転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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幕間1.独立傭兵オルクスのわくわくな日々
眠らぬ町の逢瀬編


多重ダム襲撃/愉快な遠足

 汚染市街での【移設型砲台破壊】を完了したわたしはハンドラーの意見に従い、オルクス…先輩の意見を取り入れながら機体構成を変更。

 

 右腕を教習で供与されたリニアライフルに持ち替え、空いていた左背部に双対ミサイルを載せたほか、FCSを第二世代型に換装した。ジェネレータもMTと大差ないという心許ない説明文だったので変えた方が良いかと考えたが、EN容量と出力が低くて玄人向けの性能というのでもうしばらくは同じものを使い続けることにする。

 

 

 僅かに使用感の良くなった機体とともにハンドラーの取ってきた【グリッド135掃討】、【輸送ヘリ破壊】、【テスターAC撃破】をこなしたわたしのもとに新たな仕事がふたつ届いたようだ。

 

 ひとつはルビコン解放戦線の治水拠点襲撃および変電施設の全破壊。ベイラム専属AC部隊「れっどがん」との協働になる。

 もうひとつもルビコン解放戦線の巨大兵器 武装採掘艦「すとらいだー」の破壊。ハンドラーが言っていたように、コーラル調査領域を拡大するための障害となるルビコン解放戦線は両勢力から侵略を受けているようだ。

 

 前回と同様、先に目に入った【多重ダム襲撃】を選ぶことにする。協働相手を余り待たせるのは心象が悪いだろうという考えもある。

 

 

 

「621仕事だ、ベイラム本社の作戦に参加する。ブリーフィングを確認しろ」

 

 

ーーーーーーーーーー

ウォルターから話は聞いているな!?

では作戦内容を説明する 一字一句聞き洩らすな!

 

今回ベイラムは解放戦線の治水拠点

ガリア多重ダムを叩き潰すことを決定した

ライフラインの破壊により

連中が泣いて詫びる損害を与えるのが目的だ!

 

我がレッドガン部隊からはG4ヴォルタと

G5イグアス 2名の役立たずが出撃する

 

貴様はその下

うちの役立たずに付けられた安いおまけだ!

おまけである貴様には一昨日空きが出た

ラッキーナンバー コールサインG13を貸与する

G13 復唱!

 

復唱したか!では準備を始めろ!

愉快な遠足の始まりだ!

ーーーーーーーーーー

 

 

 …喧しい人だった。ハンドラーやオルクスとは雰囲気が随分と違う。

 

 

「…G13か。また名前が増えたな、621。レッドガンの流儀を堪能してこい」

 

 …また名前の話か。そんなものが無くても与えられた意味は果たせる。仕事の時間だ。

 

 

 

 

 

[メインシステム 戦闘モード起動]

 

 

〔これよりベイラムグループ専属AC部隊レッドガンによる作戦行動を開始する。突入しろ!役立たずども!〕

 

 G4とG5と共に作戦領域であるガリア多重ダムに到着。G1の指示に従いまずは前線のMTを片付けていく。

 

「独立傭兵かよ、野良犬の世話をしろってのか。レッドガンも舐められたもんだ」

 

「関係ねえ、俺たちで終わらせればいい」

 

 G4とG5はどちらも粗暴な口調だ。オルクスが例外でAC乗りはこれが普通なのかもしれない。わたしは「ウォルターの猟犬」なのだから野良犬という表現は正しくないと思うのだが。

 

 

 企業部隊の番号付きということもありどちらも実力は確かなようで、次々とMTを撃破していくのを尻目に目標施設へパルスブレードを振るう。

 

〔目標1基撃破だ〕

 

「よう野良犬、お前のような木っ端は知らんだろうがな、俺たちレッドガンは「壁越え」にアサインされている。この仕事は慣らしだ、終わったら土着どもの要塞を落としにかかるのよ」

 

 …壁越えが何かは知らないが恐らく大きな作戦だろう。野良犬にそんなことを話してもいいのだろうか?

 

〔G5!おまけとの交流に余念がないようだな…ついでに仲良く刺繍でもしてそのよく回る舌を縫い付けておけ!〕

 

 案の定G1から怒声が飛ぶが…“ししゅう”とはなんだろうか?口止めの比喩?いや、作戦には関係のないことだ。二つ目の目標施設を破壊し周りのMTを片付けていく。

 

〔目標2基破壊〕

 

「やるじゃねえか、ズブの素人って訳でもねえな」

 

 口を開けば悪態や余計なことしか言わなかったG5とは違い、G4は口調こそ粗暴ながらよくこちらを観察し、素直に評価を述べている。恐らくG5のストッパーとして諌める役回りなのだろう。

 

「G4!一体いつ貴様が素人でなくなった?批評家はレッドガンに要らん、改めろ!さもなくば荷物をまとめろ!」

 

 …どうやらG1としては好ましくないらしい。ひとまずこれでMTは最後だ。

 

 

〔前線のMTも片付いたようだな〕

 

〔準備運動は終わりだ、続けるぞ!役立たずども!〕

 

〔変電施設はあと2基だ、先に進め621〕

 

〔遠足はここからが本番だ、気を引き締めてかかれ!〕

 

「チッいちいちうるせえな…」

 

〔G5!まだ舌が回るようだな…貴様の悪態がルビコンでも続くか見ものだ、腕の方も磨いておけ!〕

 

 またしても余計な発言でG5が怒鳴られている。通信で何度も怒鳴り声を聞かされたせいで頭が痛くなってきた。G5についていくとまた悪態をつかれそうなのでG4を追いかけて目標を破壊する。

 

 

 

 

 

「聞こえるか、強欲な侵略者ども!我々ルビコニアンが屈することはない、鉄の棺桶で送り返してやる。「灰かぶりて 我らあり !」

 

 最後の目標施設を目指していた所で解放戦線から通信が入った。

 

「ACが混じってやがるぜ」

 

「MTと大差ねえ、時代遅れのゴミだ」

 

「G4!貴様の性能も大差はない…自殺の予定がなければ気を引き締めろ!

 

 識別名はインデックス・ダナム。彩豊かな装甲のAC…バーンピカクスに搭乗する解放戦線の戦士らしい。

 

 重火器と体当たりで接近戦を仕掛けるG4とその背後から射撃で着実にダメージを与えていくG5…これまでの言動や性格とは対照的なコンビネーションで敵機を追い詰めていく2人の合間を縫うように中距離で立ち回り、隙を見てパルスブレードで一撃を入れていく。

 

「そこの独立傭兵…走狗となって満足か?殺し奪うだけの企業に与し、戦士としての誇りはないのか?」

 

 どれだけ高尚な言葉を並べようとも実力が伴わなければ無価値だ。G4のグレネードでACS負荷限界となった敵機をパルスブレードで両断。

 

「略奪者…どもめ…帥父ドルマヤン…申し訳…も…」

 

「敵ACの撃破を確認した」

 

「G13!おまけにしては悪くない働きだ!あとはカビの生えたダム施設を破壊しろ、家に帰るがまでが遠足だ!」

 

「やるじゃねえか」

 

「ケッ調子に乗るなよ、野良犬が」

 

 

 G4からは賞賛、G5からは悪態を受け取りつつ、最後の目標施設にパルスブレードを振るい作戦終了だ。

 

 

〔全目標の撃破を確認〕

 

〔役立たずも役立たずなりに役立つことが証明された、遠足はここまでだ!G13!貴様のナンバーは空けておいてやろう〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[新着メッセージ 1件]

 

 

 拠点へ帰投し、休眠モードを解除するとメッセージが届いていたことに気がつく。送り主は…G5イグアスだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

ケッ…調子に乗るなよ、野良犬

てめえなんぞ 数合わせで呼ばれただけだ

 

俺たちレッドガンは「壁越え」を果たす

せいぜい指をくわえて見ていろ

ーーーーーーーーーー

 

 

 …?こんなものをわざわざ送ってなんの意味がある?随分と苛立っているようだ。

 

 もしかしたら応援でもして欲しいのかもしれないと考え、返信をしておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 欲望渦巻く夜の町、グリッド077の人波を避けながら目的の場所へ進んでいく。

 

 

「そこのお前、この辺りでやけに身なりの良い傭兵を見なかったか?」

 

『身なりの良い傭兵…それならそっちの路地に駆け込んで行ったぞ』

 

「そうか、感謝する」

 

 別に庇ってやる理由もないので強面の兄ちゃんたちに情報提供。ノーザーク…今度はどこからいくら借りたのやら。

 

 

 …グリッド077。独立傭兵達にビジネスを見出したルビコニアン達やドーザーが集まった区画だ。酒場を開く者、ギャンブルやタバコ、コーラルドラックなど娯楽を提供する者、そして…

 

 

「その…傭兵のお兄さん、一晩どう…ですか?」

 

 

 …身体を売ろうとするいかにも貧しそうな少女を無視して進む。元現代日本人としてはあんな子供がそういう行為をするなんてと思わなくはないが…ルビコニアンたちの苦境を思えば…ね。だからといって手を差し伸べたりはしないのだが。彼女たちの客争奪戦は厳しいものだ。あの貧相な身体じゃそういう趣味の奴しか捕まらないだろうな…

 

 

 

 

 

 …目的地に到着。全体的に派手な店が多いこの区画においては珍しく落ち着いた店構えの酒場…俺の行きつけの店だ。

 

 もはや指定席となったカウンターの1番左奥に座り、店主にいつも通りの品を注文。少し早過ぎたか…ちびちびと酒を飲みながら人を待つ。

 

 

 

 

 

「待たせてしまったようですね、オルクス」

 

『今飲み始めた所だ、気にするな』

 

 実際は2杯目だったが、俺が早すぎただけで時間通りだ。これは悪い事をしたな。

 

 俺の隣に座ったのはこの区画には不釣り合いなほどきちんとしたスーツに樹大枝細な身体を押し込んだ独立傭兵…

 

 ケイト・マークソン(オールマインド)だ。

 

 

「早速本題に入り…」

 

『待てよ、酒場に来たなら一杯くらいは頼んだらどうだ?』

 

 酒場は酒や食事を楽しむ場所であって話をするためだけの席ではない。最低限の注文くらいはして金を落としてもらわないと。

 

「なるほど…確かに失礼でしたね」

 

 そう言ってケイトはこの店に置いてある1番高い酒を躊躇なく注文…この店の常連としてはありがたいけどこの区画での金持ちアピールはトラブルの元だぞ。

 

 

「そろそろ本題に入りましょう」

 

 しばらく無意味な雑談やら人の営みに紛れるための助言をした後にケイトが切り出した。

 

「貴方にはストライダーを破壊して頂きたいのです。計画を実行するにはストライダーの存在が障害となります」

 

 何のために呼び出したのかと思えば計画に関する仕事の依頼か。別に依頼自体は良いんだが…ここでする話じゃないだろう…

 

『…まぁ、アスレチック程度には楽しめそうだな。頭の片隅には置いておくよ』

 

 ストライダーは621が破壊するだろうし、俺が動くかは621の動向次第だな。僚機申請が来る可能性もあるが。

 

「それではまた会いましょう、オルクス」

 

『…送ろうか?』

 

「それには及びません。ですが、その気遣いには感謝します」

 

 アルコール度数も値段も高い酒を水のように飲み干したケイトは会計を済ませて店を出て行った。結局何がしたかったんだ…?もしかしてあのポンコツAI、義体のお披露目がてら酒場で情報交換するシチュエーションがやりたかっただけなんじゃ…

 

 

 酒と食事をのんびり楽しみつつ、他の客にケイトとの関係を揶揄われた後俺も会計を済ませて店を出た。

 

 

 

 

 

 …さっきの少女はまだ客を捕まえられていないのか半べそで途方に暮れている。ルビコンで生きるってのは厳しいねぇ…




◯621
人の心が分からないので無自覚煽りをキメた

◯イグアス
どう考えても煽りとしか思えないメッセージが届いたのでキレた
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