異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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194 線

 試してみたいこと。

 それはボーナスポイントで取得できる魔法、ガンマ線バーストだ。

 

 魔道士も育ってきてMPも伸びてきたので、そろそろ使えるんじゃなかろうか。

 もっと早くできたのかもしれないが、そう言ってメテオクラッシュの試用の場面でやからしたので余裕を持って対処できる時に回したかった。

 

 まずは27階層の小部屋へと移動した。

 そのまま待機部屋まで足を進めて、先客がいないことを確認して手順について確認する。

 

 

「試したいのは、新しい魔法なんだよね」

「燃えた岩が降ってくるアレと同じようなですか!?」

 

 

 食い気味に反応したのはシャオクだ。

 よほどトラウマらしいが、過去に突然不意打ちのような形で発動した自分のせいでしかない。

 

 

「うぅんと、光が一瞬出るらしい魔法かな。

 使ったら自分が光るとかなんとかで、あんまり直視しないほうがいいかも?」

「お嬢様が光る……のです、か……?」

 

 

 アコルトが混乱気味でこちらを見つめてくる。

 何を言ってるか分からないと思うが、そう書いてあったんだから自分にもそれしか知らないよ!

 派手なメテオクラッシュのエフェクトがそうであったように、味方には大きな影響ないとは思うが、戦闘中に目が眩んでは困る。

 

 一応はボスのお供にミノがいない場合のみに試すと伝えて、パーティライゼーションには強壮剤をセットして扉の奥へと進んだ。

 

 程なくして全員の入室を合図に、扉が閉まって煙が湧き出す。

 

 

ハートハーブ Lv27

ハーフハーブ Lv27

ハーフハーブ Lv27

 

 

 紛らわしい鑑定ウインドウだが、検証での邪魔者がいない最適な出現を引いたのでラッキーだ。

 

 バーンストームの連打とファイヤーストームを念じて、初撃を見舞った後に強壮剤を使用する。

 声に出して皆に確認した後、今回はちゃんと使用前にボーナスポイントを操作してガンマ線バーストを取得した。

 暴発防止に詠唱省略も外してある。

 

 スキル名を念じることで眼前に呪文が表示された。

 

 

「星の息吹を焼き尽くし、光の域に加速して、爆動、ガンマ線バースト!」

 

 

 目映い閃光が光輝───かない。

 当然、魔物たちも何か受けた様子には見えない。

 

 やっぱりまだ発動できなかったのか。

 ()が使用できたのはもっと低階層であったが、英雄の先の勇者のジョブなんかも得ていた頃だし、自分にはまだ何かが足りていないんだろうか。

 

 

「ごめん、ダメっぽい!

 通常の戦闘で行くね!」

「はい!」

 

 

 歯がゆさを覚えながらボーナスポイントを操作して詠唱省略を取得する。

 ポイント使用でのボーナス魔法取得自体はできていて、思い浮かべれば呪文も表示されるのだが、発動できるかはそれとは別問題というのはメテオクラッシュでもあったことだ。

 

 ハーブたちに通常の全体火魔法を放ちながら、原因を考える。

 

 表示された詠唱呪文には読み間違えるような難しい漢字もなかったし、やはり別条件があるんだろうな。

 MPに関しては不足しているとは考えにくいが。

 

 戦闘配置に戻ったセナクロワたちが、ハーフハーブたちに攻撃を入れる。

 クールタイムが明けるのを待って、再度ファイヤーストームとバーンストームを順に発動させた。

 

 ハーブたちが後衛にまで迫ってくることはないので、攻撃と攻撃の間は考察時間に使える。

 

 

 原作を読んで、当時知らなかったガンマ線バーストという言葉を調べたことがある。

 実際にある用語で、ガンマ線と呼ばれる電磁波が閃光のように放出される物理現象だとあった。

 

 もちろんこの世界でその現象がそのまま起こるのではなく、ゲームナイズされてその名が使われているだけのボーナス魔法のはずだ。

 メテオクラッシュだって、類する実際の単語は存在しない造語のスキル名だしな。

 

 しかし、字面として『ガンマ線バースト』と思い浮かべると、確かに詠唱呪文が浮かんだんだけどな。

 火のエフェクトに包まれているハーブたちを見据えながら、思考する。

 

 もしかして表記は『ガンマ線バースト』だが、実は発動のためのスキル名が英語読みで『ガンマ(レイ)バースト』でしたとか───。

 

 瞬間、ボスの周囲にいたハーフハーブがポンッと煙に変わった。

 そしてガクンとMPが持っていかれた感覚が残り、膝をつきそうになるが持ち堪える。

 

 

「本当に光りました……」

「ひ、姫!」

 

「主様が……光に包まれて……」

 

 

 そんな珍獣を見るような目で……ああ、だめだ、MPが。

 パーティライゼーション。

 対象を自分にした強壮剤の使用で、メンタルを持ち直す。

 

 もう数ターン分の必要手数が残っていたはずの取り巻きを一掃するとは。

 残っていたボスのハートハーブも、追加の魔法2セットほどで緑豆へと早変わりだ。

 

 戦闘を終えて、弁明する。

 

 

「うーん、ごめん。

 思ってたスキル名と違ったみたいで、別の読み方を試したら発動しちゃった」

「……仰っていたように、お嬢様から一瞬光が発されました。

 見ていられないというほどの強さではありませんでしたが、魔物には相当な威力だったようです」

 

 

 落ち着いて、ボーナス魔法のポイント割り振りを解除する。

 まさか読み方が違うとは。

 

 確かに作中でルビが振られることはなかったが、読み方の違いということもあるのか?

 そういうズレというか、あの世界と微妙に違うこの世界ならではの仕組みなのかもしれない。

 

 ひらがなとカタカナと漢字の混じっている日本語に変換されているからこその誤読という可能性もある。

 インテリジェンスカードが本人が読める言語で表示されるなどの仕様や、ブラヒム語自体の扱いも特殊だしな。

 たまたまスキル名が読めたり、呪文に使われる文字の音を知っていたことでここまでスキルが使えていたが、こんな罠みたいなことがあるのか。

 

 詠唱短縮だったらスキル名を声に出す必要もあるし、本来は呪文の詠唱があるように、()()()()()()()()というのがスキル発動のトリガーなんだろう。

 PCゲームかなにかで、所持スキルにマウスオーバーすることでヘルプがポップアップされるように詠唱呪文は見せてくれるが、発動のためには正確にスキル名を理解していないといけない、みたいな。

 その音声認識を省略しているせいで、齟齬が生まれているのか?

 

 試しに詠唱省略を外して、ガンマ線バーストを取得する。

 そして、『ガンマ()()バースト』という文字表記を思い浮かべた。

 

 …………呪文の羅列が出てこない。

 

 ならば『ガンマ()()バースト』と思い浮かべるのではどうか。

 

 

星の息吹を焼き尽くし、光の域に加速して、爆動、ガンマ線バースト

 

 

 『ガンマ線バースト』と文字列を念じたときと、同じ詠唱呪文が目の前に現れる。

 

 はー、なんだこれ。

 スキル名が『ガンマ(レイ)バースト』だから、『ガンマ線バースト』の文字列を思い浮かべるのはOK判定で呪文が表示され、キーとなる発音は『ガンマ()()バースト』なので術者がその認識なら発動可能で、『ガンマ()()バースト』では発音ミスで不発ってこと?

 ややこしすぎる。

 

 あ、でも、本来の詠唱呪文自体がそれか。

 例えばインテリジェンスカード操作だって、「滔々(とうとう)流るる(たま)の意思───」が正解で発動できるが、「(れい)の意思」と読めば発動しないだろう。

 

 霊という文字自体は見て覚えても、それが「たま」と読めて初めて詠唱が成立するのだ。

 そしてこの機会で自分は『ガンマ(レイ)バースト』という読み方を知れたので、頭でも打つか、ド忘れでもしなければ今後不発になることはないはずだ。

 

 こりゃジョブやスキルが簡単に広まらない理由(わけ)だ。

 

 レベルが見えなくて条件を把握し難い上に、新たなジョブになれたとて所持スキルも分からない。

 自分は鑑定に謎翻訳と、日本語ボーナスとでも表す謎の恩恵のお陰で読みの苦労だけで済んでいるが、現地の人々はブラヒム語の勉強を経て音を探し当てなければ、呪文の表示すらかなわない。

 詠唱が標準となり正確な発音がキーとなるため、口頭での伝授が主体となり、文献を参照するということも少ないのだろうか。

 

 

 王家とか貴族、あるいはジョブごとのギルドでそういった情報は秘匿していそうだしな。

 同じジョブに付けたとて、知っている情報の差で明らかに他者より優位に立てるのだし。

 

 運用に関する知識の周知が杜撰すぎるだろ、創造主様。

 せめて全ジョブのレベルの判定機能と、所持スキル開示くらいギルド神殿に付けてやれよ。

 まぁ、今のところは自分が優位になっている側なので、お問い合わせができてもしないが。

 

 

 

 

「───考えはおまとめになられましたか?」

「あー、うん、お待たせ」

 

 

 ドロップアイテムを受け取ったまま考え込んでいた自分を、皆待っていてくれたようだ。

 

 

「まず、新しい魔法は今後はちゃんと好きなタイミングで発動できそう。

 かなりの威力があって、多分雷属性だからどの魔物にも使えそうだけど、MPの消費が相当多いから他の魔法みたいに1戦の中で何発も撃つのはちょっと厳しいと思う。

 あと、光るってのは自分じゃわからなかったけど、どんな感じ?

 戦うのに支障はありそう?」

「私は直接お嬢様を見ておりましたが、先程申し上げた通り、直視できないほどの光量ではありませんでした」

 

「私が後方が光ったと認識して振り返った頃には、光は収まっていたのであります。

 皆殿の視線が姫に集まっておりましたので、なにやら起こったものだと」

「ボクは半身で確認できる体勢だったので、光の元がミツキ様なことは分かりました」

 

 

 正面で光を見ても戦闘には支障はなく、前線組は背面が光ったことは分かったくらいか。

 光源が自分だと分かれば、今後は戦闘に問題ないとも言っている。

 

 

「主様は、天がお導きになって降臨された……」

「ミラ、待って待って待って」

 

 

 先生、1人毛色が違う見方をしている子がいます!

 特に悪化することのもなかったので放置していた神格化が、発光したことでミーラスカの中で加速したらしい。

 

 両手を組んで祈るようなスピリチュアルなポーズはヤメテクダサイ。

 

 

「特殊なスキルをたまたま使えるだけだから!」

「様々なジョブの力を同時に駆使し、場所に縛られない移動魔法を使い、目にも止まらぬ速さで動き、エルフでありながらドワーフを力で圧倒し、燃えた岩を降らせ、光り輝いて魔物を滅する───。

 これが神の御業と言わずしてなんと表しましょうか」

 

 

 …………チ、チート機能?

 ボーナスポイントは自分のものしかいじれないし、それもキャラクター再設定があってのものだ。

 

 それ自体は神の恩恵と言っても遜色ない能力だが、別に世界を救ってくれとか使命を与えられたわけでもないしな。

 

 

「よく分からないけどそういう力が使えるから、利用できる範囲で使ってるだけだよ」

「は、はぁ……」

 

 

 これに尽きる。

 

 スキルの条件や効果や内容だけでなく、自身にもっと直結するステータスの数値すら確認できないのだ。

 機能がなんとなくゲームっぽいと解釈できるだけで、システム周りは何一つ解説もないので、分からないことだらけだ。

 

 結果だけ見れば他人になし得ない奇跡でも、変な力で変なことをやっている危なっかしい人、という考え方のほうが合っていそうだ。

 特にその被害というか、カード融合をさせられているシャオクにはそう思われても仕方ない気がするし、アコルトもやれやれと溜め息をついているに違いない。

 ミーラスカにはせめて人前では言わないようにとお願いした。

 隠さなければならない秘密ばかり増えていく。

 

 

 ……よし、ガンマ()バーストの確認はこのくらいでいいだろう。

 簡単な確認かと思ったが、意外と時間を取られてしまった。

 

 

 

 帰宅して夕食を食べながら思ったが、リカヴィオラには特に伝えなくてもいいか。

 メテオクラッシュもそうだが、そんな魔法を使わなくてはならない所に彼女を連れて行くつもりはないしな。

 一応後で他のメンバーにも確認を取るが、見せる機会もなさそうな意味不明な事象をわざわざ説明して混乱させる必要はないだろう。

 

 仮に誰かからうっかり情報が漏れて、本人が見たいというのであれば、ボーナススキルを見せること自体は構わないけどな。

 ワープに鑑定に、秘匿が必要なものの多さは今に始まったことじゃないので、時と場所を選べば確認することくらいはわけないのだ。

 

 

 

 

 自宅の方の話だと、今日はニカドー親方の訪問はなかったそうだ。

 急に頼んだ用事だし、あちらの都合もあるので、仮に明日も無理でも問題はない。

 

 それでも涼は取りたかったので、洗い物を終えた流しにアイスボールをそっと置くように放つ。

 甕から水を移して溜め、果物を冷やしてから入浴することにした。

 

 湯上がりに、すっかり冷えた桃に似た果物を食べる。

 温度が下がると甘みを強く感じるとかなんとか聞いた覚えがあるが、噛んだ際に冷たい果汁が溢れて、火照る体に気持ちのいい瑞々しさだ。

 

 氷の方はほとんど溶けてしまったので、流しの栓代わりにしていた皿を外して、水は流してしまおう。

 

 

 今後、寝苦しい夜には桶に氷を出して寝るようにしようかな。

 そう思って朝使う用の水の補充とは別に、小さな桶を用意してもらった。

 

 桶の内側に静かに着地するように、慎重に軌道を調整しないと、ウォータボールを超えるスピードでアイスボールが着弾してしまう。

 ()()魔法と、()()魔法の違いという感じだ。

 ちなみに、さっきそれで1つ桶を壊して怒られた。

 

 桶を机の上に置くだけで、僅かに冷気が流れてきて涼しい。

 1階の寝室用にも出してあげて、この日は寝ることにした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 すんなり寝付けた気がしていたが、結局起きたのは誰よりも遅い。

 主人だから当然であると言われても、皆が真面目に早起きなので申し訳なくなってくる。

 反省したところで、簡単には起きられないんだけどさ。

 

 

 朝食に、卵と酪とコボルトスクロースの卵液に浸けたパンをバターで焼いたフレンチトーストを作ってみた。

 自分はこれに飲み物だけで十分だが、皆は追加で肉と野菜を炒めて食べている。

 甘いとしょっぱいで食が進むらしい。

 

 分からなくはないけど、朝からよく入るよなぁ。

 

 今日もリカヴィオラにニカドー親方が来たときのことを頼み、自分たちは迷宮へと向かう。

 順番的にはそろそろ森林保護官がLv50になりそうなんだよな。

 

 

 

 移動してきたのは、シームの迷宮27階層だ。

 この階層でもレベルキャップはLv50より上だと分かっているので、戦闘が楽な階層で上げていきたい。

 

 基本的にはボーナス魔法は使わずに火属性で攻めるボス周回。

 何周かに1回、使うと声を掛けてからガンマレイバーストを織り交ぜての戦闘も試す。

 

 純粋に別枠の攻撃手段が増えているので、1回使えばお供については手数の大幅削減に、2回使えばボス相手にだって手数が激減する。

 使用感を見るに、ガンマレイバーストでは麻痺にさせたことは1度もなかったので、高威力と引き換えに追加効果はないと思っておいたほうがいいだろう。

 高コストのMPを持っていかれるには十分値する火力だが、連発するには補給前提となるのは難ありといったところだな。

 

 モロクタウルスが光を受けた後に顔を覆ったり背けたりする動きをしたので、敵側には一応目潰し的な要素はあるみたいだ。

 まぁ、あちらはスポーンしたてだから当然初見の視覚攻撃だからだろうけど。

 他は草とスライムだから、潰すための目がないのでダメージしか効果はなさそうである。

 

 序盤の何回かは手を止めがちだったメンバーも、光ると分かっているので対応にも慣れてきたようだ。

 これなら迷宮にいる際は、ボーナスポイントをセットしっぱなしでもいいかもしれない。

 増えたMP消費は、この階層においてになるが、ドロップ品からの生成物として万能丸や万金丹が手に入るので気にならない。

 

 魔物を倒すまでの時間が短くなるということは、戦闘回数を多くこなせるということだ。

 もちろん休憩の回数も増やすようにはしているが、討伐数は伸びた。

 使っている回復薬も増えているので、ドロップアイテムに関しては微増、という程度に収まってしまっている。

 

 

 

 午後も戦闘を続けていると、ついに森林保護官のジョブがLv50となった。

 

 

スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv51

魔法使いLv51/英雄Lv46/探索者Lv50/森林保護官Lv50/遊び人Lv49/魔道士Lv26/巫女Lv45

 

 

 戦闘時間が短くなったので、博徒の状態異常耐性ダウンを入れずに、巫女でMPを補強している形だ。

 ジョブ一覧を確認すると、…………特に新規のジョブは増えていなかった。

 

 やっぱり簡単な取得条件じゃなさそうだよなぁ。

 

 聞きに行かなきゃいけないのか、固有ジョブのギルドがあるというエルフ村に?

 選民思想とか排他主義とか、何か言われそうと分かっているところに向かうのは面倒臭い。

 

 遊び人のジョブの先も、Lv50に上げたとてすぐに取得できるような気もしないので、一旦作戦会議というか相談ってことで家に戻ろうか。

 いつものように夕食前まで戦っていると、腰を据えて話す時間はないしな。

 スピードが上がったおかげで、こなしている討伐数としては普段と同等くらいは稼げているはずだし。

 

 ジョブのことで相談があるので、今日の迷宮での狩りを中断すると告げる。

 

 

「今戻られるとニカドー様がおられるかもしれません」

「あ、そうだ、忘れてた」

 

 

 危ない危ない。

 さすがに寝室とかまでは見に来ないだろうけど、不在と伝えていたのに2階から急にゾロゾロと現れてはおかしいだろう。

 

 

 ボス部屋を出る前に外せる装備は外して、自宅裏の林へとワープゲートを繋げる。

 アコルトに先行してもらい、移動先の周囲に人の気配がないことを確認してもらってから全員でゲートを抜けた。

 家の周囲に、カモフラージュできるワープ専用の出入り口を作るのもありかもしれない。

 

 

 

 家の近くまで来ると、玄関の扉が開いているのが分かった。

 そのまま入ろうとしたところで、畑側からやってくるニカドーと鉢合わせになる。

 

 

「お、ミツキさんたちのお帰りか。

 ちょうど今見せてもらってたぜ」

「ありがとうございます!」

 

 

 どうやら階段下のスペースを家の内外から確認していたようだ。

 

 

「色々と測ってみたけどよ、やっぱり話した通り、棚のあったとこに置くのがよさそうだな」

 

 

 話し声で気づいたのか、リカヴィオラが「お帰りなさいませ」と寄ってきた。

 ニカドー親方に飲み物を淹れていたようで、すぐに自分たちの分も用意するとパタパタ戻っていく。

 

 食卓のテーブルの方へと移動すると、後ろに設置していた食器棚が移動されているのが見えた。

 

 

「悪ぃな。

 ちょっと動かさせてもらったぜ」

 

 

 2つあった棚は別面の壁際へと移動しており、テーブルと椅子も向きを変えられている。

 人間やエルフなら2人でやったとしても大変そうだが、ドワーフで作業の丁寧な親方らしく綺麗に配置し直してある。

 

 巻き尺のような道具を伸ばして、測ったその角に立って腕を広げた。

 

 

「図面にあったあの入れ(もん)の大きさがこんなもんだ。

 高さは……ここまでになるか。

 蓋を開けるとフチがこの辺だから、シャオクでも中に手を伸ばせるはずだ」

 

 

 ジェスチャーを交えつつの説明で、想像も容易い。

 さすがに、「中に落ちたものは他の者に拾ってもらってくれ」と、ミーラスカやセナクロワに向けて顎をしゃくった。

 湯船の時と同じようなものだ。

 中に入って物を取ることはできるが、空の時に片側に体重をかけたら箱自体がひっくり返ってしまう。

 

 それと氷が溶けた後の排水については、やはり階段下のスペースから外に流せるようにするらしい。

 開閉できる簡易的な扉をつけておくので、排水部分に関しては家の中からも外からも掃除やメンテナンスが出来るようにするとのことだ。

 

 肝心の箱の製作は、これから材料の発注をかけるので届き次第になる。

 それまでは家の改装箇所に1日、素材が届いてパーツに成形するのに数日、屋内に運んで組み立てるのにもう1日。

 自分たちはそれまでに帝都から金属部品を購入してくればいいとなった。

 

 料金についてはこちらは糸目をつける気はなかったので、とりあえず金貨を3枚ほど渡して材料費に充ててもらい、後日不足分や技術料を請求してもらう形でお願いする。

 大金をポンと渡されたニカドーは遠慮していたが、不足して作業が止まるより、余ったら返してくれればいいと伝えると、首を捻ってから頷いて大事そうに仕舞っていた。

 

 まぁ、しっかり完成するのならこちらはそのまま返してもらわなくてもいいんだけどな。

 特注品だし、材料自体も結構しそうだから、足もでるかもしれないし。

 

 丁重にニカドー親方を見送った後は、本来の目的だったジョブについての相談をしよう。

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv51
魔法使いLv51/英雄Lv46/探索者Lv50/森林保護官Lv50/遊び人Lv49/魔道士Lv26/巫女45
(村人5 農夫1 戦士30 剣士30 僧侶30 商人30 錬金術師29 細工師30 薬草採取士30 村長1 賞金稼ぎ19 騎士7 暗殺者7 魔剣士7 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人24 博徒38 冒険者1 盗賊30)

アコルト   兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv39

シャオク  ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv38

ミーラスカ  牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv36

リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 探索者Lv34

セナクロワ  猫人族 ♀ 27歳 剣士Lv32


---
次回は7/13更新の暫定予定です。


大変ややこしい内容となりましたが、視覚的認識と認知、そしてこの斉奏の世界での正式名称との齟齬の関係を表す上で、ガンマ線バーストはガンマレイバーストになりました。
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、というのが今回の要点です。

また、キャラクター再設定の項目上で()()()()()()()()()()()()()()『ガンマ線バースト』ですが、今後ボーナスポイント内訳等の作中表記の場面では、『ガンマレイバースト』での記載となります。

個人的にはカタカナ表記にすることで、メテオクラッシュと並べた時に、より強力なスキルとして印象が持てることと、文中に出てくる際にこちらの方が用語感よりもスキル感を強く意識付けることができると思った故の改変です。

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