転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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媚 を 売 ル ビ コ ン I I

 

「故郷も家族も友人もアーキバスに奪われていく先もなくもうこの身体を売るしかないという瀬戸際に追い込まれていたボクのことを見つけて両親から教わっていたメカニックとしての力を活かせるように場を整えてくれたのですもしもヒビキ様がいなければ今のボクはなかったのですからこれは好きや愛しているなどというありふれた言葉で済ませてはならないのですそう言うなればヒビキ様はボクの星です本来決して届くことのなかった憧れそのものでありボクの道を照らしてくれた光なのですしかしヒビキ様はその聖人の如き優しさ故に人を傷付ける才能は皆無に等しい上にお前のような怪しい人物をあっさりと懐に入れてしまう程無防備ですだからこそボクは心配なのですよヒビキ様の善意に付け込んでヒビキ様を傷付けるなんてそんな理不尽なことが許されるでしょうかいえ許されるハズがありませんだってヒビキ様は報われるべき御方なのですから…!」

 

 …終わった?流石に終わったよな?口開いた瞬間私の言葉を遮らないで下さいとか言われないよね?

 

『あー…あなたの決意は伝わりました…応援してますね』

 

 どうやら俺は深淵を覗いてしまったらしい。これは恐らく俺が味方に付いても余計なお世話だろう。とりあえず相談は済んだ訳だし撤退して…

 

「ボクの言葉を遮ることなく真摯に受け止めてくれたのはお前が初めてです…ありがとうございます」

 

 どう見ても雑に流してるだけだよ。お前視点だと俺の当たり判定が大き過ぎる…

 

「…しかし現在、ヒビキ様を穢す者にボクは悩まされているんです」

 

 軽率な応援してる発言を真に受けてんじゃんどう考えても巻き込まれる流れだよこれ…!

 

「ボクでは奴を消すことが出来ません…ですがあの機体でV.Iと渡り合うことが出来たお前ならばきっと成し遂げられる…!」

『いやフロイト相手に生き残れたのはあちらが乗り気じゃなかっただけですから…』

「ヒビキ様が信じるお前…いや、あなたなら、独立傭兵オルクスさえ墜とすことが出来るハズです!!!」

『えっ』

「あの傭兵のせいでヒビキ様はおかしくなったんですよ…!」

『で、でも…独立傭兵とボスとの間に何か接点がありますか?何かの誤解じゃ…』

「頬を赤らめながら奴の名前を何度も呟いている姿を見たボクの気持ちがあなたに分かりますか!?アレは完全にメス…」

『そういう言い方やめてあげない!?』

 

 やけに俺の機体に詳しかったり足舐める件に反応してたのはそういうことなの!?明日からどんな顔してヒビキと接すれば良いんだよ!?

 

『えーっと…それで、その変化はいつ頃からなんですか?』

「初めて違和感を感じたのは半年前ですね」

 

 俺がルビコンで傭兵活動を始めたのが1年ほど前だから半年前となると…実績集めの為にルビコン解放戦線以外からの依頼を手当たり次第熟してた頃か。あの頃はまた余裕もなかったからそうなる心当たりは特に無いな…

 

「奴はグリッド077で少女を連れ歩いていたなどという話を聞いたことがあります…!そんなクズは死んで当然でしょう?」

 

 それはめっちゃ心当たりある…エノメナの件だ…

 

「奴が戦死したことで傷付いたヒビキ様の心に寄り添いボクという存在を刻みこんで…」

 

 お前が1番付け込もうとしてるじゃん。さっきの自分のマシンガントークを見直してきてもろて…

 正直このままだと正体バレしたらだいぶ話がこじれそうだし、普通に正体明かして火種は消しておこうかなぁ…ヒビキの件といい隠し通せる気がしないわ。

 

『あー…オルクスの正体って俺なんだけど』

「自分は殺せない、とでも言い訳するつもりですか?奴なら今も普通に活動しているでしょう?」

『…はい?』

 

 そう言ってシラベが俺に見せつけて来たのはアーキバスの拠点を襲撃するエノメナの機体。時間を見ればちょうど俺がフロイトとやり合っていたタイミングの映像らしい…

 

 …人のライセンスで何やってんだエノメナさん!?不要なアリバイが出来上がっちゃってるんだけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局どれだけ説明してもシラベを納得させることは出来ず俺はオルクスを発見したら殺しにかかるよう頼まれるというとんでもなくややこしい事態になってしまった。本気で穏便にヒビキとシラベをくっ付ける方法を模索すべきかもしれない…

 

 ここの所頭が痛くなるような出来事ばかりでこのままでは胃までキリキリし始めそうだが、だからといってジャンカー“ストークス”の最高戦力である俺が休む訳にもいかない。今日はゲボック、王大豊、メリナの機体試運転をすることになっている。

 

『と、いう訳で今から私との模擬戦を行います』

「ダッフォン!?」

「ちょっと待つでやんす!」

「私達がACに乗るのは今回が初めてなのだわ!?」

 

 まぁまぁ、ランク7とやり合える機会は貴重なんだからありがたく思って欲しいくらいだ…決してストレス発散ではないよ。

 

「そもそもシンシアさんのそのパーツはどこから手に入れたでやんすか!?」

「そうなのだわそうなのだわ!ずるいのだわ!」

「ダッフォン…鹵獲したのはベイラムの機体のはずじゃ…」

『匿名Fさんから送られてきました、なんでここがバレてるんでしょうね…』

 

【挿絵表示】

 

 新しい機体は匿名Fさんから送られて来たアーキバス製品とヘッドブリンガーにヒビキの使っていたパルスブレードを持たせて組むことにした。オールマインドに俺の機体構成の大半がぶっこ抜かれている以上、既存のアンフォラよりも平凡な武装構成を選んだ結果ロックスミスみたいになってしまったが。

 

『じゃあそっちが全滅するか私が撃破されたら終了ということでよろしいですねよーいスタート』

 

 普段の俺ならば真っ先にミサイラーの王大豊(ディープダウン)から仕留める所だが、今回は連携を学んで貰いたいというのが主目標なので前衛のメルセリーナ(キャノンヘッド)から…と見せかけてゲボック(He HB複合)へ仕掛ける。中衛機体の窮地をどう救うかが2人への採点ポイントだな。

 

「ひっ…オイラに近づくなでやんす!」

 

 とりあえずトリガーを引きっぱなしにしているマシンガンは円形シールドに阻まれるが、ビビりのゲボックへプレッシャーを与えるには十分な連射力だ。迎撃として反射的に放たれた左腕のバズーカをQBで躱し、即座に拡散レザキャで反撃。

 

「ぶっ飛ぶのだわ!」

 

 ブレードまで入るかと思ったが流石にそれは通らないか。大豊グレ、2連グレ、拡散バズによる連続爆撃をまともに食らう訳にはいかないと跳躍して回避。即座にABで王大豊の12連装垂直ミサイルと低速ミサイルを振り切る。

 完全にこちらからペースを奪い取る良い連携ではあったが、メリナは味方の為にリソースを吐き過ぎたな。重ショットガンをABのアーマーで強引に受けてやれば彼女に残る攻撃手段はブーストキックのみ。チャージパルスブレードで踏み込んで一刀両断、さらに拡散レザキャを浴びせておく。

 

「なのだわーーーーー!?」

 

 的がデカいからよく効くね。次は王大豊、背部のミサイルはどちらもリロードとロックに時間がかかる為腕部にさえ気を付ければ良いだろう。王大豊には悪いがディープダウンは捕虜救出の際に完封勝利している。今回も同じように…

 

「オイラだって!借りは返す主義でやんす!」

『ッ…!やってくれる!』

 

 ゲボックのリニアライフルから加速射出された弾体を回避する為急停止した所へ、王大豊からのチャージリニアが突き刺さる。

 

「そこじゃ…ゲボック」

「もう一度合わせるでやんすエロジジイ!」

 

 スタッガーした俺の機体へバズーカが直撃。すかさず二方向から蹴りが迫って来たのでアサルトアーマーで一網打尽。王大豊はともかく、ゲボックは無闇に近づかずもう一度チャージリニアの直撃を狙うのが安牌だったな。

 

「ダッフォ!?」「ぎゃーでやんす!」

 

 王大豊にはチャージレザキャを、ゲボックにはパルスブレードを叩き込んで双方撃破。初AC戦にしてはちゃんと連携の意識が出来てて高評価だ。一対三とはいえ手を抜いてアサルトアーマーまで吐かされたのは恥ずかしい。彼らならこの先の資金稼ぎでも頼りにしていけそうだ。

 

 船を修繕して中央氷原に向かう日は案外あっさり迎えられるかも?

 

 

 




◯アンダーカバー

【挿絵表示】

無難な中量二脚がコンセプト。
ナイトフォールやロックスミスに倣ってフルオート射撃武器、近接、キャノン、ミサイルを搭載したオーソドックスな仕上がり。

◯シラベくんちゃん
基本一方的に語るだけでヒビキ以外の話を聞かないので会話が成立しない
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