あの揺れ動く特殊効果を初めて使ってみました。
スタート地点から長いストレートを2人のウマ娘が駆け抜けていく、右足をガムテープで縛りあげた両者、後方からトレノを追うシビックはニヤニヤと気味の悪い笑みを見せる。
「(そんなに飛ばして大丈夫か芦毛ちゃん、コーナーをいくつ抜けれるか見ものだな…ヒヒッ…)」
やがて最初の左コーナーが迫ってくる、いつもの様に身体を傾けドリフト状態に入ろうとしたトレノ、しかしハッとして足を見る、右足のカウンターが当てられない、オーバーステアのまま彼女はコーナーへと突っ込んでいく。
「(イったな、終わりだぜ…)」
確実に事故る、そう確信したシビックはニヤリと口角を上げた。火花と煙が上がりスピン直前となっているトレノは冷や汗をかきながら残された左足で必死にカウンターを当てる。
「クッソ…‼︎」
ゴギャァァアア!…
アウト側へとどんどん膨らんでいきガードレール間近へと迫っていく、なんとかぶつかることなく体勢を立て直したトレノはフラフラと不安定なバランスのまま立ち上がっていった、間一髪事故らずにクリアできたトレノは安堵からか荒い呼吸をする。
「(戻った、ラッキー…足のスジがイカれるかと思ったぜ…)」
「(片足がフリーだからそっちで流れないようにすればいいと思ったけど、想像より遥かに当てられるカウンターの量が少ない、あまり突っ込みすぎるとダメだな…)」
「(チッ、事故らなかったか…だが時間の問題だぜ、せいぜいぶっ飛んでクラッシュするのを後ろから拝んでやる…!)」
シビックは舌打ちを吐きトレノの後ろを追いかける、トレノはコーナーで危うく事故りかけた所だがシビックはいとも簡単にコーナーをクリアしていた、その理由は彼女がFドリを使うおかげだ。
「…にしても、シビックの奴もひでぇことするなぁ」
「ほんと、あの普通のドリフト走行の芦毛になんも教えないでいきなりアレ仕掛けるなんて、流石シビック先輩おっかねぇっす」
頂上の駐車場、スピードスターズが2人を追いかけた後、残されたナイトキッズのメンバー達は笑い混じりにそんなことを話していた。
「ノーマルのドリフト走行じゃどんなに凄ぇ奴でも、カウンターを当てなきゃオーバーステアを止められない、スピンして事故だ」
「あぁ、だがFドリなら話は別だ、オーバーステアが起きたら立ち上がればそれを止めて思い切った突っ込みができる、残った左足を滑らせりゃサイドドリフトでアンダーも消せるんだ」
「そうっすよ、このルールはシビック先輩みたいなFドリ使いじゃなきゃ100%事故る…事故らねぇ普通のドリフト使いが居るとすれば…ソイツはバケモンっす」
シビックが提案したガムテープデスマッチ、実はこのルールは圧倒的にFドリに有利に作られている。普通のドリフトではカウンターを当てなければオーバーステアを止められないが、Fドリであれば滑るのを止め立ち上がれば起きるアンダーステアでカウンターを当てられる。彼女は最初からまともにバトルするつもりは無い、あの秋名の芦毛を潰しにバトルを仕掛けたのであった。
「あの芦毛、いくつコーナーをクリアできっかなー…シッシッシ…」
「どうせすぐに事故りますよ、秋名の芦毛も再起不能っすね、ヒヒ…」
ヘラヘラと笑う彼女達が居る頂上にまで響く2つのスキール音、始まってしまった圧倒的にFドリに有利な悪魔のデスマッチ、ドリフト殺しのバトルは数個目のコーナーへと差し掛かっていたところであった。
ギャァアア!!
「ッ‼︎…」
白と赤、2人のウマ娘がタイトなヘアピンを曲がっていく、トレノが先行しその後ろにピッタリと貼り付くようにシビックが追いかける。いつものオーバースピード気味のドリフトでは無く少し速度を落としてオーバーステアを起こさないように走るトレノ、額から冷や汗が流れ余裕のない表情を見せる。
「(いつもより突っ込めない…どうにかしてコツを掴まないと…!)」
「(焦ってやがんな…いい感じだぜ…)」
後ろから追い詰めるシビックのヘッドライトがトレノの身体を後ろから照らす、プレッシャーに晒されながらも峠を下っていく。次は急な右コーナーだ、後ろから煽られながらもトレノはさっきよりもスピードを乗らせたまま突っ込んでいく。
ゴァァアア!!
「…ッ!───」
目を見開く。急コーナー、それに右足が縛られている状態でトレノはドリフトでコーナーを曲がっていった。今自分がやったのはいつもよりカウンターを当てないドリフト、彼女はそれに気づいたようだ。
「(…そうか、なんとなく分かったぞ…このバトルのコツが!)」
ストレートへ入り加速していく、またもコーナーをクリアして行った前を走る芦毛にシビックは舌打ちを飛ばした。1発目で事故ると思っていたが次も、そのまた次も、前の芦毛はスピンせず、それどころか速度を上げてきている。シビックにとってこの状況はあまりおもしろくは無い。
「(チッ、なんなんだアイツ…、最小限のカウンターで鮮やかにクリアしていきやがる…信じらんねぇ…)」
「(だが、ガムテープデスマッチはいきなりこなせる程甘くは無い、この先は急コーナーやヘアピンが続く…そこで安全に行こうとすればするほど罠が出てくる蟻地獄だ、ぶっつけ本番で行ける訳が無ぇ‼︎)」
ズギャァァアア!!
シューズの先から火花を撒き散らしながらFドリでコーナーを曲がっていく、中央所属は伊達では無いらしく突っ込みの速度はトレノより勝る、立ち上がり長いストレートに入ったシビックはトレノの横へと並びかけた。
「(どうだ、こっちは抜こうと思えばいつでも抜けるんだよ!)」
一瞬トレノの前に出たかと思えば減速し彼女の真後ろにまで下がる、腰に吊るしてあるヘッドライトのスイッチを押しチカチカとパッシングを送った、眩しい点滅がトレノを後ろから襲う、さながら悪質な煽り運転だ、公式戦でやれば即ペナルティだろう。
「(オラ、もっと焦りやがれ…ガンガン攻め込んで事故っちまえよ!)」
「…」
後ろから送られるパッシングをものともせず、トレノは前だけを見て走り続ける。
コースは中盤、彼女達がコーナーに入る度に聞こえる2つのスキール音が、トレノを追いかけていたライム達の冷や汗を誘った。
「(コーナー抜ける度にドキドキするぜ…いきなり目の前にボロボロになったトレノが横たわってる気がして…)」
「(トレノ、なんとか無事で居てくれよ…お前はアタシ達スピードスターズのエースなんだから…‼︎)」
ゴギャァアア!!
ライム達がトレノの安否を心配しながら追いかけるその何コーナーも先で、トレノは片足が縛り上げられた状態でのドリフトをこなしていく。足の舵角を使わずカウンターも殆ど当てない全開ドリフト、やがて彼女はこのバトルで…このバトルを行ったからこそ掴んだドリフトの真理にたどり着いた。
「(ッ‼︎──やっぱりそうだ…)」
「(足に頼らないで曲がった方が…速い‼︎────)」
足の舵角調整、カウンターステアに頼らず、己の身体の荷重移動だけでドリフトを行う、身体全体を使った渾身の全開ドリフト。それに気づいたトレノは更にペースアップをする、既に彼女はいつものような…いや、いつも以上に攻め込んだ走りをしていた、それは後ろを走っていたシビックも気づいたようだ。
「(クソッ!どうなってやがる⁉︎事故るどころかどんどんペースを上げてやがるじゃねえか…こんなにプレッシャーをかけてるのに…‼︎)」
彼女の先程までの嫌な笑みを浮かべた余裕の顔は既に消え失せている、Fドリでなければ確実に事故るこのバトルを前を走る芦毛はいとも簡単にこなしていく。このままでは負ける、そう考えたシビックは手段を選ばない姑息な考えに染まってしまった。
「(ヒヒ…ヒヒヒッ!いいぜ、テメェがまともに走れる奴だとは認めてやる…だが私はアールみたいには甘くねぇぞ、要は勝てばいいんだよ…どんな手を使ってもな…‼︎)」
ストレートが終わり左コーナーへと入る、ドリフト体勢に入った先行を走るトレノ、そしてシビックはノンブレーキで突っ込み、なんと前のトレノに後ろから思い切り体当たりを仕掛けた。
「(悪く思うなよ…ちょっと足の1、2本折れるだけだからよォ‼︎───)」
ドン!…
「うわっ⁉︎…────」
いきなり体勢を崩されたトレノはオーバーステアを止められずスピンに陥る、ヘッドライトの光がぐるぐると周りシューズから悲鳴のようなスキール音が響き渡る、その隙にトレノを追い越しシビックは前に出て、後ろを振り返りスピンしてしまったトレノを嘲笑った。
「(ハッ、終わったな)」
ギギィィイアァ!…
大量の白煙と火花に包まれながら、トレノは封印されている右足を最大限にまで曲げ姿勢を立て直す。スピン状態から360度1回転したかと思えば今度は左足で流れるのを止めそのまま何事も無かったのように立ち上がって行った、シビックは彼女がそのまま追いかけてくるのを見て目を見開く。
「(クソがっ…ぜってーまぐれで助かったに決まってやがる…高速コーナーだったら間違いなくイってた…まぁいい、だったらこのままぶっちぎって引き離してやるぜ‼︎)」
先頭を取ったシビックは直線に入り加速していく、アールスカイラインほどでは無いが彼女の加速力とパワーも並のウマ娘より遥かに高い。高速で峠を下っていくシビックの顔は再び笑みが浮かんでいる。
「(これだぜ…平地じゃ絶対出せねぇこの速度!この陶酔感‼︎ダウンヒルはこれがいいんだ…死ぬ程いいぜ、たまんねぇ…‼︎)」
シビックが下りのスピードに酔いしれてる中、ぶつけられ後ろから追いかけるトレノの顔は恐ろしい程の形相をしていた、耳を極限まで絞り、歯軋りをして走りながらもその身体は酷く震えている、どうやらシビックはキレてはいけない者をキレさせてしまったようだ。
「(わざとやりやがったなあの野郎…ムカついた!!)」
「テメェみてぇなカスには…ぜってぇ負けねぇからなァッ‼︎」
声を荒げトレノは更にペースをあげた、次の左ヘアピンへ入りトレノはインベタの茂みに左足を突っ込み、乗り上げながら曲がっていく、まるでラリーのような暴力的なその走りは怒りに任せ目の前の栗毛を堕とすことだけを考えている。
ドギャァアア!!
「お、おい来たぞ…だいぶ近いな…」
「2人だな…誰かバトルしてんじゃねえのか?」
秋名に来ていた地元の走り屋ウマ娘達、下ってくるスキール音に耳を傾けソレが来るまでコースの傍で待っていたところだ、そんな彼女達の元へ2つの光源が姿を見せた、先頭を走る赤い勝負服の栗毛、それを見た1人が指をさして叫ぶ。
「あ⁉︎あれ‼︎ナイトキッズのイージーシビックだ⁉︎」
「なんで中央の奴が秋名に居るんだ⁉︎」
「後ろも来たぞ…あぁ⁉︎」
そしてその栗毛を後追いする芦毛のウマ娘、それは最近話題になっている秋名の芦毛だ、それがナイトキッズのNo.2とバトルしていることに走り屋ウマ娘達は驚きの声をあげた。
「秋名の芦毛‼︎スプリンタートレノじゃねえか⁉︎」
「なんで秋名でイージーシビックとバトルしてんだ⁉︎」
「アールスカイラインの仇討ちか⁉︎」
2人は次のコーナーへと突っ込んでいく、Fドリを巧みに使いコーナーをクリアしていくシビック、そして後ろから迫ってきたトレノはなんと一切減速する素振りを見せずガードレールへと突っ込んできた、観ていた走り屋達は慌ててその場から逃げ出す。
「あ、あの野郎突っ込んでくるぞ⁉︎」
「危ねぇ⁉︎逃げろ‼︎」
ガン!
そのままトレノは躊躇なくガードレールに激突した、そしてぶつかったその反動を利用して逆ドリフトしながら次のコーナーまでの短いストレートを流しっぱなしで抜けていってしまった、それを目の当たりにした走り屋達は腰が抜けてしまっている。
「アイツ、もろにガードレールにぶつかりやがったぞ⁉︎」
「しかもその反動を利用してドリフトしていきやがった…」
「何考えてんだあの野郎、おっかなすぎるぜ⁉︎」
ガガガ…ズギャァァア!!…
その後もトレノは怒りに身を任せながら峠を下っていく、足がコース外へ乗り出したりガードレールにぶつかったりしてもなんのその、ただ前の栗毛に追いつく為にペースをどんどん上げていく、トレノの勝負服はぶつかった衝撃で所々擦り傷ができ破れてしまっている。
「(ウソだ⁉︎なんで追いつけんだよ⁉︎こっちはこれ以上出せない限界ギリギリで走ってんだぞ⁉︎)」
そしてとうとう、トレノはシビックの真後ろへと迫ってきていた。先程スピンさせ引き離したはずの奴が自分のすぐ後ろまで来ている、その重いプレッシャーにあてられシビックの呼吸が乱れていく。
「(一体…なんなんだよテメェは…⁉︎)」
ゴァァアアア!!…
「(ッ⁉︎カウンターを使ってねぇ⁉︎荷重移動だけで曲がってやがる⁉︎───)」
ドリフト中に振り返り目にした光景、後ろの芦毛は足のカウンターや舵角補正を使わず、身体の荷重移動のみでドリフトしている。そんなハイパーテクを簡単にこなしながら追いかけてくる芦毛に、バケモノにロックオンされてしまった恐怖に、シビックの目には涙が浮かぶ。
「ハァ…‼︎ハァ…!───」
「ッ⁉︎ヒィッ⁉︎──…」
立ち上がり並びかけてきた芦毛が自分の方へと近づいてくる、悲鳴をあげたシビックはだじろぎふらついて減速してしまった、自分から勝手に下がった彼女を置いてゆき、その芦毛は前へと出る。
「(さっきの仕返しをされるかと思った…また前に出られちまった…こんな…こんな⁉︎…)」
「(…私が…この私が抜かれるなんて…理解できねぇんだよ‼︎)」
ギャァァアア!!…
Fドリのシビックよりもインに入った理想的なラインでトレノは抜けていってしまった。普通のドリフト、普通の蹄鉄シューズで、Fドリが超有利なルールで、トレノはFドリ使いのシビックを圧倒している、もう既にシビックのプライドはずたずたに裂かれてしまっていた。
「(…ヒヒッ!こっちから仕掛けたガムテープデスマッチじゃねえか…これで負けたりなんかしたら、私はチームの笑いものになって再起不能だぜ…!)」
「(例え引き分けに持ち込んでも、私のメンツは保ってみせるぜ…ヒヒ!)」
今にも泣きそうになりながらも引き攣った笑みを見せる、そして彼女の中に浮かんだ最悪の選択、短いストレートにも関わらずシビックは速度を上げていく。
「(短いストレートだが全開で加速すりゃお前に並ぶことはできる…)」
「(そうさ、もうお前に逃げ道は無ぇ…このバトルの結末は…)」
「ダブルクラッシュと行こうぜ…‼︎」
コーナー手前でトレノの右側へと出たシビック、そして思い切り振りかぶり、横にいるトレノへと体当たりを繰り出す…
しかしその攻撃は、直前で姿勢を変えドリフトに入ったトレノに避けられ、当たることは無かった。
「ッ⁉︎───」
そしてシビックは咄嗟に避けることも出来ずに、そのままガードレールへと突っ込んで行き…
ドゴォァ!!…
聞くに耐えない鈍い音、叩きつけられた身体はそのままガードレールに沿う様に流れていく、自慢の赤い勝負服は破れ、彼女の腰に装着されていたテールランプはボロボロに砕け散る、そしてバランスを崩し転倒したシビックは数回地面に叩きつけられた後、谷底へ落ちる一歩寸前でなんとか止まった。
辺りは削り落ちた蹄鉄の白煙で白く濁っている、ぶつかったガードレールは凹み道路には蹄鉄痕がハッキリと残る、それが続く先には横たわる赤い勝負服のウマ娘。
「…うぅ…う…」
うめき声を上げ彼女は起き上がった、右足を縛っていたガムテープを解きその場に立つ。幸か不幸かぶつかり早いタイミングで転げ落ちたおかげか、ウマ娘の命とも言える両脚に大きな故障は無い、ガムテープを巻いていた右足も無事なようだ。
「…いっ…う…」
しかしガードレールにぶつかった時に思い切り右腕を殴打してしまい、シビックの右手首は赤く腫れ上がっていた、左手で怪我したところを抑えながら彼女は自分の今の姿を見る。
「私の…勝負服が…うぅ…」
ボロボロの勝負服、蹄鉄シューズは大きく損傷し脚には所々擦り傷ができてしまっている、赤いスカートは引き裂かれテールランプは全損、前に着いているヘッドライトも片目がいかれてしまっていた、見るも無惨なその姿に尻尾と耳がシュンと垂れ下がってしまう。
「…ッ!」
そんな彼女の元へと向かってくる数人分のヘッドライト、トレノを追いかけていたスピードスターズだ、ボロボロのシビックの前で止まった彼女達は慌てて周りを囲む。
「うぉ⁉︎やっちまったのか⁉︎…」
「酷ぇボロボロじゃねえか!待ってろ、今チームの奴ら呼んでくる!」
「…そこまでしてもらう訳にゃ行かねぇよ…」
「なに言ってんだよ、事故った時はお互い様だろ?ほら、肩貸すから」
「私ら地元だから救急病院知ってんだよ、無理すんなよ、痛ぇだろ?」
「…すまねぇ、恩に切るぜ」
ライムに担がれトボトボと脇道のスペースへと歩いて行く、シビックを介抱するライム達を横目に、レビンはシビックが派手に突っ込んだガードレールをじっと見つめていた。
「───勝ったんだ、トレノが…」
一歩間違えればトレノが今のシビックのようになっていたかもしれない、文字通りのデスマッチ、それにトレノは勝ってしまった、その事実にレビンは呆気に取られながらも嬉しさからか小さく笑った。
「トレノ…やっぱすげえよ…!」
「あぁ…分かった…じゃ…、今チームの知り合いが車出してくれるってよ、もう少しだぜ」
電話を終えたエイティが手首を抑え脇道に座っていたシビックにそう伝えた、軽く頷いたシビックは峠道から見える夜景をぼーっと見つめながら、小さく呟く。
「あの芦毛…すげぇ奴だな…」
「…ハハ、だろ?」
「なんたって、私達スピードスターズの自慢のエースだからな!」
「峠最速の秋名の芦毛…私達の自慢のヒーローだぜ!」
夜の峠に木霊するライム達の笑い声、その後迎えに来た車に乗りシビックは地元の救急病院へ向かった、ライム達は一度頂上へ戻り残っていたナイトキッズのメンバーに先程の事を伝えると、彼女達は大慌てでシビックが運ばれた病院へ駆け込んだそうだ。
「…そうか、分かった…ガードレールにぶつけた衝撃で手首を捻挫してるけど、それ以外は大丈夫だってよ、派手にすっ転んだらしいのに悪運の強い奴だぜ」
「ま、なんにせよ大怪我じゃなくてよかったぜ…にしてもトレノの奴、こんな無謀なバトルでも勝っちまったんだから、本当にアイツは凄ぇよ」
電話でシビックの容態を聞いたライム達は一安心とばかりにため息をつく。デンジャラスな恐怖のガムテープデスマッチ、結果はイージーシビックの自損による事故によりスプリンタートレノの勝利で幕を閉じた。
「公式戦じゃ無いにしても、ナイトキッズのNo.2に勝っちまったんだ、トレノはもう敵なしじゃねえか?」
「…いや、まだまだだぜ、中央には凄え奴らがたくさん居る、レッドサンズにナイトキッズ…インパクトブルーにエンペラー…名だたるチームと、これからトレノはバトルしていく筈だ」
「…私、きっとトレノならどんな奴にも負けない気がするぜ、アイツならな」
「あぁ、不思議とアタシも同じ気分だ、トレノなら…アイツなら!」
エイティとライムは深く頷く、アンフィニイエローにアールスカイライン、そしてイージーシビック、中央の強豪ウマ娘に次々と勝利していくトレノ。どんな奴が来ようともトレノは負けない、峠最速のウマ娘はスプリンタートレノだ、今日のバトルによりライム達の中でそのことがより深く根付いたのであった。
続く。
次回からはアニメ基準でシルエイティ戦に入りたいと思います、結構流れを改変するつもりです、オリトレとかも出していきます。