名誉温泉開発部   作:第三のケモナー

20 / 26


なんと!草取り素人様より、イナちゃんのイラストが届きました!可愛い!


【挿絵表示】


それではどうぞ!




わさびは円を描くようにすりおろすように

 

 

 

 

 

 ヴァルキューレの追跡を振り切り、イナは便利屋の事務所(仮)がある、公園まで訪れていた。

 

「ミサイルランチャーと秘密兵器が……」

 

 バイクから降りて、明らかに荷物が減ったことに気づき、確認するとグレネード類と小型ミサイルランチャー、そして秘密兵器までも無くなっていた。

 

「『ア○中スモークグレネード』せっかく作ったのに……」

 

 『○ル中スモークグレネード』とは、給食部の食料庫に永らく眠っていた調味料を使った、スモークグレネードの事。余談だが、名称はイナが勝手に付けたものであり、給食部としては『刺激物激辛グレネード』が正式名称である。

 

 材料は、本家のアル○パウダーと同じように粉状からし、粉状わさび、粉末状の乾燥唐辛子を入れてまじぇまじぇしている。因みに、一番重要である魔法の白い調味料は無かったので入れていない。

 

 掃除した時、消費期限をとっくの前に過ぎていたのを確認し、処分に困ったのでフウカ先輩に許可を取って採用した。

 

 ヴァルキューレ生徒達が、あのような惨状になったのは、フロントガラスが割れ、外からそのパウダーを摂取してしまったから。

 運転している者にとって迷惑極まりないものである。

 

 

 住所を再度確認し、公園の広場まで入ると、いかにもヘリコプターで今から飛び立とうとしている所だった。イナは、置いて行かれないように、すぐさま大声で呼びながら駆け寄る。

 

「あー! 待って下さい!」

 

 便利屋の4人は、イナに気が付いたのか、ヘリコプターから降りてくる。

 

「良かった……行ったかと思いました」

「とんでもない、待ってたわ」

 

 アルが手を挙げてそう言うと、他の便利屋の3人が、銃を取り出しイナ目掛け発射する。

 

「ちょ、おわああああ!!!???」

「ちょっと!?」

 

 

 

 

 キヴォトス、アビドス砂漠付近上空――

 

 

 便利屋とイナを乗せたヘリが、目的地へ飛び立ちキヴォトス上空を飛行している。機内は白目のアル、口と体を縛られ、便利屋達をじっと見ているイナが対面していた。

 

むうッぐ、むむくむっふっふ(ちょっと、酷くないですか)!?」

 

 イナからすれば、依頼の連絡をしてアポを取った相手から襲撃される、といった理不尽極まりない事である。流石のイナも怒りたくなった。

 

(ど、どうしよう……)

 

 アルもアルで、普通に待っていただけなのに、他の三人が撃って混乱している。カヨコが言った『迎え撃つ』というのはイナ側から仕掛けられたら迎え撃つのではなく、こちらから迎え撃つという意味だったのを今更ながら理解する。

 

「どうして撃ったのよ!?」

「アル様が手で合図したので……もしかして駄目でした? すみません! すみません! 死んで詫びますぅ!」

 

ほひはえふむむひへくへはへん(取り敢えず外してくれません)?」

 

 

 色々とカオスだった場が収まった所で、改めて便利屋と拘束が解かれたイナとの空での話し合いとなる。

 

「……現在進行形ですが今回、依頼受けていただき、ありがとうございます。報酬については後払いとのことで大丈夫ですか?」

「え、ええ……大丈夫よ」

 

 なんだか、前に会った時とは違う雰囲気に困惑するアル。襲撃までしてしまったのもあり、イナに強く出る事も出来なかった。

 

(おのれ陸八魔 アル……)

 

 イナなりの怒ってますよオーラを出すも、裏稼業しているアル達にとっては涼しいものであり、ムツキに関しては、イナの事を可愛いとさえ思っていた。

 

(やはり、襲撃を受けたのはこの装備がいけなかったのか……)

 

 便利屋から警戒されていたとは思ってもないが、服装は大事だと、見当違いの反省をしてしまう。

 

 

 

「まあまあ、でもこれでイナちゃんも『はっきりと』追われる身になったし、同じ校則違反の仲だね! よろしく~」

 

 操縦しているムツキが、イナに向けて気さくに話しかける。『はっきりと』というのは分からなかったが、その言葉を聞いてイナがフリーズする。

 

「えっと、どういう意味ですか……?」

 

 しっかり聞き取れたはずだが、一度詳しく聞いてみる。

 

「クフフ、だってそれって風紀委員から見たら『校則違反しているグループに依頼して資金提供している』証拠がある訳でしょ?」

「まさか、分からずに来た訳じゃあるまいし……」

 

 ムツキとカヨコが言っていくと、段々と顔を青ざめるイナ。風紀委員にもしバレる事があるならば、即投獄である。

 しかも、ヴァルキューレから逃げる事もやってしまっている為、それも合わせれば最悪の場合、連邦生徒会の矯正局行きである。

 

 自身の行動を省みて改めて、そのヤバさに気づいてしまう。

 

 

「降ろして下さぁぁぁぁい!!」

 

 

 とは言ったものの、当然今は上空であり、とてもじゃないが無事では済まされない。例え、無事に降りれたとしても、もう下は砂漠なので迷っている内に干からびてしまう。

 

(反省文書いたばっかりなのにこれ以上は不味い!)

 

 イナの事を、実はちょっとアホなんじゃないかと思った便利屋達。多大なる被害と勘違いを生み、お金と社会的立場を犠牲にしたことによって、便利屋の信頼を少し得たのであった。

 

(割に合ってなさすぎる!)

 

 

 

 * * *

 

 

 

 カイザーPMCアビドス基地

 

 現在、アビドス高等学校は先生と共に、ホシノ救出作戦を行っている最中である。途中で、ゲヘナ風紀委員会やトリニティ総合学園の阿慈谷(あじたに)ヒフミ……いや、ファウストもアビドス側へ参戦し、カイザーPMC兵士やドローン、パワーローダーと戦闘を行っていた。

 

「それにしても、トリニティの奴らとんでもない物を……」

 

 イオリは、基地の周りに張られていた防壁を見て呟く。

 トリニティの迫撃砲によって、兵士達が蹂躙されていく姿は、それはそれでとんでもないが、イオリが言った『とんでもない物』とは迫撃砲の事ではない。

 

「爆発と同時に一瞬で防壁に穴開けた『あれ』……」

 

 防壁の一部分が崩壊しており、大きな爆発があった事を物語っていた。ヒナ達はそこから基地内へ侵入できたのだが、あの兵器のインパクトは忘れられない。

 

「イオリ、今は戦闘に集中してください」

「分かってる」

 

 アコがイオリに注意するが、アコもアコで『あれ』の光景が頭から離れていなかった。

 

(あの形、火薬庫の生物兵器から出た物と酷似して……これは後で会議ですね)

 

 例の黒パンちゃんが万魔殿に放ったパンちゃんドラムを見たことがあるアコは、次の風紀委員会会議の議題として考える。

 

 当然の事だが、ヒナもそれを感じとってはいたようで、トリニティの考えを汲み取ってもいた。

 

(先生に借りを作った上、エデン条約も近づいたから先行で『お披露目』ってわけね)

 

 秘密裏に作った兵器というのは、疑惑や誤解を生みやすい。予め威力見せて公表する事により抑止力にもなり、また、ゲヘナに対する信用の意が込められているのである。

 

 それと同時に『私達が秘密を明かしたのだから、其方もあの事件の詳細も教えて』という意味でもあった。

 

(はぁ……面倒くさい)

 

 ヒナはトリニティの思惑を感じ取り、戦闘を行いつつ心の中でため息をつく。万魔殿のマコトに伝えるのも一苦労なのである。

 

 

 トリニティ、ゲヘナ風紀委員会、アビドスの面々は次々とカイザーPMCの兵力を削っていく。一段落した所で、ヒナから先生へ声がかかった。

 

「先生、後方は任せてちょうだい」

「"うん! ありがとう皆!"」

 

 

 アビドス対策委員会と先生は、捕まっているであろうホシノの所へ急ぐ。先へ進んでいくと、アビドスの本館だった場所へたどり着く。そこには、廃れて崩壊している壁や学校机、黒板が散乱しており、ここが学校だったという事を認識させられた。

 

「ここは……」

「そうだ、ここはアビドス高等学校本館があった場所」

 

 ノノミが学校の備品に気付いた時、影からカイザーPMC理事が姿を現す。一同は、突然の主犯の登場に臨戦態勢を取る。

 

「カイザーの理事……!!」

「しつこい……」

 

 兵士達では止める事が出来ないと思ったのか、理事直々に戦闘に参加する。

 

「アビドス対策委員会……ずっとお前達が目障りだった。借金や兵力を使っても最後まで学校にしつこく残り、毎日毎日楽しそうに!!」

 

 アビドスに対して、あらゆる手段を講じてきたカイザーPMC理事だが、それでも諦めようとしない生徒に腹を立ててていた。

 

「お前達のせいで……『あれ』に引き続き私の計画がッ!!!」

 

「私達は、あなたのような情けない大人には負けません!」

「そんな事で私達の心は折れない!」

「ホシノ先輩を返してもらう」

 

 理事の悲痛な叫びをもろともせず、対策委員一同は改めて決意を言葉にする。

 

「ならば、やれるものならやってみるがいい!!」

 

 理事の声に反応したかのように、特別仕様のパワーローダーが現れる。

 

「フハハハ!!」

 

 先ほどの戦闘で、撃つ事を考えなければいけないような残り弾数となってしまった。この戦闘に勝ったとしても、建物内には勿論兵士が居るため、そこで戦えるかどうか分からない。

 

(誰かが残るしかない……私が……)

 

 シロコだけが残ろうと考えた瞬間、上空より一機のヘリが飛来するのが見えた。

 

「困っているようね」

「あんた達は……便利屋68!」

 

 ヘリから出てきたのは便利屋68と……

 

「"イナ!"」

「ど、どうも先生」

 

 なぜ便利屋と一緒に居るか分からないが、来てくれるのはとても心強いと感じる先生。

 

『ビービービー』

 

 謎のアラーム音に反応する皆。よく見ると燃料が切れている事に対してのアラーム音であった。つまりどういう事かというと……

 

「あ、ごめんねーこのヘリ墜落するよ」

「「えええ!?」」

 

 アルは白目になりながら、他のメンバーとイナとで一緒に墜落するヘリから飛び降りる。ヘリはパワーローダーとカイザーPMC理事を押し潰してしまった。

 

「貴様ら……お、お前は!!」

 

 押し潰された理事は、イナを見て、驚愕したかのように反応する。

 

「またしても私の邪魔をしおって……悪魔が!」

「……え?」

 

 当の本人は、見に覚えが無いような反応をしているが、この両者に何かがあったのは間違いなさそうだった。

 

「まあいい、『あれ』は終わった事だ。まとめて蹂躙してくれる!」

 

 皆が戦闘準備に入ろうとした際に、アルからアビドス対策委員会と先生に向けて、準備止めるようにジェスチャーをする。

 

「ここは任せて先に行きなさい!」

(い、言っちゃったー!)

 

 カッコいいセリフを言ったアルに対し、対策委員会はお礼を言い、ムツキは囃し立て、ハルカは尊敬、カヨコはため息をつく。

 

「あ、対策委員の皆さんこれを……」

 

 そして、イナがそう言うと対策委員にグレネードと銃弾の提供をする。

 

「ありがとうございます!」

 

 イナはノノミに感謝されて少し恥ずかしくしながら、パワーローダーと対峙した。

 

「先には行かせん!」

 

 先に行かせまいと、理事が兵器で攻撃しようとするが、アルが発砲しそれを阻止する。

 

「ぐうぅ?!」

「あなたの相手は私達よ」

 

「"ありがとう! ホシノの所へ急ごう!"」

 

 そのうちに、先生らは基地の捕まっているホシノの所へ急ぐのであった。

 

 

「さあ、始めるわよ」

 

 こうして、便利屋68+給食部イナ対カイザーPMC理事との戦闘が開始される。

 

 

 

 

 






読んでいただきありがとうございます!

あの兵器にしてはまともな挙動……妙だな……とお思いですが、カラクリがちゃんとあります。

コメント順次返信してます。
次回もよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。