転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

65 / 77
空白のあなたと踊る

 アビスワームを沈めた俺たちは無事に洋上都市ザイレムへ到着。封鎖機構からの監視を避ける為ECMフォグこそそのままになっているが、敵性機体は一通り排除して安全を確保出来たはずだ。

 

「…行くんだな」

『はい、まだやるべきことがありますから』

「いつでも帰って来てくれ、歓迎するよ」

『…ありがとう』

 

 シラベにもちゃんとヒビキの好きな人がオルクスでないことは伝えておいたし、もうシラベ絡みでトラブルが起きる心配も無いだろう。

 短い期間ではあったが、良い縁を結べたものだ。正直名残惜しいが、621やエノメナ達に任せきりになっている現状でいつまでも立ち止まってはいられないな。

 

 ACに乗り込み、(前略)ストークス号から飛び立つ。目指すはカーラを裏切りRaDを抜けた救いようのないクズ(オーネスト・ブルートゥ)が隠れ住むグリッド012だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ようこそビジター!このような僻地まで来てくださるとは…感激だ〕

『俺たちの仲だろう?もてなしは結構だ』

〔いえ、私達の仲で遠慮は不要でしょう…?アクス…楽しい時を過ごしましょう!〕

『なっ…!?』

 

 なんで俺のことを…いや、アクスは時折ジャンクを売りにRaDに行っていたとソフィーから聞いたことがある。その時にブルートゥとも交友があったのかもしれない。アクスはもっと友人を選んだ方が良い。*1

 まぁ俺たちはすでに友人らしいからな。困った時には命もミルクトゥースもオーバードレールキャノンも分かち合うとしよう…分かたれるのはブルートゥの上半身と下半身だが。

 

〔遠くから古い友人が訪ねてくる…素敵だ…本当に心が躍ります〕

 

 MTを殲滅しながら進んでいくが、このミッションで1番厄介な特攻兵器が見当たらない。今はまだ封鎖機構とコヨーテスが手を組んでいないと見て良さそうだ。アレ避けるの苦手だったからありがたい。

 

〔お待ちしていますよ、ご友人…私は貴方と上手に踊れるでしょうか?心配だ…けれどそれより ずっと楽しみです〕

 

 4脚MTをパルスブレードで切り捨て、更に深部を目指す。派手に暗躍するオールマインドにフロイトとのエンカウント、知らないC兵器のアビスワームとここの所イレギュラーな事態ばかりだったから原作通りのブルートゥに安心感すら覚える。なんなら女装も解除してるから身体も軽い。

 

〔スロー スロー クイック クイック スロー〕

〔スロー スロー クイック クイック スロー〕

〔待ち遠しいですね、ミルクトゥース〕

 

 いややっぱ生の様子のおかしい人に安心感を求めるのは無理だわ。早く帰りたい…

 

〔友人ならば、もてなしたい。喜んでもらえたなら…素敵だ…〕

『もてなしは遠慮しておくと言ったはずなんだが…』

 

 パルスプロテクション内部の敵を一掃して建物内部へ入り、最深部まで降下。残しておいたら何をされるか分かったものではないので、ここまでと同じく徹底的にMTは殲滅していく。

 

 

 

 

 

「ご友人!サプライズをさせてくれないのですか?」 

『残念ながら狂人に付き合ってやる趣味は無いんだ』

 

 レールキャノンの吊り下げられた最深部へと到着。柱の上に身を潜めたブルートゥへチャージ拡散レザキャで先制攻撃。

 

「アクスは私に新しい出会いをくれたのですね…改めて歓迎しましょう、新しいご友人…」

『はぁ…!?』

 

 この短時間でなんで別人判定出来てるんですかねぇ…!?コイツただの狂人じゃなくて見えちゃいけないものが見えてんじゃないの…?

 

「ジェネレータの甘美な調べ…ミルクトゥースも喜んでいます」

 

 マシンガンの射程で火炎放射器の回避は困難である以上、やられる前にやるの方針でいくとしよう。その方がブルートゥの妄言も聞かずに済むだろうし。

 とは言ったもののカメラが火炎に遮られるせいで分裂ミサイルは全く見えないしバズーカの回避もアラート頼りになるせいでどうにも動きにくく、チェーンソーによる迎撃も怖いから下手にブレードで突っ込んだり拡散レーザーキャノンで足を止めたりもしづらいせいで攻め手に欠ける。結局、ミルクトゥースの周囲を旋回しながらマシンガンとプラズマミサイルで着実にACSへ負荷を蓄積していくしか無いのか…

 

「あぁご友人…貴方は迷っているのですね」

『………?』

「皆の理想と己の本質の狭間で揺れている…どちらの貴方も尊ばれるべきだというのに…」

 

 スタッガーに陥ったミルクトゥースをパルスブレードの2連撃で吹き飛ばした所にチャージ拡散レザキャを撃ち込む。

 

「傷を抱え取り繕いながら、ゆっくりと貴方自身を消してゆく…不憫だ…」

『何を…言って…!?』

 

 いや…狂人の戯言で動揺してる場合じゃない…!火炎放射器で熱異常を引き起こされたこともあり、捌ききれなかった分裂ミサイルで今度はこちらがスタッガーに追い込まれる。

 チェンソーを振りかざし接近してくるミルクトゥースをアサルトアーマーで迎撃。即座にブルートゥもアサルトアーマーを重ねてこちらが押し返されるが、チェーンソーが直撃するよりは断然マシだ。

 拡散バズーカを拡散レザキャで相殺して被害を抑え、後方にクイックブースト。これでなんとか戦況は仕切り直せたか…俺も冷静さを取り戻さなければ。

 

「新しいご友人…私達は心で繋がったかけがえのない隣人です。だからこそ、分かち合わなければ…喜びも、痛みも、そして貴方が背負う責任も…!私達ならば共に…」

『なるほど、これ以上聞く価値はなさそうだな』

 

 チェンソーもアサルトアーマーも出し切ったブルートゥに対してなら当初の予定通り速攻を仕掛けていける。

 

『そうやって甘く寄り添うような妄言でシンダー・カーラの懐にも踏み込んだのか、人格破綻者?』

「そんな、私は生まれてこの方嘘を吐いたことがないというのに…心外だ…私はただご友人の心に寄り添おうと…」

『それはありがたい限りだが、余計なお世話だな。俺の問題には折り合いが付いているし、戦う理由も既に定まった』

 

 チャージされたパルスブレードにより再びミルクトゥースがスタッガーに陥る。鐘が鳴ったなら舞踏会は終わり、いつまでもブルートゥに踊らされている訳にはいかない。

 

「新しいご友人…贈り物をくれるのですね…素敵だ…」

『はぁ…』

 

 好き放題言われたせいで随分と掻き乱されたな。ソフィーとちゃんと話せてなかったら楽な方に逃げていたかも…いや、例え精神的に参っていたとしてもブルートゥについて行くのはないわ。

 

 

 

 

 

 …まぁ、俺は一度死んでいる訳だし今の人生は延長戦のようなものだ。最初はアクスの人生を奪ったことに思う所もあったがその問題に折り合いを付けた以上、2度目の人生こそは未練も悔いも残さないように自分で納得がいく答えを…ここに居る意味を見つけ出してみせる。

 

 よし!決意も新たに固まった訳だしそろそろ本筋に戻ろう。ブルートゥが中央氷原まで渡って来た方法を使ってミルクトゥースとオーバードレールキャノンをカーラに返却し………

 

「ボス!こんな所で何して…って死んでる!?」

『あぁ、俺が殺した。まぁそうだな、今からこの組織は俺が貰…』

「なんてことをしてくれたんだ…!ボスはこの後封鎖機構の軍門に下る話し合いなんだぞ!?あーもうこの際会話ができるなら誰でも良い!お前がボスをやれ!」

『はい…!?』

 

 …俺はブランチにおける「今の5人目」なんだが!?バレたらバリバリ執行対象なんだが!?死ぬが!?

 

*1
「俺だって友人になったつもりはないけど…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。