夏の下月15日。
今日こそはカルメリガへ向かう予定がある。
昼食もあちらで済ませることになるだろうから、今朝のパンと食材購入は少なめでいいことは昨日のうちに伝えておいた。
早朝から移動するわけではないのでゆっくりと朝ご飯をとり、それから家事も協力して進める。
普段からシーツは取り替えているが、布団なんかのリカヴィオラ1人では難しいものを洗ったり干したりを行うのだ。
一通りするべきことを済ませた後は、カジュアルな服装へと着替える。
といっても、裏手とはいえブティックに顔を出せるくらいの格好だ。
自分の服選びはアコルトに任せているが、ナルザさんにも認められているようなので問題はないだろう。
ワープでの移動は、中継をいれつつ一旦メンバーの半分をカルメリガに送り、残りのメンバーとクラザまで飛んだ。
クラザの冒険者ギルドでアイテムの売却を済ませる。
ここしばらくのドロップ品のほか、回復薬とその素材も売却に回したので、片手に余る枚数の金貨が返ってくるのは壮観だ。
みんなには万金丹を常備薬として一本化させ、自分の普段使いには万能丸にしたので、それ以外の薬がボックスの列ごと空いてスッキリした。
その後は、自分たちもカルメリガへと移動する。
2陣に分けたのは売却場所を誤魔化すためと、リカヴィオラを含めたフルメンバーなのに冒険者がいないことを不審に思わせないためだ。
6人での移動も多くなってきたので、そろそろ工夫と必要かなと思った次第である。
遅かったくらいかもしれない。
先行組はブティックの従業員に、約束通りの差し入れ予定で相違ないかの確認もしてもらっている。
時間や店も前回の通りで、人数も数え直してきたそうだ。
冒険者ギルドで合流し、揃って指定の飲食店へと向かう。
自分たちの食事を終えた後、改めてもらってきたメモ通りに持ち帰りの注文をしているようだが、なんか数杯だけど飲み物とかも増えてないか?
酒っぽいのも混じっている気がするが、いいのかなこれ。
前回と違って今回は商品の受け取りだから、祝杯みたいなもんだろうか。
見覚えのあるブティックの裏手、つまり作業場の出入り口へとやってきた。
「あ、お待ちしてましたよ!」
そこにいたのは、何度も会ったことのある従業員の1人だ。
交代での休憩の時間も兼ねて、ここで待つ指示だったんだろう。
「差し入れありがとうございま……あれ。
そちらは香りからすると、ミードでしょうか……?」
「そうですね、買ってきましたよ」
「ま、まずいですよお酒は!
まだ仕事中ですし!」
「えっ、でも……」
メモには書かれていたと思ったが、アコルトにこっそり確認してみると、どうやら酒についてはナルザさんに口頭で言われたそうだ。
だとしても聞き間違いという可能性もあるし、裏口とはいえ店の周囲で相手のミスを指摘するのもどうかと思い、受け渡しもあるので他の従業員を呼んできてもらうことにした。
とりあえず、液体である飲み物以外の差し入れについては、以前運んだ荷受け用の木箱へと収納させてもらう。
「───ミツキ殿、今回も差し入れをいただいたのだとか」
「えっ、あっ、はい!」
出口外で待機していると、店の奥からヌッと現れたザノフに驚いた。
忘れていたがこの店のオーナーでもあるのだし、今日の来訪予定は知られているはずなのだから、居てもおかしくはない。
でも急に現れるとギョッとするからやめてくれ。
「すみません、手違いでお酒をお持ちしてしまいまして……」
「いえ、お気遣いありがとうございます。
只今ナルザに確認させておりますので」
少しして、奥に行った従業員がナルザさんを連れて戻ってきた。
「ミツキさん、ごめんなさいね~!
持ち込み厳禁のつもりが勘違いさせちゃったみたいで!」
「申し訳ありません、ナルザ様。
私が聞き違えておりました」
「いいのよ、ほら、立て替えるから!」
そう言ってナルザはアイテムボックス操作の呪文を唱え、銀貨を数枚取り出してアコルトへと押し付けた。
そういえば防具商人のジョブだったな、この人。
ザノフが特に言及しないということは、ナルザさんのポケットマネーなんだろう。
「ミツキさんに今日渡す分の作業は終えてるし、他の差し入れは頂くとして……。
兄さん、お酒は……そうね、宿の子たちにでもあげちゃっていいわ!
この時間なら昼あがりの子もギリギリ居るでしょ?」
「……確かに、こちらで消費する者が居ないとなれば、それが無難ですか」
確かに宿の従業員なら、時間帯別で勤める人もいるか。
すぐに頭が回るのは、兄妹似た者同士に思える。
「店長さんが許可してくれるなら、私たちでありがた~くいただきますけど?」
「……はぁ。
ミツキ殿、騒がしくて申し訳ありませんな。
ご贔屓にしてくださり、ありがとうございます」
大きく溜息を吐いてザノフがこちらに振り返る。
「いえ、いつも良い品を仕上げていただいて感謝しています。
確認不足でご迷惑をおかけしてすみません」
「いやいや、店の者へのお気遣いに感謝するのはこちらの方です。
カルム、それにフェルス様にも宜しくお伝えください」
「はい、必ず」
では、とザノフが礼をして足早に出ていった。
鞄持ちのような従者が、受け取った酒類を抱えてついていく。
相変わらず忙しそうだ。
それでも色々と事情は伝わっているはずだろうから、顔を見せにきたんだろうな。
「───行ったわね?」
不意なナルザの問いかけに、少し間を置いて「店を離れられました」と通路の向こうから声が上がる。
近くの従業員を見ると、何かに気づいた様子で道具を片付け始めた。
「鍵は!」
「……かけました!」
「よしっ、じゃあ料理を運びましょ!
…………ごめんねぇ、ミツキさんもアコルトちゃんたちも!」
おい、なんだなんだ?
ナルザさんがアコルトの手を取って、すまなそうに声を掛けている。
どうやら、
従業員含め、アコルト以外には内緒にして皆を巻き込んだので、誰もが自分たちの間違いだと思ったわけだ。
ザノフもまさかそこまでするとは思ってなかったんだろう。
「仕事中のお酒がダメなのはホントだし、宿の子たちにも差し入れができたからいいじゃない?
もう昼の交代で帰っちゃう頃だから、兄さんは急がなきゃだけどね~!」
普段の客前ならまだしも、色々と手の内を見せている身内に近い判定なのか、ザノフが自分たちの前でも衣装の出来を批評してくるだろうとみて早々に追い払ったらしい。
スケジュールとか色んなことで厳しくしてるから、自業自得だとナルザさんは笑っているが、バレたら知らんぞ……。
未来の兄妹喧嘩はさておいてだ。
セナクロワのドレスは用意してあるということなので、そちらの試着をさせてもらう。
着付けにはアコルトとリカヴィオラがついて、ナルザさんたちはその間に食事だ。
暫く待つと、長身に紺色のシックなドレスを纏ったセナクロワが現れた。
いつもは簡単なショートポニーにまとめているが、今日は髪をおろしてふんわりとアレンジされているので、上品なモデルような装いだ。
本人も姿見を前に困惑気味である。
褒めてやると照れた様子だが、喋るとあります口調のヘンテコ女騎士なんだよな。
そこがギャップでかわいくもあるんだが。
食事を終えた従業員たちに代わる代わる確認されながらも、真剣にポイントを学んでいる様子からも真面目さが窺える。
リカヴィオラは改めて手入れの方法を教わっているようだ。
「あと、これもよね!」
ナルザさんが小箱から取り出したのは、ガゴレ工房に依頼したブローチだ。
皆と同じ、中央に青い宝石の付いた花型のモチーフが、小型のメダル風のブローチに収まっており、そこに小さなリボンが付いている。
リボンは紫に白のラインが少しばかり入っているが、あくまで勲章
万が一本物のように見えて相手に失礼のないようにと、ガゴレが苦心してくれたんだろう。
それでおいて単体で見れば勲章っぽさはあるので、これならセナクロワも気に入ってくれそうだ。
ようやく解放されたらしいセナクロワに近づき、お願いして少しだけ屈んでもらう。
「もうちょっと下ですね」
「曲がってるわよ!」
などと周囲からご指導を受けながら、やっとのことで左胸にブローチをつけることができた。
「どうかな?」
胸元を見下ろし、鏡でも映りを確認したセナクロワが大きく頷く。
自分の正面にサッと移動して静かに片膝をついた。
一度胸に手を当て、ブローチに触れた後、こちらへと片手を差し出した。
「ミツキ様」
作業部屋が少しだけ静まる。
「お手を、お借りしてもよろしいでありますか」
彼女の目は真剣だ。
ちょっと気圧されてしまったが、その意図を汲んでこちらも少し微笑み、その手に右手を重ねた。
「改めて、お誓いするのであります」
セナクロワが自分の手を優しく包む。
「私はこれからも、貴方様の騎士であります。
何があっても、貴方様のお傍で、剣となり盾となり、その身をお守りするのであります」
真っ直ぐな眼差しは揺るがない。
気恥ずかしくなったが、応えてあげるのが主人だろう。
「セナクロワ、その忠誠を受け入れます。
改めてよろしくね」
セナクロワが一礼して、静かに手を離す。
周りから小さく拍手が起こると、すぐに大きくなって作業部屋に響き渡った。
アコルトは鼻と口を両手で覆ってまじまじと見ているし、リカヴィオラなんてキャーキャー言っている。
シャオクとミーラスカは、「おーっ」となんだか感心しているようだ。
「えー、いいわね!
流行っているのかしら、そういうの?
でもちょっと危ないわねぇ」
「いや、そんなことは……、ってかセナ、横っ、脚っ!」
「……なんでありますか?」
その場で見ようとしてもよく分からなかったのか、セナクロワが横にある姿見へと視線を移す。
ところで、脚の長い彼女の身につけるドレスには、動きやすいように大きくスリットが入っている。
とはいえ簡単には素肌が見えないように布を重ねてあるのだが、ドレスで片膝立ちになるなんて想定されていない。
つまりは腰の下からラインが丸見えである。
「───ッ!」
彼女の青い髪と対象的に、顔が真っ赤に染まる。
よかった、着替えをするから男性の作業員がここにいなくて。
セナクロワが着替え直して落ち着くまでに少しかかった。
***
「セナちゃんの衣装は大丈夫そうね。
ブローチのリボンもよさそうでしょ?」
凛々しかった女騎士は思春期みたいな反応をしたせいで、もはやちゃん付けにされてしまった。
「あとは……ミツキさんのドレスだけど、こっちに用意したからとりあえず着てみてくれるかしら?」
「わかりました」
手伝ってもらって身につけてみると、前回の試着より細々とした装飾やらが増えている。
それなりの場に出ても失礼にならない程度のものから、領主の娘の友人として他領との交流会に出るためのドレスになったのだ。
よくわからないデザインが追加されていても仕方あるまい。
増えた分の費用はシームラウ家持ちだしな。
最終調整はまだだと聞いても、十分に豪華な衣装なのは自分にも分かった。
……というかフェルスお姉様は、これと似たようなものを着て料理を食べ漁るつもりなのか?
たいした度胸というかなんというか……食い意地?
いや、不敬か。
まぁ仕草が綺麗だし、問題ないのだろう。
そう思うことにするしかない。
「うん、あとは当日までの手直しで問題なさそうね!
どうなることかと思ったけど、もともとミツキさんのドレスを進めておいてよかったわ~!」
ただでさえ激務なのに、失敗できない交流会に着ていく服作りを短期間で、なんて無理だろう。
侍女服を仕立て直すとかいう話もあったみたいだが、それだって簡単な作業じゃないはずだし。
運搬やらなんやらはシームラウ家の方が担当してくれるらしいので、気にしなくてよいそうだ。
それにしてもフィールドウォークが便利過ぎるよな。
MPという実質的な距離制限はあるが、出入りの場所と重量さえ整えれば、どこにでも瞬時に移動できるというのは、現代の利便性を軽く超えている。
だからこそ数秒前まで作業、なんて現代以上にブラックな労働が待っているのかもしれないが、気にしたら負けか。
ついでということで、ブティックの方でも安めの衣服……この店の中で安めというだけで、普段自分たちが買いに行くところよりは値が張るのだが、服を1着ずつ購入することにした。
これまでのお礼ということもあるし、カルメリガにまでくるような用事はしばらくなさそうだからだ。
もしかしたら、冬物あたりの買い出しまで来なさそうだしな。
デザインも肌触りも、価格に見合って質がいい。
下着も買っちゃおうかなぁ。
度々ブローチを見つめてニヤけているセナクロワを引っ張って、アコルトを中心にして服を物色した。
その後は、ガゴレ工房へと寄る。
こちらもしばらく訪れることはないだろうから、装飾品のお礼も兼ねて挨拶だな。
工房に顔を出してみれば、自分たちの担当にされているらしいタルデクくんが呼び出された。
戦々恐々とした様子の彼に、今回は依頼はなく挨拶だけだと告げ、セナクロワのブローチの礼をする。
その言葉に安堵したのか、そのまま親方の部屋まで案内してくれた。
「───いいじゃろ、それ!」
セナクロワの胸元の装飾品を指して、ガゴレが自信たっぷりに言う。
彼女につけてあげる際にもよく見たが、勲章風ブローチはまるでもともとそういう形状だったかのように、花弁のモチーフが馴染んでいてクオリティが高かった。
ミニチュアとか小物にはなんか惹かれるんだよな。
作り込まれたガチャガチャの景品みたいな、コレクション欲を刺激するような何かがそこにある。
こっちは出来に見合ったお値段なんだけども。
セナクロワも何度も礼をしているので、大満足な出来だったようだな。
MP消費でもしたかのような様子だったタルデクくんも、自身が携わった作品を褒められたことで誇らしげだ。
ナルザさんも称賛していたことを伝えると、ガゴレ親方も酒瓶取り出して大きく笑った。
こっちは仕事中に飲んでいいんだよな、さすがドワーフ。
よほど作り甲斐があったのか、全員分作らないかなどとガゴレが提案してきたが、紛失や破損したらお願いすることはあっても、メンバー固有の一点物だからこその装飾品だからと断った。
白目をむきかけたタルデクくんも、これで一安心だろう。
一先ずこれで、うちの子たちは皆スズシロの花のモチーフの装飾品が揃えられたことになる。
連帯感もこれまで以上に高まることだろう。
また依頼ができたら訪ねる旨を伝え、工房を後にした。
冒険者ギルドまで戻ってきたが、このままシームに帰るにしても微妙な時間だ。
かといって休日にしたのだし、迷宮に向かう気にはならない。
どうたもんかと思ったところで、帝都に行くのはどうかという話になった。
時間を潰せるところはいくらでもあるし、例の金属板の買い付けもある。
一時帰宅して荷物を置いた後、夕方まで帝都で過ごして、食事を済ませてからシームへ戻ることにしよう。
自宅内にワープしてドレスや購入した衣類を整理して、すぐに帝都へと移動する。
同じパーティーになっているのでメンバーの縁取りもあるし、各々自由行動で夕方の鐘を目安に集合ということに決めた。
自分は氷冷箱の店で、作製に関することなどの話を聞きに行こうと思ったが、シャオクがお供したいと申し出た。
前回は鍛冶師ギルドに行っていて同行しなかったので、本物を見てみたいそうだ。
2人だけでは低身長組ということで、ミーラスカにも来てもらう。
先日ルテドーナの教会に皆を連れていったことが、彼女的には趣味に付き合ってもらった感覚らしく、今日は特に希望先もないのでこちらに合わせたいとのことだ。
自分のジョブ検証に付き合わせたのはこっちなんだけどな。
まぁ夕食の方で彼女の好みに合わせてもいいか。
そしてセナクロワは、ブティックのことも含めて、夕方まで着せ替え人形になるだろう。
自分のお付きを離れた一番奴隷様と、なぜかメイド仕事にご執心の亡命お姫様を
ドレスやブローチの手数料だと思って、甘んじて受け入れてもらう他ない。
例の窓口となっている商会へと足を運ぶ。
受付の商人は同じで、設計図面はニカドーに預けてあるので手元にないが、流石に数日前に購入した者は覚えていた。
「知り合いの大工さんに図面に見せたところ、材料が揃えば作れそうとのことでした」
「ええ、ええ。
そのために寸法の他に、各地で利用されている代替の建材なんかも記載されいますからね。
余程の僻地でなければ素材の都合に困ることはないようにしております」
だから住まいの地名まで聞かれたのか。
「まだ素材の発注段階とのことですし、お客様も帝都によく来られるということでしたら、1枚だけでも先に買われておけば、職人も氷冷箱の作製をしやすいことでしょう。
アイテムボックスをお持ちでしたら、必要分全てを購入されても問題ありませんが」
「え、アイテムなんですか、あの板」
「ええ、ええ。
素材自体はソウショウテツと言いまして、特殊な方法で作成されております。
さらにそれに特殊な加工を施しまして、あの1枚1枚のはめ込める形状でもアイテムボックスに収納可能となっているのです。
さすがに水切り用の金網の方は、アイテムの範疇から外れてしまっておりますので、直接運ばれるしかありませんが……」
以前に説明されている時は、物珍しさで鑑定をしていなかったな。
あの冷気を保持する性質はそのままに、加工された形状でアイテムボックスに収まるからこそ、本物であるという何よりの証明になるのか。
金網状にまで加工をすると、アイテムとしては破損扱いでボックス収納対象外となるが、本物を売っている場所でわざわざそれだけ偽物を掴ませるようなことは、商売としてしないだろう。
せっかくの信用や独自の優位性をはした金で捨てることになるしな。
改めて氷冷箱の見本を見せてもらっている間に、とりあえず金板を1枚と金網を1つだけ用意してもらう。
受付のジョブが普通の商人でボックス持ちでないのも、渉外担当と在庫管理とを切り分けるようにしているからだろうか。
案内の後、少しすると裏に引っ込んでいた商人が金網を抱えて戻ってくる。
隣には武器商人の男性を連れてだ。
アイテムボックス操作の呪文が唱えられ、男が取り出した金属板がテーブルの上に置かれた。
霜晶鉄
ソウショウテツ。
すごい、ゲームのアイテム名っぽい。
保温できるような箱にこれを格納し、氷を長持ちさせることで氷冷箱が完成する。
商人は、この
つまりこれはドロップアイテムではない。
となると、
名前に鉄とついているのだから、鉄となにかを混ぜて作るとか。
武器も防具も薬もスキルで生成できる世界なのだから、アイテム合成なんてのもあってもおかしくはなさそうだ。
合成師みたいなジョブも、な。
ジョブツリーがあるとしたら、錬金術師とかそっち方面かもしれないな。
原作では見られなかった要素だが、世界観的には大いにあり得るラインだろう。
「ええ、ええ。
こちらの2点でお間違いなく…………、いかがされましたか?」
おっと、また思考が逸れていた。
誤魔化しつつ、総額も確認しておくかな。
「ええっと、すみません。
完成品にはあと何枚ずつ必要なんでしたっけ?」
「そうですね、お譲りした図面では……」
「中型ならこれらに加えて板が8枚、網が2つです」
「……だそうです」
武器商人のほうが淡々と教えてくれる。
出荷状況を管理してると思うので、詳しいのも当然か。
まだニカドー親方のところには材料も届いていないのだし、確認用だけあれば十分だろう。
再度買いにくるのも手間じゃないしな。
腕は信用しているし、問題なく製作できそうだったが、万が一もあるし出費は抑えるに越したことはない。
「では、それぞれ1つずつで合計3800ナールのところ、これからもご贔屓にして頂けることに期待いたしまして、特別に2660ナールとさせて頂きましょう!」
「ありがとうございます」
咄嗟につけておいたボーナスポイントのおかげで、3割引きの計算が入った。
さも当然のサービスのように、2人の店員に顔色の変化はない。
無意識にカルクに割り込む値引きのシステム、怖いな。
元の値段だとしても、アイテムとしての鉄の買値の数倍程度なので、そこまで希少な素材でもないのかもしれない。
シャオクのアイテムボックスに霜晶鉄の板を収納してもらい、金網の方はミーラスカの荷物に入れさせてもらっている。
一時帰宅の際に、金板をそのまま持って帰るのは大変だと、大きめの革袋を用意していて正解だった。
これなら指を切ったりもしないだろう。
商会を出ようとしたところで夕方の鐘が鳴ったので、約束の集合場所へと急ぐことにした。
スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv51
魔法使いLv51/英雄Lv47/探索者Lv51/樹祭司Lv10/遊び人Lv49/魔道士Lv28/巫女Lv45
(村人5 農夫1 戦士30 剣士30 僧侶30 商人30 錬金術師29 細工師30 薬草採取士30 森林保護官50 村長1 賞金稼ぎ19 騎士7 暗殺者7 魔剣士7 武器商人1 防具商人1 奴隷商人1 料理人24 博徒38 冒険者1 盗賊30)
アコルト 兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv39
シャオク ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv39
ミーラスカ 牛人族 ♀ 24歳 巫女Lv36
リカヴィオラ エルフ ♀ 15歳 探索者Lv35
セナクロワ 猫人族 ♀ 27歳 剣士Lv32
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次回は8/3更新の暫定予定です。