ハウンズ銀髪薄幸美少女概念が強すぎる…
幕間.独立傭兵オルクスのわくわくな日々
続々.眠らぬ街の逢瀬
621とのBAWS第2工廠探査を終えた俺は仕事終わりに一杯飲もうかと久しぶりに欲望渦巻く夜の街、グリッド077を訪れていた。
拾ってしまった少女…エノメナも木端傭兵としてはそこそこの仕上がりとなり、現在は傭兵ライセンス登録中のため今日は休ませている。一応無理すれば養えるだけの金はある訳だし、本当は諦めて欲しかったんだが…あそこまで痛めつけて折れないなら信じて送り出してやるべきなのだろう。
行きつけの店に入店し、いつもの席に座ろうとすると…
「そろそろ来る頃だと思っていたぞ…オルクス」
いつもの席の隣に、しわがれた声の気怠げな老人が座っている。
『…スッラ』
…リリース計画の中核を担う独立傭兵スッラ。俺とスッラはオールマインドのリリース計画の協力者として一応仲間関係にある。だからと言って一緒に飲むほど仲良くなった覚えはないんだが…
『こんな所で待ち伏せとは…何の用だ?』
「ハンドラー・ウォルターの新しい犬と仲良くやっているようだな…どう感じた?」
案の定、狙いはウォルターと621か。
『彼は素質がある。いずれルビコンを変える傭兵に成長するだろう』
その変化がルビコンに良いものか悪いものかどうかは別に興味が無い。どうせ俺はChapter4に入ったタイミングでこの星を出るつもりだからな。だが…彼がリリースに賛同するようであれば…
「そうか…坊やでさえその評価だ…その犬を殺せばンハンドラー・ウォルタァはどんな顔をするんだろうなァ…」
『…誰が坊やだ』
背が低いからってナメやがって…俺だって20は超えてるんだぞ。殺し屋フレンズのコールドコールに影響でも受けたのか?スッラの声にねっとりとした感情が乗り始める。
「新しい犬は特別なようだ…今度こそンハンドラー・ウォルタァに使命を諦めさせてやれるかもしれん…」
…これがスッラの厄介な所だ。まっすぐな意志を壊してやりたいという破綻した欲望と、ウォルターのことを使命というしがらみから解放したいという意志が複雑に絡み合って屈折した感情をウォルターに向けている。
ウォルターに向ける感情は確かに善意なのだが、そこに死の気配と共にあったスッラ自身の在り方が混じっているせいでやり方が歪んでしまっているのだ。
ウォルターも難儀だねぇ…本来の筋書き通り621が始末してくれることを祈るのみだ。
「そういえばオルクス…お前も犬を飼ったそうだな?」
『ッ………!』
「そう身構えるな…店の中だぞ?」
………。
「その甘さは捨てておけ…余計だ…」
『どういう意味だ…』
「無垢で清廉なままでは苦しむだけだ…ハンドラー・ウォルターのようになァ…」
『………』
「この辺りにしておかないとお前の甘さにやられて耳鳴りがしそうだ。ではな、世間知らずのオルクス坊や」
そりゃまぁ平和な日本出身だから世間知らずかもしれないけどさぁ…何が「耳鳴りがしそう」だ。まるで人をCパルス変異波形みたいに言いやがって…
…もやもやとした感情を抱えながら会計を済ませて帰途に着く。どうせ旧型強化人間の幻聴と老害が混ざりあった余計なお世話だ。ウォルターが言ったように相手にしないのが1番だろう。
そう切り捨てるのは簡単なはずなのに、スッラのねっとりとした言葉が頭から離れなかった。
ーーーーーーーーーー
これは…ある友人からの私的な依頼だ
「ウォッチポイント」と呼ばれる施設がある
地中に眠るコーラルの支脈を監視し
かつてはその流量制御も行っていた施設だ
お前には そこを襲撃してもらう
目標は…最奥にあるセンシングバルブの破壊
当該施設は惑星封鎖機構のSGが警備に当たっている
企業たちも表立っての手出しは避けるだろう
つまりこの仕事は…オルクスには頼らず
遂行しなければならない
単機での夜間潜入となる、気を引き締めてかかれ
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…ハンドラーが送ってきた、企業からでも解放戦線からでもない次の仕事。それはハンドラーの友人という個人からの依頼だった。
地中に眠るコーラルの支脈を監視しその流量制御を行っていたということは、ここを襲撃することでコーラルの獲得に一歩近づくということなのだろうか?
ハンドラーの友人について気になる所はあるが、今のわたしに出来ることは仕事をすることだけだ。出撃の用意を済ませておく。
〔621、準備はいいか〕
ウォッチポイント上空まで輸送機で到着したわたしにハンドラーが声をかける。
〔独立傭兵が単騎で仕掛けてくるとは封鎖機構も想定していない。行ってこい、仕事の時間だ〕
ハンガーからわたしの機体が切り離され降下。ウォッチポイントにはSG部隊が数体と2基の砲台が配備されているのが確認出来る。砲台に狙われながらHGを相手するのは得策では無さそうだ。
〔証拠は残すな。目撃者は全て消していけ〕
まずは下まで降り、敵の死角になる水上を通って砲台の真下に接近。上昇して奥の砲台をブレードで破壊。
「コード15 侵入者を捕捉」
「敵は…AC単機だと?どこの所属だ」
「詮索は後にしろ。迎撃を開始する」
先制攻撃は成功だ。再び水上に戻りもう一つの砲台も破壊する。これであとはMTだけだ。
「コード78 応援を要請」
「これは…!?本部と繋がりません!」
〔応援は来ない。621、殲滅しろ〕
どうやらハンドラーが通信を妨害しているらしい。それならばわたしが考えるべきは手早く残りを片付けることだけだ。垂直プラズマミサイルのマルチロックで残りの戦力を一掃。
「コード31C 被害甚…」
もう一つの区画も同様、先に砲台を片付けてからSGを各個撃破していく。夜闇に紛れるテンダーフットの濃紺の装甲とショットガン、ブレード、プラズマミサイルという敵機を一撃で屠ることの出来る武装は、今回の奇襲において非常に高いシナジーを発揮していた。
〔マーカー情報を更新する。指定する方向へ向かえ〕
指定された地点に向かう為に高台を越え、連絡橋の先にある施設を見下ろす。ブリーフィングの映像でも見た施設だ。
〔見えるか、あれがウォッチポイントの制御センターだ。目標はその内部にある。侵入しろ〕
…恐らくあそこがここで最も重要な施設であるはずだが、随分と警備が薄いように感じる。アサルトブーストで目的地に向かう最中、センサーに反応を検知。ブーストを中断して橋の上に降り立つ。
「ウォッチポイントを襲撃するとは…相変わらずだな、ハンドラー・ウォルター」
制御センターの上に立つACから通信が入った。無線越しに聞こえる声からは気怠げな老人といった印象を受ける。
「また犬を飼ったようだが、何度でも殺してやろう」
そう言うと、ACはプラズマミサイルと共にこちらへ飛び掛かる。言動からして味方でないのは間違いないだろう。
〔貴様は…スッラか!?〕
どうやらスッラと呼ばれた敵機とハンドラーはお互いに知り合いらしい。
「そこの犬…お前には同情するぞ。飼い主が違えば、もう少し長生きできたろうに」
どうせ廃棄処分を待つだけの身だったのだから余計なお世話だ。ハンドラーに意味を与えられていなければそもそもここにわたしは居ない。
〔「C1-249 独立傭兵スッラ」第1世代強化人間の生き残りだ…やれ、621。さもなくばお前が死ぬことになる〕
第1世代強化人間…つまりわたしよりも前、強化人間技術黎明期の人物だ。ここまで生き残っているということは只者ではないのだろう。
アラートに反応して銃剣の取り付けられたバズーカを躱してから肉薄し、ショットガンを斉射…これまで戦ってきた敵とは動きのキレが違う。わたしの放った散弾は、クイックブーストで最低限の被弾に抑えられた。
「619と20はどうした、死んだか?私が殺ったのは何番だったか…」
〔…奴の言葉に構うな、集中しろ〕
これまでもスッラは「ウォルターの猟犬」を始末してきたようだ。ハンドラーとスッラが知り合いだったのはその因縁ということだろう。ハンドラーの声は動揺しているように感じるが…
バズーカとは逆の腕部武装から浴びせられるパルス弾を機動力を活かして張り切り、ショットガンを交互に撃ち込んで衝撃を蓄積させていく。タイミングをずらしたことで先程のようにまとめて避けられることはなくなった。
プラズマミサイルによる広範囲な爆風を躱しきれずにACS負荷限界に陥ったスッラへパルスブレードの高周波振動を二度振るう。吹き飛んだスッラへアサルトブーストで接近しながらショットガンを斉射してブーストキック。キックは外したが、かなりの痛手を負わせた筈だ。
「この感じは第4世代か。上手く育てれば優れた猟犬になる…不憫なことだ。ここで死んでしまうとは」
キックを振り抜いた隙にバズーカを直撃させられ、スッラから声が掛けられる。またそれか…わたしはハンドラーの道具だ。道具に哀れみなど必要ない。先程同様に敵機へ張り付き、ショットガンとプラズマミサイルで攻撃していく。
「哀れなものだ。ハンドラー・ウォルター…お前の犬共も、そしてあの坊やもな…」
…!わたしの機体に後方から何かが突き刺さり、連鎖爆発が引き起こされる。ACS負荷が限界を迎え機能を停止。これは左肩のミサイル…バズーカの発射前に発射されていたらしい。バズーカの発射をキャンセルしたアラートと勘違いして全く意識していなかった。
バズーカが直撃。着弾を起点とする連鎖爆発により機体が多大なダメージを受けた所にスッラがアサルトブーストで接近。先程わたしがやろうとしたようにキックで仕留めるつもりだ。クイックブーストは間に合わない。この状況を切り抜けるには…
「また1匹、お前のせいで死ぬぞ。ハンドラー・ウォルター…」
こちらに迫り来る敵への対処…それはBAWS第2工廠でオルクスがステルス機のレーザーウィップ相手に実践していた。
ブーストキックの発生前にコアを展開してアサルトアーマーを発動。こちらに飛び込んできたスッラにパルス爆発から逃れる術はない。爆発の衝撃を至近距離で受けたことでACS負荷限界に陥ったスッラにパルスブレードの波形を叩き付けた。
「ハンドラー・ウォルター…ウォッチポイントは…やめておけ…」
〔…敵ACの撃破を確認した。621、奴のことは気にするな…だが、よくやった〕
スッラは警告のような言葉を遺して死んだようだ。スッラとハンドラーの関係には疑問が残るが、その情報はわたしには必要ないものだ。この様子だとハンドラーは答えないだろうし、わたしも体力と機体の消耗が激しい。
〔…仕事に戻るぞ。センター内部に侵入し目標を破壊しろ〕
補給シェルパで機体を修復し目標へ向かう。手早く終わらせて休息を取るとしよう。
〔それだ、中央にあるデバイスを壊せ〕
言われるがままにデバイスにパルスブレードを振るう。デバイスは火花を散らしながら爆発を引き起こし…煙を上げて沈黙した。
〔…621、よくやった。仕事は終わりだ、帰投しろ〕
ハンドラーからの労いの言葉を聞き、帰投の用意をする。機体制御をオートパイロットに………?
〔これは…!?〕
足元から紅い光が溢れる。この光はBAWS第2工廠の貯水槽で見た…
〔…まずい、退避しろ!621!〕
…間に合わない!ブーストを吹かすことすら出来ず、地下から逆流した紅き極光の奔流がわたしを呑み込み…わたしの意識は暗転した。
◯スッラ
真っ直ぐな意志や無垢な心を持つ者を見ると壊したくなるおじさん
壊した方が幸せだから、という善意の行動
その屈折した感情は、ウォルターさえいなければ純粋無垢なCパルス変異波形に向かうことになる
(耳鳴りがしそう、はお前の正体を察してるアピールで実際に聞こえている訳ではない)
◯621
センシングデバイスから…光が逆流する…!
女621の髪は…
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サラサラ長髪
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サラサラ短髪
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ボサボサ長髪
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ボサボサ短髪
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ふわふわ長髪
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ふわふわ短髪
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強化人間に髪なんてないだろ派