転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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どうも人類種の天敵です(コジマ腕コジマキャノン)
誉はアルテリア・クラニアム防衛で死にました
いずれ真っ向勝負でカーパルスハードをクリアして一人前のリンクスになりたいところだけれど愛機だと総火力が心許ないな…


Chapter -2
幕間.温泉旅行


ベイラムとアーキバス

二大企業グループの一時共闘により戦況は覆り

惑星封鎖機構は保有戦力の過半を喪失

星外への撤退を余儀なくされた

 

決定打となったのはベイラム主導による

アイスワーム掃討作戦だったが

アーキバスは封鎖機構の執行部隊との交戦を経て

強襲艦を初め主力兵器の多数鹵獲に成功

これは両社のパワーバランスをアーキバス優勢に傾け

企業陣営の消耗を見込んでいた

ルビコン解放戦線にとっても大きな逆風となった

 

惑星封鎖機構という共通の敵を失い

にわかに再燃した集積コーラル到達競争は

以前にも増して硝煙の匂いを漂わせはじめていた…

 

 

 

 

 

 アーキバスとベイラムがウォッチポイント探査に向けた準備を整えつつ睨み合う中でワーム殺しの肩書きを手に入れその名前をルビコン3に轟かせたわたし、独立傭兵レイヴンは…

 

『やあ後輩、氷原の化け物退治お疲れ様。企業の動きは相変わらず忙しないし、ウォッチポイントの探査に向けて逸る思いもあるだろうけど…今回だけでもゆっくり休んで貰えたら嬉しいな』

「ありがとう、オルクス」

 

 同じく独立傭兵のオルクスに誘われて、ウォルターと共に温泉旅館ARSV(アリサヴァ)を訪れていた。

 

《立派な建物ですね…どうやらこの建築様式は地球の日本が元になっているようです、レイヴン》

 

「このルビコンにこうも本格的な旅館があるとはな…オルクス、配慮に感謝しよう」

『こちらこそ唐突な誘いに応じて下さりありがとうございます』

 

 エアは見慣れない建物に興味津々で、ウォルターとオルクスの関係も悪くないみたいだ。社交辞令を済ませたあと、オルクスが再びわたしのほうへ向き直る。

 

『にしても後輩、もう歩けるようになってたんだな』

「うん」

 

 わたしはこれまで稼いできた資金を使って脚の再生手術を受けていた。長らく不良在庫として保管されているうちに落ちてしまった筋肉を付け直し、リハビリを続けてきた成果がようやく実ったのだ。

 まだ走ることは出来ないし歩ける距離も長くはないけれど、こうしてウォルターやオルクスの隣に立てるだけでも十分な進歩だと思う。

 

「オルクス!私達を誘っておいて遅刻とは相変わらずッ…!?ハハハハンドラー・ウォルター!?」

「…またお前か、ケイト・マークソン」

 

 建物の入り口にかかっている布*1を押しのけて現れた長身の女性がオルクスに近づいていく。ウォルターの呼んだケイトという名前は確か…そうだ、ウォッチポイントでスッラを助けに来た傭兵だ。

 

「…オルクスからはなれて」

『こ、後輩?』

 

 オルクスとケイト・マークソンの間に割り込む。随分と親しげにオルクスに近づいているようだけれど、また何か企んでいるに違いない。まるで作り物のように整った姿を見るに“はにーとらっぷ”というものではないだろうか?

 

「独立傭兵レイヴン…?ぜ、前回の件は謝罪しますから…」

『…前回?ケイト、お前後輩に何したんだ…?』

「あれ…?以前説明したはずでは?」

『されてないが?』

「とぼけるつもり?」

「いやえっと…そんなつもりは…」

「…その辺りにしておけ、621」

「…ウォルター?」

 

 …なんでウォルターがコイツを庇うの?

 

「ケイトは既に計画からは手を引いたと言っている。友人の調べで裏付けも取れた」

 

 ウォルターがそう言うなら…

 

『それでケイト、結局後輩に何をしたんだ?』

「えっと…ウォッチポイントで襲撃して返り討ちに遭いました…」

『残念ながら警戒されるのも当然って感じだな。それでKRSVの使い方教えて!と泣きついて来たわけか』

「はいぃ…」

『俺の友人が面倒をかけてすまなかった、後輩。まぁ…ケイトは見ての通り悪巧み出来るような奴じゃないから仲良くしてやってくれると助かる』

「…うん」

 

 …交戦した際の動きお粗末なものだったし、オルクスの友人なら少しくらいは信用してあげよう。変な動きをしたら今度こそ叩き潰すけど。

 

「それでオルクス、独立傭兵レイヴンが来るなんて聞いてませんが?」

『彼女、ちょっと前まで歩けなかったからさ。ふたりにサポートをお願いしたかったんだけど…』

「私達は彼女のおまけってことですか!?」

『確かに、今のは言い方が悪かったな…やっぱり人数居た方が楽しいかなって思ったから誘ったんだけど…何かまずかったか?』

「クソボケ!」

『………?』

 

 オルクスとケイトがなにやら言い合っている中“のれん”をくぐって少女が出てきた。

 

「ケイト?お兄さんもう来たんじゃない…の…?」

『丁度良かった。紹介するよ、後輩。この子はエノメナ、俺の…まぁ、弟子かな?』

 

 エノメナ…ブルートゥ排除の時に彼が呟いていた名前だ。今回のブルートゥ排除でオルクスが落ち着いていたのは、彼女が健在だったかららしい。

 わたしの肉体年齢よりも少し年上と思わしき彼女は、わたしの姿を見て硬直している。

 

「………はじめまして、レイヴンさん。()()()お兄さんから貴女のお話は聞いています」

「…ッ!?」

 

 「いつも」を強調した発言。まだ感情に疎いわたしでも彼女から敵視されていることは理解出来る。けれど、戦場で向けられる殺意や再教育センターで向けられた悪意とは違う。彼女は…わたしと同類だ。

 だが、信頼関係とは側にいる時間だけで成り立つものではない。そういう意味では戦場で背中を預け合えるわたし達のほうが信頼し合っていると言えるだろう。

 

「…よろしく、エノメナ。()()()オルクスのことはたよりにさせてもらってる」

「………!」

 

 まぁ、わたしは機能以外は死んでいた旧世代型強化人間なのでムキにはならない。肉体年齢は彼女の方が成長しているが、何十年も保存されていたわたしの方が精神的には優位だ。大人の余裕をこの少女に見せ付けてあげよう。

 

 

 

 

 

 受付でオルクスがチェックインの手続きをした後部屋へ通される。

 

《レイヴン、夕食まではまだ時間があるようです。早速大浴場を確認してみませんか?》

 

 エアの発言はいつものような提案というよりもほとんど頼み事に近いものだった。わたしとしても興味があるので、食後に入ると言っていたウォルターに一言伝えてエアに急かされながら浴場へ向かう。

 

「あっ…どうも」

「あぁ…うん」

 

 …ちょうどエノメナも温泉へ入りに来ていたらしい。先程あれだけ牽制しあったこともあって2人きりというのは気まずい。

 沈黙が支配する脱衣場のカゴに服をしまい、浴場への扉に手をかける。

 

「あっそういえば…」

「…なに?」

「お兄さんが『浴場は滑りやすいからくれぐれも気をつけて』と念入りに言ってました」

「…それ、わざわざわたしにいうほどのこと?」

「一回それで死んだことがあるかのような鬼気迫る表情だったから…」

 

 またオルクスとの親密な関係をアピールしてきたのかと思ったが善意の忠告だったらしい。

 …オルクスは1回死んだことあるよ、とは流石に言えない。あれはわたしのせいであって「転んで死んだ」とは到底言えないものだったし…

 

「………おぼえとく」

 

 手をかけたままになっていた扉を開ければ、浴場から湯気と熱気がやってくる。

 木製の椅子に座ってシャワーを浴び、身体を洗う。普段ならこれで十分身体は清潔になるのだけれど…わざわざ湯に浸かることにはどういった意味があるのだろうか?楽しみだ。

 

 

 

 椅子と同じように木で出来た浴槽へ浸かると、お湯の暖かさが全身に沁み渡る。なるほど…これは良いものだ。オルクスがわざわざここを選んで『ゆっくり休んで欲しい』と言ったことも頷ける。

 

「わぁ…!」

 

 エノメナの方も思わず声が漏れてしまっている。

 

《温泉には疲労回復、血行促進、免疫の向上、皮膚にも良いそうです。随分と欲張りな効能ですね》

「へぇ…それは確かに欲張りですね。言われて見れば肌がすべすべしてきたような…」

 

 そうなん…だ…?

 ………待って。

 

「エノメナ、今なんて?」

「?確かに肌に良さそうって…」

「わたし“は”そんなこといってない」

「………怖い話?」

 

 やっぱり…気のせいじゃない。

 

《あなたにも…わたしの交信が届いて…?》

「交…信…?だ、誰かと通話してるってことですか?」

《私は…エア。コーラルの織りなす潮流…そこに生じたひとつの波形…実体を持たぬルビコニアンです》

「な、なんの話ですか…!?」

「あなた、こーらるをせっしゅしてる?」

「…?そんなことは…あっ、でもエンゲブレド坑道でコーラル逆流には巻き込まれました」

 

 …前回のわたしのようにベイラムから行動破壊工作依頼を受けていたらしい。とはいえ、旧時代データを回収した時のエアの口ぶりから、交信には強化人間であることも必要なように思えたのだけれど…

 エアから大量の情報を伝えられて混乱しているエノメナへ、一つ一つ順を追って説明していく。

 

「えっと…つまりエアはコーラルの中の意識的な存在で、レイヴンのような旧世代型強化人間にしか聞こえないはずってことですか…」

《私としても交信できたのはレイヴンだけだったので一部の旧世代型強化人間のみと交信できるとは断言出来ないのですが》

「初めて会った時にケイトを通してオールマインドが私に強化手術を勧めて来たのは…こうして交信が出来る可能性があったからなのかな…?」

 

 …オールマインドがそんなことを?やはりただの傭兵支援システムという訳ではないのかもしれない。ケイトがオールマインド側の人物ならば、あの時ウォッチポイントに現れた目的は…エア?

 

 

 

「エノメナー!そろそろ食事なので上がった方が良いですよー!」

 

 …まだ話したい所だが、ケイトがエノメナを呼びに来たようだ。

 

「後で話しましょう、まだ露天風呂にも入ってませんし…」

「うん、そうだね」

 

 身体を拭き、先程脱いだ服を着直して…

 

「エノメナ、レイヴン。せっかくですから備え付けの浴衣を着てみては?」

 

 浴衣…棚の上に積まれている服のことだろうか?広げて見たが…これは…何?

 

「ケイト、流石に着方が分からない…」

「ふっ…提案するからには着付けも把握済みですとも!私にお任せを!」

 

 そう言ったケイトはてきぱきとエノメナとわたしに浴衣を着せていく。

 

「どうですか!私にかかればこんなものです」

「ありがとう、ケイト」

《似合っていますよ、レイヴン、エノメナ》

「ちょっとあるきづらい…」

 

 

 

 

 

 浴場を出たところで、ウォルターと浴衣を着たオルクスが立っている。やはり待たせてしまっていたようだ。

 

『お、出てきたか。早速食事に…』

「オルクス、どうやら2人に見惚れてしまったようですね…!」

『…2人に浴衣を着せてあげたのはケイトか?』

「ええ!この私が…」

『ありがとう、でも…着せ方逆』

「えっ」

『それだとその…縁起が悪いんだ』

「…ごめんなさい2人とも」

 

 脱衣所に戻り、オルクスが教えてくれたやり方で浴衣を着直す。

「ありがとう、ケイト」

「初めてだから仕方ないよ、気にしないで」

「その気遣いがつらいです…」

 

 そんな一幕がありつつ夕食へ。わたしには美味しいということしか分からなかったが、オルクスが言うには本格的な和食らしい。見事な箸捌きで誇らしげに食事を進めていたケイトを見て、オルクスが『持ち方キモ…指どうなってんだ…』と呟いていたのは聞かなかったことにしておく。

 

 

 

 

 

 食事を終えて先程の話を続けるため再びエノメナと2人で温泉へ。今度は外にある露天風呂に入ってみる。先程まで室内の湯に浸かっていたこともあり、ルビコン3の冷気が沁みる。慌てて石に囲まれた温泉まで移動してようやく一息つくことができた。

 

「良いですね、温泉」

「…うん」

 

 オルクスのお陰で良い体験が出来た。こうしてエアを認識出来るエノメナに会うことも出来たのも大きな進歩だ。それにしても…

 

『でーあふたーでいー!あいすていあらーんどぉんふぁーうぇい!』

 

「お兄さん…熱唱、してますね」

「…うん。やっぱりうたうのすきなんだね」

「シャワー浴びてる時ですらあんな感じですから…まぁ、泊まってるのは私達だけなので良いですけど…」

《気分が良いから、ではなく日常的にこうなのですね…》

 

 まぁ…彼に盗み聞きされる心配がないという点では都合が良い。

 

「…お兄さんって、何者なんでしょうね」

「…わたしにも、わからない」

 

 オルクスは自分のことを語らない…と、いう訳でもない。

 多重ダム防衛において彼は自分がブランチの一員であることを明かした。雪原で遭難していたところを「レイヴン」に拾われて傭兵になったのだと。

 オールマインドの評価するアリーナにおいてランク7/Aを与えられているけれど、キングとシャルトルーズを圧倒する姿から実力は隠していたのだろう。それも彼のことだから案外深い意味はなくて先輩達の顔を立てるため、というだけかもしれない。

 

「私には…お兄さんが私と同じルビコニアンだとは思えないんです」

 

 多趣味で歌や絵を好み、星外の文化への知識も深い。確かに、この特徴だとルビコニアンというよりも世間知らずな上流階級のほうが“らしい”ような気がする。

 

「あなたは…オルクスとどうしりあったの?」

「両親を喪って路頭にくれている所を拾ってもらいました」

「…ごめんなさい」

「大丈夫です。今のルビコンではそう珍しいものではないから、私は運が良かったと思います」

「そうなんだ」

 

 「レイヴン」にされたことを誰かに返す、というような感覚だろうか?恐らく、先輩としてわたしに力を貸してくれることにもそんな彼のスタンスが関わっているのだろう。

 

「お兄さんに拾われてから私は、傭兵となるために彼へ教えを乞いました。これなら、自分の力で生きていけると思ったんです」

《それは…随分と思い切った判断ですね…》

「結局、お兄さんとケイトに助けられっぱなしで自立には程遠いんですけどね…」

 

 エアの言うことに同意だ。生きるためとはいえいきなりそんな判断が出来る人は…それこそオルクスがそうだった。案外似た者同士なのかもしれない。

 

「私にとってお兄さんは、先の見えない暗闇の中で道を示してくれた星なんです。今は手が届かないけれど…いつか、彼の隣に並び立って戦いたい。それが私の今の目標です」

 

 …星。エノメナはオルクスのことをそう見ているらしい。彼女の目標である彼の隣に、わたしは既に立っているように思える。

 ならばわたしは…オルクスに何を求めているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今回はありがとう。温泉、楽しんでもらえたかな?』

「うん、ありがとう」

 

  翌日、旅館で朝食を済ませて解散の時が来た。オルクスからの問いに感謝で答える。温泉も、エノメナとの交流も良い経験になった。

 

『それなら良かった。まぁ…俺たちはもうすぐルビコンを離れることになるけれど…君たちの仕事が片付いたら是非遊びに来てくれ』

「たのしみにしてる」

 

「また会おうね、レイヴン」

「うん。またね、エノメナ」

 

 せっかくエアと交信が出来るエノメナが彼と共に行ってしまうのは残念だけれど…仕方ない。オールマインド側のケイトまで彼らに同行するとは思わなかったが。

 

 

 

 

 

 オルクス達と別れて、いつものヘリに乗り込んだ。

 

「…あの少女と交友を深めたようだな。良い傾向だ」

「うん」

「ルビコンに来てからお前には苦労をかけた。今回は良い休息になっただろう」

 

 …ここからは、いつも通りの日常が再開することになる。

 

「もう少し休息を与えたいところだが、企業も動き出そうとしている。封鎖機構が片付いた今、あとはコーラル集積地点を目指すだけだ」

「洋上都市ザイレムで行った調査は覚えているか?得られた情報を友人が解析した結果、中央氷原には広大な地下施設があることが分かった」

「「ウォッチポイント・アルファ」アイスワームが防衛していたのも、この施設の入口だったようだ。お前には、これに潜ってもらう」

*1
《レイヴン、どうやらこれは暖簾というようです》




【悲報】AMさん、三周目での計画成就は既に絶望的か

いよいよオルクスぶっ殺しチャプターですねぇ…

三周目オルクスとは関係ないかもしれないし結果は反映されないかもしれないアンケート

  • マシンガンパルブレプラミサレザキャ中2
  • W赤ネビュラWLRB重2
  • WランセツWニドミサ軽逆
  • 重マシライフルグレ散布ミサ重逆
  • W赤ネビュラW実弾オービット車椅子
  • Wエツジンプラキャミサ中4
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