異世界迷宮と斉奏を   作:或香

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092 初湯

 最低限の味付けで切って炒めただけの料理だが、迷宮産の食材はそれ自体が地上のものより美味しい気がする。

 イメージとは違って、ヤギの肉もそこまで固くはならないらしい。

 

 もちろん食材に合った調理法はあるのだろうが、適当に調理してもそれなりに食べられるものができるのだとシャオクが言っていた。

 その上未加工ならアイテムボックスに保存できる。

 だからこそただの肉の塊が60ナールとか70ナールで買い取られ、その何倍もの値段で売られるのだろう。

 

 そのため普通のパーティーが自分たちで食用に消費することはなく、売却するのが常になるのだが。 

 

 そもそも自分が一般市民よりグレードの良い食事ばかりしているのだと思う。

 高級宿や先日の食事会の料理は別格としても、食事重視の宿や食べ歩きについても、こんなに使って大丈夫なのかと心配されていた。

 今ではこれが日常だと受け入れて2人ともしっかり食べてくれている。

 

 

「簡単な炒め物だったけどどうかな?」

 

 

 言ってからちょっと意地悪な質問になってしまったなと後悔する。

 

 

「とても美味しく頂いております、お嬢様」

「ラピッドラビットの肉もおいしかったですが、こっちもいいですね!」

 

 

 言わせてしまったみたいだが、2人の表情を見るに大丈夫そうだな。

 食材だけで味にブーストがかかるのはありがたい。

 

 とすると、迷宮食材でないテオドナフの干物やミトラグの宿の料理は洗練されていたのかもしれない。

 食事目当てで泊まりに来る者がいるくらいだしな……。

 

 そこからは食べながらの雑談になる。

 

 

「今日は炒めるだけだったけど、迷宮から帰ってきた後に火を起こして料理して……っていうのは大変だよね」

「そんなことはありませんが……」

 

 

 アコルトの返答に合わせて、口に食べ物が入ったままのシャオクがうんうんと頷く。

 

 

「どの道、自分たちが迷宮に行っている間に留守番をしてくれる人もいてほしいんだよね。

 戦闘はできなくてもいいから、食事と洗濯だけお願いして日中は自由にしてもらう、みたいな感じでさ。

 結局スキルを見られることになるから奴隷として迎えることになっちゃうんだけど」

「確かに、お嬢様のご負担が軽くなるのはいいことですね」

 

「ミツキ様といると忘れちゃいそうですが、奴隷の仕事としては相当少ない方ですし、迷宮にしても家事にしても主人が率先して作業をするというのは……」

 

 

 ……普通ではない、との言葉は呑み込んだようだ。

 

 ハウスキーパー枠、そこに鍛冶師の者を置くのでもよかったんだよな。

 本人が迷宮に出ずともパーティーに入ってさえいればジョブ効果で皆の腕力を強化でき、10個✕10列だが管理用のアイテムボックスもあって、素材さえ揃えれば家に残ってスキルで修練も積める。

 鍛冶師の前提だった探索者をLv10からLv30まで伸ばせば、料理人にだってなることもできる。

 

 だが、シャオクが優秀すぎた。

 迷宮での判断力に、一通りどの武器でも扱える適応力、大盾での戦闘経験もある。

 それを非戦闘員にするほど戦力には余裕がない。

 

 ならば迷宮攻略とは別の、家の留守を預かってもらう人員がほしい。

 フルメンバーになる頃までの間パーティーに追加しておくだけで、ジョブレベルだけは十分な成長が見込まれるはずだ。

 

 ルテドーナの奴隷商館の紹介状もまだ仕舞ったままだし、機会を見て行ってこよう。

 

 それまでは、3人でやっていくか。

 普通じゃないと思われようがいいさ、食事も寝床も風呂も、自分が一番楽しみなんだから。

 

 そうだ、お風呂だ。

 

 

「食べ終わったら洗い物をお願いしていいかな?

 自分はお風呂のお湯を貯めてくるよ」

「かしこまりました。

 おわりましたらお着替えを持って参ります」

 

 

 ヤギ肉は1つの塊に追加でもう少し使ったので、3人ともお腹いっぱいになったはずだ。

 はずだよな……?

 

 残りは明日の朝、パンと他に使えそうなものを買いに行って使い切ってしまおうか。

 果物でもあればよさそうかな。

 足りなければまた買い食いしてもらうしかない。

 

 

 

 2人に食器を託して、自分は浴室へとやってくる。

 扉を開けてすぐの衝立に仕切られた場所にはすのこを敷いて、脇には脱いだ衣類用の籠も置いてある。

 

 靴を置くスペースがあったほうがいいかな。

 それなら室内用のスリッパでも欲しくなる。

 コンクリートの床ではすぐに傷みそうだから、装備品のサンダルか?

 

 うーん、実際に利用するとなると必要そうなものが次から次に思いつく。

 寝室くらいはカーペット……絨毯を敷いて、裸足で過ごしたくもある。

 

 いかんいかん、まずは作業だ。

 

 竜革のブーツを脱いで、湯船まで続くすのこで作った道筋を歩く。

 水受けに濯いだ残りの水が入ったままなのを思い出した。

 湯船の中のホコリ落としも兼ねて、流してしまおう。

 

 溝にセットされた板を引き抜く。

 中に入っていた水が注ぎ口を流れ、木製の大桶を湿らせてゆく。

 

 試しに、流れている最中に板を差し込んでみると、自分の力でもはめ込むことができたので水流が止まる。

 英雄が1stジョブになっていることを思い出して、念の為魔法使いに替えてみてもなんとか抜き差しには支障はないことも確認できた。

 

 やはり職人として、人の力でも管理できるようにサイズやらの調整をしてくれていたのだろう。

 ニカドーの心遣いに感謝しつつ、今度は湯船の中に足を踏み入れて栓を抜いた。

 

 底に開けられた穴から、中の水が排出されていく。

 流れ出た水は傾斜によって一方向へと進み、角の排水口へと集まっているようだ。

 

 踏み台に足をかけてみる。

 水の中でも浮くことなくしっかりと沈み、安定感があるのでこちらも問題なさそうだ。

 

 床はまだ濡れているが排水はだいたい完了したのを確認したので、湯船の栓を戻して水受けへと戻る。

 せき止めの板を挟み込み、今からは給湯作業だ。

 

 火力はいらないのでジョブ効果にMP補正のある英雄に魔法使い、僧侶に巫女をセットし、MP回復速度上昇を20倍に設定した。

 以前に確認したときにも魔法発動回数に貢献できそうなボーナス装備は見当たらなかったので、現時点でこれ以上の条件は無理だろう。

 

 あったらそもそも作中の彼が有効に活用しているはずだ。

 目の前にある大桶のよりもさらに大きかったはずの水量を毎回貯め、1回の戦闘でも2桁回数の魔法を発動している場面もあった。

 状態異常で早々に無力化していることが多いとはいえ、相当な激戦に思える。

 

 知力2倍のついた心力の指輪はあるものの、ほぼ物理戦闘職向けともいえるこのボーナス装備のラインナップはどうにかならないのか。

 いや、もし違っていたら盗賊相手に魔法未取得のまま魔法使い用装備で挑む羽目になっていたから、これはこれでなければならなかった。

 

 ゲームの特典なんてそんなものか。

 序盤を優位に進めるか、後半の一部で有用であるか。

 最初から最後まで使えるアイテムなんて特典にしたら、あるのが当然と言われて炎上しそうだ。

 まあ割引やら経験値関係はずっと使わせてもらうんですけど。

 

 

 そんなことをもやもやと考えつつ、ひたすらに魔法を念じていく。

 ウォーターウォール、ファイヤーウォール、ウォーターウォール。

 水量が増えてきたところで今度は板を外して、お湯が桶に注がれていく中で水魔法、火魔法……。

 

 何回か使って気分が悪くなってきたら強壮丸を飲み込んで、また順番に発動していく。

 ほぼ10秒毎に次の魔法に切り替える。

 そのうち飲み込むのも面倒になって、手にのせた丸薬をパーティライゼーションで自分に使用し始めた。

 

 絶え間なく湯船に湯が注がれつづけているが、まだ目標量の半分にも届かないといったところか。

 迷宮に出向いて敵を倒してという別作業をしない分、強壮丸が減り続けている。

 

 

 ちょっと休憩しよう。

 湯を貯め続けるのもいいが、休んでいる間にだって速度上昇させたMPは回復してくれるはずだ。

 

 隅に置かれた風呂場用の椅子に腰掛け、薬草採取士をセットして遠志を薬に変える。

 アイテムボックスに補充しつつ、数粒の内の一つを指定してパーティライゼーションを使用する。

 

 その際に思った。

 対象者に目視で使用することができる、というのはもちろん直接飲ませることができない場合にも有用だが、ボーナススキルになるほどの内容か?

 結局パーティーに入っていなければ不可能なんだし、パーティーが解除された状態で身内の意識がない時などには無力だ。

 近づいて薬を飲ませる、という動作が目視で指定するに変わっただけに過ぎない。

 

 パーティーを組むことでパーティー項目解放にボーナスポイントが振れるようになり、さらにポイントを振って取得するのだから、ワープ程とはいわずとももうちょっと利便性があってもいいだろう。

 

 そういえば、と表示されているパーティーメンバーのリストに目がいった。

 普段は目の前に本人たちがいるし、HPゲージでも表示されてるわけでもないのでわざわざ見ることはないが、その場にいなくとも加入済みのメンバーの名前が表示されている一覧だ。

 

 もしかして考えて、手元の強壮丸を指定した後リストを見つめるとリストの名前を選択できることに気づく。

 ()()()()()()()()()()()()()()、だ。

 

 試しにアコルトの名で確定するように念じると、手の中の強壮丸が1つ姿を消した。

 使えたということだろうか。

 だとすると、同じパーティーであれば別行動をしていても、HPやMPの回復だけは一方的に送ることができるということかな?

 あとは毒消し丸とかの状態異常回復もいけそうか。

 

 ……それでも受け取る本人の状況がわからないんじゃさほど意味はないか。

 パーティーチャットとかボイスチャット機能でもあったらぜんぜん違うんだがな。

 

 うーん、自分に使うにしてもリストの自分の名前を選択するのも、腕辺りを見つめて選択するのもほとんど変わらない。

 毎回1個1個使うアイテムを選択するということ自体が……。

 

 考察しつつもお湯づくりを再開し、クールタイムを利用してさらにパーティライゼーションの検証を続けることにした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……ごめんね、だいぶ待たせて」

「いえ、私達は見ていただけですので」

 

 

 給湯だけならもう少し早めに終えられたものの、検証のほうが長引いてしまった。

 すでに食器洗いの終わったアコルトたちが着替えやタオルを持ってきて、待っていてくれている。

 

 最後にファイヤーウォールの回数を増やして熱めの湯を貯めておいたので、入る際にはこれで調整しよう。

 

 

 パーティライゼーションについてだが、アイテム1つずつの指定だけでなくアイテムボックスの列単位での指定ができることが分かった。

 アイテムボックスを開いた状態で強壮丸の入ったボックスを指定すると、アイテムボックス操作を終了して箱を閉じた状態でも、パーティライゼーションの対象者を選択するだけで連続して使用することができた。

 

 HP回復には僧侶の手当があるので、戦闘中のアイテムは基本的に強壮丸しか使わない。

 なんだかグリッチ染みた手法だが、前述の設定をしておけばアイテムは選択済みとなって、パーティライゼーションを念じてから対象者を選ぶだけでMPの回復ができるというわけだ。

 

 指定したボックスが空になればもちろん選択し直しからではあるし、複数列に強壮丸を入れていても自動で次の列に切り替わることはない。

 また、アイテムを使用して指定ボックス内の強壮丸が0個になった時点で、再使用前に同じボックスに同じアイテムを補充しても選択し直しになった。

 途切れさせてはダメらしい。

 

 代わりに、指定したボックスにアイテムが残っている状態で補充をすれば、最初の指定時に入っていた個数分だけでなく、追加したアイテムも連続して利用できることが分かった。

 1列分のアイテムボックスを1アイテムと判断し、スキルの終了時に同じボックスにまだ次の分のアイテムがあるかの判定が入るのだろうか。

 

 

 アイテムを消費しているので根本的なMP補給手段の解決にはなっていないものの、この仕様が判明したことによって戦闘中の安全性と効率はぐっと高まった。

 現時点で言えば、探索者Lv29なので28回までは連続で使用でき、最後の1つがなくなる前に補充すればいい。

 魔物に囲まれたとしても、いちいちアイテムボックスから取り出して目視で指定してなんてことをせずに、巫女の全体手当てとパーティライゼーションで自分を指定するだけで戦線は保たせられるかもしれない。

 迷宮探索中は、時折指定ボックス内の個数を確認してやればいいだろう。

 

 

 まあ給湯とこの検証で、強壮丸を30個近くは使ってしまったのだが。

 それでもメンタル瀕死になって迷宮で魔物を斬っては戻って魔法を使うよりは安全だったろう。

 

 検証を抜きにしても20個弱は使っているわけで、レベルが上がってMPの補正も上がっていくことに期待かな。

 遊び人のジョブを取得できれば、英雄のMP中上昇も、魔法使いのウォーターウォールも増やせるので楽になるはずだ。

 

 

 

 何はともあれ、今からはお風呂だ。

 石鹸がまだないのが悔やまれるが、しょうがない。

 

 バラしたドライポプリの残りを散らして入浴剤代わりにしてみる。

 水量に比べてあまりに少量すぎるので、気持ち程度の香り付けにしかなっていないが。

 

 湯船になみなみと入っているお湯を興味深そうに見つめる2人に、着替えの場所や、すのこの上を移動すること、先に体を洗うことを説明する。

 作法というほどのものでもない。

 これまでやっていた体拭きを湯船の外でして、それが終わったら湯に浸かるだけだ。

 

 一応、ということで閂をかけて扉を封じる。

 脱いだ靴をすのこの前に揃えさせ、服を脱いで洗濯用とした脇の籠にまとめさせる。

 

 これまでも宿の部屋の中で体拭きの際には、3人とも一糸纏わぬ姿にはなってきた。

 しかしあれは各々湯が冷めるまでの短時間で熟さねばならない作業であり、自分が遅れたり疎かにしているとアコルトの介助の手が飛んでくるリアルタイムアタックだったので、他を気にしている余裕などないものだった。

 

 今はどうだ。

 湯の温度は調整できるし、宿の従業員や他の客がくるわけでもない。

 

 広すぎる開放感を和らげるために衝立を用意したことで、逆にそれが禁制の場所に足を踏み入れた感を掻き立てる。

 当然2人は今までのように気にすることもなく服を脱いで、次の指示を待つべくこちらへと向き直る。

 

 

 ────。

 

 改めて見てもアコルトは美人だな。

 いつもの澄まし顔が、今は不安からか下がり眉になっているのも新鮮でいい。

 

 シャオクは可愛らしい顔立ちに見合った体型だが、これで年齢相応だというのは種族差を思い知らされる。

 

 

 うん、色んなところをまじまじと見るのはよくない。

 慎むべきは己の頭だ。

 

 両手で自分の頬を叩き、くるっと背を向けて真顔ですのこの道を進んだ。

 

 

「お嬢様……何をされて……?」

「う、うん。

 気にしないで……」

 

 

 シャオクが真似をしたのか後ろからペチンと音がしたので、それはしなくていいと付け足した。

 

 

 湯船に溜まった湯は、40度前後だろうか。

 ちょうどいい感じに下がってきたらしい。

 

 まずは掛け湯、ということで手桶サイズの小さいものをそれぞれ持って、掬った湯を頭からかける。

 水浴びくらいはするだろうし動作自体に問題はないが、お湯を贅沢に使えるのはすごいらしい。

 

 銀の髪が体に張り付く。

 こればかりは鬱陶しいが、アコルトが毎日甲斐甲斐しくセットしてくれるので、だんだん好きになってきているロングヘアだ。

 今なら長髪の男性の気分も分かる気もする。

 

 かき上げて髪を背中側に持っていき、目の細かい手拭いで体を拭いていく。

 湯桶の時と違ってじゃぶじゃぶ使っているのを見せて、2人にも遠慮はいらないと伝えた。

 どうせすぐ補充できるのだ。

 こうしている間にも20倍の速度でMPは回復しているのだし。

 

 一通り体を拭き終わり、体を流したらついにその時だ。

 少し湯は減ったが、3人とも入れば水位は問題ないだろう。

 ここまできて1人ずつ入るというのもおかしいし。

 

 軽減された段差のお陰で、なんなく湯船の縁を乗り越えてお湯に入る。

 そのまま腰を下ろして底板に座ろう。

 

 

「あ゛あ゛ぁ~……」

 

 

 これだよこれ。

 うめき声にも似た音を出してしまったがしょうがない。

 お湯で体を拭けたとはいえ、3週間以上もシャワーすらない生活だったんだぞ。

 

 しっかり座りきると、水面は顎の高さまできていた。

 水受けから足した水量が多すぎたか。

 

 

「ん……ぁあ……」

 

 

 ちゃぷん、と水音がした後に蕩けるような声が聞こえたので横に目をやると、自分でも驚いたように口元を押さえたアコルトがそっぽを向いた。

 頭上の耳がプルプルしているので隠せていないぞ。

 

 アコルトは肩のあたりまで浸かっており、シャオクはと……お、同じく肩くらいまでということは踏み台を使ってくれているようだな。

 というか使わないと目の辺りまで沈む羽目になりそうだ。

 

 作っておいて正解だった。

 いや、お湯の量を調整すればよかったんだけど。

 

 

「シャオはどう?

 ちょっとお湯の量が多すぎたかもだけど」

「気持ちいいですね!

 この台があるので、高さも問題なさそうです!」

 

「夏場は川の水を浴びることもできましたが、お嬢様のお風呂があれば冬場でも指先まで暖まることができそうですね」

「夏でもお風呂のほうが汗も流せるし、体が冷えすぎないからいいよ。

 それに───」

 

 

 湯船の内壁に背をあずけて、ボーっとするのが一番気持ちいい。

 そう伝えると、2人ともそばに寄ってきて自分と同じように脱力した。

 

 湯の中の栓を弄りつつ水位を調整し、顎まであった湯を肩が出るくらいまで下げてみる。

 これなら楽な姿勢でも顔が水没することはない。

 

 じんわりとお湯と一体化するような感覚で、疲れが取れていくような気がしてくる。

 蒸し上げる中でメンタルの疲弊する長時間の給湯作業も、これが待っているなら全然厭わない。

 

 迷宮を早めに切り上げるようにして毎日入ろうかなぁ。

 やっぱり食事を用意してくれる人員がいれば、その分の時間でお湯を貯められるよなぁ……。

 

 そんなことをぼんやり思いつつしばらく温まっていると、アコルトがコテンっと自分の肩に頭を乗せてきた。

 柔らかい頬の感触となんだかいい匂いがする気がしてドキドキする。

 

 密着したアコルトの白い二の腕と自分の肌とのコントラストが、触れている意識を強くする。

 

 顔は赤く上気して、なんだか唇も艷やかに見えて目が奪われそうになる。

 頭が近いからか息遣いも大きく聞こえるような気がして、鼓動が早まっていくように思えた。

 

 なんともいえない状態で平静を装いながら、湯に身を委ねているシャオクの様子も見ていると、目を離した隙にアコルトが胸に顔をうずめてきた。 

 

 

 ……え。

 

 ちょ、ちょっと!

 大胆すぎやしませんか、アコルトさん!

 

 初めてのお風呂で、そんな肩で息をするように身を乗り出して……、ってのぼせてないかこれ!?

 

 

「アコ!」

「……アコさん!?」

 

 

 気の抜けていたシャオクも驚いて立ち上がり、ふらついて水面に落ちそうだったアコルトの体を支える。

 

 

「と、とりあえずお風呂からだそう!」

「は、はい!」

 

 

 それから2人でアコルトを担ぎ出し、急いでそれぞれの体を拭いて、2階の寝室へと運んだ。

 対応しやすいようにベッドの真ん中に寝かせ、看病することとなった。

 




スズシロ・ミツキ エルフ ♀ 18歳 魔法使いLv28
魔法使いLv28/英雄Lv24/探索者Lv29/僧侶Lv27/巫女Lv1
(村人5 農夫1 戦士17 剣士9 商人30 錬金術師1 細工師1 薬草採取士30 森林保護官23 奴隷商人1 盗賊1)


アコルト  兎人族 ♀ 16歳 狩人Lv22


シャオク ドワーフ ♀ 19歳 鍛冶師Lv19



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次回は3/5更新の予定です。

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