名誉温泉開発部   作:第三のケモナー

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お待たせしました!

ヒナvs黒パンちゃん、どうなるのでしょうか。
沢山のコメントと、見てくださってありがとうございます!

それではどうぞ



魚はハラワタを取り除いてから

 

 

 

 

 

「キキキッ、今頃木っ端微塵になってる所だろう」

 

 万魔殿議長のマコトは、結果を見なくても分かるといったように、悠々としている。指定した量の爆撃を撃ち終わり、爆撃が止んだ所でイロハから連絡が入る。

 

「どうだ? イロハ、塵一つ残ってないだろう」

 

 マコトの第一声は、自信の溢れるような言葉に反して、イロハの声のテンションは低かった。

 

『マコト先輩、あの生物……

 

 

普通に元気です』

 

GYAAAAAAAAAA!!!!

 

 

 聞き間違いでもしたのかと、信じられないといった様子でもう一度イロハに確認しようとしたが、黒パンちゃんの返事をしたかのような咆哮で、現実だということが分かってしまった。

 窓の外を確認すると、木っ端微塵どころか、ほぼ本体のダメージは少ない様子。

 

「何ィ!? イロハ! きちんと命中してたか?」

『きちんと命中してました。それに……え、なんですかあれは』

 

 言いかけた所で、イロハが黒パンちゃんの異変に気がつく。それを不審に思ったマコトが、再び窓の外を見ると、黒パンちゃんの中から、通常サイズのパンちゃんが出てきている場面を目撃した。

 

「イロハ、なんだあれは……」

『いや、私が聞きたいです』

 

 そして、状況の整理が出来ないうちに、爆撃音が聞こえてきた。

 

「わ、私は指示してないぞ!」

『ッ! これは中から出てきたヤツの仕業で……触れ……爆……る……い……!』

 

 向こうからの爆撃音で、あまり聞こえない。

 状況を再度確認しようと、黒パンちゃんの様子を見ると、新たに、2体のヤツが中から出てきて変形する。

 

(転がって此処に来てないか!?)

 

 凄まじいスピードで来ており、段差で飛び越え、マコトの元へと飛び込んでくる。

 

「う、ウワアアアッ!」

 

(おのれ!! 風紀委員会ィ!)

 

 万魔殿は爆発されてしまった。

 幸い、怪我人は一人だったと報告されているが、怪我人の詳細は分かっていないという。噂によると、爆発後にアフロとなった生徒が居たとか、居ないとか……

 

 

 

 * * *

 

 

 

「聞きたいことは沢山あるけど、取り敢えず、下がっててちょうだい」

 

 ヒナ委員長が、学園に帰還した。それだけでも十分安心するが、何より、フウカ先輩が帰ってきたという事が嬉しい。そして、ヒナ委員長の後ろから、見覚えのある人物がイナとジュリの元へ駆けつけてくる。

 

「二人とも! 大丈夫?」

「「フウカ先輩!!」」

 

 美食研究会に捕まって大変だったろうに、こちらの事を心配してくれる優しい先輩だ。

 

 フウカは解放された後、風紀委員達と共にゲヘナ学園へ戻ってきた。その道中で、謎の巨大生物が暴れているという情報を聞いてしまい、二人の事を心配していたという。

 

「このパンちゃん達は……ジュリ?」

 

 先ほど、襲っていたパンちゃん達を見て、ジュリの方を向き、本人は申し訳なさそうな顔をして頷く。フウカはため息を付いていたが、怒っている様子はなさそうだ。

 

「ところで、『謎の巨大生物』って?」

 

 その言葉にイナの肩が跳ね上がる。聞くよりも見るが易しと、その巨大生物とやらを指さす。フウカがその方角を見ると、みるみるうちに『あの顔』に変化していった。それもそのはず、色違いの『見覚えのある大きな生物』が『爆発』させている状況は、良く知っている者が見れば、誰が元凶なのか明白だった。

 

「……何あれ。ねぇイナ? ジュリ?」

 

 こちらを向き、心なしかフウカの顔が怖く感じ、涙目になる二人。怒るところを見るのは、ダブルバレルショットガンの時以来かもしれない。

 

 

「お取込み中の所悪いけど、離れてちょうだい。アレこっち来てるから」

 

 給食部三人が黒パンちゃんを見ると、ヒナの言う通り、こちらに向かっているのが見えた。おそらく、パンちゃん達を攻撃したのがヒナだと分かったのだろう。

 

「……はい」

 

 給食部三人が戦えるような相手ではないので、ヒナの言う通り、この場を後にする。本当は、手伝って責任を取ろうとしたかったが、ヒナの足手纏いになるのは容易に想像できた。

 

 

 

 

「……フウカも大変ね」

 

 三人が離れた所を目で確認し、ヒナは呟いた。

 後輩や同僚がトラブルを起こしてしまうのは、部活も委員会も変わらないと、同じ長として同情する。

 

「さて……」

 

 ヒナは黒パンちゃんの方へ向き、銃を構える。先ほど来たアコからの情報では、『爆発する唐揚げ』『触れると爆発する分身体』『転がる爆弾』『触手の攻撃』が相手の武器だと、報告を受けた。

 触手攻撃については、大振りなため避けることは造作もないが、厄介なのは豊富な爆弾だ。

 

(どうにか、無力化しないと)

 

 まずは、挨拶代わりに銃弾を撃ち込む。しかし、流石砲弾と爆撃を耐えただけあって、ダメージは入らない。黒パンちゃんは、挨拶を返すかのように唐揚げをヒナへ発射する。

 

「一体、どういう原理なの……!」

 

 爆発する唐揚げを避けて、量産されるパンちゃんを銃で捌く。煙で視界は悪くなる中、的確に撃ち抜いていくが、このままでは埒が明かない。近づこうにも、唐揚げを撒かれてしまう。

 

『ヒナ委員長!』

 

 そんな中、アコから通信が繋がる。

 

『不発弾を調べた所、おそらく湿気によるものかと』

 

 爆発しないパンちゃんと唐揚げを、予めアコに調べさせていた。パンちゃんの内部は、唐揚げを湿らせないように出来ているらしい。

 

「分かった、ありがとうアコ」

『私に任せればこのようn……』ピッ

 

 通信を切って、改めて黒パンちゃんと対峙する。湿気が弱点だという事は、水を浴びせるのが一番だが、そんな大量の水はすぐに用意出来ない。

 

(いや、『大量じゃなくても』良い)

 

 黒パンちゃんを湿らせる為ではなく、あくまで、唐揚げを無効化するだけでいい。

 湿気がある所と言えば、『あのテロリスト』が掘った温泉だが……

 

(……近くの噴水にしよう)

 

 噴水の方が近いと判断し、そこまでパンちゃんを誘導する。そして、噴水を破壊して辺りをミスト状にする。辺り一面の地面は、雨が降った後のように変化した。

 

(情報通りね)

 

 唐揚げ爆弾と量産されたパンちゃんは湿気により無効化され、爆発しなくなった。それに気が付いた黒パンちゃんは警戒して近付かない。あのデカイ本体ならば、多少濡れていても大丈夫そうであるが、触手攻撃も通じない為、迂闊に攻撃出来ない。

 

(唐揚げも下手に使えない、触手も躱される。そうなるとやることは『一つ』)

 

 相手は、口らしき所をモグモグさせ、パンちゃんドラムの準備を始める。2体のパンちゃんが出てくる瞬間……

 

 

「まあ、そうするしかないわよね」

 

 

 パンちゃんドラムで『遠距離で広範囲に爆発させにくる』、そう予想したヒナは出てくる瞬間を狙った。

 

 着弾し爆発した2体は、黒パンちゃんの内部まで及ぶ。外側が硬い生物の中身は柔らかいという事と、黒パンちゃんの中には大量の『爆発する唐揚げ』が存在するという事は、後は分かるだろう。

 

 

ドオオオオオオオオオン!!!!!

 

 地を揺らすような轟音が、全校生徒の鼓膜を揺らす。噴水の水でさえも吹き飛ばす爆風が、ヒナに当たるも、髪を揺らすだけに止まった。

 

「戦闘完了」

 

 自身の髪の毛が濡れてしまった事を気にしつつ、風紀委員会の全員に一斉に伝える。

 

『対象殲滅。安全を確認し、各々持ち場に戻るか、怪我した者は報告して治療を受けて休んでて。以上』

 

 建物の被害は大きかったものの、幸いなことに怪我人は比較的少なかった。

 

 このような、立て続けに起こる事件もゲヘナでは日常茶飯事だ。しかし、こんなに建物が破壊されているのを見るのは、ヒナが知る限り無かった。

 

(後でマコトの対応がめんどくさくなりそうね)

 

 自身も噴水を壊しているため、報告書を書かないといけない。ため息をつきながら、風紀委員会本部へ足を運ぶ。

 

 

 

 

「ちょっとアビドスでのあれは不可抗力で……」

「不可抗力で2度も執行妨害しないだろ!」

 

 ヒナが帰る道中、風紀委員のイオリとイナが揉めてる所を発見した。

 

「しかも、二度目は便利屋と共謀してたじゃないか」

「あれも……ふ、不可抗力で」

 

 イナのすぐ傍には、フウカとジュリがおり、イナが執行妨害したと聞いて驚いている。

 

「……今回の騒動は? まさか不可抗力じゃないだろうな」

 

 イナはジュリと目を合わせ、イオリの方を向く。

 

 

「「不可抗力です……!」」

 

「それしか言えないのかああああ!」

 

 流石に介入しなければと判断し、ヒナが給食部とイオリの元へ近づく。

 

「何してるの?」

「い、委員長」

 

 ヒナの介入により、一旦はこの場が収まる。

 イオリに事情を聞くと、どうやら今回の騒動の発端となったのは、給食部のイナとジュリとのことで、事情聴取と取り調べしていた途中だった模様。

 

「とりあえず給食部全員、事情聴取でご同行願おうか」

 

「全部自分の不可抗力なばっかりに……自分だけ行きます!」

「いえ、パンちゃんが暴れてしまったのは、私の不可抗力です! 私が……」

「私が一番不可抗……え? 私も!?」

 

 やけに不可抗力を強調する二人と、巻き込まれるフウカ。

 

 このまま風紀委員会本部へ連行しても、ただでさえ騒動の後で忙しいのに、更に業務を増やすと大変な事になる。

 ヒナはため息をついて発言する。

 

「大体の事情は分かった。給食部の処遇については、後日通達する。今回はいい」

 

 給食部の面々は、処遇については不安が残るものの、連行されずに済んだことに安心する。

 

 

 

「ただし纒 イナ、あなたはダメよ」

 

「……へ? な、何故」

 

 いきなりの名指しに、理解が追い付かないイナ。

 

「自治区外とはいえ、風紀委員会の執行妨害をしたのは事実。これで見逃すとなると校則違反に『例外』が生まれる事になってしまう」

 

 ヒナの言う事はごもっともである。例外が生まれるというのは、覚える事が多くなるという事。更には、これを受けて生徒が例外の穴を見つけてしまい、対処が遅れてしまう可能性もある。

 

「あと、風紀委員と撃ち合った経緯と『先生』について色々と聴取したい」

 

 結局、アコやイオリ、チナツの身内ばかり聞いても不平等であり、相手側の言い分も聞かないといけない。

 先生については、チナツの報告しか分からないため、情報を整理する必要がある。

 

「イナ……風紀委員会と撃ち合ったの?」

「いや! そうじゃなくてですねフウカ先輩……う、撃ち合ったのは事実ですけど、あれは……」

 

 フウカもイナに何か事情があったことは分かっているが、撃ち合ったという事に驚いている。

 

「とにかく、詳しくは本部で聞かせて貰おうか」

 

 イオリに連行されるイナ。流石にフウカもジュリもこの事に関しては、イナを擁護する余地はない。

 

「フウカ先輩! ジュリ! 助けてください! 自分は無実なんです!」

「うるさいぞ纒 イナ」

 

 無実であろうと、立派な校則違反である。イオリとヒナに連れられ、本部へ連行されていく。

 

 

「謀ったな……陸八魔 アルゥ!」

「何言ってるんだ」

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアム・セミナー執務室

 

 

「リオ会長、お呼びですか?」

 

 メイド服を着ている生徒が、リオ会長と呼んでいる人物を訪ねる。リオはタブレットを操作して、要件をメイド服の生徒へ伝える。

 

「あなた達……『C&C』に依頼よ。」

 

 会長直々の依頼に、気を引き締める。

 

「近々、ゲヘナとトリニティの条約があるのは把握してるわよね。最近、意味不明な行動をしているゲヘナの情勢について、調査して欲しい」

 

 トリニティについての情報は、ある程度手に入れているが、ゲヘナについての情報は、まだ少ない。アビドス進攻についてもそうだが、予想がしにくいのもある。

 両者とも非効率的な紙媒体で管理しているので、ハッキングしようにも、デジタル情報が少なすぎる。

 

「具体的にはどのような情報を?」

 

 情勢といっても、それだけならばすぐ分かる事。C&Cに依頼するという事は、別の意図があるのではと、考えた。

 

「現在のゲヘナのトップ、風紀委員会については勿論のこと……

ただ、優先的に調査して欲しい事が一つ」

 

 リオはタブレットから目を離し、優先事項を伝える。

 

 

 

 

「『ゲヘナの火薬庫』について」

 

「……」

 

 ゲヘナの火薬庫と言うと、噂程度の都市伝説と認識している。度々話題には上がるが、所詮噂に過ぎない為、合理性を求めるリオが言ったことに少し驚く。

 

「ゲヘナ自治区より、大規模な爆発を確認した。火薬庫がその名前の通りならば、関与している可能性が高い」

 

 つまるところ、爆発の原因と火薬庫の正体を探って欲しいとのこと。危険を考慮して、C&Cに依頼したという経緯だと理解した。

 

「かしこまりました。C&Cが承ります」

「頼んだわ、アカネ」

 

 

 アカネと呼ばれたメイドは、執務室を後にする。

 タブレットの光に照らされながら、アカネが行った方向へ目線を向け、

 

「これも、皆を守るため……」

 

そう呟いたのだった。

 

 

 

 

 





通常巨大パンちゃんよりも、攻撃手段と火力はありますが、弱点がありましたね……これでも防御力は一緒なんです。

当然のこと、あの爆発はトリニティにも知られています。

次回もよろしくお願いします!
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