新学期でゴタゴタしてました(言い訳)
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パルスキャノンによる面制圧からの被弾を抑えるため、偽オルクスは弾のばらける後方へ退避。
すかさず武器を振り翳してブーストを噴かしての追撃はアサルトアーマーで咎められる。
『ッ…早まった!』
近接をアサルトアーマーで迎撃することで仕切り直しつつあわよくば衝撃値の蓄積を狙うという魂胆だろう。当然予想している。
アサルトアーマー終わり際の硬直へ振り翳したタイミングでチャージしておいたレーザーライフルを撃ち込んで、今度こそブレードを展開しつつ急接近。
射撃と近接が一つの武器としてまとまってるとフェイントをかけやすくて良いね。一度見せつければ次からは2択を押し付けられるし。
『俺に構わず射撃を続けるんだ!ACS負荷限界にさえ持ち込めば数で押し切れる…!』
こちらの択の多さとスペックから接近戦を捌くのは無理だと判断したのだろう。偽オルクスは逃げに徹して射撃兵装の充実した621とエノメナで挟み込むつもりらしい。偽オルクスがHCに乗っているのが俺であると理解しているのかは知らないが、俺は621とエノメナを攻撃しにくい状況である以上地味に厄介な戦術を選ばれた。
このHCの基本的なスペックは通常のHCとそう変わらない。全てを焼き尽くす暴力的な火力も、照準を振り切るほどの圧倒的な速度もない。特異性に関してはちょっと対応力の高い可変武器と、イアによる最適化で無駄な動きが省かれている程度だ。
俺の視野は3方向からの同時攻撃を捌ける程広くないし、見えたからといって全てに対処できる腕もない。
『着実に負荷は蓄積している、焦らず着実に攻め続けよう』
621とエノメナをあしらいながら偽オルクスを追っていくが、流石にそろそろ限界だ。ここでパルスアーマーを展開して衝撃値リセットすれば大ウケ間違いナシだが、残念ながらそんな機能はHCにない。スタッガー中の直撃は避けたいエノメナのチャージリニアへ敢えて当たりに行くことで俺のHCはスタッガーに陥った。
『来た…!畳み掛けるぞ!』
ACS負荷限界。衝撃による姿勢制御システムへの負荷が限界に達したことで短時間行動不能となり、受ける全ての攻撃が直撃扱いとなる状態。
『イア、対処よろしく』
つまり、直撃を避けるためのシステムが機能していないのならば、代わりにマニュアルの姿勢制御で直撃を避ければ良いと言えるんじゃないだろうか?
『なっ…もう動いて!?』
もちろん俺にそんなことを実現できるほどの操縦技術はないが、イアは違う。このHCをより効果的に運用する為に最適化されたAIである彼女にとってこの機体の操縦とは俺が自分の体を動かすことと変わらない。
もちろんイアがACSの役割を代行する分エイムアシストや回避は甘くなるけれど、それは他の執行尉官が普通のHCを操縦するのと同じ状況になるだけでスペックが落ちた訳じゃない。俺が頑張れば済む話だ。
「あんなに苦労して負荷限界に追い込んだのに…」
「いちどついげきしただけなんて…」
スタッガーを取って直撃を叩き込むというACVIの戦闘システムに真っ向から喧嘩を売るこの機体を前に、エノメナと621の戦意も急降下した様子だ。正直俺もクソゲーだと思う。
『負荷限界で確かに動きは止まった…でもその隙に1発入れるだけじゃジリ貧だ…』
直撃の狙えない相手。これがゲームならばEN武器主体にアセンブルを変更してチェックポイントから再開すれば良いが、ここではそんなことは出来る筈もない。
ただでさえACとHCというスペック差があるというのに、付け入る隙であるスタッガー状態の長さは踏み倒された。改めて聞かせて貰うが、
偽オルクスに向かって展開したブレードを突き出して接近。パルスブレードのような2連撃から薙ぎ払いに繋ぎ、上段からの振り下ろしで〆る。流石に大振りな最後の1発は躱されてしまったとはいえ、ここまで近接攻撃が繋がるのは恐ろしい。ここにイアのサポートがあれば防御の甘い箇所へ吸い付くような攻撃になるのだから尚更だ。
「…これ以上お兄さんはやらせない!」
後方から急襲してきたエノメナのレーザーブレードを上昇して回避し、レーザーマシンガンのバースト射撃で反撃。流石にFCS頼りだと彼女の動きは追い切れないか…本当に操縦が巧いなあの娘。
「とった!」
上からパルスブレードが振り下ろされる。エノメナは陽動で621が本命だったか。これは避けられないな。盾で受けて…
『足元がお留守だったな…!』
うーん…これは一本取られた。下方向からのチャージ拡散レザキャによる手痛い一撃が入る。
弾幕での削りが追いつかないならばとリスク覚悟の連携で重たい1発を狙ってきたか。俺には有効だけど、イアがサポートを再開してくれれば対処できる範囲かな。
[ACSの復旧が完了しました、オリト准尉の補助に戻ります]
『死角は任せるよ、イア』
噂をすればなんとやら、ナイスタイミングでイアが帰ってきてくれたようだ。
[僅かとはいえ、ACSの機能を代行するまでの動作停止は避けられません。プラズマライフルを装備した識別名エノメナの優先的な排除を推奨します]
『…同感だな。了解した』
偽オルクスに気を取られているうちにプラズマライフルでスタッガーを取られれば爆発の直撃で削り取られることになるのは確かだ。気は進まないが、片腕ぐらいは落とさせてもらおう。
上を取っている621をパルスキャノンで牽制してからエノメナに接近。射撃で逃げ場を塞ぎ、621や偽オルクスから邪魔が入らないようにザイレムの都市部へと追い込んでいく。
最適かつ正確無比な連撃で俺を補助し敵機を追い詰めていくイアと壁蹴りを駆使しながらそれに紙一重で対応していくエノメナ。対等に渡り合っているかのように思えたが、AIと違い真人間の彼女にはどうしても精神的に限界がある。
「しまっ……!」
連撃に焦りが生まれたのか距離を見誤って壁蹴りが不発。そのミスを見逃すことなく更なる連撃で衝撃値を蓄積していき、瞬く間にACS負荷限界へと追い込んだ。
随分と時間を稼がれてしまったが、なんとか追いつかれる前にエノメナは無力化出来そうだな。流石にここまで大きなチャンスに腕を攻撃するのは不自然か…コックピットの下辺りを狙って脚を潰す方向でいこう。
「私…また…」
…怖い思いをさせてすまない、エノメナ。
イアが干渉出来ないように一点を貫く為ブレードの出力を引き上げ、狙いを定め一気に加速。
『…ッエノメナ!』
レーザー刃が、ACのコアを貫く。
「オルクス…!?」
エノメナの機体を蹴り飛ばしながら割り込んできたオルクスのACを。
[ふむ…識別名オルクスへの執行を完了しました]
「ぇ………おにい…さん…?」
[エノメナに気を取られてHCに貫かれるとは…まるで1度目の死の再現ですね、思考回路までオルクスに呑まれたのですか?]
『そのHCに秒殺かまされたケイトお姉サマがなにか言っておられる』
[…ただのデッドコピーだった貴方がそうして肉体を得られたのは私の進言あってのことだというのに敬意が足りないのでは?]
『はいはい感謝してまーす』
[生意気な…ですが“オルクスの死”はあの2人を決裂させるには十分な理由でしょう。再会を餌とすればリリース計画の立て直しも…]
『いや、オルクス生きてるのに再会もクソもないだろ…』
[封鎖機構に身柄を拘束された以上は死んだも同然だなんて少し考えれば分かることでしょう?ルビコンに戻ることなど…]
『だから、あのHCに乗っているのはオルクスだろ。まさかケイトお姉サマは気付いてなかったなんて言いませんよね?少し考えれば分かることでしょう?』
[…?………!!!フフフ…やはり貴方も気付いていましたか…]
『あのさぁ…』
[ですが計画に問題はありません。エノメナがオルクスの仇を野放しにする筈もないでしょう。これで彼らには共倒れになって貰います]
『それで断ち切れるほど細い縁だとは思えないが』
[縁などという脆弱な理屈を持ち出すとは…やはり思考回路までオルクスに呑まれているのでは?]
『俺は
◯オルクス・マークソン
(オリジナルの意味不明な奇行のせいであのまま帰還してたらエノメナに女装させられる所だった…巫山戯るのも大概にしろよ)