転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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ケイト・Mk.3(まーくさん)が久々の登場です
Mk.2ほど愉快な子ではありませんが…多分


強制監査妨害/波乱の萌芽

 エノメナと共に万全の状態の壁越えを果たした後、エノメナの方から話がしたいと提案されて彼女をわたしの拠点に泊めることになった。

 現在はわたしの私室で彼女と向き合っているけれど、何から話せばいいんだろう…?流石にいきなりどこまで覚えているのか聞くのもどうかと思うし探りを入れて…

 

「…直接会うのは初めてじゃないよね、レイヴン」

「あっうん。ぜんかいでもあったよね」

 

 普通にいきなり聞いてきた…!

 

「やっぱり、覚えてるんだ…これで何回目?」

「さんかいめだよ、あなたも?」

「うん、といっても1回目はほとんど何も知らずに死んでしまったけど…」

 

 前回までの時点で彼女の事を知れていたら、何かが変わっていたのだろうか?いや、1回目のエノメナは早い段階で命を落としてしまっていて、2回目は模索中だったのだろう。全てはわたしの責任だ。

 

「…1回目で、お兄さんはどうなったの?」

「わたしをかばってエアに…ころされちゃった」

「やっぱり、死んじゃうんだ…でも、なんでエアに?」

「いっかいめのわたしは、ウォルターのいしをついでこーらるにひをつけようとしたから」

「そっか…頑張ったんだね」

 

 お互いに事情は掴めてきたはずだ、そろそろ本題に入ろう。

 

「…あなたのもくてきは?」

「私は…お兄さんを救いたい。もう…守られているうちに、何も出来ないままお兄さんが死んでしまうのは嫌だから。貴方は?」

「わたしはオルクスもそうだけど…ウォルターもエアもみんな助けたい。いまのわたしがここにいるのはみんなのおかげだから」

 

 わたしがこれまでに選べたのはルビコンを焼くか守るかの2択だけ。この目的を果たす為には、わたしだけでは足りない。

 

「そのために、あなたのちからをかしてほしい。エアのこえがみえたのはあなたと…たぶん、オルクスだけだから」

 

 ザイレムでオルクスは確かにエアの名前を呼んだ。理由は分からないけれど、ずっと彼は彼女を無視していたのだと思う。とにかく、今のわたしに出来るのは新たな可能性をかき集めることだけだ。

 

「もちろん。だから私にも、貴方の知識を貸してね」

「うん、ありがとう!」

 

 わたしと同じように記憶を持ち越していてエアの声が見えるエノメナの協力があれば、きっと未来は変えられる。

 

「まずはウォルターとエアがわかりあえるように、こーらるのはたんを…」

「破綻なら前回と同じやり方で対処すれば良いよね?」

「えっ?」

「ん…?」

 

 

 

 

 

 …エノメナはわたしよりも後の方まで記憶を持ち越すことが出来ていたらしい。前回において最大の難題であったコーラルの破綻があっさりと解決してしまった。なんとも都合の良い話ではあるけれど、これでウォルターとエアが分かり合える余地は生まれたから良しとしよう。そうしてふたりで情報を擦り合わせた後、わたしたちは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォルターさんの料理、美味しいね」

「うん、オルクスはりょうりするの?」

「いつも買い込んだ安いレーションで済ませてるよ…そういえば、この間手に入った卵を加熱せず食べようとしてたから知識はなさそう?」

 

 翌朝、エノメナと一緒に朝食を摂る。オルクスも私生活はかなり雑なようだ…でも確かにこのルビコンで食材を手に入れるのは面倒だから仕方のないことかもしれない。いつも用意してくれるウォルターには感謝しないと。

 

「今度、ワーム料理でも振る舞ってみようかなぁ…」

「エノメナはりょうりできるんだ」

「うん、簡単なものなら教わってるよ」

 

 以前は解放戦線に居たそうだが、給仕担当だったのだろうか?流石にこの歳の少女では力仕事に向いていないだろうし…などと考えているとウォルターがこちらに近づいてきた。

 

「621、仕事だ。ケイトと名乗る独立傭兵から依頼が来ている」

「ケイトから…!?」

「エノメナ、お前にも同様の依頼が届いているようだが…知り合いか?」

 

 …ケイト・マークソン。前回オルクスたちと仲良くしていたはずだが、今回はエノメナを強引に攫おうとしてきたらしい。オールマインドが関与していると考えているらしいが…とりあえず確認してみよう。

 

 

 ─────────

初めまして 独立傭兵レイヴン

そして久しぶりです エノメナ

私の名は ケイト・マークソン

貴方達に折り入って頼みたいことがあります

 

内容はBAWS第2工廠に対する

惑星封鎖機構の強制監査部隊排除

封鎖機構はSGのみならずLC部隊も投入して

BAWSに対する圧力を強めていますが

対するBAWSはあくまでこれを

独立傭兵の突発的な襲撃として妨害したい考えです

 

あなたは工廠内部に待機し

監査部隊に奇襲を仕掛けてください

私は外部の後方部隊を襲撃して攪乱し

然る後に合流します

 

依頼内容は以上です よろしくお願いします

 ─────────

 

 

 この時期だとBAWS第二工廠は既に所属不明ステルス機体によって壊滅していたはず…明らかにきな臭い依頼だ。理由は分からないが、わたし達を消そうという罠の可能性が高い。

 

「私は受けるよ、レイヴン。ケイトについて何か掴めるかもしれない」

「じゃあ、いっしょにいこう」

 

 罠ならば真っ向から叩き潰すまでだ。立ちはだかるなら容赦はしない。

 

「封鎖機構の強制監査に、独立傭兵からの依頼…妙に入り組んだ話だが、お前はいつもどおりの仕事を頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケイトに指定された通り工廠内部、コーラルの井戸の手前で封鎖機構を待ち伏せる。この地点に来るまでで繰り返しスキャンを行ったけれど、BAWSの防衛部隊もステルス機も発見は出来なかった。戦闘に巻き込まれないよう独立傭兵に任せて退避していると言えばそれまでだけれど、BAWSではなくケイトが依頼を発行したことから既に壊滅していると考えるのが自然だろう。

 

 …スキャンが敵影を捉えた。少なくとも封鎖機構がやってくるというのは正しい情報だったらしい。

 

〔ミッション開始だ。惑星封鎖機構の強制監査部隊を全て排除する〕

[独立傭兵レイヴン、エノメナ、ご協力に感謝します。後ほど合流しましょう]

 

 ケイトからの挨拶が終わるともにSGがアクセスした隔壁が開き、エノメナがクイックブーストで通路から飛び出す。

 

「なっ…コード1──」

 

 飛び出していった機影を追いかけようと視線を向けた敵機をわたしが蹴り飛ばす。武装の射程が短いわたしに近い敵は任せてくれたようだ。

 

「どこから出てッ──」

〔SGの歩哨MTだ。レーザーガンに注意…する必要はなくなったようだな〕

 

 ショットガンで側にいるもう一機を撃破。エノメナの双対ミサイルがマルチロックでドローンを叩き落とし、残ったMTをブーストキックで踏み潰す。

 

「コード5、監査部隊に報告。ACが2機!」

 

 異変を察知していち早く飛来してきたLCをパルスブレードとレーザーブレードで挟撃。完封勝利、理想的な奇襲だったと言えるだろう。

 

〔片付いたか。先へ進むぞ〕

 

 

 

「コード31C、所属不明ACにより被害が出ている」

「援護する、これ以上やらせるな」

 

 すれ違いざまにMTを撃破しながら進んだ先…前回までは狙撃型と近接型のステルス機が待ち伏せしていた場所でLC2機が現れた。

 

[2人とも、LC機体には注意を。量産型とは言え、あの制圧艦隊にも制式配備されています]

「もう2人で1機倒してるよ、ケイト」

 

 オルクスだってこの状況なら同じようなことを言うはずなのに、ケイトに言われると何故噛みつきたくなるのだろうか。言いたいことはエノメナが言ってくれたから黙っておくが。

 

 初めて戦った時は苦戦した相手だが、あの時はタンクを使っていたからという側面が大きい。テンダーフット、軽タンク(LOADER4.2)軽量二脚(LOADER44)と色々試して戻ってきた探査用AC…LOADER444ならば十分追える速さだ。パルスブレードで間合いを詰めて切り捨てる。

 エノメナもリニアライフルを回避しようとしたLCをブレードの回転斬りに誘い込んで両断。

 

〔この辺りも片付いたか。だがこれは…監査にしては戦力が過剰だ〕

[…流石は壁越えの傭兵達…引き続きよろしくお願いします]

〔ケイトとかいう傭兵…アリーナランクに対して実績が少な過ぎる。後方部隊の襲撃をするというが、当てにはするな〕

 

 ケイトのことを知らなかったウォルターにもこの依頼のおかしさが露呈し始めた。依頼が終わったと油断した所に後方部隊が襲来…というのがシナリオだろうか?とりあえず今はまだケイトの作戦に乗っておこう。

 

「コード78、応援を要請。被害が大きい」

「こちらも何者かの襲撃を受けている、目下対処…」

 

〔…手筈どおりか、ケイトが動いたようだな〕

 

 手筈通り…?わたしたちに封鎖機構の部隊をけしかけるつもりと言う訳ではない?

 

〔工廠内部にいる監査部隊の殲滅を確認した。ケイトとやらが来る前に片付い…〕

[こちらも片付きましたが、ひとつ報告が。封鎖機構に想定外の動きがあります。ひとまず合流しましょう]

〔…聞いたとおりだ、マーカー情報を更新する〕

 

 なるほど、工廠を出た先に部隊が展開しているということか。背後に気をつけながら指定された座標へ降り立つが…別にそんなことはなかった。

 

 レーダーが友軍の表示を捉えた。アサルトブーストで接近している。

 

[貴方達が、独立傭兵レイヴンにエノメナ…]

 

 飛来してきた影は2脚ACのものではない。滑らかな装甲の頭部に騎士の鎧のようなコア。そしてそれらとは少し異なるデザインのアーキバス製量産型腕部。

 

[壁越えの傭兵達と親睦を深めたいところですが…]

 

 わたし達の前に着陸ACが着陸。上半身とは一変して角ばった形状の4脚が地を踏みしめた。

 

[その時間はないようです]

 

【挿絵表示】

 

 オルクス的な表現をするならば『お子様セット』。高火力武装を積み込んだAC…トランスクライバーの見つめる先から2つの人影と、1つの巨影が飛び出す。エクドロモイとカタフラクトだ。

 

「コード23、現着。被害状況は31Cです」

「監査部隊は全滅か、やってくれたな」

「システムより承認が下りた、強制排除を執行する」

 

〔特務部隊だと…!?馬鹿な…〕

 

 封鎖機構の最大戦力である特務部隊が監査程度で出てくる訳がない。封鎖機構は明確な目的を持ってここに来ている。ケイトがこの工廠のコーラル湧出についてリークしたのだろう。

 

[…近く制圧艦隊がルビコンに来るでしょう、これはその先遣部隊…]

〔…621、エノメナ。いずれにせよ逃げられる相手ではない、排除しろ〕

「りょうかい」「了解…!」

 

 まず潰すべきはカタフラクトだ。エクドロモイを相手している所に突っ込まれたらまず助からない。戦闘経験のあるわたしが動きを止めて火力を集中させる。

 

「わたしがすきをつくるから、あとはおねがい」

「分かった、任せて」

[ならばエクドロモイは私が引き受けましょう]

 

「2名の素性が割れました、独立傭兵です。識別名は「レイヴン」及びエノメナ」

「片方は知らんが、あのレイヴンなら死んだはずだ。残りの1人は?」

「情報がありません、未登録傭兵かと」

「システムに従って処理するまでだ」

 

 レイヴンの名前がある以上カタフラクトはわたしを警戒して真っ先に潰しにかかる。

 拡散レーザーを跳躍して躱し、コアMTへスタンニードルランチャーを撃ち込む。突撃してきた所で放電が発生し、僅かに動きが鈍った敵機へショットガンを斉射。

 方向転換して再び向かってきたカタフラクトをアサルトアーマーで迎撃。ACS負荷限界に陥った所にパルスブレードを振るって即座に離脱。

 

[素晴らしい実力です、レイヴン。貴方に頼んで正解でした]

 

 わたしという障害物が消えてガラ空きのコアMTにチャージされたリニアライフルが高速で突き刺さり、遅れてプラズマ爆発が迸る。

 

「強すぎる…システムに…照…会…」

 

 レーザーブレードが敵機を2度切り裂いたことで、カタフラクトはその動作を停止した。

 

「特務機体を撃破、残り2機」

………大きすぎる──いえ、なんでもありません。続けましょう」

 

 エネルギーパイルも数的有利による連携もないエクドロモイなど今更恐れる要素はない。わたしがACS負荷限界に追い込み、エノメナがトドメを刺してばそれで終わり。オルクスの言う通り、わたし達は相性が良いみたいだ。

 

〔特務機体の全機撃破を確認…仕事は終わりだ〕

[お疲れ様でした。レイヴン、エノメナ。貴方と共に戦えて良かった]

 

 ケイトは素直に飛び去っていく…結局、ケイト・マークソンがわたし達の背中を狙ってくることはなかった。

 

「武装のスペック任せな戦い方…やっぱり、“あれ”はケイトとは違う…」

 

〔いろいろと調べる必要がある。お前達は戻って休め〕

 




◯ケイト・Mk.3

【挿絵表示】

オルクスから学習した変幻自在の戦闘スタイルとC4-621から学習した一方的な大火力の押し付け…その両立を可能にしたのがこの機体です
出来損ないの前任者とは頭の出来が違うのですよ!

◯ウォルター
料理上手なウォルターパパ派閥と実は料理下手なごすずん派閥の激論の末にウォルターパパ派閥が勝ったので料理上手

◯621
いずれウォルターに料理を習うことになると思ってた
スネイルころす

◯オルクス(前世)
妹から一人暮らしに夢を見るのはやめておけと言われるレベルの生活力
挽肉とキャベツにめんつゆをかけてレンチンしたものを料理と呼ぶことが許されるなら料理はできる
幸い綺麗好きなのでゴミ屋敷にはなっていない

◯エノメナ
初期構想だと2周目の結末で盛大に拗らせて闇堕ちした結果、621に「貴方にお兄さんは救えない」とか言ってたのでだいぶマイルドになった
圧倒的家事スキルでオルクスと真レイヴンの私生活に食い込みつつある

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