次はハード埋め…Sコンプとは言わずともfAに備えてAC戦の腕を磨いていきたい
その為にも困った時のコジマキャノン頼りはやめなきゃ
「レッドガンを…壊滅させるまでになるとはな…お前は仕事をした、ミシガンもそれは分かっている。ベイラムはルビコンから手を引いた、あとは政治家たちの仕事だろうが…」
ミシガンを殺して帰投したわたしへ、ハンドラーが声をかける。これでアーキバスの思惑通りベイラムを再起不能に至らしめた訳だが…それでもわたしは生きている。
「…コーラルが絡むと、死人が増える。過去から未来まで、変わらない事実だ」
……………
《………レイヴン。私たちは…争いの火種でしか、ありえないのでしょうか…?》
確かに今ルビコンで起きている争いはコーラルを巡って発生したものだ。それでも…
「えあたちは、わるくない、よ」
その火種に火を点けているのは、わたし達人間の欲望なのだ。
「621、仕事を再開しよう。レーザー障壁を解除したことで、さらなる深度の探査が可能となった。アーキバスからは、先行調査を継続しろとの依頼がひとつ。そしてもうひとつ、新たな依頼が来ている」
ーーーーーーーーーー
先行調査要員レイヴンに通達します
あなたの進行してきたルートを
密かに追跡している機体があるとの情報を得ました
コーラル調査においては
企業の要請に基づかない独断での突入は許容されない
発見次第速やかに抹殺するように
ーーーーーーーーーー
「死人が増えると言ったな。こういうことだ、621」
普段のスネイルと比べると高圧的な態度が弱いように感じるが…まぁ良いだろう。
《あなたを追跡している機体…解放戦線か、独立傭兵あたりでしょうか…?》
ブリーフィングで提示された画像は距離があり、機体から判断することは出来なかったが…アーキバスの目を掻い潜ってここまで忍び込むとは中々やるようだ。
細身のフレームに見えたがミドル・フラットウェルあたりか…?
…コーラルに興味がないという姿勢を貫いていたオルクスがわたしたちを欺いて来ている可能性は、無いと信じたい。
〔ミッション開始だ、封鎖されていた深度に降下していけ〕
「りょうかい」
ウォッチポイント・アルファ深度3、未だ火花を散らし、燃え続けている巨大高炉前の橋に到着。早速橋から降りて未踏領域の入り口を目指していく。
《レーダー障害が発生しています、活性コーラルによる干渉でしょう。あなたの目と耳が頼りです》
降下地点からはレーダーが使えないようだ。黒い結晶が至る所にある空間を抜けて更に降下。洞窟を進んでいくと、足元から妙な生き物が現れた。ミールワーム…なのだろうか?どことなく愛嬌のある見た目で可愛らしい。
《生体内部からコーラル反応…!?危険です!》
しばらく観察していると、先程まで緑色に発光していたミールワームが紅く輝き、爆ぜた。ルビコニアンはこんなものを食べて生きてきたのか…?
〔…こいつらもコーラルの味を覚えたようだな〕
流石に違ったらしい。コーラルを捕食してきた影響のようだ。
〔ミールワームの養育ポッドか 以前は稼働していたのだろうが〕
彼らの平穏を崩すのは本意ではないため、大量のミールワームを無視して進んでいくと開けた場所に出た。
《レイヴン、後方から機体反応。接近しつつあります》
…追跡者か。戦闘するならばこの広場で迎え撃つべきだろう。既に背後からはアサルトブーストの噴射音が聞こえている。
「独断で突入した傭兵を始末しろ、という話だったが」
敵機がこの空間に降り立ったようだが…この声は…
「なるほど…突出した個人は、もはや不要ということか」
敵機に向けて振り向く為に方向転換…やはりスティールヘイズか。
「そして、あわよくば不穏分子も共倒れ…上の連中の考えそうなことだ」
わたしも彼も、アーキバスにとっては目障りらしい。ここで潰し合わせるつもりか。
「このラスティには…ルビコンで為すべきことがある」
ラスティの頭部デバイスが光を増し、こちらを見据える。
「戦友…君はどうだ」
「……………」
彼の問いに、わたしはなにも言えなかった。
《ACスティールヘイズ、来ます!》
「踊らされるつもりもないが、いずれ避けては通れない道だ。行くぞ、戦友」
〔…互いが抹殺対象というわけか。621、まずは生き残れ。それがお前の…今すべき仕事だ〕
…わたしにはまだやるべき仕事が残されている。今は迎え撃つしかないだろう。
一直線に間合いを詰めてくるV.IVラスティのレーザースライサーを回避し、振り抜いた隙にレーザーランスで反撃。ショットガンで追撃を与えてACS負荷限界。動きを止めたスティールヘイズに回転体を投射し叩きつける。
「変わらないな、君は。死ぬことも…殺すことも、恐れていないようだ」
…彼の言う通りだ。仕事の邪魔になるのならば殺す。それで仕事を果たせるのならば命を捨てる。わたしにとって命の価値とは、仕事を果たすことよりも下にある。ハンドラーに与えられた意味を果たすことがわたしの全て。そこに躊躇はあっても、恐怖は無い。
プラズマ機雷投射機とショットガン、スタンニードルランチャーで牽制しつつレーザーランスを直撃させる隙を伺うが、機動力に優れるスティールヘイズは縦横無尽にエリアを駆け回り手数に優れるハンドガンとライフルでわたしの機体へ負荷を蓄積させていく。地上戦に特化したわたしの機体ではやや分が悪いか…
「どうした、そんなものではないだろう」
今度はわたしがACS負荷限界。レーザースライサーがわたしの機体を切り刻む中でアサルトアーマーを発動。逆にACS負荷限界へ追い込む。
「…敵に回すと実感するよ。君の強さと、そして危うさを…!」
動きを止めた敵機へレーザーランスを直撃させる。内蔵ブースターの推力が上乗せされたEN刺突が、スティールヘイズのコア右側に甚大なダメージを与えた。
「やるな…だが問題は、その強さじゃない。幾度か機体を並べたが、私には いまだ見えずにいる。戦友、君に引き金を引かせるものは何だ?」
…わたしに引き金を引かせるのはハンドラー、あるいはエアだ。2人の選んできた仕事を受けて、わたしは戦っている。なぜならわたしは、望まれたことを望まれた通りに果たすだけの道具なのだから。
「流石だな…」
投射された回転体が直撃し、怯んだスティールヘイズの右腕を吹き飛ばした。レーザーランスに貫かれて風穴の空いたコアを見るに、限界は近いだろう。
「だが、終わるわけにはいかない」
追撃に移ろうとした所で敵機の背面が展開したのを確認、距離を取る。
「…戦友。理由なき強さほど、危ういものはないぞ…!」
アサルトアーマーによって視界が遮られる。その爆心地にスティールヘイズの姿はなく、波打つ水面だけが残されていた。
《スティールヘイズ、機体反応消失…撤退したようです》
〔よくやった、621。追う必要はない。今は…先に、進むことだ〕
…戦闘は終わった。だが、彼の言葉が頭から離れない。どれだけ機能を取り戻して人間に近づこうとしたところで、結局のところわたしは言われるがままに動くだけの空虚な人形でしかない。オルクスから学んだものも、所詮は真似事。V.IVの言葉は、わたしの本質を言い当てている。
ーーーこの惑星でコーラルを手にすれば、わたしのような、脳を焼かれた独立傭兵でも人生を買い戻すだけの大金が得られる
これは、ハンドラーに与えられた理由だ。
ーーー戦う理由を自ら選び、そのために強く羽ばたくこと
これは、エアがいなければ知ることも無かったレイヴンの理想像だ。
ーーーオルクスに歌を教わって、美味しいものを食べにいく
これも、オルクスの望みの真似事だ。
「わたし」を構成するものなど、ひとつも持っていない。
…落ちる。
《コーラル集積反応は…この大穴の下から来ています。進みましょう、レイヴン》
…落ちる。
《反応が…近い…》
…落ちる。
《これは…!?アイビスの火以前の…》
…落ちる所まで落ちたその先に待ち受けていたのは、地底に広がる広大な廃都。
〔ルビコン技研都市…やはりか、探しても見つからないわけだ〕
ハンドラーは、この廃都について知っているらしい。
〔企業が動き出す前に手を打つ必要がある…戻って、休め〕
彼は何かを隠している。その真相は未だ謎だが…コーラルを手に入れるだけでないことは、もはや明らかだ。
《レイヴン》
エアが、わたしの名前を呼ぶ。
《私には、はっきりと見えています。コーラルの…同胞たちの声が》
その声は、わたしにも見えている。きっと、呼ばれているのだ。
《………アイビスの火に飲み込まれ消えた同胞たち。そのわずかな生き残りが、長い時を経て再び群れを形成した…》
《………ウォルターから、連絡が来ているようです。確認してみましょう レイヴン》
〔仕事の前に、ひとつ昔話をしよう〕
ハンドラーらしくない、不自然な話の切り出し方だ。
〔ある科学者がいた
家族を捨てコーラルの研究に没頭した男だ〕
〔狂った成果が山ほど生み出された
強化人間もそのひとつだ〕
〔善良な科学者もいた
男の罪を肩代わりし
全てに火を点け…
…そして満足して死んだ〕
彼が語ったのはわたし達と、アイビスの火のルーツだ。これは…彼が見てきたものなのだろうか…?
〔…この話には教訓がある〕
〔一度生まれたものは、そう簡単には死なない〕
〔621、昔話は終わりだ。仕事を始めるぞ〕
ハンドラーが、いつもの様子に戻った。
…わたしの仕事も、終わりは近い。
『…そろそろ行かなきゃ』
『…お別れだ、エノメナ』
『…結局、最後まで側にいてやれなくて、本当にごめん』
…もうすぐ、ルビコン3星系脱出の用意が整う。
ソフィーから逃げて、エノメナから逃げて、621から逃げて…
今度は、このルビコンからも逃げるのだ。
罪悪感はある。原作知識を自分の為以外にも使えば、何か変えられるものはあったのかもしれない。
それでも、俺は動けなかった。
俺が余計なことをしたせいで、より酷い結末を迎えてしまうことが恐ろしかったんだ。
…俺が居なくたって彼女は必ずやり遂げる。だから、これ以上ここに留まることに意味はない。
ここで星外に出ておけば、彼女が全てを燃やして1人になってしまった時に寄り添えるかもしれない。そうすれば、俺がいることにも意味がある。
そう自分を正当化して…結局また逃げるんだ。
[通信が入っています]
『……………』
…俺が居なくたって彼女は必ずやり遂げる。だから、これ以上ここに留まることに意味はない。
分かっていても罪悪感は消えなくて…
だからこそ、俺は後悔を拭う機会に飛びついた。
自分がここにいることに意味を求めて飛びついてしまった。
だから…
幕間.独立傭兵オルクスの過ち
『…俺が余計なことをしたせいで、より酷い結末を迎えてしまったんだ』