転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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いつまでも傍観者気取りではいられない三周目、はっじまっるよー!


Chapter 1
武装採掘艦護衛/乖離


 

 欲望渦巻く夜の町…グリッド077の人波を避け、強面の兄ちゃんたちにノーザークの行き先をバラしたりしながら目的の場所へ進んでいく。

 …グリッド077。独立傭兵達にビジネスを見出したルビコニアン達やドーザーが集まった区画だ。酒場を開く者、ギャンブルやタバコ、コーラルドラックなど娯楽を提供する者、そして…?

 

 

 

「離して…!」

 

 どうやら、少女が高身長の女性に絡まれているらしい。どう考えてもキマシタワーって感じの穏やかな雰囲気ではないが…まぁ、厄介事には首を突っ込まないのが1番だ。わざわざ助けに入る義理も…

 

[落ち着いて下さい、エノメナ。私は貴方を保護しに来たのです]

「ケイト…?なんかおかしいよ…!?」

 

 …今出来た。オールマインドが関わっているなら流石に見て見ぬフリは出来ない。奴のいう“保護”なんてロクなもんじゃないだろう。怪しい動きを野放しにしておくのは不安が残る。

 

[もう時間がありません、説明は後に…]

『やぁ、ケイト・マークソン(オールマインド)。忙しそうで何よりだな』

[…貴方との約束は明日だった筈ですが]

『仕事が早く片付いたからな、飲みに来ただけだ』

 

 ケイトが小さく舌打ちしたのが聞こえた。苛立ちが露骨すぎる。舌打ちも出来る超高性能AI(笑)

 

『で、何をしていたんだ?』

[貧困に喘ぐ少女を保護しようとしていただけのことです]

『嫌がる少女を無理矢理引き摺っていく事を保護とは言わないだろう』

[…貴方には関係のないことでしょう]

『冷たいなぁ…俺も計画の協力者だろう?色々と助けてやったじゃないか』

[貴方は、この先の計画における異物なのです]

『ええ…?』

 

 俺何かしたっけ…?これでもオールマインドに対して都合の良い駒を演じてきたつもりだったが…それでもこの態度ということはよほど後ろ暗いことを企んでいるようだ。このまま少女を連れて行かせるのはマズい気がする。そうじゃなくても彼女は嫌がっているのだから、首を突っ込んだ以上解決しなくてはならないが。

 

[………そこまで貴方が我々を信用出来ないのであれば、貴方がこの少女を預かって頂きます]

『はい?』

[協力者である貴方と敵対するのは我々にとって大きな損失です]

『お前…』

 

 それじゃ誘拐犯がオールマインドから俺に変わるだけだろう…別に俺はこのが目当てで少女をお前と取り合ってる訳じゃないんだが。というかケイトじゃなくてAMちゃん人格が見えてんぞ。

 

[それでは、彼女をよろしくお願いします]

『は?おい、待て…!?』

 

 どう考えても執着しているのにあっさり諦めやがった…なんだったんだ…?そもそもオールマインドに執着される一般人って何?

 

「あ、ありがとうございます」

『特に用はないからもう帰っていいぞ』

「え?私を預かるんじゃないんですか?」

『え?正気か?』

 

 ケイトに攫われるのは嫌がってたのに、俺にはついて来るつもりなのか…?一体何を考えて…?もうよくわかりません、ありがとうございました。

 まぁとりあえず拠点に連れて行って寝よう。今後のことは明日の俺がなんとかしてくれるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウォルターとの戦いを終え、墜ちていくザイレムを見届けたわたしは、またしてもルビコンへやってきた日のガレージに戻っていた。

 これまでと同様に仕事を進めていく中で届いた依頼のひとつ。前回までは無かった武装採掘艦ストライダーの護衛に今回は出撃することを選択している。

 万全の体制を整える為にオルクスを誘ったのは良いけれど…

 

『やあ後輩…お誘いありがとう…』

「…オルクス、つかれてる?」

『あー…昨晩色々と面倒ごとに巻き込まれてな…』

「だいじょうぶ?」

『明日の自分がなんとかしてくれる、とか考えやがった昨日の自分をぶん殴りたいね…まぁ、それについてはこの仕事を終えた俺がなんとかしてくれるだろう』

 

 前回オルクスが持ち込んできたストライダー襲撃が今回はなかったことと関係があるのだろうか。少なくともオルクスが物事を後回しにしたことについて一切反省していないことは分かった。

 

 そろそろ作戦領域に到着だ。ヘリから降下し、メインシステムを戦闘モードに切り替える。

 

〔ミッション開始…待て、護衛対象が襲われているぞ!〕

『ッ…急ぐぞ、後輩。このままじゃ作戦失敗で骨折り損だ』

「…うん」

 

 攻撃を受けているストライダーへアサルトブーストで向かうが、この様子では…

 

「なっなんだ…この機体は!?」

「うっ狼狽えるな!我々はコーラルの戦士…!」

 

 …やはり、間に合わない。轟音と共に中央から歪んでいくストライダーは頭部カメラが白一色に染まるほどの光を放ち、爆ぜる。それは、前回わたしがアイボールを破壊した時と同じ末路だった。

 

〔レーダーに敵影…来るぞ、621〕

『コイツは…!?』

 

 ストライダーの上方から紅い光を放つ機体が降下してくる。あれは技研都市で見た…

 

〔識別なし、シュナイダーのMTではない。これは…C兵器か!?〕

『野良C兵器…ストライダーが吸い上げたコーラルに寄ってきたわけか…!』

〔応戦しろ、621。話し合いが通用する相手ではない〕

『逃がしてはくれないか…行くぞ、後輩』

 

 技研都市の橋の下にいたC兵器にはショットガンもブレードも殆ど効いていなかった。これは面倒なことに巻き込まれてしまったようだ。

 

〔敵はルビコン調査技研の無人兵器…アイビスの火で失われたはずの遺物だ〕

 

 いくらなんでもあらゆる攻撃に耐性を持ちながらあの機動力を備えているとは考え難い。実弾もENも通用しないなら、防衛戦に向けて用意したのであろうオルクスのミサイルが有効かもしれない。

 

 地上を滑るようにブースト移動で走り回り、わたしへ蹴りをいれようと飛び掛かってきた2機をアサルトアーマーで迎撃。姿勢が崩れた所にオルクスの放った4連装ハンドミサイル、10連装ミサイル、6連双対ミサイルが着弾し、一機撃破。オルクスが狙わなかった方のC兵器にショットガンとニードルランチャーを放ち、すかさずブレードで追撃してその動力部を貫いた。

 

〔やったか…?〕

『ナイスだ後輩。どうやら爆発には脆弱らしいな』

 

 一息つけたのは良いけれど、これで終わりとは…

 

〔…待て、まだ何か来る〕

 

 やはり、嫌な予感は当たってしまうものらしい。遠方から何かが…転がって来ている?

 

〔ヘリアンサス型だと…!?正面衝突は避けろ621、削り取られるぞ!〕

 

 …この自立型破砕機にはさっきの人型以上に嫌な思い出がある。前回の技研都市でスネイルによる奇襲を防ぐため探索していた所を執拗に追いかけ回されたのだ。前回スネイルの奇襲を躱し切れなかった間接的な原因とも言える。わたしはコレを開発した技研の狂人を許さない。せめてアイビスの火で死んでいることを祈る。

 

『あんなものを転がして喜ぶか、変態技術者が…!』

 

 そうだね…と、げんなりしながら内心でオルクスの発言へ全面的に同意しつつ、敵機への対策を練る。わたしの武装では敵機の側面からしか攻撃を通せない。ならば…

 

 突撃してくるC兵器と交差するように回避。こちらへ向き直ろうとドリフトした無防備な側面へニードルランチャーを撃ち込んで姿勢を崩し、すかさずブレードを突き立てる。敵機は直ぐに起き上がるが、ブレードによる傷によって構造が噛み合わず、走り始めると同時に自壊していった。

 

〔良いぞ621、危険な相手だ。転倒させて確実に潰せ〕

 

 敵の構造を逆手に取った最低限の攻撃で最大限の成果を得る。このやり方はウォルターからの評価も高いようだ。褒められて気分が良い。

 

〔敵影!まだ来るぞ。偶然居合わせたにしては数が多すぎる…621、今は戦いに集中しろ〕

「りょうかい…!」

『おかわりも言ってないのに追加とかわんこそばかよ…いや、食べたことなんてないんだけど。とりあえず胃もたれしそうだ…!』

 

 …わんこそば?オルクスの言っていることはよく分からないが、少なくとも彼は逆関節の跳躍力を活かして敵の突撃を切り抜けつつ、ミサイルを駆使して軽口を叩く余裕がある程度には順調に敵機を仕留めているようだ。わたしも負けていられない。

 

〔打ち止めのようだな、広域レーダーにも反応はない〕

 

 それから少し時間はかかったが、わたし達はC兵器の殲滅に成功した。

 

〔ストライダーの護衛はできなかったが 今回は不可抗力か〕

『タダ働きか…この残骸をドーザーにでも売りつければ値段がつくかなぁ…』

 

 正直やめてほしい。もしRaDに売り払うことになったらカーラが面白半分で修理してグリッド086の防衛に配置してしまいそうだ。そうなったら海越えする時のわたしが困る。

 

〔背景はこちらで洗っておく。621、お前は戻って休め。それとオルクス、協力に感謝する〕

『感謝ついでに、背景が分かったら俺にも情報を回して欲しい。今回の件、野良C兵器で片付けるには違和感がある…』

〔ああ、手配しよう〕

 

 ウォルターと言葉を交わした後、オルクスは慌ただしく作戦領域を去っていった。「この仕事を終えた俺がなんとかする」べき後回しにした面倒ごとの対処に向かったのだろう。

 

 …わんこそば?について聞きたかったけれど…まぁ、オルクスにはもう一つ直近で頼まなければならないとても重要な仕事があるから、質問はその時でも良いや。

 




◯ケイト・マークソン
前回のケイトに621の戦闘データを組み込んだ3号機
削りを重視するオルクスと瞬間火力に特化した621のいい所取り…に、なるとでも思ったのかポンコツ?

◯おまけ:オルクス全財産増殖バグ
この世界のループは621が「レイヴンの火」「ルビコンの解放者」「賽は投げられた」を完遂したタイミングで発生。
この時621はED時の記憶、パーツ、所持金、肉体を保持して密航後から再開。
エノメナはED時の所持金、肉体、死亡時までの記憶を保持してオルクスとの初対面から再開。
オルクスは前世の記憶を保持してシンシアがアクスに憑依したタイミング(本編開始一年前)から再開。
オールマインドはEDまでの記録を保持して密航後から再開。

オルクスは1周目は621、2周目はエノメナに全財産を預けているので、この時の財産を2人が次の周に持ち越していることになる。

決戦投票

  • マシブレレザキャプラミサ中2
  • 重マシARグレ散布ミサ重逆
  • WランセツWニドミサ軽逆
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