特撮日本&世界vs怪獣の歴史 怪獣大戦争編 作:クォーターシェル
会議場での様相は世界中に中継されており、エクシフの実質的な宣戦布告は直ぐ様に地球全土が知る事となった。異星人による侵略活動は今までにもあったが、その前例を踏まえても各地に混乱が広がったのはそれだけでなく宣戦布告と共に世界の主要都市の近郊に怪獣ガイガンがどこからともなく出現したからであった。それも1体や2体ではない、数の少ない場所でも最低でも3体ものガイガンが出現していて多い場所ではなんと10体を超えるガイガンが都市を包囲するように配置されていた。出現したガイガン達は直ちに破壊活動をすることは無かったものの、地球人を恐怖と混乱の中に叩きおとすのに十分な威容だった。
地球連合宇宙局ではなんとか会議場内の混乱を一旦収めたが、事態の把握の為に会議を中断せざるを得なくなった。そして、
「世界各地にガイガンが現れたそうじゃないか!」
と桜井博士。富士は
「はい、不気味なのは連中がまるでモニュメントの様に突っ立ったままで動かないことです」
と答える。更に富士は
「あれ?そういえばグレンは何処に行ったんだ?」
と言う。確かにいつの間にかグレンの姿が見えない。ハルノが
「グレンさんなら確かめなければならない事があるって言って行っちゃったわ。引き留めようとしたんだけどとても深刻そうな表情で……」
と言ってくる。
「こんな時に一体何の用事があるんだ?」
と富士は頭を搔く。そんな時、1人の職員がこう言いながら飛び込んで来た。
「大変だ!外に円盤とガイガンが!」
富士達は外のP-1号を置いてある発着場を見れる窓を覗く。すると、エクシフの宇宙船と赤いガイガンが飛来してきた。
「あっ!」
「何だあのガイガンは!?」
今まで見たことないタイプのガイガンに驚く富士達。エクシフの宇宙船内で統制官が指示を飛ばす。
「腹部レーザー、出力10%」
「了解。出力10%で発射」
その指令と共に赤いガイガンの腹部に存在する目の様な器官から光線が発射され、P-1号とその近くにあった施設を粉々に吹き飛ばした。そして、円盤から統制官の声が響き渡った。
「我々の命令に対し、返答の無かったことは大変に残念だ。我々はこれを拒否と判断する!これより地球制圧の手段を説明する」
と統制官は言葉を続ける。
「我々は既に『ガイガンミレース』の軍団を世界各地に配置した」
桜井博士は
「ガイガン達は奴らの手先だったのか」
と言い、
「ガイガンは元々我々が電磁波でコントロールしていたのだ」
と続く統制官の言葉に富士は
「つまり、S-40遊星での件も全て茶番劇だったという訳だちくしょうめ!」
と悔し気に言う。
「ゴジラもガメラもこの電磁波で自由に操られる。地球はゴジラとガメラ、更に最新のガイガン、『ガイガンレクス』とガイガンミレースの軍団によって征服されるのだ」
話の流れによると、世界中に現れたガイガンがガイガンミレース、先程P-1号を破壊した赤いガイガンがガイガンレクスという名前らしい。差し詰め王とその兵士達といった所か。
「しかし、我々は怪獣に指令を送る時間を24時間猶予する。これが最後のチャンスだ」
そう統制官は宣告し、エクシフの宇宙船はガイガンレクスと共に去っていくのだった。そして、東京近郊にゴジラジュニアとガメラが出現したことが確認された。ジュニアもガメラもエクシフによってコントロールされているようで、虚ろな目でその場に佇んでいた。
地球連合宇宙局に来ていた国連事務総長は大和に
「君の巫女としての力でガメラを正気に戻すことはできないのかね?」
と言うが、大和は首を横に振り
「申し訳ありませんが、ガメラとの交信はほぼ途絶えています……」
と答える。桜井博士は
「大変な事になった。ゴジラジュニアとガメラが敵の手に渡っている、将棋で言えば飛車と角を取られているようなものだ」
と事態の深刻さに戦慄する。そして、
「早く手を打たないとな……」
と呟くのだった。その時富士が、
「ゴジラ達は電磁波で操られていると言ってましたね。博士、『Aサイクル光線』ならこの事態を打開できるのでは?」
と言う。桜井博士も何かに気づいたようで、
「そうか、Aサイクル光線か!富士君、至急Aサイクル光線の資料を持ってくるんだ!」
と富士に言う。富士は急いでAサイクル光線の資料を探しに行くのだった。
◇ ◇ ◇
その頃東京では近郊にゴジラジュニアとガメラが出現したことを受け、市民達は次々と避難して交通網が麻痺しかける事態となっていた。この世界の歴史において、東京が戦場になったことは多々あったが、今まで人類の味方であったジュニアとガメラが敵に回ったことは人々に衝撃を与えていた。
そんな時、グレンは世界教育社本社を訪れていた。理由は波川に会うためである。波川が一般人ならとっくに避難している所であるが、果たして波川は世界教育社に居た。それもエクシフと同じ衣装を着けて……。グレンは波川に
「やっぱり君は……」
と言い、波川は
「私はペルセウス座にあるBD+48°740系第4惑星エクシフィカルスの人間です」
と言う。そう、波川はエクシフであった。波川はグレンに
「貴方はS-40遊星で私と同じ顔の人間に会って来ましたわね」
と言いグレンは
「会ったよ波川」
と答える。波川は
「グレン、私は電子計算機に従って統制官の指令通りに働いたまでです……!」
と自分に言い聞かせるかの様に言う。
「僕と結婚しようと言ったこともそうかい?」
と言うグレンに波川は首を横に振り、
「違います!」
と否定しグレンに近寄り
「グレン!貴方の監視を続けているうちに、貴方は計算外の人となったんです!」
と言う。グレンは
「では、此処から出てそんな衣装は脱ぐんだ!」
と波川に言う。しかし波川は
「いいえ!貴方がエクシフとなって私と結婚するの!そう計算機に出ました……それしか助かる方法は無いんです!」
と言った。グレンは首を横に振り、
「いいか波川、僕達はロボットじゃない。機械に支配されて一体何処に幸福があると言うんだ……!」
と言い、波川は目をそらす。グレンは
「我々地球人は自由を守る為に最後まで戦うんだ。君たちの良心は電子計算機に取り上げられてしまったのかい?」
と続ける。そっぽを向く波川にグレンは
「波川よく考えるんだ!この戦いを止めさせる方法は無いのか!?もし知ってるなら教えてくれ!宇宙の平和を守る為にも僕達が幸せになる為にも一番いい方法なんだええ!?」
とヒートアップする。振り向いた波川は悲壮な表情で
「グレン……!私は地球人にはなれない!もう遅いんですなにもかも!」
と言うが、
「遅くない!!」
とグレンは一喝する。しかしその時になってグレンは自分達以外の気配に気づく。世界教育社の社長と部下達……つまり世界教育社を隠れ蓑にしていたエクシフ達が現れた。
「グレン君!もう遅い!」
と言う社長にグレンは
「いや、そうはいかないぞ!」
と拳銃を懐から取り出すが、エクシフの持つ光線銃から放たれた光線で拳銃は手元から弾き飛ばされてしまった。社長は
「植民地司令として、君を基地に連行する!」
と言い、部下達はグレンに光線銃を突きつけて連行しようとしたその時である。室内に小型の何かが投げ込まれた。その場の全員の視線が投げ込まれた物に吸い寄せられる。すると、その物体から大量の煙が吐き出された。視界を覆う煙を吸い込みせき込むエクシフ達。煙が薄れた時には、既にその場にグレンと波川の姿は無かった。
「逃げられたか!!」
と悔しがる社長達。どうやら投げ込まれた物はスモークグレネードだったようだ……。
◇ ◇ ◇
世界教育社から少し離れたビルのフロアの中にグレンと波川は居た。どうやら此処は自衛隊が一時的に陣地としている場所で2人はそこに連れてこられたようだ。
「よう、また会ったなロミオ」
と言う権藤とその部下がグレン達の前に立つ。彼らを見たグレンは
「権藤!小早川!君たちが助けてくれたのか?」
と尋ねる。小早川が
「僕らも一応特殊部隊の端くれでしてね、権藤室長と一緒にグレンさんを救出する為に捜索していたんですよ」
と説明し、権藤は
「さっ!此処も危険だからさっさと出るぞ!」
と言ってグレン達を外に連れ出した。ビルの外には数台の車がありその内の1台にグレン達が乗り込む。そして車は発進した。
「これから何処へ行くんです?」
と言うグレンに権藤は
「この近くに基地があってな。そこに逃げ込んでるのさ」
と答えるのだった。そして波川に
「そこで折角の捕虜には色々と聞きださないとな?」
と言う。波川は
「分かってるわ……!」
と観念した表情で言う。グレンは
「僕はどうなるんだ?」
と聞くが権藤は
「さあな?それは基地でのお楽しみって奴だ」
と答えるのだった。そして車は基地へと到着する。こうしてグレンと波川は自衛隊に保護されるのだった。
◇ ◇ ◇
一方、地球連合宇宙局ではエクシフの脅威に対する会議が行われていた。
「こうなったら致し方ありません。現状の地球人類の戦力を持って防衛を行います!」
と同席していた、地球防衛軍の幹部が言う。国連事務総長は
「あと17時間か……」
と、エクシフによる攻撃が行われるまでの時間を確認する。地球防衛軍幹部は、
「我々の選択肢は徹底抗戦か降伏しかありません。ご決断を……!」
と国連事務総長に言うがその時桜井博士が、
「ちょっと待ってください。私は今、ゴジラジュニアとガメラを取り返す事を考えています」
と発言する。国連事務総長が
「というと?」
と続きを促す。
「ジュニアとガメラはエクシフの電磁波のコントロールを受けて、向こうの思うがままに動いています。しかしその電磁波を中断することができたら、地球は救われるかもしれません!」
と桜井博士。地球防衛軍幹部が
「この急場にそんな研究が間に合いますか!」
と言うが、桜井博士は
「成算は五分五分です。現在最終的な実験を行っています」
と答える。地球連合宇宙局の研究室では、電磁波を遮断する事ができるAサイクル光線の実験が行われていた。そんな中、桜井博士達が様子を見に来る。他の研究員と共に調整を行っている富士に桜井博士が
「富士君、どうかね?」
と進捗具合を聞く。富士は
「ええ、大体の見当はつきました」
と答える。国連事務総長は
「大体だなんて時間がありませんぞ!?」
とその答えに焦る。富士は
「まあまあ、兎も角これを見てください。Aサイクル光線による電磁波遮断の様子です」
と言い、Aサイクル光線発生装置による可視化された電磁波が遮断される様子を桜井博士達に見せる。それを見た桜井博士は
「大体どころか、ほとんど完成してるじゃないか!」
と言うが、富士は
「ええ、しかし問題はエクシフが怪獣達をコントロールしている電磁波の強度です」
と不安点を挙げる。桜井博士は
「よし、もう時間が無い!Aサイクルの出力を最大から最低に調節できる装置を付けよう」
と言う。
「もし電磁波が我々の想定した幅以外だとしたら……」
と富士は懸念するが、桜井博士は
「その時は神に祈るだけだ。何しろ待ってくれと言う訳にはいかない相手だからな」
と返すのだった。
◇ ◇ ◇
東京近郊のエリア、ゴジラジュニアとガメラが陣取っている前方に自衛隊が展開していた。エクシフの出方の伺いと、日本を防衛するためである。Aサイクル光線が間に合わなかった場合にジュニアとガメラを足止めすべく、嘗てGフォースが開発したスーパーメカゴジラの発展形機体であるネオ・メカゴジラを筆頭に特殊戦略作戦室の移動要塞とも言えるスーパーXⅢ、ガメラをモチーフとしている機体、参式機玄と言った日本の誇る超兵器達が集結していた。
ジュニアとガメラがその場から動いてはいないが、現場は緊張に包まれていた。エクシフの指定した時間までまだ余裕はあるが、エクシフが心変わりを起こして奇襲を行うとも限らないのだ。ネオ・メカゴジラのコックピット内で待機するサブパイロットがパイロットリーダーである神宮寺に話しかける。
「神宮寺一佐、この戦力でゴジラとガメラに勝つことは出来るでしょうか?」
その問いに神宮寺は
「いや、このネオ・メカゴジラを持ってしてもあの2体を倒すことは出来ないだろうな」
と答える。その答えにサブパイロットはショックを受ける。何しろ自分達が搭乗するネオ・メカゴジラは現在地球人類が保有する兵器の中でも最強と言うべき性能を持っているのだ。
「そんな……!ではなぜこの戦力で行くのですか?」
と言うサブパイロットに神宮寺は
「落ち着け、ここだけに戦力を集中する訳にもいかないのは分かるだろう?何せガイガンミレースが日本各地にも出現しているからな」
と言う。そうである、ガイガンミレースの軍団は東京だけではなく日本の他の主要都市にも配置されているのだ。此処にはいない超兵器達はそちらの方へ向かっていた。神宮寺は
「黒木統合特佐は勝算はあると言っていた。今頃科学者達が必死に対策を講じているそうだ。まあ、いざとなったら片方だけでも道ずれにするが、な」
と言う。この戦力を動員するのは日本が誇る超兵器達と、そのパイロットの意地であった。睨み合いの中自衛隊は、決戦を迎える準備を着々と進める。エクシフへの反攻作戦は静かにしかし確実に進行していた……!
因みにS-40遊星で倒されたガイガンは『フェス・ゴジラ3 ガイガン来襲』に登場した仕様の個体をイメージしております。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想お待ちしております。