転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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◯ブルートゥ
オルクスがランク7に入るとラスティがランク10になってしまう…ということでラスティと交代でランク10に落とされた

今作で人を1番惨たらしく殺せるアセンは火炎放射器とチェーンソーを装備したミルクトゥースだと思います


オーネスト・ブルートゥ排除/破綻者達の輪舞曲

〔話は聞いてるよ、ビジター。アイスワームだったか?あんた…また技研の遺産に絡まれたみたいだね。あれに絡んで、ひとつ話がある。ブリーフィングで確認しておきな〕

 

 C兵器の襲撃を切り抜けてガレージへ帰還したわたしを出迎えたのはカーラからの通信だ。アイスワームについて言及してくるとは…RaDもコーラルを求めているのかもしれない。それが向精神薬としてのコーラルなのか資源としてのコーラルなのかは分からないが。

 

 

〔V.VIIIペイターです。旧宇宙港襲撃作戦の完遂、お見事でした。ラスティ隊長とスネイル閣下から言伝がありますが、そんなことよりあの化け物です。アーキバスとベイラムは停戦協定を結び、一時共闘についての交渉を進めています。ひとまずは合意が形成されるのを待ちつつ、今しがた発行した依頼を消化ください〕

 

 通信はもう一件。企業やルビコン解放戦線から直接わたしに依頼をしてくる機会も増えたものだ。

 

 アイスワームの撃破に関わるようなので、先にカーラの依頼を確認しておいた方が良いだろう。新たに解放されたアリーナを済ませてからブリーフィングを開始。

 

 

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早速だが本題に入ろう

あんたが絡まれた技研の遺産

…アイスワームについてだ

封鎖機構だけなら企業が手を組めば

なんとかなるかもしれないが

あの化け物は規格外だ

数で当たってどうにかなる代物じゃない

 

厄介なのは…そうだね

常時展開されているリアクティブシールド…

コーラルの指向性を応用したものだろう

通常兵器では太刀打ちできないと思っていい

 

そこでだ ビジター

私が…シールドをこじ開ける得物を作る

その手伝いも兼ねて仕事を頼みたい

場所はグリッド012

開発初期に作られた崩落寸前の区画だが

そこに私らを裏切りRaDを抜けた

救いようのないクズが隠れ住んでる

 

クズの名は「オーネスト・ブルートゥ」

ACミルクトゥースはうちで組んでやった機体だ

欠点は乗り手がクズなところだね

奴はRaDから金と技術と…

私がこっそり組んでた秘密道具を持ち逃げした

その秘密道具が…

アイスワームのシールドをこじ開けるのに必要なのさ

ーーーーーーーーーー

 

 

 シースパイダーといいカーラは随分とC兵器について詳しい。オールマインドのアリーナでやっていたように、技研のデータへアクセスしたのかもしれない。

 

 早速出撃の用意を整えるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリーナランク10の実力者であることと、RaDから技術を持ち逃げする狡猾さを危険視してカーラが依頼していたオルクスと合流。

 

『やぁ…後輩…今回もよろしく頼むよ。それにしても…これまた随分と導かれてるね…』

 

 彼がわたしの機体を「導かれている」と表現するのはこれで何度目だろうか?彼なりの褒め言葉のようなのだが…

 

 旧宇宙港襲撃の戦闘ログで獲得したプラズマ機雷投射機はブースターの近接適正に依存しないためタンク脚部と相性が良いと考えて2連装グレネードと換装。それに合わせて腕部を近接適正に長けるエルカノ製に戻した。

 

 

 

 

 

〔着いたねビジター!案内は私に任せな!〕

 

「ようこそビジターたち!このような僻地に2人も来て下さるとは…感激だ」

 

 なんというか、思っていたクズと違い、やけに紳士的だ。ドーザーにも関わらずこの態度ならカーラが懐に入り込まれたのも納得してしまう。

 

〔…ブルートゥ、あんたが盗んだものを返してもらいに来た〕

 

「おや…?カーラのご友人でしたか…素敵だ…ならば私にとっても友人同然です。新しいご友人…楽しい時を過ごしましょう」

 

 なるほど、会話が成立していない…紳士的なのは態度だけか。

 

〔…放っておきな、ビジター。最奥を目指すんだ〕

 

 

 

 どうやら惑星封鎖機構から防衛兵器が貸し出されているらしい。自律特攻兵器をオルクスのニードルガンで迎撃しながら、崩落した足場を渡ってブルートゥの元を目指す。

 

 

 

《レーザーセンサーに触れないよう注意を、敵機の起動制御に紐付いているようです》

 

「遠くから新しい友人が訪ねてくる…素敵だ…本当に心が躍ります」

 

『…レイヴン、これは独立傭兵ではなく人生の先輩としての忠告だが…対して仲良くないのに友人を名乗る奴は基本的にクズか利用してくるつもりの奴だ』

 

〔はぁ…その言葉、昔の私にも聞かせて欲しかったね〕

 

「…らすてぃ、も、そうなの?」

 

『…なんでそこでラスティ…あぁ…そうか。まぁ、最後に判断するのは君自身だ。上手く見極めてくれ』

 

 …わたしには難しい内容だが…2度目の通信でわたしの良き戦友を名乗ったV.IVラスティはともかく、ブルートゥはどう考えても彼の言う通りだ。

 

 

 

 レーザーセンサーを潜り抜け、トイボックスを仕留めながら進む。

 

「お待ちしていますよ、ご友人。私は貴方と上手に踊れるでしょうか?心配だ…けれどそれより…ずっと楽しみです」

 

 わたし達は彼を殺しに来ているのに、相手がこれでは調子が狂う…あるいはそれが目的なのかもしれない。

 

「スロー スロー クイック クイック スロー…スロー スロー クイック クイック スロー…待ち遠しいですね、ミルクトゥース」

 

《様子のおかしい人です》

 

「…そう、だね」

 

 

 

 

 

《シールドを展開している機体がいます、内側から攻めましょう》

 

〔可愛い我が子がスクラップになっていくのは見るに堪えないね。せめて景気良くやっちまってくれ、今後の製品開発に生かさせてもらうさ〕

 

 

 

 

 

 パルスプロテクション内部に突入して内部の敵を殲滅。この先はグリッドの屋内となる。

 

〔そこから屋内に入れる、ブルートゥの奴も近いはずだよ〕

 

《トラップには一層注意してください 閉所では危険性が高まります》

 

「友人ならば、もてなしたい…喜んでもらえたなら…素敵だ…」

 

 グリッド086の時もそうだったが、ドーザー流のもてなしは暴力的だ。

 

 

 

 

 

〔ビジター、そこから飛び降りたら終点だよ〕

 

 屋外への出口を抜けて下降。作戦目標はこの先のようだ。

 

〔…ブルートゥは掛け値なしのクズだ。気を抜くんじゃないよ〕

 

 

 

《ここは…何かの格納庫だった場所でしょうか?撃破目標のACが付近にいるはず》

 

 降下した先の区画は壁の数字が反転し、本来は床であったのであろう場所から巨大なキャノン砲らしきものが吊り下げられている。ブルートゥの姿は見当たらないが…

 

 

 

「ご友人!サプライズをさせてくれないのですか?」

 

 オルクスはブルートゥを発見していたようだ。

 

『…狂人に付き合ってやる趣味は無い』

 

 

〔ブルートゥ!〕

 

「カーラ…貴方はいつも私に新しい出会いをくれる…素敵だ…」

 

 言動からしてきっとカーラは何度も刺客を差し向けたのだろう。そして彼はその全ての「ご友人」を撃退した手練という訳だ。

 

〔黙らせてやりな ビジター!〕

 

 

 

『後輩、火炎放射には気をつけろ。気が付かないうちに削り取られた上にACSが異常を起こすぞ』

 

 そう言いながらもオルクスは炎の中を突っ切ってブルートゥを攻め立てる。言っていることとやっていることが噛み合っていないような気が…

 

 

 

「ジェネレータの甘美な調べ…ミルクトゥースも喜んでいます」

 

〔あのACはうちで組んでやった機体だ。侮るんじゃないよ、オルクス!〕

 

 カーラも普段と比べて強引なオルクスへ忠告をしているが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オルクス…あぁ、貴方がエノメナのご友人でしたか…!ミルクトゥースとレールキャノンがカーラを恋しがって啼いているように、彼女も最期に貴方を…」

『…黙れ』

 

 酷く冷たい声と共に振り上げられたチェーンソーは、ミルクトゥースの腕を切り落とす。

 

『…殺す』

 

 もう一度チェーンソーが今度は左へ薙ぎ払い、もう片方の腕も切り落としてミルクトゥースから両腕を奪いつつACS負荷限界へ追い込む。

 

『…殺す』

 

 ブルートゥのアサルトアーマーに対して後出しでオルクスもアサルトアーマーを展開。敵機は再度ACS負荷限界。

 

『…殺す』

 

 ミルクトゥースに馬乗りになったアンフォラL2は、そのままオーバーヒートを無視してチェーンソーのチャージを開始。

 

『お前は、ここで…』

 

 ミルクトゥースのコアへ押し当てられたチェーンソーの連続使用によって赤熱したブレードがじわじわと食い込んでいく。

 

『死ね』

 

 装甲を貫通したチェーンソーが、コアに突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔………死んだみたいだよ、オルクス〕

 

『ああ、そうか…死んだのか…あはは…』

 

 無理な連続稼働に耐えきれなかったチェーンソーをパージして、乾いた笑い声と共にオルクスが立ち尽くす。

 

『後輩の前だから、もう少し取り繕えると思ってたんだけどね…ダメだったよ』

 

〔オルクス…あんたにも、因縁があったようだね…呼ばない方が良かったかい?〕

 

『お陰で復讐できましたから…大丈夫。大丈夫、なんだけど…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あはは…やっぱり、復讐なんて虚しいだけだったなぁ…』

 

 わたしは、こういう時にどう声を掛ければいいのだろうか。

 

 

 

 

 

『貴方の可愛い子、あんな雑に扱っちゃいました…後輩も、取り乱して…ごめん』

 

 …そう言い残すと、血塗れのアンフォラは作戦領域を離脱していった。

 

 

 

 

 

《…オルクスがあそこまで感情を露にする人物…もしかして、恋人でしょうか?》

 

「…わたしたちも、かえろう、えあ」

 

 純粋過ぎる友人の発言が空気を読めていないことはわたしでも分かる。この話題はここで終わらせておくべきだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『情けないなぁ…』

 

 グリッド012を後にした俺は…エンゲブレド坑道とバートラム旧宇宙港の間で空を見上げる。

 

 カーラにブルートゥ排除を依頼された時はまだ堪えられていたし、先輩として取り繕えるつもりだった。ブルートゥの言動に調子を狂わされて…エノメナの名前が出た時に、決壊した。

 

 俺は大人(先輩)なのに、子供(後輩)の前で随分とみっともない姿を見せてしまった。

 

 

 

 ルビコンの灼けた赤色と俺も見慣れた青色が混ざり合うこの空がACVIをプレイした頃から好きで、これを見るためだけに旧宇宙港襲撃を繰り返していた。

 

 

 

『…この空も、見せてやれたら良かったのにな』

 

 彼女とは、レーションくらいしか一緒に食べたことがない。俺にとっては味気ないレーションも彼女にとってはご馳走だと言っていたからそのうちもっと美味しいものを食べに行こう、なんて言って…

 

 他にももっと、彼女にしてやれることはあった筈だ。もっと、彼女を知ることは出来た筈だ。もっと、やるべきことはあった筈だ。それなのに…

 

 

 

 

 

 …ルビコンから出る為の金は既に集まっている。それどころか余りの金があれば質素な生活くらいは送れるだろう。

 

 アイスワームの撃破で惑星封鎖機構が弱体化したら、俺はこの惑星を出るつもりだ。

 

 …621の戦いにおいて、俺は余計でしかない。俺が居なくたって彼女は必ずやり遂げる。だから、これ以上ここに留まることに意味はないんだ。

 

 

 

 

 

 俺は、ソフィーから逃げて…エノメナから目を逸らして…今度は621からも、離れようとしている。

 

 

 

 

 

『…本当に、情けないなぁ』

 

 さっきまで青かった空は、既に黄昏(NIGHTFALL)に染まっていた。

 

 

 

 

 




幕間.独立傭兵オルクスの鬱々な日々

【挿絵表示】

失ったものは、もう取り戻せない

◯オルクス
幼馴染も妹分も先輩の立場も、出来ることはあった筈なのに逃げてばかりで全部取りこぼした
どれだけ後悔した所で彼には次なんてないので、同じ過ちをまた繰り返す

◯エノメナ
オルクスという星に手を伸ばしたけれど、借り物の翼が灼け落ちてしまった少女
アネモネの花言葉は「儚い恋」




オルクスのお話は一旦おしまい。
次回、旧宇宙港防衛
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