転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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6/21にギリセーフ…!

地獄への道は善意で舗装されているChapter5、はっじまっるよー!


Chapter -6
脱出/夜明け


「っ…いたい………!」

 

「ゆるし、て………」

 

「くる…し…い………」

 

「やめて…ください…」

 

 スタンニードルランチャーによる奇襲を受けてアーキバスの虜囚となったわたしは再教育センターに送られた。視界を覆われて丈の長い汚れたシャツ一枚だけを着せられた状態で、牢の壁際に枷で拘束されている。

 

 飼い主ひとり守れなくて何が猟犬だ…ここにきたときにV.IIに言われた駄犬という言葉を、今のわたしには否定出来ない。

 

 

 

 ここに来てからどれほどの時間が経ったのだろう。

 

 再教育の名目で拷問紛いの暴力を振るわれ、罵倒され、薬品を打たれ…抵抗の意志も、脱走する気力も、身体の自由も奪われた。わたしに出来ることは、少しでも気を損ねないように従順に耐え続けることだけだ。

 

 エアのお陰でなんとか正気だけは保てているが、これももう曖昧で、いつまで持つのか分からない。かといって這いずって動くことしか出来ないこの不自由な身体でどうやって脱出すれば良いのだろうか。

 

 

 

 人から悪意をぶつけられることが、こんなに苦しいだなんて知らなかった。ハンドラーも、エアも、オルクスもわたしには好意的で…敵対したミシガン総長とV.IVラスティもわたしへの悪意はなかったから。

 

 こんなことなら、感情も感覚も取り戻さなければ良かった。機能以外は全て死んだ強化人間のままでいれば、こんなに苦しむ必要はなかった。

 

 

 

 とっくに時間感覚など失われてしまったが、あとどれほど耐えればこの苦痛に終わりが来るのだろうか。いっそ…屈してしまえば楽に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …がちゃがちゃと音を立てて乱雑に牢の扉が開かれ、今日もまた再教育の時間が始まる。部屋に入ってきた人物が、わたしの視界を覆っていた布を外した。

 

 

 

『やぁ…後輩』

 

 

 

「おる…くす…」

 

 

『大丈夫…ではなさそうだけど、よく頑張ったな…!』

 

 わたしの前に、オルクスがいる。彼はとっくに星外に出たはずじゃ…

 

「なん…で…?」

 

『君のことを頼んだと…ハンドラー・ウォルターに託されたんだ』

 

 わたしの拘束を手際よく外していきながら、彼がここにきた経緯を語っていく。

 

『もっと早く来られたら良かったんだが…ACもアンフォラMR以外売り払って傭兵ライセンスも失効してるものだから随分と準備に時間が掛かってしまった。本当にすまない、俺がもっと早く決断出来ていれば…』

 

「きて…くれて…ありがとう…」

 

 彼が謝る必要なんてどこにもない。彼がいなければ…わたしはきっと…

 

『お礼は君の友人に言ってやってくれ。友人の助けでセキュリティに干渉してもらわなければここまで順調にはいかなかった』

 

 わたしの友人…ということは…

 

《お待たせしました、レイヴン》

 

「エア…も、ありがとう」

 

《オルクスが来ていなければ…私には何も…》

 

 しばらくエアの声が見えないと思っていたけれど、わたしを助けに来たオルクスを支援していたらしい。

 

『…増援が来る前にACに戻るぞ。傷に響くかもしれないが、我慢してくれ』

 

 オルクスに背負われて移動を開始。久しぶりの人の温もりに涙が溢れてしまう…再教育の影響で、皮肉にも感情が現れやすくなってしまったみたいだ。

 

 

 

 オルクスが来たのであろう道を引き返して行く道中には、多くの再教育センター職員が倒れている。ほとんどが背部から出血している所を見るに、不意打ち(致命の一撃)で仕留めてきたみたいだ。

 オルクスの体格だと白兵戦は向いていなさそうなので妥当な戦術だと思う。これだけ背後が取れたのもエアの助けなのかな?

 

 

 

《レイヴン、あなた宛てのメッセージを見つけました…暗号化を解除、再生します》

 

 …下水道に入った所で、エアがメッセージを聞かせてくれる。

 

〔621、これはある友人からの…いや…この俺からの、ごく私的な依頼だ〕

 

 聞こえてきたのは最早懐かしいハンドラーの声。わたしの守れなかった飼い主からのメッセージだった。

 

〔お前は気付いているだろう。コーラルの潜在的な危険性を。アイビスの火で焼失したはずのコーラルは、しかし生き残り、集まり…ゆっくりと自己増殖を続けていた〕

 

「……………」

 

〔集積したコーラルは指数関数的に増殖を速め、やがてはルビコンから溢れ…宇宙に蔓延する汚染となるだろう〕

 

 ハンドラーが語るのはコーラルの内包する危険性。

 

〔その前に…コーラルを焼き払う必要がある。それが、かつて星系を飲み込んだ大火を再現することになったとしてもだ〕

 

 そして…ハンドラーがずっと隠してきた、真の目的。

 

〔これは、ハンドラーとしての指示ではない。俺が死んでいった友人たちから受け継ぎ、お前に託さんとする…ひとつの依頼に過ぎない〕

 

 それは、コーラル集積地に辿り着いた時に伝えられる筈だった最後の依頼。

 

〔621〕

 

 ハンドラーが猟犬の…いや、ウォルターがわたしの名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

〔火を点けろ〕

 

 

 

〔燃え残った全てに〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《…レイヴン。ウォルターの考えていたことが…ようやく分かりました》

 

 ウォルターがわたしに託した使命は、エアとは相容れないものだった。

 

『…ウォルターには俺も恩がある。彼のことも…助けられたら良かったんだがなぁ…』

 

 後悔の滲んだ声で、オルクスが呟いた。オルクスが…ハンドラーに…?

 

『ここまで来たんだ。俺は君の選択について行くよ、レイヴン。その為にも…俺の最初の仕事として、君を自由にしよう』

 

 オルクスが足を止めた。見上げると、そこにあった機体は…

 

「ないと…ふぉーる?」

 

 …あぁ、やはりオルクスがレイヴンだったのか。そして彼もきっと…わたしと同じなのだろう。

 

「おるくすは…れいゔん…だったんだね」

 

『えっ…違…この機体は…そう!でっ、デイブレイク(夜明け)デイブレイク(黎明)だから全く違うんだけど、なんでそうなるの…!?』

 

 …隠し事、下手だなぁ…レイヴンについて知っているも同然の反応だ。

 

『い、今はそんな話をしている場合じゃないから…早く脱出するぞ』

 

 

 

 

 

  [メインシステム 戦闘モード起動]

 

 オルクスの機体に乗せて貰い、メインシステムが起動。

 

『安全運転で行くが、限界はある。しっかり掴まっていてくれ』

 

 ヘルメットを被り。オルクスにしがみつく。

 

「…うん」

 

 

 

 

 

「AC!?なんだ…どこから出てきた!?」

 

『いつの間に忍び込んでっ………』

 

 見張りをしていたMTをバーストライフルとバーストハンドガンが撃ち抜く。

 

『アーキバス製フレームが用意出来れば友軍と誤解させて混乱を招けたんだがなぁ…流石にアンフォラで突撃する訳にはいかないし…』

 

 ぼやきながら打ち出されたパイルバンカーが4脚MTを一撃で葬った。下水道を抜けて縦穴を上り、地上に出る。

 

 

 

《ここは…技研都市の郊外…?》

 

「こちらV.VIペイター、警備部隊各員に通達します。再教育中の独立傭兵レイヴンが何者かに奪取されたとの報告が入りました。技研都市周辺に潜伏している可能性があります。各員は警戒を厳としてください」

 

『やっと厳戒態勢に入ったか…アーキバスの奴ら、温すぎる』

 

 オルクスはわたしに負担をかけないよう、交戦は避けつつ最低限の動きで敵機を撃破し先へ進む。

 

 

 

[オルクス、そちらは順調なようだな。そのまま合流地点を目指してくれ]

 

『了解した、先を急ぐ』

 

《この声はRaDの…ウォルターの使命とカーラには…やはり何か関係が…?》

 

 オルクスはカーラ達とも協力関係にあるらしい。共通点があるとしたらやっぱりウォルター…なのかな?

 

 

 

「コアは狙うな! 生け捕りにっ…!?」

 

「手加減できる相手ではない…!」

 

「報告はどうにでもなる!殺すんだ!」

 

 敵機と交戦しているにも関わらず随分とわたしは快適だ。コックピットの揺れを最小限に抑えつつ交戦するなんて凄まじい機体制御…

 

 

 

『こちらオルクス、合流地点に…』

 

《!?敵性反応!》

 

「独立傭兵レイヴンを乗せていると思われる機体を発見!包囲する!」

 

 目の前の崖から輸送ヘリが現れた。数機は出会い頭に仕留めているが、それでも数が多い…

 

「V.VIペイターより通達!スネイル閣下よりご指示を頂きました。抵抗が激しい場合は殺害も許容されるとのこと、撃破は必達です。各員奮闘を!」

 

《レイヴン…!いくらオルクスでも流石にこの数では…!?》

 

『…悪いが少し揺れるぞ、もう一度言うがしっかり掴まっててくれ』

 

 バーストライフルをチャージしたオルクスが前方にブースト移動しながら旋回し、両腕の武器でバースト射撃。旋回によって弾道のブレた弾丸が、MT7機のカメラを撃ち抜く。

 

『外しはしない…!ってね』

 

 包囲を破ったオルクスは離れた敵に散布型ミサイルを放ち、残りも射撃で仕留めていく。

 

『これで終わりかな…頭痛い…鼻血止まんない…』

 

 流石にあの気持ち悪い射撃は何度も出来るものではないらしい。というかあれが何度も出来たら誰も勝てない。

 

「面白いものを見せてもらったよ、オルクス。私が助けに入るまでもなかったようだね」

 

『楽しんでもらえたなら何よりだが…後輩の状態が思った以上に酷い、早く引き上げよう』

 

「身体の状態ならあんたも大概だよ、ビジターの元へ向かう為にどれだけスピードを出したんだい…」

 

『ちょっ…そういうのは黙っててくれても…』

 

[ヘリを回そう、ビジターの機体も…一応、取り戻してある]

 

「…ビジター、オルクスをベッドに叩き込んで一息ついたら話をしようか…ウォルターのことさ」

 

 …オルクスはわたしのためにとことん無理をしてくれたみたいだ。感謝してもし足りないなぁ…




◯デイブレイク

【挿絵表示】

ブランチの予備パーツで組んだナイトフォール
ライフル、マシンガン、パイル、ミサイルという構成で汚染市街版に寄せつつWトリガーできるようにしてみた
本家と異なりアーキバス系列やBAWS製品も組み込まれているので癖が少なく扱いやすい…と思う

◯621
・レイヴンのライセンスを譲る時にオペ子と似たことを言っていた
・ナイトフォールに乗って助けに来た
・機体操作のクセが一致している
・レイヴンか、という問いに動揺している
→オルクス=レイヴン
・ウォルターに恩がある
・ウォルターの猟犬であるわたしに親切だった
・ハンドラーを助けられなかったことを惜しんでいる
→オルクス=人生を買い戻したウォルターの猟犬

→オルクス=レイヴン=ハンドラーの猟犬

◯ハンドラー・ウォルター
オルクス…お前は星外に脱出するそうだな…
情報戦の得意な621の友人がルビコニアンか企業所属かは知らないが、この先敵対せずに側にいてやれるとしたら独立傭兵であるお前しか居ない…
(星外に出た後の)621を頼んだ

◯オルクス
ACfAOPのホワイトグリント的なくるくる射撃
近接射撃が得意、オオサワにコツを教えてあげるべき
Gを無視してABで駆けつけたし、なんなら数発撃たれてる

(俺に何かあれば)621を頼んだ
→企業の虜囚になった後は頼むってことだな…任せてくれ

◯おまけ 脱出ALT
ーーーーー
TIPS デイブレイクでの出撃

このミッションでは
通常とは異なる機体で出撃することになる

性能は悪くないが 後輩の負担を考えると
クイックブーストとアサルトブーストは使えない
敵の攻撃には気をつけて進もう
ーーーーー
ゲーム的には実質オルクスを操作するミッション
ノンチャパイルに近接推力が乗らない他、垂直射出式カタパルトも使用出来ないのでそれなりに面倒
オルクス視点なので被弾などで心の声も聞こえる
なのになんでエアから621への交信も見えるんだろうなぁ…
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