転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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これまでのアンケートのデータのうち、得票率の高いものの最終統合を開始します
解析の結果、“サラサラ銀髪ロング赤眼で身長140cm代のシュナイダー体型な10代前半の少女”となりました
中間集計と同じとはいえ胸部装甲はかなり票が別れて興味深かったです



カーマンライン突破/鉄の霞と錆び付いた誇り

「チャティにお別れをしてきたよ、ビジター」

 

「あいつは私の作ったAIだ。必要に応じて身体を換えたりはするが、バックアップは取る気になれなかった。生きるってのはそういうもんだろう?」

 

「………あんたの方も、なんだか寂しそうだね。気のせいなら、いいんだが」

 

 

 …コーラルが絡むと、死人が増える。ウォルターの言葉の重みを、ようやく理解出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしたちを乗せたザイレムは、バスキュラープラントを目指して高度をあげていく。しばらく休息を取っていたわたしたちの元に、カーラから通信が入った。出撃のようだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

ビジター、仕事の説明をしよう

ザイレムは今 宇宙空間との境目…

カーマンラインのちょっと内側にいる

 

アーキバスはルビコンの封鎖システムを

まだ完全には掌握できてない

衛星砲を使えない以上

ここらが企業勢力の最終防衛ラインということさ

 

連中の要撃艦隊との空戦になるが…

勝算がないわけじゃない

この宙域には…

アイビスの火以来、大量の残留コーラルが漂ってる

その流れに飛び込めば…

無尽蔵のエネルギーが得られるはずだ

 

頼んだよ、ビジター

ここを突破すれば

バスキュラープラントは目の前だ

ーーーーーーーーーー

 

 

「いよいよ大詰めだ。だからこそ…笑ってやろうじゃないか」

 

 チャティのことも割り切れていないだろうに、カーラは使命の為気丈に振る舞ってみせる。

 

『…行こう、後輩』

 

「うん…!」

 

 少しでも早く、この争いを…終わらせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「始めるよ、ビジター!こちらでも迎撃する。撃墜競争といこう」

 

 わたしの頭上を、艦隊が通り過ぎていく。ヒアルマー採掘場の時と同じように。あの時と違うことがあるとすれば…今のわたしには、無尽蔵のエネルギーがある。

 

「悪いねえ、先制点はもらったよ!」

 

 わたしとオルクスの目指していた強襲艦が、ザイレムからの砲撃で撃ち落とされた。ならば次に目指すべきはその奥だ。オルクスに奥の強襲艦を任せて、わたしは手前の方へアサルトブーストで接近する。

 

「バスキュラープラントへの接近を阻止します。主力艦隊は防衛ラインを堅持してください。また、独立傭兵レイヴンが出撃しています。集中砲火にて優先撃破を」

 

「ビジター、連中は先にあんたを落とすつもりらしい…仕方がないね、有名税と思ってしのいできな…!」

 

『後輩が人気者で俺も鼻が高いよ』

 

 オルクスがパルスブレードを、わたしがパイルバンカーをそれぞれ艦橋に叩き込む。

 

「2人とも1機落としたようだね、これで1対1対1だ。…見な、ビジター。前方に大量のお客さんだ。打って出な、掃除を始めるよ!」

 

『了解!』「りょうかい!」

 

 

 

 

 

「前衛艦隊が撃墜されました。主力艦隊は陣形を維持してください」

 

『あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅー』

 

「『あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅー』」

 

 鼻歌混じりにパルスブレードを振るうオルクスに、わたしもなんとなく合わせながらパイルバンカーで要撃艦を墜とす。

 

「ビジターたちは合わせて4点目か」

 

「主力第2艦隊、防衛ラインを死守!」

 

「…陣形が横に広い。私は向かって右側を片付けよう、あんたらは…待ちな、この反応は…敵襲だと!?ビジター!ザイレムに所属不明AC!急いで戻ってくれ!」

 

 この高高度にAC…!?機体ひとつで飛んできたの…?

 

『…後輩、ここからは俺に任せてくれ。君はザイレムを頼む!』

 

「まかせて…!」

 

 オルクスに背を向けて、アサルトブーストでザイレムへ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザイレムの各所から爆発が起きている。敵機は燃焼型ジェネレータ特有の橙色の噴射炎が軌跡を残すほどの速度で飛び回りながら攻撃を仕掛けているらしい。

 

 

 

 敵機がこちらに気がついたのか、火花を散らしながら甲板に降り立つ。

 

 

 

「… 来たか、戦友」

 

 わたしをそう呼ぶ人物を、わたしはひとりしか知らない。

 

 

 

「やはり君は…」

 

 敵機の右肩武装が、音を立てながら動き次弾を装填。

 

 

 

「ルビコンを脅かす…」

 

 その肩に刻まれたエンブレムは、口を開けた狼。

 

 

 

「危険因子だったようだ」

 

「…らすてぃ」

 

 隠し事は無しとばかりに表示されたコールサインは

 >>STEEL HAZE ORTUS / Rusty

 夜明けを冠するスティールヘイズの背部が展開し、そのジェネレーターが唸りをあげた。

 

 

 

 

 

 わたしとラスティの機体が、アサルトブーストの勢いのままぶつかり合う。

 

「あれはヴェスパーの…だが見ない機体だ、アーキバスじゃない」

 

 ラスティはレーザースライサーを展開。弾丸を斬り払いながらこちらへ突撃する。

 

「企業の総力を以てしても、君を止めることはできなかった。この新型で…終わらせる」

 

 後方に連続でクイックブーストを吹かしてスライサーを回避。振り抜いた直後の隙にブーストキックで蹴り飛ばす。

 

「…なるほど、そういうことかい。理由は知らないが、こいつも企業を利用してたってわけだ」

 

 今ここで彼が立ちはだかるということは、解放戦線側の人間ということなのだろう。“時が来…らファーロ…がエルカノ…技術を…供…る

それ…では隠し通…なければ”…敵機はエルカノの新型か。

 

 

 

 ニードルガンとオービット、バーストライフルとバーストマシンガンによる弾幕が飛び交う中、高速で飛び回りながらACS負荷を蓄積させていく。

 

 アラートに反応してクイックブースト…速い…!?被弾した右肩を見ると、2本の鉄杭が突き刺さっている。下手に受ければそのまま機体を破壊されかねないどころか、コックピットへの直撃もあり得る。僅かながら誘導があった所を見るにミサイルのようだ。

 

 ミサイルを発射して敵機を牽制してからリペアキットで破損部位を修復。散布ミサイルが命中し、ラスティがスタッガー。すかさずパイルバンカーで追い討つ。

 

 

 

「ルビコンは常に脅かされ…掠め取られてきた。その不条理を、止めなければならない…!」

 

「…ビジター、私から言えることはない。決着を付けるんだ…!」

 

 

 ニードルミサイルをアラートと同時にクイックブーストで回避。蓄積したACS負荷を回復する為に一旦アサルトブーストで距離を取るが、ラスティはその甘えを許さない。ニードルガンによってACS負荷限界に陥ったわたしの機体を、レーザースライサーが斬り刻む。

 

 

 

「…戦友、追い込まれた君は最も強い。このまま終わらせてもらうぞ…!」

 

 …そうはさせない。ブーストキックで追撃を狙うラスティを躱し、逆にこちらから蹴り飛ばしてACS負荷限界に追い込んだ。再びパイルバンカーで敵機を貫く。

 

「こーらるをめぐるあらそいは…わたしがおわらせる…!」

 

 コーラルが絡むと…死人が増える。火種から消さなければ。例え…その火種に罪がないとしても。

 

 

 

「一段と圧力を増している…何かを選んだ…あるいは捨てなければ得られない圧力だ。背負ったようだな…戦友…!」

 

「…うん」

 

 ラスティの言葉に肯定で返し、お互いにリペアキットを使用。これで残りは1つだ。スティールヘイズもまだ残しているだろう。

 

 わたしは…主人を選び、友人を捨てた。使命を背負った以上…ここは譲れない。

 

 

 

 ただ空中戦をするだけでは無尽蔵のエネルギーを活かし切れない。旧宇宙港でレイヴンが見せたように、アサルトブーストとクイックブーストを絡めた軌道で接近し、敵機のFCSを欺く。

 

 レーザースライサーの展開を確認して、自身の位置取りを調整。回転を終え、最後にスライサーを振り抜こうとした一瞬の隙にパイルバンカーを射出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その鉄杭がスティールヘイズのコアを貫くことは無かった。

 

「まだだ…!」

 

 ターミナルアーマーが、機体AP限界を検出して自動発動。

 

「ルビコンの夜明けを拓いてみせる…」

 

 ニードルミサイルが、パイルを振り抜いて無防備なわたしへ突き刺さり、地面に叩き落とす。

 

「より高く飛ぶのは…私だ…!」

 

 姿勢を立て直して甲板に着陸したわたしを見下ろしながら、ラスティが吠えた。

 

 

 

 

 

 ターミナルアーマーは発動から約5秒間、極めて耐久の高いパルスアーマーを展開する。この期間でわたしに出来ることはない。

 

『こちらオルクス、この宙域の強襲艦は片付いた。後は…君の戦友だけだ』

 

「…まかせて」

 

 オルクスは、わたしの救援に向かってくれるはずだ。だけど…その前に決着がつくと、わたしは確信している。

 

 

 

 

 

「どうやら…君の背負ったものも軽くはないらしい」

 

 ニードルガンによってわたしの機体がACS負荷限界。レーザースライサーが再びわたしを切り刻む。

 

「ようやく君を知ることができた」

 

 敵機、ターミナルアーマー消失。

 

「もう少し早ければ、違う未来もあっただろう…!」

 

「…そうだね」

 

 アサルトアーマーを展開。レーザースライサーの刃が消失し、スティールヘイズが動作を停止する。

 

 …それは、パイルバンカーの前では致命的な隙だった。

 

 

 

 

 

「届かなかったか…戦友…」

 

 ラスティが悔しそうにわたしを呼んで、膝をついたスティールヘイズ・オルトゥスは爆ぜた。

 

 

 

 

 

『戦友、か…』

 

 ラスティを見つめるわたしの後ろに、オルクスが降り立つ。

 

『…誇ってやれ、それが手向けだ』

 

「………」

 

「せんゆう…あなたとのたたかいを、むだにはしない」

 

 

 

 

 

 そう呟いた直後、わたしたちの周囲が青く照らされる。これは…光?

 

「!?」

 

 極光が、ザイレム制御タワーを貫いた。爆発により、ザイレムが大きく揺らぐ。

 

「衛星…砲…!?」

 

 振り向くと、機能を停止していたはずの衛星砲が光を放っている。

 

「どういうことだい…企業は封鎖システムを掌握できてないはず…!」

 

 ザイレム制御タワーの残骸が降る中で、呆然と衛星砲を眺める。

 

「一体…何が…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《レイヴン》

 

 彼女が、わたしの名前を呼んだ。

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