お ま た せ 。 (2回目)
リアルが忙しくて手がつけられない…すいません。
なんか気づいたら評価バーが赤くなっていました…嬉しい…嬉しい。
本当にありがとうございます、書いててとても嬉しいです。
〈スタートラインから長い直線を抜けコーナーへと迫っていきます!〉
「…アールの奴、速度緩めて芦毛を待ってやがる」
「その余裕が、後半で命取りにならなければ良いがな」
モニター群に映るアールの姿、明らかに本気の走りをしていない、それは映像を見ていたイエローとサバンナ、そして後ろを走るトレノも気付いていた。
「(脚を緩めてる…私を待ってるのか…?)」
「(ストレートでちぎるのは勿体ねぇだろ、オレは本気のバトルがしたいんだよ)」
「(本番はコーナーに入ってからだろ…!)」
〈いよいよ最初の左コーナーへと2人が入っていきます!〉
「…!」
コース端に群がるギャラリーへ2つのヘッドライトが降りかかる、最初に先頭のアールが減速しグリップできるギリギリの速度へ落とし、アウトインアウトを描いて曲がっていく。
〈これが現役プロレーサーの攻め方だぁ!とても速いグリップ走行でクリアしていきました!続いてお待ちかね!秋名の芦毛のスーパードリフトが来るぞ!〉
「…っ!」
ギャァァアア!!
蹄鉄を滑らせほぼ横向きでコーナーへと進入、オーバースピード気味にも関わらずトレノはテールランプがガードレールに掠めるほどギリギリのラインで抜けていく。
「(なんだありゃ?ふざけんじゃねーぞ…あんなオーバーアクションのカニ走りでこのオレについていけるはずが無ぇ‼︎)」
湧き上がる歓声の中アールは舌打ちをして再びストレートでトレノを離す、その暴力的なまでの加速は彼女の
「感動的だぜ…こうして隅々まで奴の走りを見ていると、改めてこのドリフトは芸術だと思うよ…」
モニターをみるサバンナはそう呟く、トレノは2番目の緩い右コーナーを渡った所にいた、俯瞰、横、そして真上、彼女の姿をあらゆる角度から捉えたドローン映像にサバンナは目を離せずにいる。
「殆どカウンターを当てない全開のドリフト、奴は自分自身の身体を完全にコントロールできているんだ、私でも限界領域ではあそこまで自分を制御できていないだろうな」
「けど、パワーの無いアイツじゃ、あのターボ車みたいな加速をしやがるアールにジリジリと離されちまう…」
少しでも直線が長いとアールの加速についていけなくなる、現にトレノは6バ身、7バ身と置いてかれている、映像をみるイエローの顔が険しくなっていく。
「このバトル…勝てないのか…⁉︎」
ヘアピンを抜け再び直線、突風を吹かせそうな程のアールのスピードにギャラリーから驚きの声が上がる、あのGT-Rのエースの名に恥じぬ強烈な加速、プロ仕込みの彼女の走りに皆が圧巻する。
「な、なんだあの加速力⁉︎」
「まるでスポーツカーだ!あんな速度この峠で出すなんて正気じゃねえぞ‼︎」
「秋名の芦毛、あんなスピードについていけるのか…?」
「(これだ…この感じ…全身の血が沸騰したかのようなハイテンション…これこそバトルだ!)」
全速力で下っていくアール、夜道を駆け抜ける彼女の顔には笑みが浮かぶ、今この状況を、このバトルを、彼女は全力で楽しんでいた、峠という危険な場所での全開走行はアールのアドレナリンを沸き立たせ、走り屋としての情熱のボルテージを限界MAXまで上げていく、彼女のテンションはレブリミットまで一気に振り切れる。
「(とことん突っ走るぜ…!どこまで着いて来れる‼︎)」
以前先頭は変わらぬまま、アールとトレノは二つめのヘアピンへと入って行った。
「(違う…?やっぱりなんか…違う)」
コーナーを攻めるトレノ、どうやらフミが施した蹄鉄の細工に気付き始めたようだ、再び次のコーナーへと入りそれを確認するようにわざと思い切った突っ込みをする、ぶつかることもなく難なくクリアしていきトレノは直線へと入っていった
「(やっぱり…踏んでもバランスが乱れない、今までよりワンテンポ早く動ける…母さんが弄ったってのはこれか)」
「(よく分かんねえけど…これはこれでいい感じだ、流れすぎないから思い切って走れる…!よし…!)」
ゴァァァアア!!
〈鮮やかに急コーナーを曲がっていく!スプリンタートレノ、完璧なスーパードリフトでGT-Rのエースに喰らい付いていきます!〉
「…!」
コーナーを抜け次のコーナーまでの短い直線、カウンターを僅かに当てた後はそのままドリフトでその直線を抜けていった、白煙が舞い上がり、ギャラリー達は彼女のドリフトに歓喜する。
「な、なんだよアレ⁉︎」
「私たちが考えてるドリフトとは違うものだぜ…‼︎」
「強烈〜!一度見たら忘れられねぇや…ぶっ飛んだぜ‼︎」
「あそこを流しっぱなしで抜けてくやつは初めて見たな…」
「異常だぜ、秋名の芦毛…余程スピードが乗ってねえと出来ねえぜあんなこと」
「…それにしてもアールの奴、デカい口叩くだけあってまた腕を上げたな」
サバンナの視線はアールの姿が流れるモニターへと移る、ストレートからコーナー、その境目で急激な減速をして秋名のキツいコーナーをグリップで曲がっていく、スキール音が聞こえるほどの高速グリップは並のドリフト使いなら太刀打ち出来ないであろう速さだ。
「ブレーキのタイミングは変わらないが、前と比べて明らかにコーナーの脱出速度が速くなっている、現役プロの名は伊達じゃないらしい、面白味は無いが、無駄の無い分隙がない走りだ」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃねーぞ姉貴!芦毛狩りがナイトキッズに先越されるなんて、奴が負けちゃ元も子も無ぇぞ…」
「フッ、そう慌てるなイエロー、前半は比較的ストレートが長めで勾配も緩やか、非力なあの芦毛には不利な条件が多いが、この辺りからコーナーが増え、勾配もキツくなる、ダウンヒルスペシャリストの本領発揮はこれからだ…!」
〈さぁコースも中盤!次は急なヘアピンへと2人のウマ娘が突っ込んでいきます!〉
左ヘアピンへの直線、2つのヘッドライトが道を照らして流れていく、最初に青鹿毛のウマ娘、アールがヘアピンへと差し掛かった。
ゴォォオオオ!!
「(低速ヘアピンはオレの得意分野だ…!)」
限界ギリギリまで速度を引っ張った後、ブレーキングで一気に速度を落とす、一瞬の彼女の黒い髪が減速により後ろへ揺られたかと思えばヘアピンカーブを高速で突っ切っていった。
「(
「(そして…‼︎)」
立ち上がりストレートへと入る、地面を蹴る音が大きくなっていきあっという間に最高速へと伸びていく、そしてまるで車のギアが変わるかのようにさらに速度を上げ、アールの顔は引き攣りながらも笑みを浮かべていた。
「(これだ…この瞬間がたまらねぇ…!)」
「(どんな奴にも負けねぇ低速からの加速!後ろに引っ張られる位に速ぇスピードで、オレのテンションは最高潮だ…!)」
「(サーキットで最強であれば、勿論峠でも最強!ジャケットに描かれたRのエンブレムは、不敗神話のRだ‼︎)」
「(この"
「すげぇ…!目がついていけねぇ…‼︎」
トレノを追いかけるドローン、イエローはその映像から目を離さずに居た、コース中盤、コーナー前で減速せず蹄鉄を滑らせたかと思えばトレノはイン側の溝に片足を引っ掛けとてつもない速さで曲がっていく、イエローが負けた技、溝落としだ。
「(これか…オレはこれに負けたんだ…正気の沙汰じゃねえ、あんなバカげたことをこうも簡単にやっちまうんだ、改めてこうして拝めるとは思ってなかったぜ)」
コーナーを抜けストレート、そして次のコーナーも片足を落として曲がっていく、普通ではあり得ないことをいとも簡単にこなすトレノ、確実に前のアールとの距離が近づいている、イエローの隣でその光景を観ていたサバンナの口数が減る、その眼は真剣そのものだ。
「(姉貴が喋らなくなった…バトルをしている時と同じ眼だ)」
ヘアピンのような低速コーナーでは、いくらトレノが突っ込みで喰いついたとしても、立ち上がり加速の差でアールに離される、例えコーナーで距離を縮めてもまたストレートでその差を帳消しにされてしまう。
しかし高速コーナーでは確実にトレノが差を詰めている、どのコーナーでも減速を行うアールに対しトレノは余計な減速をせず溝落としや荷重移動を駆使し失速しないようにしながら全開ドリフトしてコーナーを立ち上がっていく。
「(いよいよ本気出してキレ始めたなあの野郎…非力なアイツじゃ加速でアールには絶対勝てない、だから1度乗ったスピードを落とさないよう、ブレーキングを極力しないで最短距離を抜けていく…奴のドリフトはその為のドリフト…!)」
「…ッ!」
ギャァアアア!!
〈次々とコーナーをクリアしていくスプリンタートレノ!そしてなんと驚くことにあのアールスカイラインに着々と近づいています!秋名の芦毛がGT-Rのエースに喰らいついています!解説の私も興奮を抑えられません!〉
「(…何⁉︎差が詰まっているだと…⁉︎)」
コーナーを抜けたアールは冷や汗をかく、あれだけ突き放したトレノが近づいているのだ、ストレートで再び距離を離しても次のコーナー、そして次も、自分との差はどんどん縮められていく。
「(桁違いだ…この秋名の峠であれだけの走りをする奴は他に居ねぇ…!こればっかりはフィジカルがどうのこうのという問題じゃない…あの野郎、頭のネジが2、3本吹っ飛んでんじゃねぇのか⁉︎)」
「(とんでもねぇプレッシャー…‼︎ここまでオレが追い回されるとはな…‼︎)」
5連ヘアピン数個前のコーナー、既にトレノはアールの2バ身後ろへと迫っていた、彼女のリトラのヘッドライトがアールの身体を照らす、しかしその状況で焦りが混じりながらもアールの顔から笑みは消えなかった。
「(上等だ…お前が地方の田舎者なんて偏見は吹っ飛んだぜ…一級の戦闘力を持ったすげえ奴じゃねえか…‼︎)」
「(ゾクゾクするぜ…こんな美味しいバトルはGT-Rに入ってから初めてだ…!)」
「ハッ!生きててよかったぜぇッ‼︎」
ゴォォオオオ!!
〈ストレートに入りアールスカイラインが立ち上がっていく!なんと言う加速!ゆうに100キロは出ています!この険しい峠の下りで恐ろしい程のスピードを出しながら下っていきます!〉
「凄過ぎるぜトレノ!あのアールスカイラインとタメ張るなんて…!」
「いっけートレノ!」
頂上のスピードスターズ陣営、ライムやレビン、メンバー達はモニターを囲みあのアールに喰い下がるトレノの姿を応援していた、中央のナイトキッズのリーダー、そしてGT-Racingのエース、2つの肩書を持つ怪物級のウマ娘にトレノは食い付き追いついている、その場にいる皆が子供のように目を輝かせトレノの走りに注目する。
「アンフィニイエローだけじゃなくアールスカイラインにも並ぶ速さなんて凄すぎるぜ…アイツだったらどんな奴にも勝てるっすよ!」
「あぁ!どんなウマ娘でもどんな峠でも、トレノなら勝っちまう気がするぜ…なぁライム!」
「あぁ…トレノならきっと…けど今はアールスカイラインとのバトルだ、それを応援しよう…勝ってくれよ…トレノ!」
〈さぁいよいよ秋名の目玉!5連続ヘアピンカーブへと進んでいきます!〉
キュルル…
「(ッ‼︎…蹄鉄の消耗が…!アンダー気味だぜ…!)」
コース後半、スタート前にサバンナとフミが見抜いていたアールの弱点が彼女を襲っていた、急激な加速と減速、秋名のキツい勾配でこじるような足捌きを行っていた為、アールの予想より遥かに蹄鉄の消耗が早かった、滑り気味になり掠れたスキール音がアールのシューズから鳴る。
「(こんなに追い込まれるとは思ってなかったからな、無茶しすぎたか…キツイぜ…!)」
〈さぁ5連続ヘアピンへのストレートに2人のウマ娘が入っていきます!〉
夜道に2つのライトが浮かび上がる、先頭は以前アール、そしてそれにピッタリと貼り付くようにトレノが彼女の真後ろを走る、前を走るアールの表情は焦りが混じり、自分の身体をトレノのライトが後ろから照らすことで余計にプレッシャーになってしまっている。
「あのアールスカイラインが苦戦している⁉︎」
「プロ相手にあんなに貼り付くなんて凄すぎるぜ!秋名の芦毛‼︎」
「信じらんねぇ…あのアールスカイラインがここまで追い詰められるなんて、どうなってんだ⁉︎」
周りのギャラリーから歓声と驚愕の声が湧き立つ、あの現役プロのアールがここまで苦戦することは初めてだったからだ、そして彼女をここまで追い回した秋名の芦毛、2人が通過した場所からは拍手と喝采が起きる、そして2人は5連ヘアピンへと進入していった。
「(ここだ…この5連ヘアピンでオレはあのイエローの奴が抜かれるのを見た…あの溝を使わせないようにインは死んでも開けねぇ‼︎)」
〈さぁ2人がヘアピンに突っ込んでいく!先頭アールスカイライン、インコースを取りました!〉
トレノに溝落としをさせないようアールはインベタギリギリまでラインを絞った、これではトレノがインをつくのは無理だ、そして彼女は急減速しヘアピンをグリップしていく。
「アールの野郎またインを開けなかった…芦毛に飛び込ませないつもりだ!」
「アールめ…さぁどうする、秋名の芦毛…!」
2人がモニターに食い入る、インかアウトか、そしてトレノが選んだラインは…
「───ッ‼︎」
ゴァァアアア!!
「…!」「なっ⁉︎」
「(なっ⁉︎何ィ⁉︎外からだと⁉︎)」
トレノはインベタのラインを行くアールに対しアウトからほぼ横向きと言っていい程のオーバードリフトでヘアピンを曲がっていく、ガードレールに掠める程のギリギリのライン、観ていたギャラリーは突っ込んでくると思わずその場から逃げ出していく。
「ナメてんじゃねぇぞクソガキがァ‼︎外から行かすかよッ‼︎」
アールはそう叫びながらヘアピンを抜け立ち上がっていく、そして次のヘアピンもまたトレノはアウトから突っ込んできた、しかもコーナー間のストレートは流しっぱなし、ドリフトしながらまた次のヘアピンへ大外に完璧なドリフトを描く、アウトから後ろ、後ろからアウト、トレノに煽られていくアールの神経が擦り減っていく。
「(また外から来やがった!目障りでたまんねぇ…‼︎)」
「すげぇぜあの芦毛!あんな狭いとこ流しっぱで抜けてきやがった…!」
「アールの奴、集中力を無くしているな…よくみてろイエロー!芦毛がアールを抜きに行くぞ!」
「ッ‼︎…」
ギャァァアアア!!
〈またアウトから行きましたスプリンタートレノ!白煙と火花が彼女を包み素晴らしいラインでアールスカイラインへ喰い下がります!〉
「(クソッ‼︎こうして何度も外からいいように突っつかれちゃムカついてしょうがねぇ…!)」
「(無理にインを閉めようとするから不自然なラインになって突っ込みが甘くなるんだ…アイツが入れないギリギリに閉めてやればそれでいい…!)」
〈スプリンタートレノ、また外側から攻め込むつもりです‼︎〉
後ろから照らすトレノのライトがアウト側に流れる、それを確認したアールは先程よりもインを開けた、トレノはまたアウトへと行く、そう判断したのだ。
「(アウトにラインを振った‼︎インは無ぇ‼︎これなら…‼︎)」
その時だった、彼女の外側を照らしていたライトが、突如その光を消した。
真っ暗になったアウト側、アールは目を見開く、トレノはラインをアウトへと振ったはずだ、本来なら先ほどのように彼女の姿とヘッドライトが見えてくる筈、それが忽然と消えたのだ。
「ッ⁉︎…芦毛が消えたッ…⁉︎」
…ガゴン!!
彼女の左側、つまりイン側から何かが落ちるような音がする、そしてそのインベタのラインを自分のヘッドライトとは違う光が照らしていた、アールがそちらをみやると、ウマ娘1人分がギリギリ開いているかの狭いインコースを芦毛のウマ娘が片足を排水溝に落とし曲がっていく、それはまさしく秋名の芦毛、スプリンタートレノだった。
「な…なぁ⁉︎」
驚愕し隙をつかれたアールは油断しラインが崩れる、よりスペースが生まれた瞬間を見逃さずそこを突っ切りトレノはアールと並んだ、サイドバイサイドになりながら2人はヘアピンを曲がっていく。
「(し、しまったァ‼︎肝心なところでアンダーをッ…‼︎)」
〈す、凄いぞスプリンタートレノ‼︎一気にインから並びかける‼︎このままオーバーテイク出来るのでしょうかッ⁉︎〉
「(外はフェイント‼︎アウトコースと見せかけて一気に減速してラインを変えやがった…‼︎あんなことが出来る奴が居るのか…⁉︎)」
「(鮮やかなもんだぜ…けど、これで勝ったと思うなよッ‼︎)」
トレノはアールに並びかけたとは言えまだ完全に抜けきれていない、これで同時に立ち上がれば加速の差でアールがまた先頭に立てるであろう。
「(このまま同時に立ち上がれば、全開の加速で前に出られる!)」
「GT-Rの凄さを見せつけてやるぜェッ‼︎」
キュルルル…!
「…ッ⁉︎」
響いたスリップ音、立ちあがろうと駆け出したアールの足が滑り出していく、トレノとのバトルにより起きた予想よりも大幅な蹄鉄の消耗、既に彼女のシューズは彼女自身の加速とパワーについていけなくなっていた、トラクションを失った蹄鉄シューズは煙と火花をあげて横へとスリップしていく。
ガンッ…!!
鈍い音が峠道に響く、アールはコントロールを失い遂にはガードレールへと接触してしまった、丸目4灯のテールランプが激突し右側のランプが粉々に砕け散る、観ていたギャラリーから悲鳴が聞こえ一瞬にして辺りは静寂へと移り変わってしまった。
「おい大変だ!やっちまったぞ‼︎」
「おいアンタ!大丈夫か⁉︎」
「救護班‼︎早く‼︎」
幸いにしてアールは大きな怪我をしていなかった、衝突による擦り傷程度のもので済んでいたがアールが愛用していたテールランプは最早使い物にならない程に損傷してしまっていた。
「…負けたのか、このオレが?…GT-Rが負けた…」
「いや違う、負けたのはオレだけだ、GT-Rが負けたんじゃ無い」
「世の中にはすげえ奴が居る…ショックはショックだけど、不思議と爽やかな気分だ、全力を出し切って負けたんだからな…」
アールはジャケットを脱ぎヘッドライトとテールランプを固定していたサスペンダーを外した、GT-Rに入ってからずっと愛用してきたその砕け散ったテールランプをアールはじっと見つめる。
「痛ぇなぁ…修理代7万ってところか…」
悲痛な彼女の呟きが秋名の夜の空に掠れていく、中央トレセン峠チーム"ナイトキッズ"のリーダーでGT-Racingの現役エース、アールスカイラインと、群馬トレセン峠チーム"スピードスターズ"の秋名の芦毛ことスプリンタートレノによる秋名峠バトルは、アールスカイラインのクラッシュにより自走困難と判定されスプリンタートレノの勝利として終わった、現役プロに勝った秋名の芦毛の名はまたも有名になり、峠界隈のみならずその名への注目が着々と集まりつつあったのだ。
続く。
次回は数話挟んで慎吾戦です、Fドリ使いをどう表現しようか…