転生独立傭兵のわくわく3周クッキング   作:おーるどあっくす

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◯オルクス
(封鎖機構って取り調べの時にカツ丼出してくれるタイプの組織なんだ…おいしい…)


Chapter 3
観測データ奪取/再会


「ひさしぶり、おるくす」

『ああ、久しぶりだね。2人とも…色々と迷惑かけて悪かった』

「…お兄さん!」

 

 秘匿回線で送られて来た座標に向かい、ようやくオルクスと合流することができた。よほど彼のことが恋しかったのか、エノメナはオルクスに飛びかかって抱き付いている。

 

「でも、もう合流して大丈夫なんですか?」

『…そのことなんだが、もう身を隠している場合では無くなったんだ。もしかしたら惑星封鎖機構は既にオールマインドの手に落ちているかもしれない』

 

 そう言うと、彼は身を隠していた期間のことについて語り始めた。ドーザーに混じって海を渡り、海上でC兵器に遭遇し、オーネスト・ブルートゥを撃破した直後に惑星封鎖機構に捕まりかけてなんとか切り抜けてきたらしい。

 

「わたしたちも、うみをこえるときにCへいき…ふぇにくす(PHOE-2-X)におそわれたよ」

『封鎖機構がそんな機体を…?それもオールマインドが裏から手を回した可能性があるな』

 

 これまでと比べても、オールマインドの動向は明らかに傭兵支援システムの範囲から逸脱している。それに…

 

「…新しい友達(エア)が調べてくれた情報によると、銀色の無人機の操縦システムにはお兄さんのデッドコピーが使われているそうです」

『へぇ…そこまで調べてたのか。まぁ、所詮俺の出来損ないなら恐れる要素は数だけだろう』

 

 積み重ねてきた自分の技術を複製して使い潰されているというのに彼の反応は簡素なものだ。

 

『ところで、君たちの方はどんな状況なんだ?特にその新しい友達について聞かせて貰いたいな』

 

 今度はこちらが状況を説明する番だ。わたしとエノメナはCパルス変異波形であるエアと交信したこと、グリッド086で無人機に襲われたこと、コーラルの破綻を抑え込む方法を見つけて観測者であるカーラとの協力を取り付けたこと、カーゴランチャーで海越えを果たしたことを順番に話していく。

 

《レイヴンとエノメナの友人のエアです…私の声が届いていますか…?》

「エアのこえ、みえる?」

『あぁ…分かるよ。よろしく、エア』

《…!よろしくお願いします、オルクス》

 

 前回の最期で彼が言い遺していったように、彼はエアの声が見えているらしい。どうしてこれまでは反応してくれなかったんだろう…?

 

『それにしてもそんなあっさりとコーラル破綻への対策が整うとはね…どこからそんな案が出て来たんだ?』

「お兄さん、これは私がオールマインドに狙われた理由にも繋がるのですが…私は技研でCパルス変異波形とその活用方法について研究していたオノデラ先生の後継者なんです」

『……………?あー…それは…?なるほど…?オールマインドも…狙う訳だな…?うん…』

 

 …エノメナ、疑われてない?もしかしてオルクスはオノデラについて何か知ってるんじゃ…

 

『まぁ…うん…コーラル破綻を抑えられる方針が固まったのは良いことだし、これからについて話そうか。ひとまずコーラル集積地に辿り着くまでは今まで通り企業の力を削ぎつつオールマインドの動向を探る形で良いかな?』

「うん」

「それで問題ないと思います」

 

 アイスワームを仕留めるにもバスキュラープラントを利用するにも企業の力は利用したい。オルクスの言う通り今は待機するしかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ミッション開始だ。停泊している調査ドローンからアーキバスの観測データを抜き取っていけ〕

「りょうかい」「了解です」

 

 企業が中央氷原に辿り着くまでの間で拠点を整えているうちにウォルターも合流し、わたしとエノメナは傭兵稼業を再開。この依頼そのものはこれまで通りならわたし1人でも十分な内容だが、これを期に封鎖機構が本格的に動き出すことを踏まえて一応2人で出撃することになった。オルクスまで来ると過剰なので拠点防衛として留守番だ。

 

〔G13レイヴン、独立傭兵エノメナに伝達!貴様らの襲撃を受けアーキバス調査部隊が本部と観測データの受け渡しを開始した。現場に急行しそれを阻止してもらいたい!〕

 

 全ての観測データを回収したが、少なくともアーキバス側にこれといった変化は無かったようだ。谷を抜けてヒアルマー採掘場の奥地にたどり着く。

 

「AC! 報告にあった独立傭兵か!?」

「観測データが何件か抜かれている 生きて帰すな!」

〔殲滅しろ、62…?〕

「…待て!何だこの音は…?上空から…攻撃!?」

《レイヴン、エノメナ!上から狙われています!》

 

 上空から現れた強襲艦によるレーザーとミサイルでベイラムのMT部隊が一掃。

 

〔この識別信号は…惑星封鎖機構か!?SGの保有戦力ではない…執行部隊が投入されたか…!?〕

 

 船体下部のハッチが開き、HCが投下される。本来ならSGのMTとLCが投入されるはずだが、やはりと言うべきか封鎖機構はより強力な戦力を投入してきたようだ。

 

「まって、あのきたい…ふつうとちがう」

「…そうなの?私HCの実物を見るのは始めてで…」

 

 滞空する敵機へ逆関節の跳躍力で飛び掛かろうとするエノメナを制止してHCを観察してみると、通常より重装化されており、大型の背部ユニットを背負っている。安直だが重装甲になった分推力を上げてフォローしているといった所だろうか?単にHCの強化版と言うには見た目が荒削りというか大味というか…なんとなく違和感がある。

 

《敵機を解析してみます…》

コード44(情報照会申請)…]

 

 エアと敵機のシステム音声がほぼ同時に敵の解析を開始。結果を待っているのか動かないHCとわたし達は機体越しに睨み合い、緊張感が漂う。

 

[完了。独立傭兵レイヴン及び独立傭兵エノメナ…ただし後者はIA-07の戦闘ログより独立傭兵オルクスと機体構成が一致しました。どちらも優先執行対象です]

《敵機の解析が完了しました。AA22EX: HEAVY CAVALRY、武装と背面ユニットの換装による汎用性を追求した次世代型HCとのことです》

 

 次世代型…さっき感じた違和感は試作機故だったのだろうか?

 

[排除を執行して下さい]

《2人共、応戦を!》

 

 わたしに向かって突撃しながら敵機の射撃兵装からレーザーがバーストで発射される。回避の難しい厄介な攻撃だ。射撃間隔は長いようだからなんとかショットガンの間合いまで持ち込めば…

 

《追加の情報が出ました、敵機の武装はショットガン、マシンガン、ライフルへと射撃形態の切り替えが出来るようです!》

 

 こちらがショットガンを構えた瞬間、敵機の射撃兵装は拡散レーザーを放ちこちらを牽制。わたしの機体が怯んだ瞬間にシールドバッシュで吹き飛ばされ、レーザーライフルによる追撃が放たれる。想像以上に切り替えが早くてどの距離でも隙がない…!

 

「ここは私が!」

 

 ACS負荷限界に陥ったわたしを庇うように前へ出たエノメナはプラズマライフルとリニアライフルでHCと射撃戦を繰り広げる。

 

「FCSにしては射撃精度が高過ぎる…まさかマニュアルエイムなの…?」

 

 左右への小刻みな揺さぶりや跳躍と下降を交えて敵機のFCSを誤魔化そうとしているエノメナだったが、少しずつクイックブーストを使わなければ攻撃を回避出来ない状況に追い込まれていく。こうなったら…

 

「わたしがきりこむからあわせて…!」

「…分かった!」

 

 背後に回り込んでチャージしたパルスブレードを振り下ろすと同時に、エノメナもレーザーブレードを振るう。いくら盾があって挟み撃ちなら…

 

「「っ!?」」

 

 射撃兵装の砲身から青色の刀身を形成させた敵機はレーザーブレードを回転しながら振り抜き、わたしたちを纏めて斬り伏せる。

 

〔待て、あれは…!〕

《レイヴン、エノメナ…遠方上空に…!》

 

 

 見上げれば、既に強襲艦隊がこちらへ迫っているのが見える。HC相手に時間をかけ過ぎた…

 

 

[ルビコンに不法侵入した全ての勢力に告ぐ ただちに武装解除し 封鎖圏外へと退去せよ]

[これ以上の進駐は 惑星封鎖機構への宣戦布告と見なし 例外なく排除対象とする]

[繰り返す 例外はない]

 

《この…艦隊は…》

 

〔…この数を敵に回せば勝ち目は無いか…既に依頼は果たしている。撤退しろ、2人共〕

「っ…りょうかい」

「わかり…ました…!」

 

 わたし達は武装をパージしてアサルトブーストで撤退。ここで非売品のスタンニードルランチャーを失うのは痛いが、背に腹は変えられない…

 

 

 

 

 

[抵抗の意思は無し…システムの判断…追撃は不要です]

 

 …悔しいが、見逃されたようだ。あのHCの対策も考えておかなければ。

 




また数日忙しくなるので次の投稿は遅れそうです
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