特撮日本&世界vs怪獣の歴史 怪獣大戦争編   作:クォーターシェル

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前話にちょっと出た怪獣マルコブカラッパはお気づきの人も居ると思いますが、ガメラの没怪獣です。外見以外は詳細不明なんであんな扱いにはなりましたが……


第3話 S-40遊星での戦い

統制官は部下に

 

「計算に異常は無いか?」

 

と確認する。部下のS-40遊星人は

 

「異常なし。全て予定通りです」

 

と答えた。そして、S-40遊星の円盤群は地球大気圏を離脱した。

 

「どうです。貴方方の宇宙船よりもショックは少ないでしょう?」

 

と使節団の面々に言う。富士は

 

「しかし、ゴジラとガメラは無事に引力圏を脱出したのでしょうか?」

 

と統制官に問う。それを聞いた統制官は

 

「ご心配なく。本船の後方に着いてきております」

 

と答えて指を鳴らし、モニターにゴジラジュニアとガメラを円盤によって牽引している様子を映す。そしてS-40遊星人の1人が

 

「地球から4億5000万キロの位置を通り過ぎました。計算通りです」

 

と報告する。桜井博士が

 

「4億5000万キロ!?この宇宙船が出発してまだ4時間も経っていないぞ。もうそんな距離を?」

 

と驚く。統制官は

 

「現在の航行速度は光速の十分の一」

 

と言う。その答えに使節団の面々は更に驚く。そして、

 

「この速度なら地球とS-40遊星の間を往き来するのも一瞬ですな」

 

と権藤が言う。統制官は

 

「その通り。我々の理想は光速の壁に到達することです」

 

S-40遊星人の科学力の高さを改めて思い知らされた使節団の面々だった……。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

一方、伊豆半島沖に存在する小島、目倉島の世界教育社の別荘に波川は呼び出されていた。世界教育社の社長は波川に

 

「君はグレンという地球人に必要以上に興味を持ち始めたようだな!」

 

と言う。

 

「そんなことはございません」

 

と答える波川に社長は

 

「命じられた事だけやっていればよろしい!儂が忠告するのではない、統制官の命令だ!」

 

と怒鳴る。波川は一瞬不満げな表情をするが、

 

「分かりました……」

 

と言う。その時である世界教育社の社員の1人が部屋に入って来て、

 

「あの捕えている『鳥井哲男』と言う地球人はどうしますか?」

 

と質問する。社長は

 

「何かの時に人質に使えるというのが統制官の出した結論だ。まだ生かしておけ」

 

と答える。波川は

 

「では、これで失礼します……」

 

と部屋をでるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

ゴジラジュニアとガメラを連れたS-40遊星の船団は特にトラブルも無く、S-40遊星に到着した。統制官は

 

「では、いよいよ着陸です……」

 

と言う。そして、使節団を乗せた円盤はS-40遊星の地下に存在する基地に着陸した。そのまま使節団は統制官達の案内によってS-40遊星中枢近くの指令室に通される。そして、中央のモニターにゴジラジュニアとガメラがS-40遊星の地表に降ろされる様子が映し出される。ゴジラジュニアとガメラは見慣れない辺りの景色をキョロキョロと見渡す。

 

そして、そこにガイガンが飛来して来た。ガイガンは眉間から光線をジュニアとガメラに向かって発射した。ジュニアとガメラは直撃を受け、大したダメージは受けなかったがこれによってガイガンを敵と認識した。ガイガンはそのまま腹部の回転カッターを回し、ジュニアに狙いを定めて両断せんと突撃して来た。ジュニアも

 

「グォォォォン!」

 

と雄叫びを上げ、ガイガンを迎え撃つ。だが、ガイガンの回転カッターはジュニアの左脇腹を切り裂いた!苦悶の声を上げるジュニア。ガメラが態勢を崩しているガイガンに向かってプラズマ火球を発射する。プラズマ火球を喰らったガイガンはダメージを受ける。更に持ち前の回復力で傷を回復させたジュニアが尻尾を振り回してガイガンに命中させてその身体を大きく吹っ飛ばす。それをモニターで見ていた統制官は

 

「御覧ください。今度はガイガンも勝手が違うようです」

 

と言う。そしてガイガンはジュニアとガメラに対して腹部の回転カッターで攻撃を仕掛ける。ジュニアはその攻撃を軽々と躱し、逆に突進して体当たりを仕掛けた!体当たりを喰らったガイガンはそのまま空高く突き上げられ、力なく地上に落下する。するとガイガンはハンマーハンドを振り回して暴れまわりながらジュニアとガメラに突進してきた。

 

それに対し、ジュニアとガメラはそれぞれエネルギーを腕に纏わせてパンチをガイガンにお見舞いした。それを受けて後方に吹っ飛び岩山に激突するガイガン。更にジュニアとガメラは追い打ちとばかりに口内にエネルギーをチャージし、それぞれ放射熱線とプラズマ火球をガイガンに放った。二大怪獣の止めの攻撃を受けたガイガンはたまらず爆散した。そしてジュニアは地球の1960年代に流行った漫画のあるキャラクターのポーズに似た姿勢を取ってジャンプをするのだった。

 

それを見ていた統制官は満足そうに頷き、

 

「ありがとうございます。今日で我々は初めてガイガンを撃退することに成功しました。これも勿論の地球の協力があってこそです」

 

と感謝の意を使節団に伝えるが、そこで統制官は違和感に気づく。

 

「……3名程いませんね。富士君、グレン君、権藤君はどうしました!?」

 

そう、いつの間にか富士、グレン、権藤の3人が指令室から姿を消していた。桜井博士は

 

「おや?今まで此処に居た筈ですがね」

 

と言い、小早川が

 

「トイレにでも行ったのでしょうか?」

 

ととぼけた様に言う。統制官は

 

「直ぐに探すのだ!」

 

と部下達に命じるのだった。

 

指令室から消えた3人は基地内の通路を歩いていた。富士が

 

「このままでは何も分からないぞ」

 

と言う。3人はS-40遊星人の真意を調べる為に皆がゴジラジュニアとガメラとガイガンの戦闘に夢中になっている隙に他の場所を調べるべく部屋を抜け出したのだ。グレンが

 

「分からないのは統制官の腹の中さ。何か手がかりを掴みたい所だが……」

 

と言い、それに対し富士は

 

「しかし、あまり長く席を外していると怪しまれるぞ」

 

と言う。すると権藤が

 

「どうやらもう怪しまれてるみたいだぜ」

 

と言う。彼の視線の先にはこっちへ向かってくるS-40遊星人の姿があった。権藤は

 

「こっちだ!」

 

と富士とグレンを先導し、3人は複数のスイッチのある扉の前に来た。富士達はスイッチを適当に操作してみると、扉が開いた。どうやらエレベーターの様だ。

 

「開いたぞ!」

 

「鬼が出るか蛇が出るかだな」

 

と3人はエレベーターの中に入る。そうして、エレベーターが止まり3人はエレベーターから出る。するとそこには、

 

「おい見ろよ、金だ!」

 

グレンが指さす先に結晶の様な形状の金塊が生えていた。指さした先だけではない。洞窟の様なその場所は至る所に結晶状の金塊や金色の壁が存在した。富士は

 

「此処はS-40遊星の採掘場だろうか?」

 

と言う。グレンは

 

「そうかもな。パイラ星にだってこれほどの金はないだろう」

 

と地球がS-40遊星の接触より以前に接触し同盟を結んだ異星、パイラ星の事を思い浮かべる。パイラ星の地下にも豊富な資源が存在する様だが、特別金が採れるとは聞いて無いしパイラ星でもやはり金は貴重な物であるらしい。その時、権藤が

 

「しっ、誰か来るぞ」

 

と言い、3人は身を隠す。すると、S-40遊星人の女性が姿を現した。そしてその女性の顔を見たグレンは思わず大声で

 

「波川!」

 

と言った。そう、その女性の顔はグレンの恋人波川の顔と瓜二つだった。グレンはS-40遊星人の女性の元へ駆け寄る。富士と権藤は

 

「おいグレン!」

 

「馬鹿待て!」

 

と彼を止めるがグレンは女性の側に行き、

 

「波川、なんでこんな所に居るんだ?」

 

と女性に尋ねる。女性は何のことか分からないのか、困惑した表情を浮かべる。グレンは

 

「僕の事を忘れてしまったのか?グレンだ」

 

と言い、後ずさりする女性に近づこうとするが、その場にやって来たもう1人の人物の顔を見て驚愕する。

 

「!?」

 

この場所にやってきたもう1人の女性の顔も波川と瓜二つだった。あまりのことに呆然とするグレンだが、富士に

 

「グレン、兎に角この場から逃げよう」

 

と言われ、グレンは気を持ち直して富士と権藤と共にその場から離れようとするが、

 

「ちっ、見学は終わりの様だ」

 

採掘場に多数のS-40遊星人が入って来た、しかも何人かは銃器と思わしき物を持っている。3人は顔を見合わせると、大人しく手を上げるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

見つかった3人は指令室に連れてこられた。統制官が

 

「手を下したまえ」

 

と言うので3人は上げていた手を下す。統制官は

 

「君たちは、許可なくなぜ勝手な行動をしたのか?」

 

と3人に質問する。権藤は

 

「許可ありで見せてもらうと観光旅行みたいで意味がありませんからな」

 

と答える。富士は

 

「それに表の方ばかりでなく、裏の方も見たいですからね」

 

と言う。グレンも頷く。統制官は

 

「それで、何を確かめました?」

 

と問う。富士は

 

「まず、この星では金は大量に採れるみたいですね」

 

と言う。統制官は

 

「金色は素晴らしい色です。暗黒の宇宙を照らしてくれます」

 

と言った。グレンは

 

「女性の顔が同じなのはなぜです?」

 

と聞く。統制官は

 

「貴方は美しい顔の女性に憧れませんか?」

 

と言う。グレンは

 

「美しいからと言って、皆同じ顔なのはね……」

 

と言う。統制官は

 

「人間は美しい物に憧れるものでしょう。ここの女性達は我がS-40遊星が誇る芸術品です」

 

と説明する。そして権藤が

 

「単刀直入に言いますが、貴方方は他にも我々に隠していることがあるではないですか?」

 

と言う。統制官は

 

「貴方は使節団の人間の中でも特に疑り深いようだ。我々に隠し事などありませんが?」

 

と言った。権藤は

 

「そういう事にしておきましょう。誰でも隠したいことの百や二百はありますからな」

 

と皮肉を言う。統制官は

 

「貴方方は我々の法によって罰されることになりますが、今回は国賓として招待したのですから、咎めないことにします」

 

と言う。桜井博士は

 

「感謝します」

 

と礼を述べる。3人も頭を下げるのだった。そして、S-40遊星人の1人が金色の箱を持ってくる。統制官は

 

「お約束した癌の特効薬のデータを記したディスクはこの中にあります。お渡しします」

 

と言った。そして、金色の箱は桜井博士の手元に渡った。桜井博士は

 

「どうも……」

 

と頭を下げる。統制官は

 

「それでは貴方方を送る船を出しましょう」

 

と言い、宇宙船の手配をさせるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

帰りの宇宙船内で使節団の面々は色々な話をしていた。小早川が権藤に

 

「毎度の事なので諦めていますが、その内殺されても知りませんよ?」

 

と言う。権藤は

 

「そしたらそれまでだよ。何、至近距離から怪獣に薬を打ち込むよりは安全さ」

 

と答える。小早川が

 

「それはそうですけど……」

 

と言う。大和が船内のS-40遊星人に

 

「あの、ガメラとゴジラは一緒に帰らないのですか?」

 

と質問する。質問されたS-40遊星人は

 

「ゴジラとガメラのデータは我が星でも貴重な為、もう少し調べてから地球へお返しいたします。貴方方の少し後に到着するでしょう」

 

と答える。大和は

 

「そうですか……。彼らは地球の仲間です。置いていく訳にはいきませんからね」

 

と安堵する。富士とグレンは

 

「俺達の感じた不安が取り越し苦労だと良いんだがな」

 

「……僕は地球へ帰ったら確かめなきゃいけないことがある」

 

と話す。そして、S-40遊星を出発した使節団を乗せた宇宙船は地球へと帰還の途に就いた。

 

目倉島、世界教育社の別荘の地下にその基地はあった。そこではS-40遊星人――その真の名は別にあるのだが――達が慌ただしく動いており、とある指令を待っていた。その基地の責任者であり、表の顔は世界教育社の社長である男は統制官から通信を受ける。

 

「こちら地球基地。統制官」

 

と社長は統制官と通信する。統制官は

 

「通信状態は良好。使節団がそちらへ帰還する。計画を第五段階4項目に移す」

 

と指令を伝える。社長は

 

「了解!計画第五段階第4項!実施します」

 

と答える。そして統制官からの通信が切れ、社長は部下の1人に

 

「もうすぐだ!これでこの星は……!」

 

と嬉しそうに言うのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

地球へ帰還した使節団。権藤と小早川は直ぐに自衛隊の基地に戻る。残った使節団の面々は地球連合宇宙局の会議場へ向かった。そこで癌の特効薬のデータを発表するのだ。会議場では既に国連の代表達や各国の科学者、マスコミが集まっていた。そして、桜井博士からデータが収録されたディスクが渡され、その映像がスクリーンに映し出された。

 

「これが癌の特効薬のデータです」

 

と桜井博士が言う。しかし、映像は暗転したままでうんともすんとも言わない。会議場に集まった者達は

 

「機械の故障か?」

 

「そんな筈は……」

 

「記憶方式の相違じゃないかね?」

 

「箱に書かれた説明によると地球の一般的なコンピューターに対応しているそうですが」

 

と怪訝そうに言う。そして映像はS-40遊星人の統制官の映像が移された。ざわざわと会議場内は騒がしくなる。これは癌の特効薬のデータではないのか?映像内の統制官が話し出す。

 

『まずは我々の種族の真の名を言おう、我々は君たち地球人に嘗てX星人若しくはエクシフと呼称されし種族である』

 

会議場内の騒めきが更に大きくなる。エクシフと言えば嘗て地球に侵略戦争を仕掛けてきた異星人の名前である。S-40遊星人は仮の名という事だ。

 

『そして、只今より地球全員に私の命令を伝える。地球は今後エクシフの支配下に移り植民星となる』

 

「なんだって!?」

 

「植民星!?」

 

『この決定に従わぬ時は、我々は地球人類をこの宇宙から抹殺するであろう』

 

それを聞いたグレンは

 

「やっぱりそうだったのか……!」

 

と言い。富士も

 

「ちきしょう!これが本心だったんだな!」

 

と憤る。統制官の言葉が続く。

 

『重ねて命令する。地球は我々の植民地としてのみ存在が許される!』

 

映像は終わった。会議場内は軽いパニック状態に陥っていた。地球人類に植民星への宣告、そしてエクシフという異星人の真の名……。一体何故こんな事になったのか?

 

「皆さん、落ち着いてください!」

 

と桜井博士はパニックに陥った会議場の面々を宥めるが効果は無い。すると、1人の記者が手を上げる。

 

「質問があります」

 

と記者が言うので桜井博士は

 

「どうぞ」

 

と言う。記者は

 

「このデータは本物なのでしょうか?」

 

と質問する。桜井博士は

 

「本物でしょうな……!恐らく今回の件は嘗て地球人に撃退されたエクシフの復讐戦だろう。このデータは統制官の本音と見た方が良いだろう」

 

と推測する。そして桜井博士は

 

「皆さん、落ち着いてください!」

 

と再び言うのだった。しかし、桜井博士の制止も虚しく、この混乱は世界に波及するのだった……。

 




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