転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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無人洋上都市調査/ふたりきりのまちで

「素晴らしい、道理を弁えているようだな。貴様にはスネイル閣下より褒章が下るだろう。私の指導を胸に、ますます励むのだぞ」

 

 気分良さげにわたしへ背中を向けるV.VIIへショットガンを向け、トリガーを引く。

 

「まっ…!?たっ、助けっ!?おあーっ!?」

 

 少し距離があったためペレットは少ししか命中しなかったが、それでも戦闘モードを解除した機体を落とすには十分過ぎる。

 

《目標の撃破を確認》

 

 

《…》

 

 

《レイヴン、ひとつ質問なのですが…今のやり口は、オルクスに教わったのですか?》

 

 

「うん」

 

 彼曰く「背中を見せた敵に追撃しない奴は馬鹿」らしい。

 

《…彼の存在は、あまり貴方の教育に良くないかもしれません》

 

 …?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔独立傭兵レイヴン、スウィンバーン排除の達成に感謝する。同志の中には…貴方が敵方に懐柔されることを危惧する者もいた。やはり余計な心配だったな、これからもよろしく頼む〕

 

 

 坑道の破壊工作でコーラルの逆流という「ケツに火が点く」ような災難に見舞われながらもベイラムの仕事を熟したり、エアの取ってきた解放戦線からの仕事でヴェスパーの第7隊長を排除したわたしだが、帰投して早々ハンドラーから仕事が届いている。

 

 またしてもハンドラーの友人からの依頼のようだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

ある友人からの私的な依頼だ

この氷原のどこにコーラルが集積しているのか

地点を絞り込むには情報が足りない

友人からの情報によると…

俺たちが探るべきはここだ

 

かつてルビコン調査技研が建造した

洋上都市「ザイレム」

あの災害を経て無人となった

今では捨てられた都市だが…

コーラルに関する情報を秘匿しているのだろう

都市全体がECMフォグで欺瞞されている

友人が先んじて飛ばした調査ドローンも

濃霧の中で消息を絶ったらしい

 

そこで お前の仕事だ

調査継続の障害となる

ECMフォグ制御装置を停止してこい

企業たちの目が封鎖機構に向いている今であれば

俺たちが真っ先にコーラル集積地点を

探り当てることができる

ーーーーーーーーーー

 

 技研が建造した都市…またシースパイダーに遭遇しないといいのだが。そういえば以前観測データをアーキバスから抜き取った際にうまく撮影が出来ない海域があったはずだ。恐らくあれはここのECMフォグの影響だったのだろう。

 

 無人洋上都市ザイレムの地形は未知だが、探索系の任務であればタンクよりも逆関節が有用な筈だ。探査用ACであるローダー4をベースに脚部を物資輸送用の重量逆関節に換装し、グレネードも取り回しの良いパルスブレードに戻しておく。

 

 新たに解放されたアリーナで獲得したOSTチップは機体の被ダメージ軽減に充てることにした。

 

 ハンドラーは自分と友人のことについて多くを語らない。相変わらずきな臭くはある…だがコーラルを手にすれば人生を買い戻せるという話が嘘ではないのだと、今は彼を信じていたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ECMフォグを無効化するまで、お前…の通信はできなくなる。調査ドローンが残…たビーコンを目印に進め〕

 

 

 作戦領域に近づいたことで、ハンドラーとの通信は途絶えた。ここからはわたし1人での作戦行動になる…本来であればの話だが。

 

 

《レイヴン、私の交信であればECMの干渉は受けません》

 

 通信が不可能であるはずのこの都市でもお構いなしにエアがわたしの名前を呼ぶ。

 

《ロックオン距離にも影響が出ているようです。周囲に警戒を》

 

「わかった、えあ、さぽーと、よろしく」

 

《はい、私があなたをサポートします》

 

 ECMの霧に包まれ殆ど先の見えないこの都市においても彼女が居てくれるなら普段と変わらない状況で作戦に臨めるだろう。

 

 

 

《これが調査ドローンの残したビーコンでしょうか。発見次第マーカーに記録していきます、迷ったら立ち戻ってみてください》

 

 建物を飛び越えながら赤く点滅するビーコンに近づくと、コックピット内のディスプレイに現在の地点が記載される。この霧の中ではどこに行くべきかどころかどこから来たのかも曖昧になってしまいそうだったので、そこを明確にしてくれるのはありがたい。

 

 

 深い霧の中に瞬くビーコンを目指して進んでいくと建物の立ち並ぶ区画に辿り着いた。どうやらこの辺りが都市の街区らしい。霧の中から浮かび上がる無機質なビル群が静かにわたしたちを見下ろしている。

 

 

  [不明な侵襲を確認 恒常化プロセスE]

 

 

 システム音声の後にこちらへ突撃してくる飛翔体から建物に身を隠して回避。グリッド086の外郭に配備されていた惑星封鎖機構のものと似た特攻兵器…あくまで都市の防衛兵器だからか、機雷は撒いて来なかったが。

 

《都市防衛のための自律兵器のようです。ここザイレムが無人となってからも、命令に従い警備を続けていたのでしょう》

 

 今尚警備を続けているのは制御を握る者が消えたからか、あるいは隠された何かを守るためなのか…探索を進めていけば明らかになるだろう。スキャンが使えない状態で先制攻撃を仕掛けられるのは厄介だが、アラートは機能している。気をつけて進もう。

 

 

《ECMフォグ制御装置を発見、アクセスしてみてください》

 

 自立特攻兵器を掻い潜り見つけた目標にアクセス。ECMフォグは機能を停止し、地面に格納された。

 

《制御装置の停止を確認。引き続き捜索しましょう》

 

「うん…この、ちょうし」

 

 

 

  [不明な侵襲が継続 恒常化プロセスA]

 

 

 引き続きビーコンを追って霧の街を進んでいくと見慣れない機体に遭遇。不思議な形状だ。

 

《機体情報が見つからない…すみません、レイヴン。あなたの経験に頼るしかなさそうです》

 

 エアでもわからないものはあるらしい。これまではあっさりと情報を取ってきていたので少し意外だ。

 

「まかせて」

 

 敵機は両側からレーザーブレードを展開してこちらへ接近。飛び越えて回避し、パルスブレードで撃破した。動きは機敏だが、ブレード展開時のアシストがあれば追えるらしい。

 

「とり、みたい」

 

《確かに似ているかもしれません》

 

 わたしやエアの知らないことを多く知っているオルクスならあれをなんと表現するのだろうか?

 

 

《レイヴン、ふたつめの制御装置もすぐそばにあるようです》

 

 制御装置の近くにも配置されていた特攻兵器や鳥型機体(仮称)を先程と同じように対処して墜とす。

 

《動作停止を確認、次を探しましょう》

 

「うん」

 

 

 

  [侵襲を確認 恒常化プロセスC]

 

 

《狙われています!》

 

 赤い照準レーザーを照射されたわたしは建物に身を隠してレーザーを凌ぐ。狙撃型が3機居るようだ。建物の影を渡りながら接近して全て撃破。これも鳥型機体の仲間らしい。

 

 

 そこから進んだ先で戦闘ログ持ちの鳥型機体を撃破…この機体が戦闘ログに登録されているということは、エアが調べても分からなかったこの機体を傭兵支援システムが把握しているということになるが…?

 

 

 それは一旦置いておくとして、近くに転がっていたBAWS製旧型ACの残骸から文書データを抜き取ることが出来た。内容は…ドルマヤンという人物の随想録の一部だ。

 

《帥父、サム・ドルマヤン…解放戦線の思想的主導者です》

 

 共生…彼女の同胞の犠牲…彼は何かについて悩んでいるようだ。

 

《………仕事に戻りましょう、レイヴン》

 

「うん」

 

 

 

 

 

《あれは…ウォルターの話にあった、調査ドローンでしょうか。情報が引き出せるかもしれません、調べてみましょう》

 

 早速調べてみようとして、ふと工廠を調査した時のハンドラーとオルクスの言葉を思い出した。不測の予測…何かの残骸を探すのならば、それを墜とした原因を警戒しなくては。スキャンは出来ないので、細心の注意を払ってドローンにアクセス。

 

 内容はハンドラーの「友人」が記録したと思われるザイレムについての観測データ。機能は生きている…あの場所への行き方…彼の友人は何かを知っていて、それについて調べているらしい。最後の方のデータが欠損しているのは気になる所だが…

 

《!?敵性反応!》

 

 …やっぱり、居た。

 

  [恒常化プロセスB2 抗原機体投入]

 

《…迎撃を!レイヴン!》

 

 工廠の時のステルス機…!レーザーウィップを躱してブレードで反撃。逆関節の脚力を乗せたキックで蹴り飛ばし、もう一機はショットガンとキックで対処。最後の一機は冷却の完了したブレードで両断する。

 

《お見事です、レイヴン。どうやらドローンはこれで撃墜されたようですね》

 

「まえも、やられかけた、から」

 

 あの時と同じ機体がどうしてこんな所に…?

 

《回収されたデータから、残るECM制御装置の座標も割り出せました。マーカーに反映します、そちらへ向かいましょう》

 

「ありがとう」

 

 

 最後のECMに向けて移動を…

 

《…そう言えば》

 

 始めたところで、エアが何かを言いたげにしている。

 

《ウォルターもオルクスも抜きでふたりだけのミッションも久しぶりでしょうか》

 

「そうだね」

 

 完全にふたりきりだったのは、初対面のバルテウスくらいではないだろうか?エアのことを敵視までしていた程のあの時に比べると、わたしたちの関係も変わったものだ。

 

《制御装置も逃げはしないでしょう。ゆっくり探してください、レイヴン》

 

 以前のわたしであれば無視してアサルトブーストを開始していた提案だけれど…

 

「まだ、あーかいぶ、あるかもね」

 

 せっかくだから、もう少し寄り道をしてみよう。

 

 

 

 

 

《レイヴン、あそこにあるのは…》

 

 先程行かなかった方向に向かう道中、一機目の鳥型機体と交戦した地点にコンテナを発見。スキャンが使えないので見落としていたようだ。

 

「ほんとだ、ありがとう」

 

 エアの提案がなければ見落としたままだったはず。早速確認しよう。

 

《お役に立て、て………これは…!?》

 

 コーラル内燃型ジェネレータ…[IA-C01G: AORTA]。コーラルの特性を利用しており、限界まで燃焼することで急激に回復するらしい。シースパイダーの無尽蔵にも思えたENはこうして成り立っていたようだ。

 

 シースパイダーの時も、エアはコーラルの動力化を憂いていた。

 

「もって、いくの、やめとく?」

 

《いえ…あなたの訳に…立つのなら…》

 

 …ここに置いたままにしておくと誰かが使ってしまうかもしれない。わたしが保管しておこう。

 

《ありがとうございます、レイヴン》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《レイヴン、あれが最後の制御装置のようです》

 

 寄り道を終えたわたしたちは本来の目的に戻る。

 

《これでウォルターとの通信も可能に…》

 

 

 

 

 

 ECMが停止。これで仕事は終わり…

 

〔62…聞こえ…か?聞こえるか?封鎖機構がそちらに向かっている。鉢合わせると面倒だ、早急に…〕

 

 アラートを聞いて飛び上がり、攻撃を回避。あれは…

 

《…ひと足遅かったようです》

 

 霧の向こうから現れたのは惑星封鎖機構の武装ヘリ。密航の時には危うく敗北しかけた相手だ。ヘリのローターで霧が晴れるのが助長されたことにより、LCも同行しているのが見えた。

 

〔…間に合わなかったか。まあいい、もはや正面衝突は避けられない相手だ。撃破しろ、621。後始末はこちらでやる〕

 

「りょうかい」

 

 交戦開始だ。

 

 

《レイヴン ザイレムに利用出来そうな防衛兵器を見つけました。支援が必要であれば アクセスしてみてください》

 

「ありがとう」

 

 

[恒常化プロセスA 防衛兵器起動]

 

《改竄完了、ザイレムの防衛兵器にあなたを友軍と誤認させました。これで敵の狙いも、ある程度は分散できるはず…!》

 

 エアの支援で起動した防衛兵器がLCや武装ヘリの攻撃を引きつけている隙にLCを撃破。武装ヘリに向かってアサルトブーストで接近し、パルスブレードを振るう。ヘリの装甲は堅牢だが、ブレード…つまりEN攻撃には弱いとオルクスは言っていた。

 

〔効いているぞ!畳みかけろ、621〕

 

 ショットガンで追撃を加えつつ、ENを回復する為一旦着地。飛び上がってパルスブレードで斬りつけACS負荷限界に追い込み、ショットガンでブレード冷却までの時間を稼ぐ。

 

〔そのまま押し切るんだ、621〕

 

 以前のようにオルクスの増援は見込めないが、今は上空の敵機に喰らい付く逆関節と高出力のジェネレータとブースターがあり、武装だって充実している。そして何よりも…

 

〔密航直後からお前の技量も上がっている、相手が悪かったと教えてやれ〕

 

 オルクス達から吸収した技術と知識がある。以前のわたしとは違うんだ。

 

 再度振るわれたパルスブレードはコックピットを両断。かつてわたしを苦しめた武装ヘリは、あまりにもあっさりと撃墜された。

 

〔…撃破したようだな。ECMフォグの停止も確認できている、これで友人の調査も進むだろう〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《…レイヴン。あの洋上都市では、古い時代の防衛システムが今でも作動していました》

 

 …やはりエアも同じことを考えていたようだ。

 

《それだけではありません、惑星封鎖機構も調査妨害に訪れた…洋上都市「ザイレム」とは…ウォルターの友人とは一体…》

 

 ザイレムに隠されたものの正体も、ハンドラーと友人の思惑も今のわたしに知る術はないが…

 

「わたしは、はんどらーの、こと、しんじてる」

 

 

 きっと彼は、わたしを切り捨てるようなことはしない。

 




出落爆発バーンスウィンバーン

ところでコーラルジェネってえっちですよね
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