さてさて時は流れまして、俺達ジャンカー“ストークス”AC乗りの稼いだ資金とシラベ達メカニック勢の技術により半世紀前の惑星封鎖機構が運用していた船の修繕は遂に完了。
「長らく私達と共にあったウルトラスーパーハイパーミラクルアルティメットパーフェクトストークス号がこうしてアーレア海へと進出する日が来るとはな…」
『…なんて?』
名前が頭悪過ぎでは?
「ヒビキ様の決めた船名に不満があると?ウルトラハイパースーパーミラクル…アンリミテッド…パシフィスト…?ストークス号とは実に素晴らしい名前ですね」
間違えてる間違えてる。
「ああ、ウルトラハイパースーパーアンリミテッドパーフェクトストークス号のことを1番理解しているのはシラベだ。この調子で私達を中央氷原へと送り届けてくれ!」
「お任せ下さいヒビキ様!」
混ざってる混ざってる。
(前略)ストークス号は惑星封鎖機構産の武装艦とはいえ半世紀前程の遺物。不安は残るがシラベ達の仕事を信じるしかないだろう。
ドーザー集団の中に船の操縦が出来る奴がいることには驚いたが、まあそれもヒビキの運命力のおかげということだろう。ここのところツイてないことばかりだし俺の運が吸われてたりしない?
「それとシンシア、中央氷原に着いた後のことについて改めて相談させて貰いたい。一緒に来て貰えるか?」
『了解です、ボス』
「そこの椅子にでも座ってくれ」
艦橋のことはシラベに任せ、俺はヒビキが自室として使っている船室へ通される。
「氷原の近傍海域にあるという洋上都市ザイレムに着いたら私達とは別れる…とのことだったな」
『ああ、ザイレムの安全確保が済み次第グリッド012に向かってオーネスト・ブルートゥを排除し、そのままRaDで友人と連絡を取るつもりだ』
「そうか…寂しくなるな」
『短い間だったが色々と助けて貰ったよ…ありがとう』
俺の計画*1を進めていくにあたっての最大の障壁だった移動手段がここまで早く手に入った上に、ライセンスや機体のメンテナンスに寝床まで提供してくれたヒビキには今後足を向けて寝られそうにない。
「それはこちらのセリフだ。ストークスという組織がこうしてウルトラハイパースーパーアンリミテッドパーフェクトストークス号に部下達のACを載せて出航出来る程成長するなんて思いもしなかった…それに、君がいなければそもそも私はここにいなかっただろう」
結局(前略)ストークス号の名前はそっちでいくのね…
『いや、だからあの時ジマジマ言ってた奴らから助けたのは俺じゃな…』
「いやその件よりも前…もう半年程経つが、私は独立傭兵オルクスに命を救って貰ったことがあるんだ」
『半年前…』
「アーキバスが出した使い捨て前提のばら撒き依頼でベイラムの数に擦り潰される寸前の私を救ってくれたのが、同じ依頼を受けていた君だった」
『そんなこともあったような…?』
「まあ君程の傭兵には取るに足らない出来事だろうし覚えていないのも当然だけれど、ベイラムの物量を一方的にレーザーライフルで散らしていく君の姿に目を疑ったよ」
『そうだったのか…』
「あれがACの動きだというなら、私はなんだ?なんて思うほどの衝撃で恥ずかしながらすっかり君のファンになってしまった訳だ」
やけに俺の機体に詳しかったのはそういった事情か。それに「ファン」なら俺への恋愛感情もなさそうだしシラベにはまだまだチャンスがありそうだ。後で報告して………ッ!?
『うぉっ……!?』
「なっ…!?」
唐突に船が大きく揺らぎ、俺たちは立っていられないほどの衝撃に襲われる。今日は快晴のはずだったが…
「なんだ!?座礁か…!?」
『ひとまずシラベ達の所へ向かおう…!』
揺れが収まったタイミングで部屋を飛び出し、状況を確認するため艦橋へ駆けつける。
「シラベ!何が起きているんだ!?」
「ヒ…ヒビキ様、あれを見て下さい…!」
尻もちをついているシラベが指した先…船首の前で巨影が首をもたげているように見える。あの形状って…!
『どうして…海上にアイスワームが…!?』
紅い光を帯びた三角柱が連なった細長い胴体に3つのスクリューが取り付けられた頭部らしき部位を持つ化け物…違う部分は多々あるが、少なくとも俺が知る限りで1番似ているのはアイスワームだろう。
「シンシア、知っているのか?」
『これに似た奴なら…恐らく封鎖機構が運用している技研のC兵器です』
「C兵器…!?ど、どうしましょうヒビキ様!?」
「この船で逃げられるとは思えないな…シンシア、やれるか?」
『…やってみます。ゲボック達にも準備をさせておいて下さい』
急いで船内のハンガーに懸架されたACに乗り込み、甲板へ向かう。海上戦か……過去作のネクストやフロート脚部なら出来たそうだが、そんなものはここにない以上定期的に甲板へ戻ってEN回復を行うしか無いだろう。
「基本的に私が奴と交戦します。ゲボックと王大豊はミサイルで支援しつつ私のEN回復中のカバー、メリナは船首で船を攻撃から守って下さい」
「りょ、了解でやんす…!」
「ダッフォン…儂に任せよ…」
「やってやるのだわ!あと私はメルセリーナなのだわ」
〔準備は良いな、これよりア“ビ”スワーム…?の迎撃を行う!頼んだぞ、お前達!〕
〔ボクたちも船の武装で支援します!〕
アイスワームを聞き間違えられとる…いやコイツにピッタリではあるけども…!
それはともかく、シラベが魚雷を使ってくれるなら潜航して一方的に船を叩かれる心配はなさそうだな。
ENには限りがある以上ヒットアンドアウェイでいこう。アサルトブーストで突撃し、まずは様子見として頭部へプラズマミサイルを発射…良かった、プライマリシールドもセカンダリシールドも無いなら勝てる余地はある。ヒレのように胴体から展開されたコーラルオシレーターに当たらない様気をつけつつ、マシンガンをワンマガジン分とチャージ拡散レザキャを撃ち込んでから撤退。ゲボックと王大豊にバトンタッチだ。
甲板で拡散レザキャの冷却とマシンガンのリロードを済ませつつプラズマミサイルで2人を支援。メリナは船への直接攻撃をグレネードや拡散バズーカで中断させ、シラベも対空機関砲…たしかCIWSとか言うんだっけ?やら対空ミサイルやらフレアやらを総動員させてミサイルを凌いでいる。
『2人とも戻って下さい!もう一度私が出ます!』
「「了解でやんす/じゃ!」」
『ACS負荷限界も近いはずです、メリナは追撃の準備を!』
「了解なのだわ!」
2人をEN補充の為に下がらせ、再び俺が前に出る。予想通りマシンガンを撃ち切ったタイミングでアビスワームはスタッガーに陥り、回転を中断した頭部スクリューへパルスブレードを叩きつける。
「これでも食らえ!なのだわ!」
〔シンシアは一度下がってくれ!シラベ、行けるな?〕
〔問題ありませんヒビキ様!副砲照準よし!レールキャノン発射!〕
年代物とはいえ流石封鎖機構の艦載砲。ACとは比べ物にならない火力がアビスワームに襲い掛かる。
結局アイスワームのイメージが強すぎただけで見かけ倒しの木偶の坊だったらしい。もう一度スタッガーを取れば普通に終わり…
「てってっ敵機!健在でやんす!」
〔バカな…!?〕
メリナの放ったグレネードの爆煙の中から、頭部へ紅いシールドを展開したアビスワームが首をもたげる。
プライマリなら破れなくも無いが、もしアレがセカンダリシールドだとしたら………!
〔シラベ!主砲超高出力複合エネルギーキャノンに動力集中!〕
〔えっ!?それだと回避と照準が…〕
〔それはシンシア達がなんとかしてくれる!航行に必要な分以外は全部回してしまえ!〕
いきなりぶん投げてくるじゃん!?まぁやるしかないんだけども…!
『私が正面に誘導します!ゲボックとメリナは艦前面にパルスプロテクションを展開!王大豊はミサイル迎撃をお願いします!』
3人に防衛を任せて俺は武装を甲板へ全てパージ。さらにFCSをオフにしてEN負荷を軽減。アビスワームの正面を飛んでこちらへ突進させ、主砲の射程へと誘い出し………
〔ぶち抜け!シラベ!〕
〔絶対!当てる!〕
主砲が、アビスワームのシールドを頭部諸共吹き飛ばした。
〔皆、よくやってくれた…!我々の… ウルトラハイパースーパーアンリミテッドパーフェクトストークス号の勝利だ!〕
◯ ウルトラハイパースーパーアンリミテッドパーフェクトストークス号
これだけで31文字。
◯仮称:C兵器アビスワーム
正式名称は「IA-06: LEVIA-3」(リバイアサン)
ナガイ教授の第三助手であるオノデラ氏がIA-02:ICE WOAMから着想を受け、海中のコーラル探査のために開発したC兵器。
頭部スクリュー、背部連装ミサイル、フィン状コーラルオシレーター、IA-06: LEVIA-2(魚雷型子機)を装備。
危険を感じるとアイスワームのセカンダリシールドにあたるハイプライマリシールドを展開する。
戦闘の絵面はモ◯ハ◯のジエ◯/ダレ◯・モーラ◯的なイメージ。