転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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ウォルターの一人称が俺で、ラスティの一人称が私なの良いよね…


旧宇宙港襲撃/戦友

『たーまやー!』

 

 

 ルビコンの灼けた空に爆炎の華が咲き誇り、グリッドが崩落していく。

 

 

〔…ちょっとずれたか?まあでも大体計算どおりかね〕

 

 

 ザイレムの調査を終えたわたしの元に届いていた新しい仕事は大型ミサイル発射支援、執行部隊殲滅、特務機体撃破のみっつ。そのうち惑星封鎖機構へ攻撃を仕掛けるふたつの仕事は、片方だけしか受けることが出来なかった。

 この中から特務機体撃破を引き受け、「レイヴン」という名義への疑念を深めながらも封鎖機構の地上最強兵器カタフラクトを退けたわたしは、オルクスと共にカーラからの依頼で大型ミサイルの発射支援を今まさに終えた所だ。

 

 

《レイヴン…綺麗な花火ですね》

 

 爆発によって発生した眩いほどの炎に、わたしの心が揺さぶられる。

 

「うん…きれい、だね」

 

 気がつけば、エアの言葉へ素直な思いを返していた。心を揺さぶられる、なんて機能以外は死んでいるわたしらしくもない。

 

 …一度失ったものは完全には取り戻せないのだから、再手術すら受けていないわたしに心なんてものがある訳がない。それなのにオルクスの側に居ると、欠けた感情が補完されて道具でしかない自分が人間に戻ったように錯覚してしまう。

 

 

 

 

 

「きょうは、つきあって、くれて、ありがとう」

 

『ああ…俺もベリウス地方には用があったからな…』

 

 今回の作戦領域はウォッチポイントということでベリウス地方までわざわざオルクスを呼び出すのは申し訳なかったのだが、オルクスもちょうどこちらに戻っていたらしい。わたしひとりで3つ全てのミサイルを守り切れたかというと危なかったので、彼が来てくれて良かった。

 

 

 

 

 

 オルクスと共に中央氷原まで戻るつもりだったのだが、残念ながら彼にはまだベリウス地方でやるべきことがあるらしい。

 

 彼と別れて中央氷原まで戻ったわたしの元に、RaDから通信が入った。

 

 

 

[RaDのチャティ・スティックだ。花火会場では世話になったな]

 

 チャティ・スティック…今回の仕事にも参加していたRaDのシステム担当で、最近アリーナのシミュレータで最後に戦闘した相手でもある。

 

[ボスはお前とつるんでいると楽しそうだ。これからも相手をしてやってくれ]

 

彼は提案型AIにも関わらず必要なことしか喋らないとオールマインドからは解説されていたが、わざわざカーラのことについてわたしへ伝えるために通信をしてきたらしい。

 

[用件はそれだけだ、じゃあな]

 

 きっと、この頼み事が彼なりのカーラを支え楽しませる方法なのだろう。わたしよりも人間らしいAIだ。

 

 

 

 

 

〔やあ戦友、アーキバスから君に依頼だ〕

 

 わたしを戦友と呼ぶ爽やかな男性の声。V.IVラスティから仕事の連絡が届いていたようだ。

 

〔作戦立案者でもある私の上官からお言葉がある、まあ聞いてみてくれ〕

 

 

ーーーーーーーーーー

ヴェスパー第2隊長スネイルです

これより作戦内容を伝達します

私の直属で作戦行動に臨めること

光栄に思いなさい

 

これは惑星封鎖機構の2拠点に対して

同時刻、秘密裏に行われる急襲作戦です

襲撃目標のひとつは敵の部隊間通信を中継する

ハーロフ通信基地

もうひとつは強襲艦隊の母港として接収された

バートラム旧宇宙港です

 

通信基地の方は我がヴェスパーの

第4隊長ラスティが受け持ちます

彼が封鎖機構の通信網を混乱に陥れ

精鋭部隊による増援を不可能にする

 

独立傭兵レイヴン

貴方はその間に停泊中の強襲艦を

全て破壊してください

ーーーーーーーーーー

 

 

 相変わらず偉そうな男だ。通信を繋ぐ前にあのラスティがげんなりとした声を出していたのも納得がいく。

 

〔…この作戦には穴がある、通信網の混乱は一時的なものになるはずだ。こちらの仕事が片付いたら、救援に向かおう〕

 

 相変わらず随分と親切な男だ。親切なだけならオルクスも同じだが、彼からは常にこちらを試すような、あるいは見極めるような鋭さを感じる。

 

 とはいえ救援に向かうというのも事実だろう。信用に足る人物ではあるはずだ。

 

 

 

 

 

「第2隊長の態度は放っておけ、お前は自分の仕事をすればいい」

 

 黙り込んだわたしをハンドラーは第2隊長に苛立っていると解釈したらしい。いくらわたしでもあれほど露骨に下に見られて良い気がしないのは事実だが…

 

「じつりょくで、かちを、しめす」

 

「そうか…そろそろ出撃だ、準備を整えておけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ミッション開始だ、停泊中の強襲艦を全て破壊していけ〕

 

「りょうかい」

 

 

 

「コード15 侵入者を捕捉」

 

「基地全体に共有、脅威度の測定を開始する」

 

 崖上から飛び降りたわたしは、展開されている部隊をマルチロックしてプラズマミサイルを発射。ミサイルで対処しきれない残りはタンクによるブーストキックで轢き潰す。

 

「戦友、こちらは通信基地近傍で待機している。回線を繋いでおいてくれ、そちらの状況を見て仕掛けよう」

 

 まず動くのはわたしからという訳だ。作戦目標まで駆け抜ける。

 

 

「コード5 排除対象確認、対処する」

 

《封鎖機構LC機体です。レイヴン、応戦を》

 

 ショットガンで回避を誘発させてから2連グレネードで叩き落とす。最初の頃は機動力に翻弄されたが、的確に回避してくるからこそ狩りやすい。

 

 

 

「排除目標が強襲艦に接近」

 

「脅威レベル3から4と推定、やらせるな」

 

 建物の下で整備されている強襲艦にグレネードを発射…少し火力が足りないようだ。ショットガンで追撃して撃破する。

 

〔目標、残り4隻〕

 

「戦友、こちらで中継アンテナを破壊した。これで連中はしばらく外部との通信ができない、その間に作戦を進めてくれ」

 

 V.IVラスティも動き出したらしい、復旧される前に片付けよう。

 

 

 

「コード5 目標を確認、迎撃開始する」

 

「外部通信が途絶している…?どういうことだ!?」

 

 エアが位置を伝えてくれた戦闘ログ待ちのLCを混乱に乗じて片付けつつ停泊している3隻を撃破。

 

《あと1隻です、レイヴン》

 

「順調に進めているようだな、戦友。こちらも攪乱を続けているが…復旧対応が速い。この通信妨害は、長くは持たないと思ってくれ」

 

 この作戦の穴が露呈したようだ。やはりV.IIスネイルにとってわたしの存在は目障りということなのだろう。

 

 

 

「目標が強襲艦に接近」

 

「弾幕を張れ!近寄らせるな!」

 

 先程同様に戦闘ログ持ちLC2機を蹴散らして最後の強襲艦に接近。艦上の砲撃を躱しつつ同様の手順で撃破する。

 

〔621、目標を全てやったようだな〕

 

「…聞こえるか、戦友。封鎖機構の外部通信が復旧した。応援要請を受けた強襲艦がそちらに向かっている。私が着くまで持ちこたえてくれ」

 

〔止むを得ん。621、補給をしておけ〕

 

 やはりこれで終わりではなかったようだ。機体の修復と弾薬を補給し、増援に備える。

 

《敵性反応!上から狙われています!》

 

「コード5 排除対象が接近」

 

「対処しろ、本隊到着まで持たせる」

 

 アサルトブーストで上昇し、狙撃体勢のLCをグレネードで撃破。もう一機に接近して両手のショットガンを撃ち込む。

 

 

 

 

 

《2隻撃墜》

 

[システムより承認 強制排除執行]

 

 …LCや強襲艦など、次から次へとやってくる増援を撃破したものの、まだ終わりではないらしい。

 

 

 

 

 

 墜落した強襲艦を挟んだ向こう側に、2つの機影が降り立つ。片方はLCの改修型のようで大型のバックパックを背負っており、もう片方は重厚になったLCといった風貌で、大型の盾を装備している。

 

「コード15 排除目標を確認」

 

「消えてもらおう」

 

 1対2での戦闘になるかと思った矢先、敵機の背後からた内燃型ジェネレータ特有の橙色の噴射炎と共に機体が接近…

 

「相手は…上級尉官の執行機か」

 

 ACスティールヘイズ…V.IVラスティがわたしの隣に降り立った。

 

「待たせたな、戦友。久々の協働だ、助け合いの精神でいくとしよう」

 

 

 交戦開始だ。LCはいかにも空中戦が得意といった姿の為V.IVラスティに任せてまずは上級尉官の執行機を狙う。

 

「コード44 排除対象2機の情報を回してくれ」

 

[システムより回答

 企業所属 V.IV ラスティ 独立傭兵 識別名 レイヴン

 後者については登録情報との誤差を再照合中]

 

「妙な組み合わせだ」

 

「企業も傭兵に頼らざるを得ないということだろう」

 

 

 上級尉官の執行機はブレードを展開してこちらへ突撃。背後へクイックブーストで回避し、ショットガンで反撃。

 

《敵機を解析します。封鎖機構の執行機…LC高機動型およびHC型。それぞれ機動力と火力が脅威です》

 

「ありがとう、えあ」

 

 目の前の機体はHCと言うらしい。HCのパルスキャノンを通常ブースト移動で張り切りながらグレネードで衝撃を蓄積。ブーストキックでACS負荷限界に追い込んでからショットガンとキックを繰り返してダメージを蓄積。負荷限界から復帰した所へ更にグレネードで追撃を加えていく。

 

 

〔押しているぞ。畳みかけろ、621〕

 

「相手は上級の執行機だ。集中を切らすなよ、戦友…!」

 

「まずい、このままでは…!」

 

 動揺のせいか闇雲に突撃してきた所をアサルトアーマーでカウンター。ショットガンの斉射でHCを撃破。

 

 

「システム…報告を…コード78…脅威レベルE…」

 

《敵執行機、残り1機です》

 

[…コード78Eを受領、システムに上申]

 

 

 …引っかかる発言だが、今はラスティの方へ合流しよう。ラスティに集中している敵機の背後にグレネードを発射。

 

《敵機、損傷拡大しています!》

 

「あの速度でHCを片付けるとは…やるな、戦友。背中を預けるに相応しい」

 

「コード31A、大きな問題は…ッ!?」

 

 ショットガンでACS負荷限界。すかさずラスティがレーザースライサーで敵機を切り刻む。

 

 

「この…状況は…コード78E…送信」

 

 また78Eだ…いったいどんな意味が?

 

 

 

《敵執行機の撃破を確認…》

 

[システムの判断を通達します

 コード78Eを承認

 惑星封鎖に対する脅威現出と見なし

 IA-02の起動を許可します]

 

 IA-02…どうやらまだ何かが来るらしい。いったいなにが…

 

 

《この反応は…!?マーカー情報を送信、そちらの方角から何かが…地中から…来ます!》

 

 

 マーカーの方向を確認するため崖上から見下ろすと、確かに何かが蠢いているようだ…

 

 

〔これは…!〕

 

「なんだ…この化け物は…!?」

 

 地中から現れたのは巨大な芋虫。頭部は破砕機となっており、全身が装甲に覆われている。

 

〔621、よく聞け。そいつに攻撃は効かない〕

 

《レイヴン、回避に専念を!》

 

 ハンドラーの言う通り、V.IVラスティが攻撃を仕掛けても外殻に阻まれて弾丸が通っていない。ひとまず崖上は安全そうだ。

 

「これも…封鎖機構の兵器なのか!?」

 

《このコーラル反応…有人ではあり得ません。おそらくは自律型のC兵器…!》

 

 C兵器…シースパイダーの同類という訳か…!C兵器は旧宇宙港の施設や強襲艦の残骸を破砕して更地に変えていく。

 

「パターンが読めん…!退くべきか…!?」

 

〔生き延びることだけを考えろ、621!〕

 

 ハンドラーもV.IVラスティも普段からは想像出来ないほどの焦りを感じさせる声色だ。

 

 

 

 

 

〔…待て 何か様子がおかしい〕

 

 ハンドラーがそう言うや否やC兵器が動きを止め、振り返って何かを見つめる。

 

《行動パターンの変化を感じます。何か…より優先の…指令…集積コーラルの…防衛…?》

 

〔封鎖機構が…技研の遺産を抱えていたとはな。621、戻って休め。俺は、あれを片付ける算段を立てる〕

 

 現れた時とは逆に、地面を掘り進みながらC兵器が去っていく。ハンドラーもエアも何かに気が付いたようだが一体何が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …中央氷原からベリウス地方まで戻った俺は、オールマインドがわざわざ回収してくれていたエノメナの機体…つまり、彼女の遺体を引き取った。彼女の状態は…あまり言いたくない、かな…

 

 

 

 …ルビコニアンのやり方に合わせて彼女を弔った俺は、621に呼ばれて大型ミサイル発射支援に参加。621の前ではいつも通りの先輩として取り繕えていた…はずだ。

 

 621からは一緒に中央氷原に戻らないかと誘われたけれど、流石に彼女と直接対面した状態では取り繕うことなんて出来ない。ブランチにも顔を出しておこうと思っていたため、丁重に断らせてもらった。

 

 

 

 

 

『お二人とも、お久しぶりです』

 

「…弟子のことは残念だったな、オルクス」

 

「ちょっとキング…流石に直球過ぎるでしょ…!」

 

『いえ…良いんです、シャルト姉さん。悪いのは俺ですから』

 

「いや、独立傭兵をやっていればそういうことはどれだけ気をつけても…」

 

『2人とも忠告はしてくれていたのに、俺は目を逸らして…』

 

「そうだな、お前の言う通りだ」

 

「だから…!」

 

「…気にするなとは言わないが、それに縛られるな。その娘も、そんなことは望まないだろう」

 

『…そう、ですよね』

 

 …ハクティビスト集団としてやってきたことに反して、ブランチの2人の言葉は優しい。

 

 

「やっぱり、報復とか考えてるの?もし必要なら力を…」

 

『大丈夫です、それをした所でエノメナは戻って来ませんから…虚しいだけです』

 

 …一度失ったものは完全には取り戻せない、人生というのはそういうものだ。復讐の虚しさなんて、前世で見たコンテンツで散々思い知らされている。

 

「そう…なら良いわ…余り気負い過ぎないようにね…」

 

『…はい、ありがとうございます』

 

 

 

 

 

「またすぐに中央氷原に戻るんでしょ?」

 

『まぁ…そうなりますね』

 

「それについてだが、レイヴンも同行するそうだ」

 

『…えっ?』

 

「あいつもあいつなりにお前を気遣っているつもりなのだろうな」

 

 レイヴン先輩と…2人で向こうに戻るの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…お久しぶりです、レイヴン先輩』

 

「…………」

 

『…………』

 

「…………」

 

 2人で輸送機に乗り込んだものの、案の定会話はゼロのお通夜ムード…ムードもなにも雰囲気が本当にお通夜の俺と無口なレイヴン先輩の組み合わせなら必然的にそうなってしまうよな…!気まずい思いさせて申し訳ない…

 

『あはは…俺、ちょっと横になってますね』

 

 ここは眠って雰囲気を誤魔化そ…う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『!?!?!?!?????』

 

 …レイヴン先輩に膝枕されてるんだが…?頭撫でられてるんだが…?

 

『れ、レイヴン先輩…?』

 

「…………」

 

 やはり先輩からの返事は無いけれど…雰囲気が柔らかいような気がする。キングの言っていた通り、レイヴン先輩も俺を気遣ってくれているのだろう。

 

『…………』

 

「…………」

 

 …頭を撫でられるなんて何年振りだろうか。普段なら子供扱いするなと思う所だけど…悪い気はしない、かな…

 

 

 




おね(37歳)ショタ(21歳)

◯オルクス
『たーまやー!』(ハイライトオフ)
傷心の所に先輩の優しさが沁み渡る…
…その先輩お前の身体目当てだぞ

◯真レイヴンさんじゅうななさい
オペ子のポエムのせいでカッコつけた振る舞いを強要されている苦労人のコミュ障、レイヴンとして祭り上げられているうちに婚期を逃したため彼氏募集中
行き倒れていた好みドンピシャのオルクスを養うはずだったのに、少し目を離した隙に独立傭兵として自立された
氷原までデートが出来てご満悦

◯?????
遠くから新しい友人が訪ねてくる…
素敵だ…本当に心が躍ります
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