という訳で、以前アンケートを取ってました番外編のお出かけ回です。結構長くなってしまったので、3分割して投稿します。
また第一槍のみ、前の話と繋がっている番外編は「裏」をつけて投稿しますので、よろしくお願いします。
それと、この話の投稿後、誕生日回に関しては別の
それではどうぞ!
P.S.)後編として予定していた話がかなり長くなってしまって分割したので、タイトルの前編をナンバリング表記に変更しました。申し訳ありませんが、ご了承ください。
「おはようございます、ミカ。ナギサ。」
「おっはよ〜、リンデちゃん☆」
「おはようございます、リンデさん。」
ヒフミと約束した休日の朝。リンデはミカとナギサ、二人と駅の前で待ち合わせをしていた。全員今日はお忍びとのことで、リンデはいつもの帽子を被らずニット帽を身につけ、ミカはいつもの髪型からシニヨンにしている部分も解いてポニーテールに、さらにリンデと二人でお揃いのサングラスをかけていて、ナギサも髪を一本結びにして白のストローハットを被っていた。
服装に関しては、ミカとリンデはお揃いで色違いのフリースとスカートを、ナギサは丈の長いワンピースの上から白のコートを着ていた。
ちなみにヒフミは先に現地に向かっているとの事で、リンデ達は後から電車で追いかける事になっていた。
「お二人とも、良く似合ってますよ。」
「ありがとうございます。リンデさんも、というよりミカさんとリンデさんのそのお洋服は・・・もしかして、お揃いですか?」
「そうだよ! 前にリンデちゃんと一緒に買ってからお気に入りだったから、私は着てきたんだけど。結果的にお揃いになったね♪」
「フフッ、そうですね。」
出会って早々、お互いの格好を褒め合う中、リンデとミカの服が、大きさや色が違うもののお揃いである事に気付いたナギサ。どうやら以前、リンデとミカがプライベートで購入していたものらしく、ミカもお気に入りの一枚ということで着てきた所、たまたまリンデも同じ服装を選んでいたようで、図らずもお揃いで出掛けられる事に二人とも喜んでいた。
一方、気付いたナギサはというと、同じ幼馴染にも関わらず自分だけ違う格好なのが何となく仲間はずれに感じたのか、少し不機嫌になっていた。
「・・・・・・。」
「あれ? もしかしてナギちゃん拗ねてモガっ!?」
「ウフフ、いやですねミカさん。『トリニティ』の淑女たるこの私が、たかが服がお揃いで無いだけで拗ねるわけがありません。えぇ、ありませんとも。」
そこへ、地雷原とわかっていながらミカが突っ込んでいって、案の定ロールケーキをぶち込まれていた。幸い、リンデが倒れる前に抱きかかえたので頭にたんこぶを作ることはなかったが、いつもより勢いよく突っ込まれたせいで速攻気絶したようであった。
そんなミカの醜態が衆目に晒されないよう、自身の翼で周りの視界を遮りながらリンデがナギサの行動そのものが拗ねてることを認めていると指摘しようとしたが―――
「あ~、ミカ大丈夫ですか? ナギサ。以前も言いましたが、いくら何でもその態度では認めてるのと同g」
「何 か 言 い ま し た か?」
「・・・ナンデモナイデス。」
―――あえなく満面の笑み*1を浮かべたナギサの前に震えることしか出来なかった。二人がどれ程の力を持っていようと、『ロールケーキ』の前には膝をつくしか出来なかった。
「よろしい。では、気絶したミカさんを運ぶのと、案内お願いしますね。リ ン デ さ ん?」
そのまま、ナギサは満面の笑みをたたえたまま、リンデに気絶したミカの運搬と目的地までの案内を頼み、頼まれたリンデにはただ「はい」と、頷く以外の答えは許されていないのであった。
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「あ~、もう。お出かけ早々酷い目にあったよ。」
「ミカさんがおかしなことをいうからでしょう? 自業自得です。」
「だって明らかに拗ねて」
「もう一回ぶち込まれたいですか?」
「その脅しは卑怯じゃんね!?」
合流場所である『D.U.地区』の駅にて、ミカとナギサはまだ喧嘩を続けていた。どうやら久しぶりのプライベートなお出かけという事もあってか、ミカはともかくナギサもブレーキを置いてきてしまっているようで、売り言葉に買い言葉をぶつけ合っていた。
そんな二人の様子を、後ろからリンデが呆れ顔で見つめていた。普段の二人があまり友人として交流出来ない事を憂いている身としては、こうやって生の感情をぶつけ合っている二人を見れるのは内心とても喜ばしいことだと思っている。しかし、物事には限度があるし、何よりこんな所を知り合いや同期の誰かに見られでもしたら、ミカは気にしないとしても、ナギサはしばらく風評被害に落ち込むことになるだろう。それは流石に本意ではない。
そう考えたリンデは溜め息を吐きながら、ナギサとミカを軽く窘めた。
「ハァ、何をやってるんですかあなた達は。少し落ち着いてください。」
「だってミカさんが!」
「だってナギちゃんが!」
ダメだった。
どうやらいつも以上にかなりヒートアップしているようで、ナギサもミカも相手が非を認めるまで止まる気はなさそうだった。それはそれで子供らしさに溢れていて悪くないかなとリンデは思わなくはなかったが、しかしいつまでもそのままという訳にはいかない。そろそろ待ち人が来る時間のため、リンデは二人を落ち着かせようと、再度宥めようとしたのだが―――
「二人とも、本当に落ち着いてください。もうすぐヒフミと合流するんですから、そろそろ」
「リーちゃんさーん!! ミーちゃん様ー!! ナギちゃん様ー!! お待たせしましたー!!」
―――そこにちょうど、待ち人であるヒフミが、いつもとは違う呼び方でリンデ達に呼びかけてきた。
これは先日リンデが考えた案で、ヒフミはともかく、自分達は見た目を目立たなくしても呼び方がそのままだとバレる可能性があるため、お忍びということもあってリンデ達3人をあだ名のような呼び方にしようと決めていたのだ。
ナギサはミカの『ナギちゃん』呼びがあったためそのまま採用。
リンデは当初、『リンちゃん』呼びをミカが提案したが、それだと『連邦生徒会』の一人『七神リン』と間違われる可能性がある*2ため、小さい頃に一度だけ使った事のある『リーちゃん』を採用。
それに合わせてミカも『ミーちゃん』呼びを採用したという経緯がある。
ちなみにヒフミがいちいち「さん」や「様」をつけているのは、彼女の自称『普通の感性』が呼び捨てを許容できなかった為である。こういう所はきっちりしている辺り、ナギサやリンデの薫陶が行き届いているという事なのかもしれない。
ヒフミの声が聞こえてきたリンデとミカは、声のした方へ顔を向けると、軽く手を振って挨拶を交わした。
「おっと。噂をすれば、ですね。待ってましたよ、ヒフミ。」
「ヤッホー、ヒフミちゃん! おはよ〜!」
「おはようございます、リーちゃんさん! ミーちゃん様! ってあれ? ナギちゃん様?急に蹲ってどうしたんですか?」
ヒフミはリンデ達の元へ来ると、首を傾げて唯一ヒフミの方へ顔を向けなかったナギサの方を見た。そう、ヒフミが「ナギちゃん様」と呼んだ辺りで、何故かナギサは急に片手で胸を抑え、もう片方の手で顔を覆うようにして蹲ってしまったのだ。リンデとミカはそれに気づいてはいたが、ヒフミの手前あえて突っ込まなかったのだ。
ヒフミに訝しまれたナギサは、そのままの姿勢で捲し立てるように言葉を発した。
「い、いえ! 何でも、何でも無いのです! はい。ベベベ別に、ヒフミさんにな、『ナギちゃん』と呼ばれた事に、ど、どどどど動揺してしまったとか、そそそそそ、そういう事実は一切ななななくてですね。」
(動揺しちゃったんですね。)
(動揺しちゃったんだね〜。)
しかし、出てきた言葉はかなり震えており、とてもではないがいつもの優雅で冷静なナギサの姿は微塵も感じられなかった。ちなみに幼馴染二人にはしっかりバレており、さっきまであんなにバチクソ喧嘩していたミカにすら生暖かい視線を送られている模様。
しかも、反撃しようにも本人も余裕がないのか、それともヒフミの前でだけでも先輩としての威厳を保ちたいのか、そのままの姿勢から動いていなかった。*3
そんな蹲って動かないナギサを心配してか、ヒフミはわざわざ近づいてナギサの手を握って声をかけ始めた。
「大丈夫ですか、ナギちゃん様!? もしかして、何処かお体が悪かったりするんですか?!」
「あ、あわあわあわあわあわひひひひひヒフミさん!?!?」 (手、手が?! ヒフミさんの手が、私の手を握りしめて!? あ、ああああああああ!?!?!?!?!?)
「ちょっ! これナギちゃんヤバくない、リーちゃん?!」
「どう考えてもヤバいですね! 急いで助けますよ!」
ヒフミの突然の行動にキャパオーバーを起こしたのか、ナギサは壊れたような震え声しか出せなくなって表も裏もパニックになっていた。そんな幼馴染の醜態をこれ以上見過ごせないと、ミカとリンデは急いでナギサを救出するのであった。さっきまで喧嘩していた相手を助けるその阿吽の呼吸からは、元来の仲の良さが感じられ、リンデは内心でほっこりしていたのは完全な余談である。
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「落ち着きましたか、ナギちゃん?」
「大丈夫ですか、ナギちゃん様?」
「は、はい。何とか・・・。その、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。」
「も〜、ナギちゃん。今からその調子じゃ保たないよ?」
「うっ、ご、ごめんなさい。」
あれからしばらく経った頃。
ナギサはようやく普段の調子を取り戻し始めていた。
救出直後はリンデの『ナギちゃん』呼びにすら「はぅあ!?」と胸を押さえて限界症状を引き起こしていたナギサであったが、時間が経って少し慣れてきたのか、とりあえず戻って来る事が出来ていた。
「ふぅ。これでようやく、本来のお出かけの目的に戻れそうですね。ヒフミ、『マッピング』は済んでますか?」
「はい、大丈夫です! こちらをどうぞ!」
「ありがとうございます。」
ナギサが無事本調子、とはいかないまでも行動可能なレベルまで回復出来た事を確認すると、リンデはヒフミに『マッピング』の確認を行っていた。ヒフミが先に現地入りしていたのはこれが理由で、リンデや自分が円滑にイベントを楽しめるよう、そしてお目当てのものを購入できるようにと、張り込み・リサーチを行っていたのだ。
ヒフミからマップを受け取ったリンデは、読み込みながら早速頭の中でルートを構築していく。時間は予定より少々押しているもののまだ許容圏内といった所で、この分なら何とかお目当てのものをスムーズに購入する事が出来ると判断すると、今度はヒフミと小声で相談を始めた。
「・・・この分であれば、なんとか二手で回りきれそうですね。予算の方は?」
「予備込みで問題ないです。リーちゃんさんは?」
「抜かりはありません。ヒフミ、私はこのルートで回ろうと考えているのですが、どうですか?」
「なるほど。じゃあ反対回りで行くとして、合流はここですか。リーちゃんさん、こことここの『ペロロ様』グッズ、たぶん早々に売り切れてしまうかもしれないので、確保お願いします。」
「分かりました。では代わりに、こことここの『ウェーブキャット』さんのグッズはお任せしますね。」
「了解です。差額はいつも通りで?」
「えぇ、問題ありませんよ。」
「わぁお、何話してるのか全然分かんないや。ナギちゃん、分かる?」
「う〜ん、今回の『即売会』というものに関するものだということは分かりますが、それ以外はなんとも。」
「だよね〜。」
相談を始めたリンデとヒフミを、ミカとナギサが遠巻きに見ながら首を傾げ合っていた。どうやらさっきまでのやりとりで二人とも落ち着いたようで、今はいつも通りの仲の良い二人に戻っていた。
そんなミカとナギサであったが、自分達そっちのけでリンデとヒフミが二人の世界に入ってしまった事に対して、無意識に面白くないなと感じていて、どちらから示し合わせたりすることなく同時に動き出し、それぞれのパートナーに声をかけにいった。
「リぃーちゃん?」
「ヒフミさん? ちょっと良いですか?」
「すみません、ナギちゃん様。今大事な話をしてるんです。」
「ごめんなさい、ミーちゃん。ちょっと今はアイタタタ!?」
「リーちゃんさん!?」
「ちょっとミ、ぃぃちゃんさん!? 何やってるんですか?!」
声を掛けるも二人とも取り付く島もなく話し合いを続行しようとしたため、苛立ったミカは実力行使に出た。音もなくリンデの後ろに忍び寄ると、耳を掴んで思い切り引っ張ったのだ。
引っ張られたリンデは当然続けようとしていた言葉を強制的に中断させられて悲鳴を上げ、それを見たヒフミとナギサは驚いていた。―――余談であるが、ナギサが一瞬普段通りに「ミカさん」と呼びかけていたものの、それをツッコむ人員が不足していた為に、この場は見逃されていた。
ミカは引っ張った耳を離すと、目を閉じてぷいっと顔を明後日の方向へ向けて、あからさまに「私怒ってます」な雰囲気を醸し出しながら、ぷりぷりと怒り始めた。
「ふんっ! 私達そっちのけで話すリーちゃんが悪いじゃんね!」
「いや私限定ですか!? 確かに、お二人を放置して話し合い始めたのは申し訳ありませんでしたが・・・。その・・・。」
「・・・何?」
リンデがミカの怒りの矛先が自分だけに向いてることに驚愕しつつも、言葉を詰まらせながら何かを話そうとした。それを目だけを向けて少し睨むようにしながら、ミカは問いかけた。それに答えたのはリンデ、ではなく―――
「ミーちゃん様。リーちゃんさんは、お二人にもめいっぱい楽しんでもらえるよう、色々と考えてくださってるんですよ。お二人に負担がかからないように、とか。休憩場所はどうしようか、とか。」
「ちょっ、ヒフミ!?」
――――ヒフミだった。ヒフミはリンデが、気恥ずかしさから本当の事を言い出すのを躊躇っているのに気づき、背中を押すつもりでリンデの代わりに、その思いをわざと漏らしたのだ。
ヒフミからの突然の裏事情カミングアウトに、思わず目を見開いてヒフミの方を見るリンデ。しかし、驚いていたのは何もリンデだけではなかった。
「えっ?」
「わ、私もですか?」
そう。ミカとナギサもまた、リンデが自分達の事を考えてヒフミと相談していた事に驚いていた。リンデの性格上、あり得ないことではない。むしろ、そうである方が自然なのだが、先ほど耳に聞こえてきていた会話の中からは、それを察する事が出来そうな言葉が無かったため、二人とも気づかなかったのだ。
裏事情をカミングアウトされてしまったリンデは、ヒフミの意図に気づいて、少し顔を赤らめて明後日の方向へ向けてチラチラと目線をミカ達へ向けながら、指をもじもじさせて答えた。
「・・・その、誘ってくれたのはヒフミですが。二人を付き合わせたのは私、ですから。少しでも、私達の好きなものに、興味を示してくれたら、いいな、と。」
「リーちゃん・・・。」
「リー、ちゃんさん。」
何だこの可愛い生き物は。
これが本当に私達の幼馴染で、普段あんなにも凛として頼れる雰囲気を身に纏っている『ティーパーティー』の『首長補佐』、『十郷リンデ』の姿か。
それがミカとナギサが最初に抱いた気持ちだった。
しかし、リンデの思いもまた伝わってきた二人は、互いに顔を見合わせると、しょうがないかというように苦笑しあってリンデに近づいた。なお、ナギサはまた普段通りの呼び方をしかけて不自然な感じの呼び方になっていたが、やはりツッコむ人員不足(以下略)。
「全く。しょうがないなぁ、リーちゃんは。」
「ミーちゃん?」
「そうですね。本当にしょうがない人です、リーちゃんさんは。」
「ナギちゃん・・・。何ですか、二人してそんな目で見て。」
「フフッ、何だろうね~。」
「ウフフ、何でしょうね?」
リンデに近づいた二人は、微笑ましいものを見るような目でリンデを見つめた。その目線で見られることに、なんだか居心地の悪さを感じたリンデは、先ほど自身がナギサに指摘していたような拗ねた表情で顔を逸らした。
そんな三人のやり取りを、同じく微笑ましいものを見る顔でヒフミが見ており、三人の中の良さにほっこりしていた。
「アハハ、皆さん本当に仲がいいんですね。」
「アハっ☆ ヒフミちゃんもそう思うよね♪」
「えぇ、その通りですよヒフミさん。ですよね、リンデさん?」
「・・・この状況で、何でそういう感じになるんですか。」
「じゃあ嫌いなの?」
「その質問はイジワルではないですか?」
ヒフミの言葉に同意するミカとナギサ。一方リンデは居心地の悪さから少し拗ねたように言葉を発したが、ミカの問いかけにイジワルと返して沈黙し、やがて視線に耐えられなくなったリンデは、顔を赤らめなつつも、それを見られないように後ろを向いて小さく答えた。
「・・・好きですよ。大好きに、決まってるじゃないですか。」
耳まで真っ赤にさせながらそう答えたリンデ。小さくとも通りやすいその声は、当然その場にいた三人にしっかりと聞こえており、ミカとナギサは嬉しさで胸がいっぱいになった。
そして、普段なかなか見られないリンデのレアな様子がおかしかったのか、にんまりとした表情を浮かべて、ミカはわざと聞こえていないフリをしてリンデにもう一度問いかけた。
「フフッ、何て言ったのかな~、リーちゃん? もう一回言って~。」
「っ~~~、いいから行きますよ! ここでいつまでも止まってたら、買いたいものが売り切れてしまいますから!」
「あ~、待ってよリーちゃ~ん。」
ミカの口調や目線からからかわれていると判断したリンデは、怒ってそそくさと会場の方へと向かっていった。そのリンデの背中に待ってと声をかけながらも、ミカは笑顔でついていくのであった。
そんな二人の様子に一瞬唖然としながら、先を行く二人の背中をナギサとヒフミが見つめていた。そのまま互いに顔を見合わせると、困ったようにナギサがヒフミに問いかけた。
「え、え~っと。どうしましょうかヒフミさん?」
「あ、アハハ・・・。まぁ、リーちゃんさんの事ですし、たぶんさっき話してたルート通りにそのままミーちゃん様といかれるでしょうから。私達は私達で楽しみましょうか、ナギちゃん様!」
「・・・そうですね。ハァ、全くミk、ミーちゃんさんのあぁ言った所は、いつまで経っても変わらないと言いますか。」
ヒフミの提案に乗りながらも、いくつになっても変わらないミカの悪戯っ娘な一面にため息をつくナギサ。それに苦笑しながらも、ヒフミはナギサに自分の感じたことを伝えた。
「アハハ・・・。でも、それがミーちゃん様のいい所でもあると思います。」
「え?」
「ミーちゃん様って、見ている感じリーちゃんさんとナギちゃん様以外には、あんな甘え方してないような気がするんです。それってつまり、お二人なら素の自分で甘えても大丈夫、っていう信頼の裏返しなんじゃないかと思います。」
「信頼の裏返し、ですか。」
「はい。あぁ、勿論付き合いの短い私が何となく思っただけですので、間違ってるかもしれませんが。」
「・・・いえ。案外、そうなのかもしれません。」
「えっ?」
「お二人とも、お互いの事はよく話してくれますが、私の事をどう思ってるかについては、あまり話してくれないので。私も、本当の所はわかりません。ですが。」
ヒフミの言葉を聞き、ナギサは少し前にセイアに言われた事を思い浮かべていた。
『あれもまぁ、ミカにとっては君に対する1種の甘えのようなものだろう。それに、リンデにとっては君達二人のガス抜きも兼ねているのだろう。』
『君達幼馴染が普段、『ティーパーティー』の『首長』として本音で話せる機会が少ない分、その事で少しでもストレスを感じてほしくないと、以前ポロリと零していたよ。彼女も大概、君と同じでいらぬ気を回すタイプだ。ミカの事が第一ではあるのだろうが、君の事を蔑ろにしている訳ではないということは分かってやってくれないか。ナギサ?』
あの時は気恥ずかしさもあってうまく呑み込めなかったが、ヒフミの感じたことが本当だとすれば、きっとミカのあの悪戯っ娘の気質は、そうしても受け入れてくれるという確かな信頼の裏返しなのかもしれない。事実、リンデも自身も怒りはすれど、ミカの事を悪く思ってはいない。リンデに至っては、たまにあぁ言った悪戯を受けるどころか、拗ねて無理難題を吹っ掛けられることや口をきいてもらえないこともあるのに、ミカの事を自身にとっての『太陽』/『月』/『一番星』、そして替えのない唯一無二の『輝き』といって憚らないほど好いている。それはリンデが優しいからという事でもあろうが、きっとそれだけでなく、それがミカの好意からくる行動だと理解しているからかもしれない、とナギサは感じた。であるなら、セイアの言う通り、政務以外の場でだけでも、そういったミカの一面を受けれてあげてもいいのかもしれないと思った。
(きっと、そういうことですよね、セイアさん。)
「ナギちゃん、様?」
突然無言になって微笑みながら、リンデとミカが進んでいった方へ柔らかな目を向けるナギサに、ヒフミが不思議そうに尋ねる。それに気づいたナギサは何でもないと首を振ると、ヒフミの方へ手を差し出した。
「さて、では我々も参りましょうか。ヒフミさん。学園の先輩である私が頼むのはおかしいかもしれませんが、何分こういった催しに参加するのは初めてですので。エスコート、お願いできますか?」
「っ、はい! 阿慈谷ヒフミ、全力でナギちゃん様をエスコートします!」
「えぇ、よろしくお願いしますね。」
ナギサからエスコートを頼まれ、気合を入れた返事でナギサに応えて手を取るヒフミ。そうして二人は手を繋ぎながら、『即売会』の会場へと足を進めるのであった。
ナギちゃんって、普段は凄い淑女たらんとしてるけど、親友の前では子供ぽい所がある概念、あると思います。
あと、ヒフミに「ナギちゃん」とか呼ばれたりしたら、この話みたいに間違いなく限界と化す気がします。異論は認めます。
渾名の下りは書いてる最中に思いつきました。
元々、ミカリンデの渾名は別の所で使う予定でしたが、今回お忍びで来てる設定なので、まともに名前で呼び合うと意味ないなと思い、急遽追加した形です。で、せっかくならと流用したのが、あの「リーちゃん」「ミーちゃん」呼びです。
今後もし出てきたら、「あ~、ここから流用したんだな」と思っていただければ。
ミカリンデナギサの幼馴染トリオは、自分がからかわれると照れたり怒ったりするけど、からかう側に回った瞬間全力で乗っかってきます(特にミカ)。
なので今回みたいにミカナギでリンデをからかったり、ナギリンデでミカをからかうこともあります。まあ大抵はミカリンデでナギサをからかう→ミカに『ロールケーキ』が鉄板の流れですね。
ちなみにキレ方としては、
リンデ→しつこいと今回みたいに拗ねるか怒る
ミカ→だいたいリンデと同じ
(ただしそうなる前にリンデが慰めて、今度はナギサが拗ねる)
こんな感じですね。ナギサが拗ねるのは「自分の時は何もしないくせに」というのと、「ミカさんばっかりズルい。羨ましい」という気持ちからです。普段隠してるが故の弊害ですね。
お労しやナギ上。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!