名誉温泉開発部   作:第三のケモナー

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あまりに給食部が災難すぎて…でももっと災難になるかも


料理の基本は準備から

こんなはずじゃなかった……

 

 後悔先に立たずとはこのことか、今置かれている状況を再度確認すると頭が痛くなってくる。

 周りを見渡すと目に映るのは、瓦礫や銃を持った生徒や爆撃そして戦車…

 

 しかも爆撃に関しては自分も関わっているので、この後のことを考えるとお腹も痛くなってくる。

 

「ハーハッハッハ!! いいぞ! ドンドン行きたまえ!」

 

 TSして、普通に学園を謳歌して、放課後とかにスイーツとか食べたり、談笑したりして楽しみにしていた自分が羨ましくなってくる。

 いや、この学園に入ってしまった時にもう巻き込まれるのは確定事項なのかもしれない。

 

「またお前らか! 『温泉開発部』!」

 

 そうこうしているうちに通報をうけたのか、風紀と書かれた腕章をつけた、両目が隠れておかっぱなうちの学園の風紀委員が駆けつけてきた。

 

「それ~いっくよー!」

 

すると温泉開発部の一員である赤髪でツノと尻尾が生えた生徒が、風紀委員に向かってなにか投げ込んだ。

 

「っ! ……なんだこれ『青くなったジャガイモ』?」

 

(あ……)

 

 ジャガイモを投げられたことで戸惑う風紀委員。

 

「ふざ……

 

 何かを言い終わる前に、ジャガイモが光りだす。

 有り得ない現象に戸惑う暇もなく、さらなる『有り得ない』現象に襲われることになる。

 

 

ドオオオオオオオオオン!!!!!

 

 

「ジャガイモが爆発したぁ!?」

 

 爆風に巻き込まれる風紀委員達。そして人質のように拘束されている、この爆発の原因を作ってしまった本人はというと…

 

 

(もうヤダ帰らせてくれェ!)

 

 涙目になりながらこの光景から目をそらすように伏せていた。

 

 

 

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 ある学園の広大な土地。ゲヘナ学園中央区と呼ばれているそこは、運動場、二つの校舎、学生広場などの施設があり、生徒が『自由と混沌』の名のもとに、思い思いのままに過ごせる場所である。

 

 その敷地内にある『第8学生食堂』にて

 

「フウカ先輩! カレー作り終えました!」

 

 オレンジ色の髪色で黒を基調とした軍服のような制服にエプロンを身にまとっている生徒が食堂の厨房で鍋の中身をかき混ぜている。生徒の頭にツノと三角巾とその上に『ヘイロー』と呼ばれるものが浮いている。

 

「フウカ先輩! 野菜切り終わりました!」

 

「ありがとう! 『イナ』『ジュリ』!」

 

 同じくエプロンと三角巾を身に着けた生徒2人も厨房で作業している。

 

 

 ここは学生食堂。マンモス校であるゲヘナ学園全校生徒の食事を作る場所である。その食事を作っているのはゲヘナ学園『給食部』であり、所属している生徒『フウカ』『ジュリ』『イナ』の3人が支えている。

 

「ジュリ、下ごしらえ多くて大変だから手伝った方がいい?」

 

「助かります! じゃあイナちゃんにこのトマトを……あれ? もう……」

 

ピクッ

「イナー! 先に衣がついてるうずらの卵揚げて! トマトは私がしておくからー!」

 

 マンモス校のため、厨房はいつも忙しく役割分担をしながら作っている。

 だが、ここは『ゲヘナ学園』。計画通りにいくことは少なく……

 

「ちょちょっと! イナ!? まさかトマト……」

 

「はい! 切っておきました!」

 

 フウカはトマトを切ろうとしたが、もうイナが切っていることに気が付く。普段ならば助かる行為ではあるが、フウカの顔は優れない。

 理由はこの後の光景を見ていただくと分かる。

 

 

 イナの切ったトマトは七色に光りだした。集めた太陽の光を放出するように、まぶしさが増していく。食堂中を照らし、廊下まで光が漏れて周りが全く見えなくなってしまう。

 段々と光が収まっていき、みんなの顔が見えるようになったが…

 

(눈_눈)

 

「す、すみませんフウカ先輩……体が勝手に……う、うずら揚げておきますね?」

 

 一瞬フウカの呆れ顔が出てしまったが、イナの言葉にハッとなり

 

「だ、大丈夫! 切ってくれてありがとう。また練習しようね?」

 

 

 その日のサラダに入っているトマトは、何故か生徒からのクレームが多かった。

内容としては

『辛くて水が手放せなかった』

『苦すぎて食べられない』

『わたしの知っているトマトじゃなかった』

『酸っぱいじゃなくて酢』

『トマト食べているのにチョコの味がした』

『口から光が出た!』

『この味は!…嘘をついている味だぜ…』

 

 全員違う味を感じており、無論その原因はイナにある。

 

 

 

 

こんにちは! 給食部の『(まとい) イナ』です!

 

 自分には前世の記憶というものがあり、このキヴォトスやブルーアーカイブについてもある程度(主にミーム)のことは知っている。

 

 本当はゲヘナ学園に入学するつもりはなく、TSして他の学園で静かに青春を謳歌しようと考えていた。しかし、ツノ、悪魔のような尻尾となるとあれやこれやとゲヘナ学園への入学が決まってしまった。

 

(見た目で判断すな!)

 

と何度思ったことか。

 入ってしまったらもう仕方ないから、と最初は『帰宅部』でもとは思っていたんだけれど…

 

 食堂でフウカ先輩が厨房で料理していた姿を見た時に

 

(そうだ給食部に入ろう)

と心に決めたのだった。

 

 ゲーム内や会話などで分かるが、給食部は過酷な環境でいつもアクシデントに襲われている。

 フウカ先輩ワンオペの時は2時間で目玉焼き4000枚焼くはめになったり、ゲヘナ学園特有の銃撃戦や誘拐(主に美食研)、はたまた調理場が大変なこと(主に美食研)になったりと、それはもう過酷(語彙力無)である。

 

 こう見えて前世では、料理好きで調理場で働いていたこともあり経験を生かしてフウカ先輩や同級生のジュリの手伝いがしたかった。

 

そう……したかったのだが……

 

「イナちゃん、どうしたの?」

 

 ジュリが何処から持ってきたか分からない防護服とガスマスクを自分に着させようとしてくる。

 

「あの、ジュリ? これ料理する格好じゃないよね!?」

 

 ジュリに言われるがままに着てみたが……

 まるで某バックルームの格好をしたイナ。上にイナと分かるヘイローが浮いている。

 

「前に、イナちゃんが切った玉ねぎが『催涙弾』になったから必要と思って持ってきたんです!」

 

 

そう…この私、纒 イナは『下ごしらえ』が出来ないのである!

 

 

 極限に察しが悪い白いお面の人でも分かるように言うと

 

『調理ゾーン』が『キヴォトス人吹き飛ばしゾーン』に変わるのだ

 

先ほどジュリが言ったように玉ねぎが催涙弾に変わる以外にも

 

・魚を捌こうとハラワタを取り出したら動き出して魚雷になる

・トマトを切れば閃光弾になり、ランダムの味になる

・じゃがいもの芽を取ると『カチッ』と音がして手榴弾になる

・鶏肉を漬けて寝かせると地雷になっている

・エビフライを作ろうとパン粉を着けたら発煙弾になる

・自然薯を切れば1発のロケットランチャーになる

 

など、いつの間にか食材が武器に変わってしまう。

 

 しばらく料理をしていなかったからだ…と自分に言い聞かせていたが、ここまで来るともう練習でどうにかなるか怪しい。

 

 ただ、『混ぜる』『焼く』『盛り付ける』『煮る』などといったことは普通に出来るので、フウカ先輩から調理を任せてもらっている。

 

 因みにジュリに関しては、調理すると紫と緑の生きたパンケーキ、通称『パンちゃん』が誕生したり、毒々しい見た目(実際危険)の料理が出来たりする。なので、基本的にジュリは下ごしらえを任されている。

 

 イナとは真逆なものの、食べ物とは思えないようなものを作ってしまう所はイナと似ているかもしれない。

 

 ジュリが下ごしらえをし、イナが調理するという流れは定着しているようで

 フウカ先輩も

『細かい所も手がいくようになったわ!』

と言っており、負担は軽減している…はず…

 

 実際、味に関してはやや好評らしい

 

 ただ、イナとジュリがフウカ先輩を手伝いたいという気持ちが先行してしまい、大惨事になることもある。

 

 

「今日はニンジンにしましょうか」

 

 防護服に着替えたジュリはニンジンを一本取り出す。

 フードロスやもったいない精神を持って臨む。

 

「やっぱり緊張する……」

 

 防護服でニンジンと向き合うイナ。

 端から見るとこの二人、何かの実験をしているかのように見えるが突っ込む者はいない。

 

「ヘタ取ります……」

 

 恐る恐るニンジンのヘタの部分を切る。

 イナとジュリは身構えて数十秒待つが…

 

「何も……起きない…?」

 

「やりました! イナちゃん!」

 

 ジュリとハイタッチしようとしたその時である。

 

ジュ

ん?

 

 ニンジンの切った断面から火花が上がっている。このあり得ない光景は見覚えがある。

まるでダイナマイトの導火線に火がついたように…

 

「ぎゃああああァァァァ!?」

 

 女の子らしからぬ悲鳴を上げるイナ。

 

「へ?」

 

 状況がうまく処理できないジュリ。

 

 すると、ニンジンから『もう遅い』と言わんばかりに爆音と爆発が巻き起こったのだった…

 

 

 

 

風紀委員の取調室

 

「……で? イナ、何か言いたいことあるかしら?」

 

「……ハイスミマスン」

 

 

 フウカ先輩…風紀委員につかまってしまいました! 助けてください!!

 

 

 

 

 





フウカを手伝いたい!

イナのプロフィールは?

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  • いる
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