転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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あにばーさりーですね!(駆け込み投稿)
おめでとうございます!


Chapter -1
救出/望み通りに…?


「いつか、彼の隣に並び立って戦いたい。それが私の今の目標です」

 

 …そうはっきりと言い切ったエノメナの声が、男女の露天風呂を隔てる柵越しに聞こえる。盗み聞きをするつもりなんてなかった。気分良く熱唱している合間の間奏と、間が悪く偶然被ってしまったというだけのこと。

 

 それを聞いたときに頭を過ぎったのは熱唱を聞かれていたという羞恥でも、聞いてしまったという罪悪感でもない。

 

 今は温泉に浸かっているというのに、背筋に冷たいものが走った。君もそれを望むのか、と。ルビコンを出たとしても、戦いからは逃れられないのだと。そう突きつけられた気がした。

 

 

 死ぬことは怖い。

 その感覚を、一度知ってしまっているから。

 殺すことは怖い。

 誰かを踏み躙る生き方を、俺は知らなかったから。

 戦うことは怖い。

 俺が怖れている死を、常に伴う事になるから。

 そして…その怖れさえも、見失いそうになるから。

 

 

ーーー『やります。俺は…傭兵になります』

 

 せっかくACVIの世界に転生したのだから、独立傭兵としてACに乗ってみたい。今思えば、余りにも浅はかな決断だった。

 後悔はしている。けれど、あれ以外の選択肢が無かったことも事実だろう。傭兵にならなかったとして、拾った男をレイヴン先輩が手元に置いておく意味なんてない。ブランチには2人目のオペレーターや家事手伝いなんて不要だろうから。

 

 ならば転生した時のまま、ルビコニアンのアクスとして生きていくべきだったのだろうか。

 結果は変わらない。1度で良いからACに乗りたいだなんて言い出して第6世代強化人間相応の操縦を披露すれば、そんな戦力をフラットウェルは黙って遊ばせておかないだろう。

 

 2度目の人生は間違いの連続だ。最初の間違いはきっと、この世界に転生したことだけれど。この世界のことは嫌いじゃないしむしろ好きだ。自分で考えたACを、自分の手で自由に動かせるのは楽しい。けれど…ACは兵器だ。ゲームでも玩具でもない。兵器である以上、ACに乗れば戦いを強いられる。

 いっそゲーム感覚のまま転生出来ていれば、フロイトの言った同類として純粋にACと闘争を楽しむことも出来ていたのかもしれない。だが、それが出来なかった以上前世の感覚と置かれた現状の違いに苦しむことしか出来ない。

 

 だからこそ、今までそれを抑え込んで金を稼ぐことに全力を尽くした。安い仕事も高い仕事も受け入れて、偽りの依頼も実力で捩じ伏せて。縁と敵を作りながら戦い続けた。

 金があれば人生は買える。ブランチなら身分は用意して貰えるから、とにかく星外に脱出して普通に生きられるだけの下地が必要だった。

 

 けれどこの世界は、一度闘争に身を置いた者を逃がしてはくれないらしい。

 ケイトは俺達と、傭兵稼業を続けたいと願った。

 エノメナは俺と、並び立って戦いたいと願った。

 アリーナで解説されているような「性質の異なる機体を使い分けることで安定した戦果から高い評価を得ている独立傭兵オルクス」それが彼女達の知っている俺だ。自分で言うのもなんだが、それが理想になることは避けられない必然だったのかもしれない。

 

 それが望まれた俺ならば…その期待を裏切る事なんて、俺には出来ない。

 

 

 

 俺には原作知識があるから、この先ルビコンがどうなっていくのかを知っている。

 ここを渡れば、星を焼くことになるだろう。あるいは、果ての見えない戦いに身を投じることになるかもしれない。

 

 …俺が居なくたって彼女は必ずやり遂げる。だから、これ以上ここに留まることに意味はない。

 

 けれど…これくらいやってのけなければ、俺は変われない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …俺の手に握られたハンドガンの引き金を引けば、弾丸は警備員の心臓を撃ち抜いた。投擲した発煙弾の煙幕に紛れて喉元を搔き切る。

 

『ッ…』

 

 煙に巻かれて闇雲に乱射したのであろう銃弾が何発が命中。敵の運が良いのか俺の運が悪いのか…まぁ、行動に支障はない。作戦を続けよう。

 

 この世界に来てからはACやMTばかりが主役だったから、レイヴン先輩から教わっていた白兵戦がここまで役に立つとは流石に予想外だ。別に、ACがなくたって人は殺せるんだよな…

 …考えるのは後だ。今の俺にはそれ以上にやるべきことがある。

 

 看守室で鍵を獲得。後は621の独房を目指すだけだ。ここまでこれたのもセキュリティに干渉して警備を乱してくれたエアのおかげだな。俺がエアの存在を知らなければさぞ不気味だっただろう。

 

 

 

 電子戦対策だろうアナログな牢の鍵を開けて中に入る。

 …酷い状態だ。ボロ布のようなシャツ一枚を着せられて壁際に繋がれている。身体も痣や傷だらけでとても少女に対する扱いとは思えない。

 彼女の視界を覆っている布を外すために触れれば、暴力を振るわれることに慣れてしまったのかびくりと体が震えた。声をかけてから触れるべきだったな…やってしまったことは仕方ない。

 

『やぁ…後輩』

 

「おる…くす…」

『大丈夫…ではなさそうだけど、よく頑張ったな…!』

 

 力無く621が答える。消耗しているが、俺の事を認識できるならまだいい方だろう。

 

「わたし…うぉるたーのこと、まもれなかった…」

『………そうか』

 

 自分だってつらいはずなのに、真っ先にでてくるのがそれなのか…

 …俺が傍観者を気取っていなければ、ウォルターだって助けられたかもしれない。そう後悔するには、何もかも遅すぎた。

 

『…増援が来る前にACに戻るぞ。傷に響くかもしれないが、我慢してくれ』

 

 …急ごう。ここまで来たのに2人仲良く捕まりましたなんてのは流石に笑えない。621を背負って来た道を戻っていく。

 

 

 

《レイヴン、あなた宛てのメッセージを見つけました…暗号化を解除、再生します》

 

 ウォルターが遺した最後の仕事を、621は黙って聞いている。

 

〔621…火を点けろ、燃え残った全てに〕

 

 この先の結末は知っている。だがそれを選ぶのが621である以上、俺は先輩としての意地を張り続けるだけだ。このやり残しを済ませて、エノメナ達の元へ向かおう。

 

『ここまで来たんだ。俺は君の選択について行くよ、レイヴン。その為にも…俺の最初の仕事として、君を自由にしよう』

 

 そう言って、この下水道まで忍び込むために乗ってきた機体を見上げる。流石にアンフォラに乗ってアーキバスに真っ向から喧嘩を売るのはまずいだろうと、機体と搭乗者が一致し辛いレイヴン先輩に予備のナイトフォールを借りて来た。どうせ今更何やっても罪は変わらないと快諾してもらえた。

 内装や武装は俺好みの構成にさせてもらったけどね。霊台ジェネは扱いが難し過ぎる…

 

 

  [メインシステム 戦闘モード起動]

 

 

『安全運転で行くが限界はある。しっかり掴まっていてくれ』

 

 621にヘルメットを着用させて行動開始。

 

「AC!?なんだ…どこから出てきた!?」

『いつの間に忍び込んでっ………』

『アーキバス製フレームが用意出来れば友軍と誤解させて混乱を招けたんだがなぁ…流石にアンフォラで突撃する訳にはいかないし…』

 

 見張りをしていたMTをバーストライフルとバーストハンドガンで撃ち抜き、パイルバンカーで4脚MTを貫いた。実績さえあれば大半のパーツを手に入れることができるオールマインドのありがたさを実感しながら下水道を抜けて縦穴を上り、地上に出た。

 

《ここは…技研都市の郊外…?》

〔こちらV.V ペイター、警備部隊各員に通達する!再教育中の独立傭兵…あのレイヴンが何者かにより奪取されたとの報告が入った。以下はスネイル閣下より直々のご下命だ。発見次第拘束し…今度は「ファクトリー」に収監せよ!〕

『やっと厳戒態勢に入ったか…アーキバスの奴ら、温すぎる』

 

 ペイターがV.V…ということは621はヴェスパー部隊伏撃を引き受けたようだ。この警戒の緩さもラスティ、ホーキンス、メーテルリンクを失った影響だろうか?俺としては都合が良いが。

 今乗っている機体の性能はジャンクACと比べものにならない。ここにいるMTを殲滅するのも容易いが…交戦は621の傷に響くだろう。戦闘は避けるべきだ。必要以上に殺すのは気が進まないというのもあるけど。

 

[オルクス、そちらは順調なようだな。そのまま合流地点を目指してくれ]

『了解した、先を急ぐ』

 

 621の機体はチャティ達が回収してくれるはずだ。アイビス戦でどれだけダメージを受けたかは分からないが…修復のきく範囲であることを祈ろう。

 

「コアは狙うな! 生け捕りにっ…!?」

「手加減できる相手ではない…!」

「報告はどうにでもなる!殺すんだ!」

『こちらオルクス、合流地点に…』

 

 合流地点のMTを一掃完了。とはいえ本編通りなら…

 

《!?敵性反応!》

「独立傭兵レイヴンを乗せていると思われる機体を発見!包囲する!」

〔V.V ペイターより通達!中位隊長の権限において追加の指示を出す。ファクトリー収監は努力目標とする。抵抗が激しい場合は殺害しても構わん。襲撃者を排除せよ!〕

 

 輸送ヘリが現れてMTが投下、俺達を取り囲む。

 

《レイヴン…!いくらオルクスでも流石にこの数では…!?》

『…悪いが少し揺れるぞ、もう一度言うがしっかり掴まっててくれ』

 

 ラスティのような精密射撃は無理だが、中近距離の射撃ならば結構自身がある。エツジンもランセツもルビコンに来たばかりの頃からの付き合いだし、ぶっつけ本番でもなんとかなるはずだ。

 

 ランセツをチャージしてバースト射撃に切り替え、前方にブーストして旋回しながら両腕で射撃。

 

『外しはしない…!ってね』

 

 まさか7発全弾命中とは…我ながらちょっと引く。包囲の乱れたMT部隊を殲滅してミッション達成だ。まぁ…ジャンクACとは機体性能が違う以上当然の結果だな。

 

「面白いものを見せてもらったよ、オルクス。私が助けに入るまでもなかったようだね」

『楽しんでもらえたなら何よりだが…後輩の状態が思った以上に酷い、早く引き上げよう』

 

 頭痛いし鼻血出て来たな…流石に今の射撃は負荷が大き過ぎるな。コーラルリジェネがあるから別にすぐ治るけど。あ、でも銃弾は摘出してもらわなきゃ…

 

「身体の状態ならあんたも大概だよ、ビジターの元へ向かう為にどれだけスピードを出したんだい…」

『ちょっ…そういうのは黙っててくれても…』

[ヘリを回そう、ビジターの機体も…一応、取り戻してある]

「…ビジター、オルクスをベッドに叩き込んで一息ついたら話をしようか…ウォルターのことさ」

 

 しまらないが、やるべきことは果たしたのだから良しとするか。ここからは…621の仕事に付き合うだけだ。

 

 




またオルクスがダメな覚悟の決め方してる…

◯オルクス
選んで殺すという割り切り方を覚えた
星外にエノメナ達も残しているので自暴自棄だった1周目と比べると生きるつもりはある
エノメナの意思を知ったなら連れてきてやれよ…絶対拗らせるぞ…

◯エノメナ、ケイト
\サーッ!(迫真)/
『おまたせ!アイスティーしかなかったんだけどいいかな?』

三周目オルクスとは関係ないかもしれないし結果は反映されないかもしれないアンケート

  • マシンガンパルブレプラミサレザキャ中2
  • W赤ネビュラWLRB重2
  • WランセツWニドミサ軽逆
  • 重マシライフルグレ散布ミサ重逆
  • W赤ネビュラW実弾オービット車椅子
  • Wエツジンプラキャミサ中4
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