現状を把握し、オルクスとエアが集めてくれた情報を整理したわたし達は、いよいよカーラと関係を築くためにグリッド086へ(無断)出撃…した所までは良かったのだが…
「お、俺のマッドスタンプがぁ………」
「あ、あの…大丈夫ですか?ジェネレータに引火したら爆発するかもしれないので、こんな所に生身で居るのは危ないですよ?」
わたし達が手を出すまでもなく撃破され炎上しているマッドスタンプの近くで項垂れる小太りの巨漢。間違いなくインビンシブル・ラミーだろう。エノメナは律儀に声をかけているけれど…
「なんだあ…見ねえツラだな、ここが誰のシマだか分かってんのか?ボス、見ててくださいよお…この「無敵」のラミーが客人をもてなしてやりますんで…」
「えっ…ちょっと…?ど、どうしようこの人…」
《…流石はドーザー、評判どおりです》
そんな彼女の機体の足元を生身でぽかぽかと叩いているラミーと、それに困惑しながらわたしに助けを求めるような視線を向けるエノメナ。そしてそんなラミーへ冷ややかな視線(?)を送るエア。
アリーナの説明によれば「どれだけ撃破されても翌日には忘れている」という話だったが、この様子だと既に撃破されたことを忘れているらしい。
〔ラミー!上手くビジターを足止めしているようだね、中々笑える状況じゃないか!〕
異様な光景に動けないままでいるわたしたちに向けて広域放送で女性の声が響き渡る。
〔それで?邪魔なラミーを踏み潰しもしないビジター達は何の用で私らRaDの元を訪れたんだい?〕
「シンダー・カーラ…いえ、ここは第二助手と呼ぶべきでしょうか?こうして知己を得ることができて光栄です。私のことはハンドラー・ウォルターから聞いているのでは?」
〔なるほど…あんただったのかい、第三助手の後継者ってのは。聞いてはいたけど想像以上に若いね〕
カーラも見た目だけなら人のことは言えないような気がするけど…
「アポ無しでの訪問となってしまって申し訳ありません。今回はあなたと情報の擦り合わせをしたいと考えてやってきました」
〔折角来てもらった所悪いが、私らも暇じゃない。レッドガンのACから襲撃を受けていてね…少し働いて貰えるかい?〕
「もちろんです。良いよね、レイヴン?」
「うん、いこう」
…技研の第三助手の後継者、という架空の設定で堂々と話を進めあっさりと協力体制を築いたエノメナ。カーラやウォルターの圧に負けることなく話を進められるのは正直尊敬する。話の通じないラミーにはあたふたとしていたけど。
それはそうと、前回もジャンカー・コヨーテスに雇われてイグアスと戦うことになったけれど…今回はわたしとオルクスによる被害を受けていないのにジャンカー・コヨーテスから襲撃されているようだ。
早速だが、仕事を始めよう。
「てめえはガリア多重ダムの…ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだったが…野良犬を潰せるなら、悪かねえ」
「多重ダムではやってくれたな…あの時の借りは返させて貰うぜ」
《G4ヴォルタ及びG5イグアス、それぞれキャノンヘッドとヘッドブリンガーです。連携には注意して下さい》
やはりというべきか襲撃者はイグアスだったが、今回はヴォルタもいるようだ。機体が普段と違うけれど…そういえば新機体が輸送中に強奪されたという話だったか。ありあわせ感溢れる武装構成だ。
「G4は私がやろうか?」
「まずはゔぉるたからふたりでやろう、いぐあすはあとでいいよ」
「そうなの?分かった」
EN武器を装備したエノメナが耐久の高いタンクを狙うというのは正しい判断だけれど、彼らの戦闘スタイルはヴォルタがその耐久を活かして前衛を担いイグアスが射撃で着実に削っていくというものだ。ヴォルタさえ速攻で落としてしまえば脅威は大きく減る。
「機体さえやられてなければ、壁越えを果たしたのは俺たちだったってことを教えてやる。くたばりな、野良犬共!」
「おい、イグアス…クソッ、熱くなりやがって…!」
こちらへ突撃するイグアスと、そんな彼の姿に困惑しながら追いかけるヴォルタ。いつもより性能の低いシールドを構えながらライフルとオービットを撃ち込んでくるイグアスを適当にあしらいヴォルタの方へ向かう。
「こいつも…只者じゃねえな…!」
わたしがイグアスに絡まれている間にヴォルタの元へ到着していたエノメナはグリッドの入り組んだ地形を蹴ってヴォルタの背後に回り込み続け、プラズマライフルでじわじわとダメージを与えているようだ。
エノメナを照準に捉えようと振り回されているヴォルタの背後へ接近し、パルスブレードを叩きつける。
「俺なんざ眼中に無いってのか!?野良犬が下に見るんじゃねえ…!」
イグアスが今使っているリニアライフルは長銃身による長射程高威力と引き換えに連射性能が犠牲になっている。彼の性格上リニアライフルの適正距離から近づいて来ないのだから、相手するだけ無駄だ。
一方ヴォルタはこれまでより攻撃的な武装となっていて、あまり近寄りたくない武装が並んでいる。接近した敵をガトリングで牽制し、バズーカを連射して削るのだろう。
エノメナのように撹乱しながら遠距離武器で削るのが理想的だけど…残念ながらわたしの武装は近接特化なので、エノメナが撹乱している隙にショットガンを撃ち込んで一撃離脱を繰り返す。
近接信管のある腕のバズーカと拡散バズーカという武装であるためアラートに反応出来ても無傷とはいかなかったが、なんとかACS負荷限界に追い込んだ。
エノメナのレーザーブレードから爪状に展開されたエネルギーが収束し、巨大な刃を形成。
「…ッ!これは…!?」
「なっ…なんだ!?」
エノメナがパルスアーマーを展開したことでヴォルタに向かって振り下ろされようとしたブレードが消失。その直後、エノメナとヴォルタに向かって無数の鉄杭が撃ち込まれた。
「ヴォルタさん、動けますか!?」
「お、女…!?あ、あぁ…なんで急に俺の心配を…」
ヴォルタの被害状況を確認するエノメナと、それに困惑するヴォルタ。
《…!更なる敵性反応!》
「!?なんだこの…訳の分からねえ機体は…!」
「…噂の所属不明機体、恐らく狙いは無差別です」
わたしたち4人を取り囲むようにして降り立ったのは銀色のALBA4機ともう一機。
いつもの水色ではなく、翠色にデバイスを発光させるアンフォラMR…オルクスのデッドコピーだった。
〔その機体構成、独立傭兵オルクス………*1って訳じゃなさそうだね。わざわざうちの製品まで持ってきたのは当てつけかい?〕
エノメナと機体越しに視線を合わせて頷く。アレを自由にさせたら一気に動きを制限されることになる。
「…ここは共闘といきましょう。レッドガンの2人は取り巻きをお願いします」
「あ…?俺たちに指図してんじゃ…」
「…苛つくのは分かるがイグアス。アレは俺たちでは分が悪い」
「チッ…さっさと片付けるぞ、ヴォルタ」
キャノンヘッドの脚部には所々ニードルミサイルが突き刺さってこそいるが、リペアキットでAP自体は万全のようだ。イグアスと背中合わせになってALBAを迎え撃とうと構える。
2人が協力体勢を受け入れたことを確認し、わたしたちはデッドコピーへ飛びかかった。
特殊ミサイルブースト移動で斜め後ろに後退しながら包囲型ハンドミサイルを展開する敵機。展開完了と同時に特殊ミサイルを発射し、わたしたちを挟み込むような配置にした後、更に跳躍から散布型ミサイルで弾幕を張る。
1周目の時のアリーナではロック完了と同時に何も考えず発射していたことを考えると、着弾間隔を調整出来る程度には発展した思考を備えているらしい。
多彩な軌道を描くミサイルの存在が厄介なのは間違い無いが、ミサイルには対処法が必ずあるものだ。順番にこちらへ向かってくる包囲型ハンドミサイルとすり抜けるようにして回避。この時、特殊ミサイルの通過経路に誘い込まれる為距離感をしっかり測り続ける。2つのミサイルを切り抜けた後は連続して放たれた散布型ミサイルの対処だ。とはいえこれもすれ違うだけで対処可能なのだが。
そしてこれらのミサイルは一度撃ち切るとリロード、再ロック完了までに短くない時間を要する。つまりパルスブレードを展開しながら近づいてきた私への対処はアサルトアーマーかパルスブレードのみ。安直なアサルトアーマーを後出しでのアサルトアーマーで押し返してACS負荷限界。ショットガンで怯ませてからパルスブレードの2連撃で吹き飛ばす。
敵機の装備しているミサイルは全てマルチロックが不可能、つまり…
敵機の背後、排熱中の為展開されているコアへレーザーブレードが突き立てられる。ここまで敵機はエノメナを野放しにして、あっさりと背後に回り込まれていた訳だ。
《敵機ジェネレータ破損!自爆します!》
これまでの量産型とは違いまだまだAPには余裕がありそうだったが、ジェネレータが動かなければ動けない。レーザーブレードが消失し、抜き取られたことで敵機は落下していき、そのまま自爆した。
「量産型よりはマシだけど…全然駄目。そもそもあの機体は1対1前提だから使い方が悪い」
「あんなものじゃあのふたりにもかてないんじゃない?」
紛い物とはいえ、まるで彼を使い捨てるかのような雑な扱いに苛立ちを露わにするエノメナ。まぁ、わたしも同じだけど。なんの為に彼が3機を使い分けているのか分かっていないようだ。
「てめえら…まとめて消えろ!」
「仕事を増やすんじゃねえ、ガラクタが」
下を見れば本来の投射方法より大味にばら撒かれた炸薬に拡散バズーカの爆発で引火し、広範囲への連鎖爆発が発生。G4とG5のコンビもあっさり4機のALBAを仕留め終えたようだ。という訳で…
「邪魔者は消えた、次は…!?」
「!?てめえら…!」
「2人とも、お疲れ様」
勝ち誇るイグアスへエノメナが、ヴォルタへわたしが急降下してそれぞれのブレードを振るう。これでわたしたちの勝利だ。
「また不意打ちか…!良い加減にしろよ野良犬…!」
「クソッ…また機体がイカれやがった!動けねえ…」
メインブースターが損傷し、脱出は絶望的。騙して悪いけれど、イグアスにはエアとの交信が可能な予兆があるからもう少しだけ付き合ってもらおう。
〔終わったみたいだね、ビジター達。早速だが、あれについて話し合おうじゃないか〕
「ええ、よろしくお願いします」
うわーんミシえもーん!
イグアスとヴォルタの台詞書き分けが出来ないよー!
◯621
過去の共闘経験でオルクスの立ち回りを熟知しているので、紛い物だろうが本人だろうが基本的に勝てる。
◯エノメナ
ウォルターとカーラの存在しない友人ムーヴとかオルクスより2次創作の主人公してない?
◯G4+5コンビ
機体は奪われ、コヨーテスの鉄砲玉として雇われ、金にならない仕事が増え、野良犬ガールズに後ろから刺され、RaDに拘束される。かわいそう。
◯ヘッドブリンガー/キャノンヘッド(代替機)
「翠色のデバイスと銀色の装甲が特徴的なACを駆る謎の女」による襲撃を受けた結果AC3機を輸送中の大型ヘリが強奪されたため、レッドガンが余り物をかき集めて急拵えで組んだ機体。
【挿絵表示】
イグアスはC3が非売品のカスタム機ということで機体の補充が追いついておらず無印で代用。下がった機動力をSPDで補い、マシンガンっぽいオービットを採用。もっとそれっぽい肩ガトリングも候補だったが、地中探査でレーザーオービットを載せてたのでこっちに。
上がった近接適正が太陽守で無駄になっているが、今の彼にパイルやパルブレを扱える度胸があるかと言うと…
正直この盾を構え続けるくらいなら衝撃カットの優秀なバックラーで良かった気がしないでもない。
【挿絵表示】
ヴォルタは腕肩のグレをバズ、ショットガンをガトリングで代用。バズの構えで発射が止まってしまうので安直に強い10連ミサではなく一気に撃ち切れる双対ミサイルを採用した。ここは分裂ミサイルに戻すのが理想?
グレネードの威力と攻撃範囲を失ったが、タンク故に最大限引き出せている訳ではなかったので連射の効くバズーカも悪くないのでは?
と り あ え ず 頭 を 変 え ろ よ。
◯オルクス:デッドコピー(ハイエンド)
【挿絵表示】
癖の強いミサイルをばら撒きながら逃げ回り、隙を見てブレードを叩き込むという主人公(ヒロイン)の機体とは思えない陰湿な戦法を取ってくる。量産型ALBAという前衛機の存在もあり、シンプルにクソ。
あと、無人機だからブレキャンを惜しみなく使えるのにジェネレータの容量が少ないのであんまり振れない。その分回復は早いから雑に使い切れるけど。
余談だが、このミサイル構成は真アンフォラMRと比べてNPCの超反応に強い代わりに対人戦だと見切られやすく、ニートタイムが長い。さてはAMちゃん、シミュレータしか参照してないな?