることを説明する。

 加えて、自分自身はさらに成長が早いということもだ。

 

 

 

 

「───セナは剣士Lv30で、リカが今は探索者Lv33だね」

 

 

 各々の現状のジョブレベルを伝えると、一気に困惑の様相が広がった。

 主人は常識外なので別だとしても、普段迷宮に入らずに家事をしているリカヴィオラが、騎士に認定されるようなレベルの戦士と同等の階層に挑むような力量を持つことになる。

 迷宮を踏破していく早さからして、このパーティーのメンバーの成長もおそらく早いんだろうと考えていたようだが、まさかそこまでだとは思われていなかったらしい。

 

 本人はどんどん容量が増えていくアイテムボックスが便利に思っていたくらいで、他人には見えないし数えていてもいつの間にか勝手に列が増えているので、そのうちアイテムが入るか入らない程度しか気にしなくなったようだ。

 明確に容量を聞かれることもなかったようだしな。

 

 そもそもその都度自分がレベルのチェックをしているので、在庫を預かってもらう時はアイテムボックスに入る分しか渡していないからか。

 

 それでも貴族が子どもをパーティーに入れて、家臣を迷宮で戦わせて育てるという例を挙げれば、一先ず納得はされた。

 だとしてもであるが。

 

 

 先日剣士として歩み始めたセナクロワはさらなる衝撃だろう。

 10年余迷宮に入った者として、中でも騎士団というある意味専門職に近い部類にいた者として磨いてきたはずの戦士のレベルが、新規に就いたジョブに両手で数えられる日数で並ばれたのだ。

 

 順当に階層をのぼってきたのではなく3ランク目からで、しかも討伐スピードは比べ物にならないくらいの短時間で普通のパーティーの数十倍の数の魔物を倒し、得られるひとつひとつの経験値が10倍や20倍かつ連日ともなれば、成長速度は異常にもなる。

 獲得経験値の倍率までは明確に説明しないが、聞かされたレベルという概念が、上がり方もおかしいなら理解できなくても仕方ない。

 彼女らはジョブを一つしか設定できないので、変更する時くらいしか認識しなくてもいいくらいだしな。

 

 問題は自分のジョブの方だ。

 異様な早さで成長する彼女らより、さらに5倍10倍で成長していく自分のパラレルジョブはもう説明とかの次元を通り越して、何ができるか出来ないかくらいだけ覚えてもらえればいい。

 

 

「魔法使いがLv50になった時に、他の条件もあったかもしれないけど、魔道士のジョブが出てきたんだ。

 初級魔法だけだった4属性のスキルが、中級魔法の4属性と下級の氷と雷属性の魔法を使えるようになったよ。

 戦闘で使うには、魔道士のレベルがまだ低いせいで見た目の割に初級魔法より威力が控えめだけど、育ったら強くなるはず……」

「今よりもですか……」

 

 

 すごいというよりおかしいという視点でシャオクに見られがちな気がする。

 実際おかしいんだから反論はないけど。

 

 火力に関しては、どこかで初級と中級の逆転のタイミングはくる。

 その時に遊び人のスキルに中級魔法を設定すれば、そこから強化幅も倍になっていくはずだ。

 

 

「氷魔法は水と土属性弱点に効果があって、両方の耐性がないと軽減できないらしいから、弱点と耐性が被ってる魔物の群れで使う場面があるかも。

 雷は弱点を突けないけど耐性を持つ魔物もいないそうだからドラゴンとかにも使えるし、麻痺させることもあるみたいだから今後頻繁に使っていけそう」

「我々の武器に加えて姫も麻痺効果を狙えるとなると、さらに戦いやすくなるでありますな!」

 

 

 彼女の常識外の連続で様変わりしたセナクロワの顔色も、一介の騎士から上位のジョブとなって迷宮深層へと進める日もそう遠くないことに気付いてか、だいぶ血色がよくなり興奮している。

 迷宮自体の討伐まで行うようになるとは思えないが、まだ見ぬ有用アイテムのために50階層を超えて挑むこともなくはなさそうだしな。

 

 完全回復薬っぽいエリクシールの素材のドロップアイテムは、67階層以降らしいが。

 そこまでいくと身の安全に軍配が上がって、買い揃えてしまいたい気もする。

 どっちにしろ、少なくともそれだけの資産を稼ぎ出すくらいには攻略を進めないとか。

 

 

 

 

「湯船を大きくされるかお聞きでしたのは、このことだったのでございますね」

 

 

 中級魔法によるお湯づくりの見学には、結局全員やってきた。

 頬に手を当てながら首を傾けて納得した様子のミーラスカが小さくこぼす。

 

 迷宮では魔法が解けたそばからバシャバシャと床に広がって吸収されていくアクアウォールは、ここでは水受けの中をどんどん埋めていく。

 ウォーターウォールよりも一回り大きく厚い水の壁だけあって、水量も倍近い気がする。

 

 魔法使いの時にそうであったように、水の方の割合が多く必要だ。

 故に遊び人のスキルには中級水魔法をセットして、ウォーターウォールとアクアウォールでバーンウォールをサンドする。

 このサンドは砂ではない。

 

 するとちょうどいい温度のお湯が出来上がる。

 思ったように中級魔法は火の温度も高いらしいな。

 

 回数を数えて2:1になるように調整していた給湯作業から、何も考えずに3発セットで壁を立てていけばいい。

 ちなみに中級壁魔法のクールタイムは13秒ほどだ。

 初級のそれと比べるとローテーションは3秒遅れるが、2倍くらいの早さでお湯の嵩が増えていく。

 

 今までも考え事をしながらの作業で、そこまで明確に最速を狙ってお湯を溜めていたわけではなかったから、純粋にプラスでしかない。

 水受けから湯船に流れ込むお湯をこれまで調整していた板も、初回以降は外しておいていいくらいの生成量だな。

 

 その分消費は激しいので、MP回復速度を20倍にしても薬を使用する量が増えているが、こればっかりは必要経費だな。

 でも更に魔法の使用回数が増えるとかがない限りは、これ以上消費スピードが上がることはないはずだ。

 魔道士が育てばMPの補正も増えるし、今後は楽になる一方だと思う。

 

 

「……っと、こんな感じでお湯づくりは完了かな。

 確認しながらだったからこのくらいだったけど、黙々としていればいつもの半分くらいの時間になりそう」

 

 

 これなら一回り湯船が大きくなっても、何割増しかの時間で済むだろう。

 倍の水量が必要でも、これまでと同じ時間には収まるしな。

 

 

 あとは入浴しながら話そうか。

 

 

 

 

「お嬢様のご負担を別といたしましても、取り替えた後のこちらの大桶はどうなされますか?」

「うーん、洗濯用?」

 

 

 洗濯物をまとめて一度に洗うにしたって、ここまで直径があると水に漬けきるのにも排水も大変そうだし、なによりこれより大きいものがもう一つ置かれるなら単純に邪魔か。

 新湯船の作成に時間がかかったとしても、2ヶ月も経たないうちにお役御免になろうとは思ってもみなかった。

 普段は納屋になんとか入れて、予備として保管になるかもしれない。

 

 そう考えると、そこまでして取り替えなくてもいいのではという声の方が大きくなる。

 同時に全員は入れないというだけで、過剰に待たされてたりしているわけでもないしな。

 

 追加の人員が増えない限りは、湯船の新調は保留になりそうか。

 

 

「お風呂の方はいいとして、氷冷庫は作りたいんだよね」

「お城にあったあれですか?」

 

「うん、アレ」

 

 

 氷魔法が自前で使えるのだ。

 低温保存だけでなく、冷やすという調理法も使えるようになるのは大きい。

 

 

「内側に取り付ける金属の板は帝都で取り扱っているらしいからそれを探してからだけど、入れ物自体はニカドー親方にお願いしようかなって」

「できるかどうかは聞いてみないとですけど、えっと……どこに置くんですか?」

 

 

 シャオクの純粋な問いに、改めて自宅内と城の氷冷室を思い浮かべる。

 

 城で見たように金板の上側には氷を置く場所があって、全体をぐるっと囲むように断熱の層も作らなきゃならない。

 現代の電気冷蔵庫ではないのだ。

 小さく作ったって少量の氷では冷気を維持できないし、氷を使うなら排水も必要になる。

 

 本来なら地下とかに大掛かりに作るんだろうし、城のものだって後付けじゃなくて最初から組み込むような図面になっているはずだ。

 家庭用に妥協するなら、朝昼夕に氷を補充する造りならまだなんとかなりそうか。

 

 でも結局場所が問題だよな。

 竈の近くは無理だろうから外に置くにも納屋側は厳しい。

 

 ダイニングを狭めて置いたところで、今後パーティーメンバーが増える可能性を考えると手狭になるのは元も子もないし。

 家の裏口の先か?

 でも衣装部屋が近いと結露とかも怖いしな。

 

 専門家に確認しておきたいが、そのためには氷魔法の使える魔道士であることを説明しなければならない。

 代役を立てて呪文を唱えるふりをしてもらって、詠唱省略した魔法を披露してもいいが、その後の生活を考えると自分が魔道士になったと説明する方が楽だ。

 しかしそのためには普段から魔道士をメインジョブにしておいた方がよくて、そうするとボーナスポイントが……。

 

 公表することも考えると、結局メインに据えおいても問題ないくらいまでジョブレベルを上げてから設置を考えたほうが無難なのか。

 

 冷蔵したいといってもワープでの送迎があるんだから、足のはやい生鮮食品は大量に買わずにその都度必要な分を揃えればいい。

 ソフトクリームやシャーベッドだって、保管という想定をなくして、毎回作って溶けるまでに食べるだけで十分に思えてくる。

 氷魔法という手段が増えても、なるべくその日に消費するという今まで通りの生活でだ。

 

 皆とも相談したが、いくら成長が早かろうと魔道士としての振る舞いに慣れるまで隠しておくべきだと結論づけた。

 ボーナスポイントについては伏せたが、そんなことより領内に未所属の若すぎる魔道士がいることが脅威と見做されることがあるとセナクロワから意見が出たからだ。

 

 確かに成人して数年の年齢になる魔法使いが、魔道士になれたということは相当な後ろ盾があるのだと見られても仕方がない。

 ジョブレベルというものが見えないからこそ、中位職へのステップアップは迷宮での経歴を想定される。

 まだ30階層にすら足を踏み入れてないのでは、不自然すぎるというものだ。

 

 実は高貴な生まれか、今は亡き両親の伝手で魔法使いのジョブが発現していた、まではギリギリ通せても、幼少の頃に知らぬ間に魔法使いのジョブに就かされていて深層に潜るようなパーティーと組まされて大量の経験を得ていて、いつの間にか村人に戻されていたなんて話は突飛過ぎるだろう。

 しかもそいつがもう魔道士になりましたなんて目に見えて異様過ぎて、各所から調査されるやもしれない。

 せめて40階層くらいまで渡り合えるような実力をつけねば筋が通るまい。

 

 作中の主人公のように、買い被られて上手くいっている間に踏破階層をガンガン進めるなんて真似はできそうにないので、露呈させない方がいいだろう。

 

 

 そういえば、この世界にも帝国解放会のような組織はあるんだろうか。

 

 国や領ごとに取り決めがありそうだが、少なくともシームでは迷宮は討伐の方向らしい。

 迷宮の入口には寄らずにワープで出入りをしているので、領主家がどう動いているとかはハッキリわからないな。

 騎士を見かけたらエンブレムを見せて攻略状況を確認するとかできるかもしれないが、こちらの探索階層を説明する羽目になるのも面倒だ。

 

 これまで通り密かに探索しつつ、様々な街でドロップアイテムを売却し、たまにシームでもギルドに寄って通っていますアピールをする程度に留めておこう。

 魔道士がメインジョブとして運用できるようになったら、身の振り方を考え直すくらいがちょうどよさそうだ。

 

 

 それに氷で冷やすための設備、ではなく氷が長持ちしそうな入れ物だけ作ってもらえばいいんじゃないか?

 食材の保管を主目的にするためにスペースを作るのではなく、氷を置いておく場所に、飲み物入りの容器をギリギリ置ける、くらいで。

 朝に出した氷で、昼休憩の飲み物が冷えているとか、夕食の準備で出した氷で、入浴後の飲み物が冷えているというだけで十分過ぎる。

 

 その程度なら家の中にも置けるし、魔法を見せずとも大雑把な大きさの指定だけでモノを作ってもらえそうだし。

 知り合いの魔道士が来てくれたときに氷を入れる箱ということなら、サイズだけ伝えてもなんとかなるかな。

 

 

 明日は夏の下月10日だし、なんだかんだ有耶無耶になっている休暇ということで迷宮探索を控えて出歩いてみようか。

 揃って南方の街に繰り出してみるのもいい。

 

 

 

 お風呂をあがって寝間着に着替え、あとは寝るだけとなった頃に、リカヴィオラがばつが悪そうに寝室へと入ってきた。

 

 

「どうしたの?」

「その、此方(こなた)がお渡しするのを忘れていたのでございまして……」

 

 

 なにやら封筒を差し出してくる。

 

 

「ああ、いいよ、気にしないで!

 留守番してくれるだけでも助かってるから……。

 アコ、お願い」

「かしこまりました」

 

 

 リカヴィオラはペーパーナイフも一緒に持ってきてくれていたようで、アコルトが慣れた手つきで受け取って封を切った。

 うちの子たち、自分以外手際が良いんだよな。

 

 

「…………カルム様からのようですね。

 10日ですから明日、昼の鐘の鳴る頃に眠る人魚亭に来て頂きたいそうです。

 難しい場合は可能な時間帯を宿の者に言伝だけでも、と」

「え、急ぎの用事なのかな。

 競売の結果とかじゃなくて全員で行った方がよさそう?」

 

「いえ、いつもの取引のように数名で構わないとの記載はあります。

 加えてご相談もしたいとありましたので、別途ご用件があるものかと」

「なんだろう」

 

 

 カードの方は依頼してから10日近く経っているので、カルムの手腕なら揃えていても不思議ではない。

 商人ギルドに来い、ではなく宿へということは、まず冒険者のフィールドウォークでの移動と考えていいだろう。

 つまりこちらはフルメンバー6名では向かえないということだ。

 

 そしてわざわざ送迎するというのは……。

 十中八九、シームラウ家の問題な気がする。

 

 領主命令で出頭要請じゃなくて、()()()という形なのはこちらへの配慮なのだろうか。

 何かしらの案件に協力なのか、よくわからないが怖い!

 フェルスお姉様へのサプライズプレゼントを企画しているとかだったら全然いいんだけども。

 

 とりあえず帯同するのは無難にアコルトとシャオクかな。

 礼儀作法の一番奴隷と、アイテムボックス持ちの鍛冶師なら十分だろう。

 

 自分のアイテムボックスが使えれば他のメンバーでもいいんだが人前ではダメだし、シームのことならシャオクが居たほうがいい。

 迷宮に入っているのに巫女を探索者に変更してまでミーラスカを連れて行くのも変だし、家の問題かもしれないところにセナクロワを紹介しにいくのも変か。

 リカヴィオラも近隣の人たちからの評判はいいんだけど、うっかりアイテムボックスの数がバレたりしそうと思うとな。

 しそうなのは自分の方か?

 

 当初は影武者みたいな活躍をと考えたりもしたが、もう周囲の者には自分より評価が高そうだし、そんな目的も風化してきた気がする。

 なんにせよ、明日は昼前に戻ってきてパーティーの組み直しかな。

 

 

 このまま下がらせるのもと思ったので、リカヴィオラにはそのまま2階で寝てもらうことにした。

 

 

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv50
魔法使いLv50/英雄Lv45/探索者Lv49/魔剣士Lv7/遊び人Lv47/魔道士Lv8/巫女Lv43
(村人5 農夫1 戦士30 剣士30 僧侶30 商人30 錬金術師29 細工師30 薬草採取士30 森林保護官48 村長1 賞金稼ぎ19 騎士7 暗殺者7 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人24 博徒36 盗賊30)

アコルト   兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv38

シャオク  ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv37

ミーラスカ  牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv35

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 探索者Lv33

セナクロワ  猫人族 ♀ 27歳 剣士Lv30



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次回は6/8更新の暫定予定です。


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