名誉温泉開発部   作:第三のケモナー

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フウカ先輩誕生日おめでとうございます!

ただ出番あまりないかも…


アサリを買ったら砂抜きを

ゲヘナ学園風紀委員会

 

 風紀委員会という立場であり、ゲヘナ学園の自由と混沌を『秩序』で治安維持している組織である。キヴォトスでも、特に治安が悪いとされているゲヘナ学園の治安維持となると力不足のように思うが、その影響力は凄まじく、生徒会を担っている『万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)』よりも恐れられている。

 

 その中で風紀委員長である『空崎 ヒナ』は、学園最強でありキヴォトスでも指折りの実力者でもある。

 

 

「だから! ニンジンのヘタ切っただけなんだって『チナツ』」

 

 風紀委員会にある取調室にて、イナは取調べを受けていた。目の前にはエルフ耳と眼鏡、赤を基調とした服装の風紀委員が座っている。

 

「……他生徒の聞き取りによると『黄色い防護服の二人が手元で何かして、その直後飛来物と爆音と爆撃がした』とありますが。何してたんですか?」

 

「え? 料理の練習を…」

 

 イナはさも当たり前のことをしていました、という風に質問に答える。その答えにチナツは少し眉をひそめて

 

「へぇ……給食部は『防護服』を着て料理の練習をするんですね」

 

「う゛ぅ」

 

 痛いところを突かれて言葉が詰まるイナ。ジュリに言われたものの、最終的に必要だと判断して着たのは自分であり、途中違和感を感じなかった。

 

「……で? イナ、何か言いたいことあるかしら?」

 

「……ハイスミマスン」

 

 取調室での仕事を淡々と進めていたチナツは、記録を取っていた他の風紀委員に合図して部屋から退出させる。

 

「今日は日頃の行いを鑑みて解放するけど、あまり仕事は増やさないで」

 

 どうやら捕まらずに解放されるらしい。

少し迷惑をかけてしまったことを反省する。

 そういえば、と給食部のツテで貰ったものをチナツへ見せた。

 

「お詫びじゃないんだけど……猫カフェの招待券あるから、今度一緒に行こ?」

 

 チナツは一瞬少し目を開かせて

 

「……検討します」

 

 

 

 

 風紀委員会本部を後にして、外で待っていた涙目になっているジュリと合流する。

 

(おお……やってるやってる)

 

 近くでは銃撃戦の音が聞こえている。何やら騒がしいがいつものゲヘナ学園だ。

 こういう時は巻き込まれないように離れておかないと、流れ弾がくる。

 

 たくさんの生徒が在籍しているが、他生徒と比べて同い年に思えないようなジュリの身長は、離れていても分かりやすい。

 

(その身長10㎝くらい欲しいわぁ……)

 

 ちなみにジュリの身長は170㎝、フウカ先輩の身長は159㎝、そしてイナの身長は148㎝である。

 

「イナちゃんごめんなさい。私が防護服提案したばっかりに……」

 

「そんなことはない! 気を遣わせてしまったのはこっちだし……まだジュリの料理練習できてないし……」

 

 ジュリは決して悪気を持って提案してくるような生徒ではなく、同級生や先輩思いの良い子である。防護服に関しても、下ごしらえが下手な自分を思って、危険な目に合わないために持ってきただけのこと。

 

「そのことなんだけど……」

 

 なんだかジュリの様子がおかしい。

『そのこと』とは…?防護服?気を遣わせたこと?

 

 

 もしかして身長のこと!?

 

 

「イナちゃんがお腹空いていると思って、練習で料理したのですが……」

 

 なんだ料理の練習の事か。ちょうどお腹空いてたし、やっぱりジュリ優しいなぁ。

 

「待って、今なんと?」

 

 聞き捨てならない言葉が聞こえた。

 

 なんだか周りが騒がしい。最初、風紀委員会や他ゲヘナ生徒達が銃撃戦でもしているのかと思ったが、そうではないらしい。

 

「そっち行ったぞ!」

「ムアアア!」

「何で着いて来るの!? 撃つわよ!」

「新種の生物? いやこれ見たことあるよー」

「あー給食部のマスコットじゃん、写真撮っとこ」パシャ

「確保ー!!」

 

 緑と紫と触手のような平たい生物?がそこらじゅうに居る。生徒を襲っている個体や、友好的な個体、ジュリを見つけて近付こうとする個体など沢山いる。

 見えるだけでもその数、100匹くらいだろうか。

 

「……したのですが、また動き出しちゃって」

 

 パンちゃああああああん!

 

 そう、ジュリの料理は動き出す。とくにパンケーキは『パンちゃん』と愛称で親しまれて…

…いるのだろうか。

 

 ジュリに近付いてきた個体が、こっちを認識するなり襲いかかってきた!

 

「ななな、何でこっちに!?」

 

 恐らく、イナのために作ったが為だと思われるが、イナ自身気付いていない。

 

 すぐさま腰のホルダーに手を伸ばし、銃を取り出す。

 

 

『給食部の護身用銃typeC イナカスタム』

 イナが携帯しているハンドガン。

 本人が心許ないと色々アタッチメントを付けまくっているため、操作性はやや悪い。もちろん使う機会は滅多に無いため、本人はその事に気が付いていない。

 

 

「うひゃあ!」バンッ

 

 銃を使うという行為は、イナにとってあまりやったことない行為である。当然、見当違いな所に発射されていき…

 

「いってェ! テメェ何しやがる!」

 

「はぁあ!? あんたに向けて撃ってないんですけど?」

 

別生徒に銃弾が当たってしまう。

 

「も、もう一度……」バンッ

 

が、駄目、パンちゃんには当たらなかった。

 

「風紀委員の奴らがこっちに銃口向けてたの見たぞ!」

 

 生徒が風紀委員が撃ったものだと勘違いする。

 

「3度目の正直ッ!」バンッ

 

 2度あることは3度ある。

 

「いった~、なぜこっちを攻撃してくるんだっ? 応戦するぞ!」

 

 いつの間にかパンちゃんを交えた銃撃戦へと発展する。

 

 

(どうしよう……)

 

 イナはハンドガン片手にパンちゃんに囲まれ、ジュリはあたふたしており、周りは銃撃戦と大量のパンちゃん。

 混沌とした様子にイナはどうしようもないような感情を抱きながら思う。

 

 頼みの…?綱であるフウカ先輩は宅食に行っており、まだ帰ってきていない。

もうダメかと思ったその時……

 

 

ダダダダダダダダ

 

 

 普通の銃の連射速度とは思えないような、圧倒的な銃声がゲヘナ学園へ響く。

 白髪のボリューム感のある長いヘアスタイルと角、紫色の目と風紀の腕章が特徴の生徒が撃ったもの。

 

「もしかかってくるなら、実力行使でいく」

 

「『ヒナ』風紀委員長……」

 

 その銃声と言葉だけでこの場を制する。

 誰かが漏らしたその言葉は正しく、これがゲヘナ学園最強と言われる風紀委員長『空崎 ヒナ』である。

 

 イナよりも小柄ながら存在感があり、銃の大きさも相まって勝てないと錯覚…

 

…いや勝てない。

 

(改めて見ると凄いなこれ、パンちゃんまでも止まってる…)

 

 

 その後は委員長と風紀委員がすべて片付けて、この場は収まった。

 ジュリはその場での簡単な事情聴取だけを受けて、現在食堂へ向かっている所だ。

 

(なぜだ、なぜジュリだけこんな簡単に解放されて……)

 

 イナの場合は、事件性を加味して取調室に連れて行かれただけである。

 

(まさか! 身長か!? スタイルが良いからなのか!?)

 

 もちろん、そんなことはない。

 

 

 食堂へ戻ると、宅食を終えたフウカ先輩が戻っていた。

 

「フウカ先輩お疲れ様です……」

 

「お疲れ様!イナ、ジュリ。

……何か疲れてそうだけど大丈夫?」

 

「あはは……大丈夫です」

 

 何かを感じとったフウカだが、心の平穏のためにも深入りはしない。

 

「そうだ! 今日先方からお裾分けを頂いたのよ」

 

「おお!」「ありがたいですね!」

 

 そう言うと、段ボール3箱をこちらへ見せてくる。イナとジュリは待望の眼差しで段ボールを見つめる。結構重たいのを見ると野菜のお裾分けだろうか。

 

フウカが段ボールを開けると……

 

「ッ!」

 

 そこには大量のニンジンが積まれていた。

 体が一瞬硬直するジュリと…

 

「イナ? イナ! どうしたの!?」

 

 

 白目を向きながらその場で立ち尽くしている、イナの姿があったのだった…

 

 

 

 

 




一日くらいフウカ先輩にとって平穏な日()があっていいじゃないか!

イナのプロフィールは?

  • 別に…
  • いる
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