特撮日本&世界vs怪獣の歴史 怪獣大戦争編   作:クォーターシェル

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BrackRX氏の三次創作2作目です。前作「一郎とシルバーのオール怪獣大進撃」とは一応世界観を共有しています。


第1話 S-40遊星

宇宙空間を進む1隻の宇宙船のコックピットにて、パイロットの内1人が本部である地球連合宇宙局へ連絡していた。

 

「地球連合宇宙局、こちらP-1号。S-40遊星への航路は順調。秒速1000キロで移動中」

 

『こちら地球連合宇宙局。了解した。そのまま任務を続行せよ』

 

「P-1号了解」

 

P-1号と呼ばれるこの船は、恒星間有人飛行を目的とした宇宙船である。超機関によって秒速1000キロという速度を誇り、また乗員は2名と少ないが、その分小回りが利くため、様々な星域への調査や探索に使用されている。

 

「しかし、本当に驚くべき話だな。外宇宙から星そのものが太陽系に侵入して来た挙句、木星の軌道上に収まるなんて」

 

と言うのは、先ほど連絡をしたパイロットである富士である。その富士の発言に対して、P-1号のもう1人のパイロットであるグレンは、

 

「それが宇宙というものさ」

 

と答える。地球連合宇宙局に所属する2人の今回の任務は突如外宇宙から太陽系に漂流してきた、「S-40遊星」を調査することである。

 

「まあ、これが嘘なら大事件だがな。宇宙は広すぎて何が本当かなんて分かりゃしないさ」

 

「確かにな」

 

富士とグレンの2人はそんな話をしながら、S-40遊星への航路を進んでいた。S-40遊星の軌道上に到達したP-1号は、そこでS-40遊星の大まかな環境を調べる。着陸前に着陸に適した場所や環境が宇宙服が耐えられるものか調べなければいけないのだ。2人は計器によって画面に表示されるS-40遊星のデータを確認する。

 

「大気圏内の温度は摂氏15度。木星圏にしては暖かすぎないか?」

 

と言う富士に、グレンは

 

「なにせこの星は外宇宙からやってきた未知の星だ。生半可な常識は通用しないのかもな」

 

と返し、S-40遊星の表面をスキャンする。その結果、S-40遊星には海が存在しているが、陸地は荒野や砂漠の類ばかりであることが分かった。

 

「海洋だけでも充分だが、陸地がこれでは居住には適していないな」

 

とグレンは報告し、富士はそれに同意した。そして富士とグレンはS-40遊星への着陸に向けて準備を進める。

 

「よし、大気圏内に突入してS-40遊星に着陸だ」

 

「了解」

 

P-1号は大気圏へ突入し、その中を飛行する。そしてP-1号は無事にS-40遊星の着陸地点に到達した。

 

「こちらP-1号。地球連合宇宙局、これよりS-40遊星に着陸する。どうぞ」

 

『こちら地球連合宇宙局。了解した。S-40遊星の調査が実りあるものであることを期待する』

 

「P-1号了解」

 

P-1号が着陸態勢に入る中、富士とグレンは船内で最終確認をする。そして、

 

「これよりS-40遊星に着陸する!」

 

P-1号は無事に着陸地点に着陸するのだった。着陸し辺りを確認した富士は、

 

「よしグレン、俺はあの丘までいって旗を立ててくる。そっちはここで調査準備を頼む」

 

と言い、地球連合の旗を取り出す。グレンもそれに同意し、

 

「地球連合の旗を立てておこう」

 

と言った。そして富士はコックピットを出て丘まで飛び、旗を立てる。と、その時だった。

 

「ん?」

 

富士はある物を発見した。生物の足跡である。それも、人間が履く靴のような形状のものだった。

 

「どうやらこの星の住人はいるらしいな」

 

富士はそう言い、グレンへ通信を送った。

 

「こちら富士。S-40遊星に人間の履く靴のような足跡を見つけた。至急、本部に報告願いたい」

 

が、応答が無い。嫌な予感がした富士は着陸地点に戻ったが、P-1号が無く、グレンの姿も無かった。

 

「グレンは何処に行ってしまったんだ……?」

 

グレンが勝手にP-1号を発進させたなら近くに居た自分も気づくだろう。ならばグレンと愛機は何処へ行ったのか?富士は一抹の不安を抱えながら、グレンと愛機を探し始めた。その時だ、近くの地面がせり上がり、シリンダーの様な装置が現れた。更にそこから声が聞こえた。

 

『地球連合宇宙局の富士局員。ただちにこの中に入り給え』

 

するとシリンダーに付いていた扉が開く。富士は一瞬躊躇いながらも、その中に入った。すると、

 

「ようこそS-40遊星へ」

 

という声と共に富士は光に包まれた。そして光がおさまると、目の前に老人が立っていた。どうやらこの老人が自分をここに呼んだらしいと富士は考えたが、その老人はこう言った。

 

「私はS-40遊星の統制官だ。君に頼みがある」

 

「頼み?その前にグレンの行方を知らないか?」

 

と聞き返す富士。統制官を名乗った老人は、

 

「失礼をした。直ぐにミスターグレンを連れてこよう」

 

と言った。そして老人がボタンを押すと、富士の前にグレンが現れた。

 

「グレン!」

 

と驚く富士に、グレンは

 

「すまない、実は」

 

と言う。富士が事情を聴く前に統制官は2人にこう言った。

 

「宇宙船を移動させたのは悪かった。しかし、それも君たちの安全の為であったのだ。この星の地表に居てはいつ奴に襲われるか分からないからな。宇宙船も君たちも安全な場所に来させたという訳です」

 

「奴?それは一体」

 

と富士が統制官に尋ねる。すると統制官はこう答えた。

 

「外宇宙から来た怪物だ」

 

そして統制官は2人にこう言った。

 

「これから君たちをS-40遊星の中枢へ案内しよう」

 

富士とグレンは統制官の案内でS-40遊星の中枢へとやってきた。そこは地球では見られない形式の機械が作動しており、何人ものS-40遊星人達がそこらを行き来していた。

 

「これがこの星の中心……ですか?」

 

と尋ねるグレンに統制官はこう答える。

 

「ああ、そうだ。このS-40遊星の中枢だ」

 

そして富士は統制官に尋ねた。

 

「あの怪物とは一体何者なんですか?」

 

すると統制官はこう答えた。

 

「奴の名は『ガイガン』。ある時この星にやってきた恐るべき怪物だ」

 

「「ガイガン!」」

 

富士とグレンはその名前に聞き覚えがあった。かつて地球に来襲した宇宙怪獣で、異星人に操られて破壊の限りを尽くした。地球に来たガイガンは退治されたが、このS-40遊星にも居るのだろうか?その時である中枢室に1人のS-40遊星人が入って来た。

 

「統制官、ガイガンが出現しました!」

 

そう言うS-40遊星人に統制官が質問する。

 

「出現ポイントは?」

 

「はい!ここから北に10キロ離れた場所です」

 

統制官はそれを聞くと、

 

「よし、モニターに映せ」

 

と室内の装置を操作しているS-40遊星人に命令する。するとモニターにガイガンの姿が映し出された。

 

「あれが……」

 

と呟くグレンに統制官は

 

「ガイガンだ」

 

と言った。そして富士がこう尋ねる。

 

「この怪物、あなた方なら倒せるのでは無いのですか?」

 

しかし統制官は首を横に振った。そしてこう言った。

 

「奴は強大だ。我々では太刀打ちできないだろう。だから君たちを呼んだのだ」

 

そしてS-40遊星人は2人に言う。

 

「率直にお願い申し上げよう。ガイガンを倒す為に地球の怪物、そちらの呼称名で言う『ゴジラ』と『ガメラ』を貸して頂きたい」

 

「なんだって?ゴジラとガメラを?」

 

と富士。統制官は

 

「ガイガンが居る為に我々はこの星の地下に隠れ住むしかない。地球の言葉には目には目を歯には歯をという言葉がある。怪獣ガイガンを倒すには怪獣の力を借りるしかないのだ」

 

と説明する。グレンは

 

「しかし、そうなると我々の権限だけの問題ではない。地球全体の議題になる」

と言うが統制官はこう返す。

 

「それは我々も承知している。だが、メッセンジャーとして君たちの存在が丁度良かったのだ。君たちにはこの案件を地球に持ち帰って欲しい」

 

富士とグレンはうーむと腕を組んでいた、その時中枢室内のS-40遊星人の1人が、

 

「ガイガンが去りました」

 

と統制官に報告する。統制官は

 

「被害状況は?」

 

と報告してきたS-40遊星人に問う。

 

「今回は死傷者が出ませんでした」

 

そう報告するS-40遊星人。統制官は頷くと、2人にこう言った。

 

「よし、一旦君たちの船に戻ってくれ。地球にこの案件を持ち帰って貰いたい。もし地球がガイガンの撃退に協力してくれれば我々は癌の特効薬のデータを提供しよう」

 

富士とグレンは再び宇宙船に戻り、地球へ帰還したのだった……

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

S-40遊星での出来事を地球連合宇宙局へ報告した後、直ぐ様に国際連合本部で会議が開かれた。ある国の代表が、事務総長に進言する。

 

「事務総長。この提案は受けるべきです!怪獣のレンタルを許可するだけで癌の特効薬が手に入るなら僥倖でしょう」

 

「しかし、ゴジラとガメラは人類のコントロール下に置かれてはいないとは言え、地球防衛の要とも言うべき存在です!軽はずみに別の星へ行かせるのは危険では?」

 

と別の国の代表は反論する。また別の国の代表は

 

「怪獣が居なくとも我々地球人類の戦力にはイェーガーやN2兵器が存在します!2体の抜けた穴は問題ではないでしょう」

 

と反論する。

 

「それにゴジラとガメラ、あの2体の戦力は圧倒的です。ガイガンなどものの数では無い!」

 

とまた別の国の代表が同意すると、他の国の代表もそれに賛同し、

 

「確かにゴジラとガメラは怪獣退治の専門家と言えるでしょう。彼等が居ればガイガンの1匹や2匹は造作もありませんな」

 

と言った。事務総長は代表達の意見を聞くと、こう決断を下す。

 

「分かった。ゴジラとガメラをS-40遊星へ派遣する」

 

S-40遊星での事件を地球連合宇宙局に報告した富士とグレンはその後直ぐに本部に戻っていた。2人は休憩室で今回の件について所感を話し合っていた。

 

「しかし大変なことになったな」

 

と富士。グレンは

 

「ああ、しかし個人的に今回の件は引っかかるな……」

 

と言う。富士は

 

「お前もかグレン?」

 

と聞く。グレンは頷き、

 

「S-40遊星人は何故地球防衛軍の直接戦力を求めずに怪獣を借りるなんて迂遠な真似をするのだろう?」

 

と言い富士も

 

「そうだな、彼らは前もって地球の事を調べたようだが、ガイガンを撃退するなら地球の軍を借りた方が早い筈だ。なぜそうしない?」

 

「しかもゴジラとガメラの貸し出しだけで癌の特効薬のデータまでくれるとは、何か裏があるのではないか?」

 

グレンは富士にそう言うが、富士も

 

「確かにな……しかし地球防衛軍としてはこの案件を断る訳にはいかんだろう」

 

と言う。2人はS-40遊星の件について不穏なものを感じるのだった……。

 




S-40遊星の名前の由来は映画怪獣大戦争の公開年の昭和40年から来ています。

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