転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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誰もが、生きるために戦っている
この戦いの向こうに、答えは有るのか


無人洋上都市掌握/答えの為に

 RaDまで戻ったわたしとオルクスは治療を受けてベッドに放り込まれることになった。

 

「戻ったようだね、ビジター。あんたの機体だが…ダメージが酷くて使える状態ではなさそうだ…」

 

 ヴェスパー部隊に加えてアイビスシリーズとの連戦…そこに放電による強制システムダウンまで重なったのなら仕方ないことなのかもしれない。

 

「あんたの拠点もアーキバスに荒らされているから、今から戻るのは得策じゃないだろう…」

 

『それなら後輩はデイブレイクを使ってくれ。俺にはアンフォラMRも残っているからな』

 

「ありがとう」

 

 どう機体を用意したものかと思ったが、隣のベッドで寝かされているオルクスが機体を譲ってくれるのならなんとかなりそうだ。RaDの探査用フレームを使用したACには乗ったことがあるから問題ないだろう。

 

 

「…あんたは生き残った。ウォルターは賭けに勝ったってわけだ。いいだろう、あんたらには私らの使命を明かすことにする。次の作戦はそのための布石だが…今は心と体を休めな」

 

「…わかった」

 

 

 

 

 

 カーラは部屋を出て行った。ここにいるのはわたしと、オルクスと…

 

《宇宙に蔓延する汚染…星系を飲み込んだ大火の再現…》

 

 そして、エアだけだ。

 

 

 

 宇宙に蔓延する汚染…破綻を回避する為には星系を飲み込んだ大火を再現してコーラルを焼き払う必要があると、ウォルターは言った。

 

 アイビスの火の再現…もしもそれを実現すれば多勢が死ぬことになる。ルビコニアンが…この星に進出している企業が…そして、コーラルの織りなす波形であるわたしの友人…エアが。

 

 

 

《レイヴン》

 

 エアが…わたしの名前を呼ぶ。

 

《私は…人とコーラルの可能性を守りたい》

 

 彼女は、自分の望みを語る。

 

《…カーラたちの使命を聞いた後…あなたの答えを聞かせて下さい》

 

 

 

 ウォルターに託された最後の依頼と…エアの望み…その狭間にわたしはいる。選択を、迫られている。

 

 

 

 

 

『後輩…これは、俺の持論なんだが』

 

 そう前置きをして、戸惑うわたしへ顔を向けながらオルクスが語り始める。

 

『…誰もが、死ぬために生きている』

 

『そこに、本人の意思が関わる余地はない。生きている以上、死からは逃れられない』

 

『だからこそ、俺もあの()も、君もその友人も、誰の為でもなく自由に…』

 

生きる為に戦い(好きなように生きて)答えの為に死ぬ(好きなように死ぬ)。それができたなら理想なんだろうな』

 

『まぁ…()にはそれが出来なかったんだけどね』

 

 

 

『まだ難しかった?…言葉を飾ることに意味はないっていうのに長くなってしまったな。こんなボロボロの状態じゃカッコつけても意味ないだろう。まぁ要するに…』

 

『レイヴン』

 

 彼が、わたしの名前を呼ぶ。

 

『君には…選び戦えるだけの意志と力がある』

 

 

 

『俺が、君の辿り着いた答えの力になれたら嬉しいな』

 

 彼はきっと、どんなわたしの選択も肯定してくれる。そう背中を押されたようなような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「体調は万全みたいだね、ビジター達…早速だが、昔話をしようか」

 

 数日後、回復したわたしたちは早速ブリーフィングを開始した。

 

「アイビスの火が この惑星を焼き尽くしたあと…決して表には出ない、ある組織が作られた」

 

「観測者たちの結社「オーバーシアー」…コーラルの増殖傾向を測り「破綻」が訪れる前に…焼き払う。それが使命だ。私やウォルター…そして死んでいった「友人」たちのね」

 

「RaDは退屈しない隠れ蓑だったが、いよいよ本来の仕事をする時が来たってわけさ」

 

 エアによると技師とハッカー達を引き連れて、3年前にRaDに加わったって話だったけれど、彼らもオーバーシアーの構成員という訳だったみたい。

 

 

 

「本題に入ろうか」

 

『…仕事だな。任せてくれ』

 

「あんたらもザイレムは知っているだろう、技研の作った洋上都市だ。あそこは来たるべき破綻への備えとして、ちょっとした機能が隠されてる。そいつが今の状況には必要なのさ」

 

 ウォルターの友人からの依頼は、それを確認する為の調査だったみたいだ。

 

「RaDの技術者が総がかりでザイレムのコントロールを奪いに行く。あんたらにはしゃしゃり出てくるに違いないアーキバスの相手を任せたい」

 

「…りょうかい」

 

 

 

 

 

 オルクスに譲られたデイブレイクに乗り込み、ザイレムへ向かう。

 

「観測者たちの結社「オーバーシアー」…コーラルを焼き払う…使命…」

 

 エアに…わたしから言ってあげられることはない。今かけられる言葉は、どれも無責任なものだから。

 

 

 

 

 

「始めるよビジター!配置につきな!こっちの仕事が終わるまで、あんたらにはあのタワーを守り切ってもらう」

 

 作戦領域であるザイレムに到着。メインシステムを起動。

 

 

  [恒常化プロセスK シールド展開]

 

 

[ボス、手始めに防衛システムの一部権限を奪った]

 

「上出来だチャティ、こいつで時間を稼ぐとしよう」

 

『行こうか、後輩』

 

「…うん」

 

 

 

 ザイレム制御タワーの前で、オルクスと共にアーキバスの部隊を迎え撃つ。

 

「配置についたようだね。チャティ!システム掌握までかかる時間は?」

 

[5分で終わらせる。企業勢力は…]

 

《…敵性反応、アーキバスMT部隊です》

 

 正面から輸送ヘリが接近しているのが見える。

 

「…せっかちなお客さんだよ。ビジター、早速だが迎撃を頼む。あんたのおもてなしを見せてやるんだ」

 

 オルクスのアンフォラMRから放たれたミサイルが敵機を一掃。

 

《…いま思い悩んでも意味はない、レイヴン…サポートします!》

 

「タワーに近寄らせるんじゃないよ、ビジター!」

 

『俺は向かって右側を片付けよう、後輩は左側を頼んだ!』

 

 オルクスの指示通り、三方向からタワー目指して接近するMTや輸送ヘリを手分けして仕留めていく。

 

 

  [恒常化プロセスB1 プラズマ砲台待機]

 

 

[支援砲台を起動できるようにした、手が足りなければ使ってくれ]

 

『助かる…有効活用させて貰うよ』

 

 

 

 一通り片付けたため支援砲台を起動。ここまではMTのみでの攻撃だったアーキバスの次の一手に備える。

 

 

  [ザイレム制御システム 中級管理権限移行]

 

 

[あと3分はかかる。持たせてくれ、ビジター]

 

《今度は狙撃部隊です!》

 

『ここまでは様子見だったという訳か…行くぞ、後輩』

 

「蹴散らしてきな、ビジター!」

 

 支援砲台が接近してくるLCを撃ち落とすが、数が多い。砲台を切り抜けて建物の上に着地したLCはわたしたちで片付けていく。

 

『これだけの数を用意してシールドにすら傷をつけられないとは…鹵獲された封鎖機構も泣いていることだろう』

 

 

 

[上級権限まで手がかかった、あと2分で終わらせる]

 

「…待ちな!飛んでくるあれは…!」

 

《生体反応なし、自律特攻兵器・・・!?》

 

『容赦ないな…俺がアサルトアーマーで纏めて吹き飛ばす!討ち漏らしは頼んだぞ、後輩!』

 

「まかせて…!」

 

 接近してくる特攻兵器が、そのままオルクスのアサルトアーマーに飲み込まれていく。パルス爆発を逃れた数機を両腕の射撃武器で片付けた。

 

 

 

《増援!数が多い…》

 

 特攻兵器を凌いだわたしたちだが、今度は3方向の道路全てから敵が押し寄せてくる。

 

「随分と人気じゃないか…あんたらにサイン待ちの行列ができてるよ」

 

『厄介ファン共が…風呂に入ってから出直してこい…!』

 

《レイヴン 高火力型LCです!》

 

「まったく…あんたらも大変だね。オルクスは自己責任だが、ビジターの方はウォルターのやらかしだ、あんたの名前を売りすぎたのさ」

 

『…LCはまずい…近づかれる前に2人で叩こう!』

 

「りょうかい」

 

 オルクスのパルスブレードとミサイルで姿勢を崩したLCをわたしのパイルで穿つ。これで残るは大量のMTだ。

 

 

 

  [ザイレム制御システム 上級管理権限移行開始]

 

 

[あと1分。凌いでくれ、ビジター]

 

『この数…離れるのは得策じゃ無さそうだ。制御タワー前で迎え撃つぞ』

 

 制御タワーまで敵を引きつけて、攻撃の為に足を止めた瞬間やヘリから降下した瞬間を叩いて片付ける。数は多いがこちらに攻撃して来ない以上レッドガン部隊迎撃ほど苦戦はしない。

 

 

 

『シールドすら無傷…完璧な仕事だな』

 

「うん」

 

 システム掌握まで30秒ほど残して、わたしたちは敵を一掃し終えた。増援の兆候はない。完全勝利だ。

 

 

 

 

 

  [ザイレム制御システム 上級管理権限移行]

  [オーナー シンダー・カーラ]

 

 

 システム音声と共に、タワーの照明が赤く移り変わっていく。

 

「よく持ちこたえたね、ビジター」

 

 タワーの頂上が、強い光を放った。

 

「この都市の…本当の姿見せてやろうじゃないか…!」

 

 

 

『…地震?』

 

 ザイレムの地面が揺れ、波打つ海面から建物が現れる。

 

《水位が…いえ…都市が浮上して…!?》

 

『今まで見えていた都市も…ほんの一部でしかなかったのか…!?』

 

 

 

「…あいつが残していった情報が役に立ったよ」

 

 都市の浮上は止まらない。水飛沫をあげながらどんどん高度を上げていき…

 

「恒星間入植船 「ザイレム」」

 

 …ついに、海面を離れた。

 

「ウォルターの置き土産さ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

…計画について先に話しておこう

 

あんたらが休んでいる間に

アーキバスはバスキュラープラントを完成させた

今やコーラルは大気圏外まで吸い上げられ…

ルビコンから持ち出されるのも時間の問題だろうね

 

そうなる前に焼き払う必要がある

だがプラントを突き破って

コーラルに火を点けるには…

それ相応の火種がなきゃ話にならない

 

分かるかいビジター

ザイレムは…

プラントに到達する移動手段ってだけじゃない

コーラルを焼き払い、根絶する…

そのための火薬庫なのさ

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

《………》

 

《それが…観測者たちの計画…》

 

《………》

 

《企業はコーラルを貪ることしか考えず》

 

《観測者たちは、コーラルを恐れ根絶しようとしている》

 

「………」

 

《私は…人とコーラルの可能性を守りたい》

 

《レイヴン》

 

 エアが、再びわたしの名前を呼んだ。

 

《私の願いを 聞いてはくれませんか》

 

 …選択の時だ。

 

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