『ただいまー…』
「おかえりなさい、お兄さん」
『エノメナも戻ってたか、とりあえず俺はシャワー浴びて寝るよ…』
捕虜救出で発生した想定外の事態を踏まえるとケイトがあの所属不明(笑)量産型ALBAを引き連れて彼女達に襲撃をかける可能性もあったように思えるが、どうやら621とエノメナによる強制監査妨害は無事に終わったらしい。ひとまず安心ではあるが…
シャワー室に向かう前にオペ子さんに連絡を入れてALBAの件を報告して情報収集と近々ブランチで集まりたい件を依頼しておく。
シャワーで汗を流しながら今回の件…というよりもこの世界に来てからの出来事を振り返る。この世界は間違いなくACVIの舞台であるルビコン3ではあるが、明らかに俺の知っているACVIの物語から乖離し始めている。その原因は転生者である俺だと考えるのが自然だが…
少なくとも一年以上前、ルビコニアンのアクスはCパルス変異波形と交信をしていたが、何かしらの理由で袂を分つことになった。
そして一年前、アクスがコーラルの発掘調査中に井戸に転落したことにより意識が散流。その肉体に憑依した俺はアクスに成り代わることを放棄してアクスの幼馴染であるソフィーの前から失踪。ノープランでの逃避行を決行した結果雪原で遭難した俺は、偶然通りかかったブランチのレイヴンに拾われた。
レイヴンオペレーターは謎概念“レイヴンポイント”を基準に俺の“レイヴン力”を見出して独立傭兵になることを提案。ACに乗ってみたいという欲望と行く宛がないという現状から俺は提案に乗り、独立傭兵オルクスとしての活動を開始した。
ばら撒き依頼を通して堅実に企業からの評価を高め、時折ブランチのメンバーに誘われて封鎖機構を襲撃し惑星封鎖に穴を開ける日々の中で俺は本来存在しない筈の「今の五人目」として正式にブランチの一員となった。
その後もコツコツと実績を重ね時折封鎖機構相手に大暴れを続けるうちにアリーナランクも7/Aまで上がり、オールマインドのリリース計画の協力者として(勿論リリースの動向を探るのが目的でリリースは断固拒否だが)雑用をこなしていく日々。
そんないつも通りの日々が大きく変わり始めたのがレイヴン先輩の一時戦線離脱。そもそもブランチがコーラル反応をリークしたのは良くある考察と同じく解放戦線からの依頼が発端であり、惑星封鎖機構に企業をぶつける為に封鎖を乱して企業や傭兵を呼び込んできた訳だが、もう十分舞台が整ったため「輸送中にレイヴンのナイトフォールは狙撃され死亡した」という形で身を隠そうとした。
ACに紐付けられているレイヴンのライセンスが期限切れ間近とはいえ悪用されないようにと回収を依頼された俺は汚染市街で密航者である強化人間C4-621に出会い…ブランチ的には何故か俺が密航者にライセンスを譲ってしまったということになる。
ここまでがARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON開始までの俺の行動だ。そこから武装採掘艦護衛までは621も普通に3周目を進行していたはずなのだが…色々おかしくなり始めたのは間違いなくそこからだろう。
そこまで俺がやった変なことといえば武装採掘艦護衛の前夜にケイトとエノメナを取り合ったぐらいで621には関係ないはずなんだが…
621はイグアスとヴォルタをボコボコにするわ一般孤児だと思ってたエノメナはクソ強いわオールマインドがALBAを量産してる疑惑が出るわの大惨事。本当にこれ全部俺に原因あるの?*1バタフライエフェクトが過ぎないか?
621はここまで大胆な事をしているならばループの可能性も全然ありうるよな。何か力になれたら良いんだが、どう声をかけたらいいものか…バカ真面目に「これで何回目?」とか聞いたら*2黒幕扱いだろ…
エノメナについては俺と同じ転生者と仮定すれば妙な強さや大人びた余裕にも説明が…いや、それはないか。感覚的な話になってしまうが、未だ現代日本人大学生的な感覚が抜けない俺と天然ルビコニアンの彼女では価値観の差異を感じることも多いからな…やはりオールマインドにナニカサレタかレイヴン先輩のような野生のクソ強真人間枠の二択か。
最後に量産型ALBAだが、これの犯人はオールマインドでほぼ確定だろう。スティールヘイズ・オルトゥスが完成するのはファーロンが技術提供に同意したChapter4から5までの空白の期間だ。この時点でALBAを量産出来るとしたら各企業の技術や設計思想を統合しているオールマインドに限られる。正直機体そのものの出来はお粗末だったが割とAIの回避性能は優秀で、確実に5秒粘れる機体が群れをなして一斉にWニドガンニドミサをぶっ放してくるのはかなりの脅威だな…
こんなところか*3。身体も綺麗になったのでシャワー室を出て自室に向かい、扉の前で深呼吸。意を決して扉を開ければ…
「お布団温まってますよ」
やっぱりかああああ!!*4
これもまた悩みの種なんだがエノメナの距離感がバグり過ぎなんだよな…そりゃまあ俺だって男であることを捨てた訳じゃないから好意を向けられるのは嬉しいよ?でもさぁ…俺の自惚れじゃなければこれ、依存されてるよね…?今回621の方に泊まっていた事を考えるとどうしようもないレベルの深刻さではないと思うんだが…
正直な所、俺はアクスくんの身体を奪っているという罪悪感や2度目の人生ということもありつい最近まで死ぬのは怖いと考えながらも自分の命にそこまで執着しきれていなかった。そんな俺にとって彼女の存在は生きなければいけない理由として(言い方は悪いけど)都合の良い存在だったのだが…こんな考え方だと最悪共依存に陥ってしまいかねない自覚はあった。
ソフィーとの和解を通して俺の意識も変わりつつある以上、彼女との向き合い方は考えなければ。そりゃ突き放すとかは論外だからしないけどね。クソボケじゃあるまいし。*5
とりあえず今日は背中向けて寝るとかから始め…後ろから抱きつかれて全身の感触ががががが…!?ひゃっ…!?耳ふーはこしぬけちゃうかららめぇ……!
…はい、おはようございまーす。
ランク7/Aの凄腕傭兵(21)が夜は中3くらいのの少女に好き放題されてるとか同人誌*6かよ。おにロリの主導権をロリに握らせるな(懇願)
ま、まぁ…負けてるのはアクスくんの身体であって俺じゃないから…(震え声)
とりあえず朝食にしよう。布団から出てもはや給湯室レベルのことにしか使っていないキッチンへ…
「…昨夜はお楽しみだったようだな、オルクス」
『ミ゜ッ!』
「冗談のつもりだったが…良い反応だな、図星だったか?」
「その声、どこから出してるの…」
ダイニングで待ち受けて居たのはにやにやとした表情のキングとシャルトルーズ。既にエノメナとレイヴン先輩にオペ子さんも座っている。談笑中だったのだろうか?
『キング兄さんにシャルト姉さん…確かに話がしたいとは言いましたけど集まるの早すぎません…?』
「まぁ、オルクスが集まりたいと言い出すのは珍しいから。それだけ重要な話ってことでしょ?」
「それと、俺もシャルトルーズもお前の弟子に興味があったからな」
「ちょっと、勝手に一緒にしないでくれる…!?」
おふたりさんは仲良いねぇ…もしかしてブランチって仲良し傭兵サークルなのでは?
とりあえずキッチンからレーションを手に取り、フィーカを淹れて来て俺も着席。腹が減ってはなんとやらだ。話し合いの前に準備を整えよう。
「少し話した程度だが、お前の弟子は良い傭兵になりそうだな。意志だけで戦えるなら苦労はないが、少なくとも彼女には実力も伴っているようだ」
「相っ変わらずの上から目線だけど、キングがここまで素直に褒めるなんて…明日は衛星砲でも降るんじゃないの?」
「あ、ありがとうございます…?」
シャルトルーズもエノメナを気に入っているのか肩まで組んで話しかけている。まさかエノメナがプライドの高い2人からここまで評価されるとは…
「オルクスも食事を済ませたようね。そろそろ本題に入りましょうか」
オペ子さんの言葉で一気に空気が引き締まる。
『これは俺が昨日遭遇した所属不明機体との戦闘ログです。共闘した推定シュナイダー役員の娘も把握していないことから極めて秘匿性の高い新型と考えられます』
「…!?(あれってラスティさんの機体…!?それにシュナイダー役員の娘ってフローレインだよね!?)」
エノメナはフローレインの方に注目してるな…ガトリングと火炎放射器の組み合わせは確かに強烈な存在感だけど。
「見慣れない背部武装だけど…この弾速なら腕部と同じニードル技術を用いたキャノン?アラートを聞いてからじゃ回避は間に合いそうにないわね」
「よく見ろ、シャルトルーズ。僅かだが追尾している…ニードルミサイルとでも言うべきか」
「この堅牢さと軽さを兼ね備えた装甲もエルカノの鍛造技術が使われているとみて間違いなさそうね。レイヴン、貴方はどう思いますか?」
見ただけで武装と装甲を分析できるのは封鎖機構の新型と渡り合ってきたブランチだからこそかもな…
「この機体制御はブースターを熟知しているファーロンの演算ありきだと思う。腕部の射撃精度もFCSから流用してるのか?飾り気のない真っ直ぐな脚部…水平跳躍に対して垂直跳躍は高いから空戦特化…?コアはこれらの集大成、NACHTREIHER/40Eにエルカノの装甲とジェネレータ出力、ファーロンの姿勢制御が組み込まれてる。でも…この構成ならクソアーキバスの環流型より大容量高出力のHOKUSHIの方が良いはず。ブースターも上昇回りの性能が噛み合ってない、軽量機だから高推力ブースターを使えばいいという安直さが見え透いてる。コンセプト的には低負荷なBST-G2/P04の方が良さそう。間違いなく開発者が組んだ機体じゃなくて手が加わってる」
レイヴン先輩がめちゃくちゃ饒舌だ!しかもスティールヘイズオルトゥスの内部性能全部当ててる…!
低負荷中2に初期ブースターと霊台のAB→QB連打で疑似的な軽量機やってるレイヴン先輩の手厳しい言葉が突き刺さるね…
所で「クソアーキバス」とは…?確かにレイヴン先輩はアーキバス系列のパーツを何も使っていないが…
「流石の慧眼ね、レイヴン。私もこの機体には探りを入れてみましょう」
「何者かの手によってアーキバス系列のパーツを組み込まれたエルカノ製AC…この機体にベイラムを攻撃させることでエルカノへの不信感を煽るのが目的か?シャルトルーズ、俺達はアーキバスを探るぞ」
「また勝手に仕切って…まぁこんなことを計画する奴として真っ先に思いつくのはV.IIだけど、アーキバスが次に狙われる可能性だってあるわね」
なるほど、キングの考え方は盲点だった…!確かにここまで秘密裏にオルトゥスを開発出来たのはあくまでルビコン解放戦線側として高級ACを提供しているだけで影の薄いエルカノだからこそだ。
だが、オールマインドはオルトゥスが解放戦線に渡ることそのものは許容していたし、賽は投げられた√においてラスティはALLMINDに統合されている以外空気のはず…
『協力ありがとうございます、俺は引き続きオールマインドを探りましょう。力を貸してくれるか、エノメナ?』
「はい!任せてください!」
せっかくブランチの先輩方が集まったのだから経験を積ませて貰うと良い、というお兄さんの提案で対戦させてもらったキングさんとシャルトルーズさんはまさしく死線を何度も潜り抜けてきた歴戦の傭兵といった強さで圧倒された。
「見つめ合うと死ぬ」女性傭兵ことシャルトルーズさんはその肩書き通り圧倒的な火力によるプレッシャーで私の突撃を潰し、僅かに掠ったグレネードの爆風を起点に一瞬で消し飛ばされてしまった。
一方「完成された傭兵」であるキングさんはスクトゥムで防御を固めつつ翼のようなレーザーキャノンで威圧しながらハンドガンで私の機体に負荷をかけるという極めて堅実な持久戦をしつつ、ここぞという場面でスクトゥムの裏でチャージしていたリニアライフルによる強烈な一撃でACS負荷に追い込んでからレーザーキャノンを撃ち込まれてしまった。
どちらにも共通していたのは私の機体が得意な間合いに持ち込ませないということ。シャルトルーズさんは遥か上空から見下ろしてこちらに突撃を強制し、キングさんはハンドガンの射程から逃げる私を的確に壁へ誘導する。トップクラスのランカーから敵の弱点を見出し自分の有利を押し付ける立ち回りを学ばせてもらうという有意義な1日だった。
そして私はいつも通りお兄さんと同じベッドに入る。最近は一緒に寝ることそのものには慣れてしまったようなので色々とちょっかいをかけているが、今日は何もせずただ寄り添って寝るだけに留める。こういうのは駆け引きが重要だとシャルトルーズさんが教えてくれた。
…異性を平気で自分の寝床に入れてこれだけ安眠出来るなんて、お兄さんは無防備過ぎて心配になる。自分が狙われる可能性なんて考えたこともないのだろう。
体格差のある先輩レイヴンさんに、小柄ながら強化人間らしい膂力のレイヴン。後者はまだ好意を自覚していなさそうだけれどこの2人がその気になったらお兄さんなんて赤子同然だ。
というか弱い部分があり過ぎて私でもお兄さんのことは好きに出来ると思う。
…隠し事はあっても裏はない。そんなノーガードなお兄さんはルビコンを出た後何をするのだろうか?彼のことだから、きっと自然に人は集まってくるのだろう。
彼は適当に普通の人生を、と言っているけれど「どうせ金ならあるし…」とか言いながら私のような子供を拾っていくうちに最終的に孤児院みたいになって…いや、なんだったら何故かそのまま全員傭兵になってハンドラー呼ばわりされていそうだ。拾われた子達もそこまで私みたいにならなくても良いのに…って、よく考えたらこれは私の想像だから私の経験に偏ってしまうのは当然か。
でも………お兄さんが言う普通の人生を謳歌出来ている姿が、何故か私には想像出来なかったから。
◯エノメナ
オルクスへの積極的な攻めは好意と嗜虐心と依存のハイブリッド
どうせ確信犯(誤用)なんだろ?話しても仕方ない
◯真レイヴン
アーキバスには極めて私的で一方的な恨みがあるらしい
そのうち過去回で補完したい
決戦投票
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マシブレレザキャプラミサ中2
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重マシARグレ散布ミサ重逆
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WランセツWニドミサ軽逆