EG6戦へのくだりは原作というか、新劇版と同じにしました、原作では池谷先輩がバカにされてそれにキレた拓海がバトルするという展開だった気がします、今回はそっちで書いてみました。
─────中央トレセン学園 カフェテリア
「イエロー、隣いいか」
昼食を取っていた栗毛のウマ娘、アンフィニイエローに声をかけたのはレッドサンズの外報部長のウマ娘、マリナーブルーだ。
「いいぜ、座れよ」
了承を得た彼女はイエローの隣に座る、昼時ということもありカフェテリアの中はウマ娘やトレーナー達で賑わっていた、パンを頬張るイエローを横目にマリナーは辺りを見回す。
「サバンナが居ないな、イエロー1人か?」
「姉貴ならメシも食わないでパソコンと睨めっこしてるよ、何が楽しいだか知らねえけどな…」
「そうか…余程あの芦毛に入れ込んでるみたいだな」
イエロー、それに続きアールまでをも撃破した秋名の芦毛、中央でも上格の2人にあっさりと勝利した彼女に、サバンナの好奇心は今までにない程膨れ上がっていた、毎日のように秋名の芦毛の走りを研究し、日々勝つ為のシミュレーションがサバンナの頭の中で構築されていく、彼女がこれ程までに熱中した相手は今の今まで表れなかった。
「なぁマリナー、姉貴と秋名の芦毛がバトルしたらどうなるかな」
ふとイエローは隣の彼女にそう聞いた、不意にそんな疑問を投げかけられたマリナーは一瞬固まったが、彼女の中の答えは、はなからひとつしかなかった、それを口に出す。
「どうなるって…サバンナが負ける訳ないだろ、前回のアールとのバトルであの芦毛はもう丸裸だ、あらゆるデータは既にサバンナの頭にインプットされて、勝つ為のシミュレーションが出来上がってる筈…いくらあのスプリンタートレノでも、サバンナには勝てない」
あの芦毛でもサバンナには勝てない、それがマリナーの答えだった、イエロー自身も彼女の答えと同じ意見である、自分の姉が勝つ、そう確信している。
だがしかし、あの芦毛と…スプリンタートレノとバトルしたイエローだからこそ、その確信が揺らぎ始めていた。
「姉貴程すげぇ奴は他には居ない、どんな奴にも負けねえハイパーテク…白い彗星、
「…なに?」
「惚れ惚れするようなハイスピードドリフト…絶妙なブレーキング、超絶デリケートな荷重コントロール、奴も桁違いだ、同じ峠専門の走り屋ウマ娘として、オレはアイツに惚れ込んじまったのかもしれねぇ…」
「イエロー…」
何処か上の空であの芦毛を褒めちぎる、バトルして分かったあの芦毛の凄まじさ、自分をも上回るハイパードリフトを間近で見ていたイエローは、いつの間にか彼女の走りに魅入られていた。
「2人がやり合えばどちらかが負ける、姉貴が負けるなんて思わないが…けど、あの芦毛…スプリンタートレノの野郎が負けるのは…何故だか見たくない…」
「ハハ…妙な気分だぜ…オレは一体、どうなっちまってんだろうな…」
いつか来るであろう2人の決戦、自分の姉と秋名の芦毛、勝負をすれば必ずどちらかは負ける、2人の敗北した姿は想像したくない、そんな矛盾したやるせない気持ちがイエローの中で渦巻いていた。
「「ありがとうございましたー」」
渋川市のスポーツ用品店、今日も変わらずトレノ達が働いていた、お客が帰りトレノ達の挨拶が店内に響く。
「にしても、本当に腹が立ちましたよ!昨日のソイツ!」
「ほう、シューズの前から火花が出るドリフト…」
カウンター内からそんな会話が聞こえる、ライムは昨日あった出来事を結衣に話していた、変わったドリフトをするウマ娘、そしてソイツのせいで事故りかけたこと、怒りを露わにして話すライムの耳は深く絞られている。
「凄い進入角度で突っ込んできて、後ろに喰らい付いてきたんすよ、ほぼ横向きで変なドリフトして、最後にわざとぶつかってきやがった…なんなんだアイツ…!」
「…多分ソイツは、"Fドリ"使いだな」
「Fドリ…?」
結衣の口から出た聞き慣れない言葉、ライムはそれに首を傾ける。
「何すかーそれ?」
いつのまにか後ろに居たレビンとトレノ、結衣はおもむろに店内に飾ってある蹄鉄シューズを持ってきて3人の前でシューズの裏面を見せた。
「いいか、普通、峠用蹄鉄ってのは芝を走る蹄鉄と比べて軽くできてんだ、重量があるとコーナーで足を曲げる時にアンダーステアが出ちまうからな」
「確かに、コーナーで足首を曲げる時に蹄鉄が重かったら、ドリフト中にカウンターが当てづらくなりますよね」
峠用、舗装路面用の蹄鉄は芝用と比べより頑丈に、より軽量に作られている、おかげで芝と比べ滑りやすい路面でも安定してコーナーを曲がることができるのだ。
ドリフト走行もこの蹄鉄があるおかげで成り立っている、シューズに付ける蹄鉄が重ければ足の先端、トゥ部分にバランスが偏る、その状態ではコーナー進入時の足の舵角調整や繊細なカウンター操作がやりにくくなる、角度決めをするシューズのバランスが悪ければデリケートな操作もできない、と言うことだ。
「それで、Fドリっていうのはな、正式名称はフロントドリフトっつって、細かいこと抜きにすると要は蹄鉄をわざと重たいやつにするんだ、芝用よりもっと重量のある奴だ」
「はぁ?そんなんじゃまともにコーナーも曲がれないんじゃ…」
「そうだ、ドリフトも不安定になるし、何より走り出すと途端にアンダーが出て外に膨らんじまうからな、けどそれを逆手に取った走法なんだよ、Fドリってのは」
「コーナーにほぼ真横向くくらいの角度で進入するんだ、普通ならスピンしちまうくらいのな、でも、そんだけのオーバーステアを起こしたなら後は滑らせるのを止めて走り出せばいいだけだ」
「…そうか!走り出すとアンダーがでちまうけど、それがカウンターになるのか!」
「そういうことだ、カウンターステアを当てなくても立ち上がれば勝手にアンダーステアが起きてそれがカウンターになる、おかげで普通よりも思い切った突っ込みでコーナーを抜けれるって走法なんだ」
結衣はFドリの説明を3人にする、蹄鉄をわざわざ重量のあるものにすると直進安定性は増すが、コーナーが曲がりづらくなりコーナリング中のアンダーステアも通常より遥かに大きくなってしまう、しかしそれを逆手に取り思い切ったオーバーアクションでドリフト体勢に入る、すると蹄鉄を重くしてあるのでわざわざカウンターを当てなくても走り出せば自動的に起きるアンダーステアでスピンする程のオーバーステアを相殺できるという訳だ。
「けど、それって物凄く難しいんじゃないんすか?…」
「あぁ、並の走り屋じゃ扱いこなせないだろうな…」
レビンの質問に結衣は深く頷く、今結衣はそのFドリを簡単そうに説明したが、聞いてその場で実践できるような技では無い、いくらアンダーでカウンターを当てられるとはいえ入射角や立ち上がりのタイミングを間違えばスピンして即事故、かと言ってひよって思い切った突っ込みができなければコーナーでアンダーステアに振り回される、そこら辺の走り屋ウマ娘では扱えない高等テクニックだ。
「トゥ部分から火花が飛び散るのはFドリ特有の現象だ、つまりソイツはFドリを使いこなす"Fドリ使い"…そんなすげぇテクを持ってる奴はタダ者じゃねえぞ…少なくとも中央レベルの実力がある奴じゃないと出来ないぜ、かなり速い奴だろうな」
「中央の奴か…確かに速いには速いけど、あの野郎、あの時丁度サイドでスピンする練習やってたから上手く衝撃を逃せたけど、一歩間違えたら大怪我だった…」
「今度会ったらタダじゃ置かないぞ…あの赤い栗毛…‼︎」
蝉が交響する渋川の温泉街、バイト終わりのトレノ達は近くの公園と隣接する神社へと訪れていた、敷地内のブランコに腰掛ける2人を夕日が照らす、レビンは途中で買った群馬名物の酒まんじゅうを取り出し隣に座っているトレノへと差し出した。
「ほらよ」
「サンキュー…あっつ…」
湯気が立つまんじゅうを頬張るトレノ、火傷しそうになりあふあふと言うトレノを呆れた目で見ながらレビンもまんじゅうを口にする。
「なーんか不思議な感じだよなー、お前のこと、見る目が前と違ってきた」
「はぁ?なんだいきなり」
「今はいつものトレノだよ、けど、勝負服着て夜の峠に飛び出せば今や秋名の走り屋ウマ娘の憧れのヒーローなんだよなぁお前」
「そ、そうかな…なんか照れるな」
「今はただ饅頭食ってるだけのボケウマだよな」
「なっ…そこまで言わなくたっていいだろ、心外だぜ」
「…私も、なんか自分でもちょっと不思議な気持ちだよ、けど私の走りでみんなが喜んでくれるのは、すげぇ嬉しいんだよな…前までは走るのなんてちっとも楽しくないなんて思ってたけど、最近になってそれが変わった気がする…」
まんじゅうを食べ終えたトレノは淡々と話した、トレノがバトルした時、彼女のドリフトを観ていたギャラリーは大きな歓声をあげていた、それは当然トレノの耳にも届いている、自分の走りで大勢の人達が喜んでくれる、それが彼女にとっての"走りへのイメージ"を少しずつ変える要因となっていた。
「そっか、お前案外サービス精神溢れる奴なんだな、秋名走るのが前と違って楽しくなったろ?」
「うん、凄く楽しいよ、もう私は走り屋名乗っていい位に走りを楽しめるようになったんじゃないかって、この頃実感してる…レビンや先輩達が峠に熱中するのも分かるよ」
「だろ?お前ももう立派に走り屋ウマ娘になったなぁ、なんか謎に感動しちまったぜ…」
ブオオォォン…!
トレノ達の耳がピクンと動く、辺りに響くエンジンサウンド、見ると公園前の道路を黄色い車が走り去っていった、低い車高に後ろには大きな羽、まさにスポーツカーといった感じだ、過ぎ去っていくその車に2人は目を奪われる。
「かっけえなアレ、レーシングカーみたいだな」
「うん…あの車…どっかで…」
「私知ってるぞ!…えっとなんて言ったかな…」
「そうだ!確か…なんとかセブン!」
「はぁ?それほぼ答え出てねえじゃん」
「しょ、しょうがないだろ!車なんてあんま分かんねえんだから…トレノんち母さんなら知ってるんじゃね?」
「多分な…あの車、初めて会った気がしないんだよな…なんというか…ずっと昔から知ってるような…そんな感じ…」
「名前も知らないのに前から知ってる訳ないだろ…やっぱお前ボケウマだよ」
「うっ…悪かったなボケウマで」
「…なぁトレノ、今夜も秋名行こうぜ」
「…あぁ、いいよ」
オレンジ色に染まる空、談笑をしながらブランコに座る2人の影が伸びていく、夏休み間近の季節で夕暮れでも暑さが衰えない中、不意に吹いた夏風が周りの木々を揺らした。
「やっぱトレノは速ぇーなぁ、コーナー数個抜けただけで置いてかれちまったぜ…」
辺りが暗くなり、今日も今日とてスピードスターズの彼女らは秋名峠へと訪れていた、今は先程行ったトレノとエイティの上りの並走を撮影したドローン映像を頂上の駐車場で確認している、先行のトレノに喰らい付こうとしたエイティだったがコーナー3個目で突き放されてしまったようだ。
「でも、お前もだいぶ腕が上がったんじゃないか?」
「そうか?実は私も最近、結構いい線いけてんじゃねーかって思ってんだよなあ」
調子良さげにエイティはそう話す、トレノが走り込みに参加するようになったおかげで、中央のウマ娘のレベルにはついていけないが、それでも彼女達が自称している地元では秋名最速が嘘ではない程にはスピードスターズのメンバー達は成長していた。
「よし、次は下りだ、今度はアタシとだトレノ、行けるか?」
「大丈夫っすよ」
ライムとトレノがコースへ出ようとした時、峠道からスキール音が響いてきた、走り屋ウマ娘だ、それを聞いたライム達は足を止める。
「…スキール音?誰か上ってくるぞ」
「地元の奴らか?」
やがて複数のヘッドライトの光がぼんやりと見えてくる、段々と鮮明になっていくウマ娘の影、ライムは先頭を走っていた者の姿を見て目を見開く。
「ア、アイツ…まさか…!」
赤い勝負服に同じような赤みがかった栗毛の髪、「♾️」の文字の耳飾り、その姿はまさしく昨日ライムに体当たりをしてきたあのウマ娘だった。
「お、おいアイツら、"ナイトキッズ"のロゴ貼ってあるぞ!」
「何…?」
見ると彼女達の勝負服には「Night Kids」の文字が、それは正真正銘あの中央の走り屋チーム、アールスカイラインがリーダーをつとめるナイトキッズのものであった、上ってきた彼女達は道の傍らにたむろ始めた。
「間違いねぇ…あの赤い栗毛…!」
「お、おいライム⁉︎」
耳を伏せ尻尾を不機嫌に揺らすライム、我慢の限界とばかりにその栗毛のウマ娘の元へと駆け出していく、エイティやレビン、トレノは慌てて彼女の後を追いかけた。
「おいお前‼︎昨日後ろからわざとぶつかって来た野郎だろ‼︎」
「んあ?なんだか田舎臭え奴らがたかってきたぞ」
「んだと⁉︎」
栗毛の挑発にさらに怒りが増すライム、すると後ろから追いついたエイティがその栗毛を指差して大声をあげた。
「あっ⁉︎ラ、ライムこいつ!イージーシビックだぞ⁉︎」
「イージーシビック?…確か、ナイトキッズの実質的なNo.2の奴か⁉︎」
「そうだぜ…下りじゃチームの中でも相当速いらしいが、素行が悪いで有名な奴だ、この前のレースでも相手への走行妨害でペナルティ喰らってたヤバい奴だぞ…⁉︎」
「おいおい、随分人聞き悪いこと言うじゃねえか」
ケタケタと嫌味な笑いをする栗毛のウマ娘、"イージーシビック"、腕は確かだが柄の悪いナイトキッズの中でもやり方を選ばない問題児で有名な彼女、チーム内でもその行いは問題視されており一部のメンバーとは対立状態にある、特にリーダーのアールとは仲が悪いらしく、度々中央トレセンでも2人の喧嘩が起こるらしい。
「そのレースも昨日のお前も、悪いのはそっちだろ、まさかあんな遅い奴がいるだなんて思わなくてな、避けきれないでついぶつかっちまったよ…遅い奴の相手はやり慣れてないんだ」
シビックは謝るどころかバカにして煽り、周りの連中は彼女の言葉に腹を抱えて笑っている、怒りが頂点に達したライムが彼女に襲い掛かろうとするのをエイティが必死に止めた。
「なんだとコラァ‼︎」
「やめろライム落ち着け…!」
「ふざけんな!アタシは一歩間違えば大怪我だったんだぞ、謝れよ!」
「ハッ、謝れだぁ?悪いのは遅いお前だろうが、お遊びで峠走ってるスピードスターズのリーダーちゃん、アッハハハ!」
何処までもこちらをバカにする彼女の姿勢に、ライム達の後ろで聞いていたトレノは今までにない程にキレた顔をしていた、耳を伏せ、青筋が立ち眉間にシワがより、ライムをバカにするシビックを静かに睨んでいた。
「ま、どうしても謝れってんなら、私達のルールでダウンヒルバトルに勝ったら謝ってやるよ、両手ついて地べたに這いつくばってな」
「なに…?」
「なんならそこの芦毛がバトル相手でもいいぜ」
そうシビックが指さしたのはライム達の後ろにいるトレノだった、ライムは振り返りシビックを静かに睨むトレノを見つめる。
「お前、下り自慢なんだろ?」
「…負けたら、本当に地べたに這いつくばって謝るんだろうな」
挑発に乗ったのを見てシビックはニヤリと笑みを浮かべた、バトルを引き受けたトレノをライム達は慌てて止める。
「や、やめろトレノ!あんな奴とバトルする必要ない!」
「そうだぜトレノ、アイツ何してくるか分かんないぞ⁉︎」
「そんな奴に絶対負けませんよライム先輩…」
周りの制止も聞かずガードレールを飛び越しコースに出たトレノ、その時ライムはハッとした顔でシビックの方へと振り返った、先程彼女達は"自分達のルールでバトル"と言っていたのを思い出したのだ。
「…待てよ?今お前らルールがどうだとか言ってたよな?」
「あぁ大したことじゃねえさ…おい、アレ」
「はいっす」
シビックは後ろにいた取り巻きからとあるものを受け取った、それは梱包用などで使われるガムテープであった。
「テープ?」
「これを使ったバトルさ、私達は"ガムテープデスマッチ"って呼んでる、右足首とシューズをこれでグルグル巻きに固定してバトルをする、それだけのことだ」
「なっ⁉︎そんな危ない状態でまともに走れる訳無いだろ⁉︎」
「別にビビってんならやんなくてもいいんだぜ?どうすんだよ、やるのか、やんねーのか」
「…」
シビックが提案したルール、それは足首と蹄鉄シューズをガムテープで縛り上げ、その状態でバトルを行うというものだった、走行の妨げになるのは勿論、コーナーでカウンターや舵角補正が出来なくなる、正気では無い危険なルールでのバトル、それにトレノは…
「…っと、まっせいぜい事故んなよ、秋名の芦毛、キッヒヒ!」
ナイトキッズのウマ娘にガムテープを巻かれたトレノ、この危険な条件にも関わらず彼女はバトルに乗った、シューズから脛の下程にまでガムテープでグルグル巻きにされていた、ライム達はどうにかバトルから降ろさせようとトレノを必死に止める。
「やめろ、やめるんだトレノ!こんなの危険すぎる‼︎」
「これがどんだけヤバいか分かってんのか!足首曲げられなきゃカウンターも当てられないんだぞ!ドリフトが出来なくなるんだぞ⁉︎これでどうやってコーナー曲がるんだ‼︎」
「その条件は向こうも同じじゃないですか」
「奴は練習してるに決まってる!だからこんな無茶苦茶なルールを持ち出したんだ!」
「いくらお前でも危険すぎる!やめてくれトレノ!」
「…私は負けないっすよ先輩、それに、なんか知んないけど死んでもアイツには負けたくないっすよ…‼︎」
「ッ…トレノ…」
覚悟が決まり、目が据わっているトレノを見てライム達は何も言えなくなってしまった、トレノと同じく右足をガムテープで固定されたシビックはヘラヘラと笑いながらトレノへ先行を譲る。
「先行っていいぜ、芦毛の嬢ちゃん」
「…チッ」
「GO‼︎」
トレノは小さく舌打ちをして先に夜の下りへと駆け出して行った、それを追うようにシビックも走り出す、頂上に残された両チームのメンバー、暫くした後ライムはコースへと飛び出した。
「じっとしてらんねぇ…‼︎アタシ達も行こう‼︎トレノになんかあったら…」
「む、無理だ、追いつけっこねぇよ!」
「追いつこうなんて思ってない‼︎万が一トレノが事故っちまったら、少しでも早く助けてやんなきゃならないだろ‼︎」
「ま、待てよライム‼︎私も行くよ‼︎」
飛び出して行ったライムに続くようにスピードスターズのメンバー達も峠へと繰り出して行った、急遽始まった危険すぎる悪魔のガムテープデスマッチ、一歩間違えば即事故の恐怖のダウンヒルバトルが、ギャラリーのいない静かな秋名山で幕を開けたのであった。
続く。
オリウマちょい解説
マリナーブルー
史浩をどんな名前にするか実は一番悩んでました、アニメだとMR2だったりS13だったりコロコロ変わっていたのでどの車をモデルにするかも決めづらく…結局新劇版で乗っていたロードスターのカラーコードにしました。