なお後編についてですが、本編と並行して執筆してますので、ちょっと遅れます。ご了承ください。
また、先日本編の最新話(第二十五詩)にてアンケートを入れていましたが、設定ミスで表示されていませんでした。申し訳ないです。以後気をつけます。
ミカリンデ&ヒフナギのダブルデートの行方は如何に?
それでは、どうぞ!
P.S.)後編として予定していた話がかなり長くなってしまって分割したので、タイトルの中編をナンバリング表記に変更しました。申し訳ありませんが、ご了承ください。
「ねぇ~、リーちゃん。そろそろ機嫌直してよ〜。可愛くてからかいすぎちゃったのは謝るからさ。」
「・・・・・・。」
「ねぇ、リンデちゃんってば。・・・何か言ってよ。ねぇ・・・。」
さて、ヒフミとナギサを置いて先に会場入りしたリンデとミカであったが、いつぞやの時とは逆に、リンデがミカの言葉を無視してズンズンと先へ進んでいた。そう、ミカの事が好きで『ミカ至上主義』とまで言われるリンデが、である。
先ほどからかわれたのが余程腹に据えかねたのか、ここに来るまで一度たりとてミカとの会話のキャッチボールが成立しておらず、まるでミカと会話する事を拒否するように、リンデは無言を貫いていた。
その様子にミカもだんだん不安になってきており、声も少し涙声になり始めていた。何なら途中から名前も『リーちゃん』から『リンデちゃん』に戻ってしまっているほどに、かなり不安が高まっていた。
と、ミカの声に不安が乗り始めた所で、ゆっくりと立ち止まるリンデ。ミカも、リンデの少し後ろで同じように立ち止まると、彼女の方を不安そうに見つめた。
―――周りの喧騒など気にならなくなるような沈黙が、二人の間に漂い始める。その沈黙を先に破ったのは、リンデだった。
リンデは息を一つ吐き出して身体をミカの方へ向けると、溜め息に聞こえてビクッとしたミカを抱きしめた。
「・・・・・・リンデ、ちゃん?」
「ごめんなさい、ミカ。不安にさせてしまって。」
「えっ?」
「その、最初から怒ったりしてません。照れと気恥ずかしさから声を荒げてしまいましたが、本当に怒ったりしていませんから。だから、泣かないでください。」
困惑で思考が止まるミカに、リンデは初めから怒ってないと言った。それを伝えるように、リンデはミカの頭を、いつものように優しく撫で始めた。髪を梳く気持ちの良い感覚に、ミカはリンデが言っていることは本当だと理解したが、同時に何故リンデが自分の呼びかけに答えてくれなかったのか、余計に分からなくなり、直接尋ねた。
「じ、じゃあ、何で無視したの・・・? 私・・・。」
「・・・そ、その。怒らないで欲しいのですが。」
「・・・何?」
先ほどまでと一転して、今度はリンデが少し不安そうな声で答えた。そんな怒るような理由なのだろうかとミカが訝しんで聞いてみると、その答えは拍子抜けするようなものだった。
「その、ミカにあんな態度を取ってしまった手前、いつも通りに答えていいものかと、悩んでしまって。」
「・・・・・・へ?」
「そもそも、私があんな態度を取らなければ、こんなにギクシャクしないで済んだのではと、自分で自分を恥じていまして。本当に、ごめんなさい。」
「リンデちゃん・・・。」
思ったよりも、言ってしまえばくだらないというか、後半に至ってはただの自業自得でしかない答えが返ってきた。それを聞いたミカはというと、何だかさっきまで深刻に悩んでいた自分が急速に馬鹿らしく感じ始め、何よりそのリンデらしさのある言い分がおかしく思えて、呆れよりも先に笑いが込み上げてきた。
「フフッ、フフフ、アハハハハハ!」
「えっ、ちょっと、ミカ?」
「あ~、もう! 色々不安になってた私がバカみたいじゃん! ホント、リンデちゃんってば私の事大好き過ぎだよね♪ アハハッ☆」
「そ、そういう話でしたかこれ?」
「フフッ、そうだよもう♪ フフフ。も〜、おかしくて笑いが止まらないじゃんね☆ どうしてくれるの?」
さっきまでの不安そうな顔は何処へやら。抱きつきながらなおも爆笑し続けるミカに、リンデは少しむっとなって軽く咎めるように注意した。
「なっ、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか。私は真剣に悩んでたんですよ?」
「わ、分かってるって。でも、そういう所も含めてリンデちゃんらしいっていうかさ。ね?」
「意味がわかりませんよ。というかみ、ンンッ! ミーちゃん。名前名前。」
「リーちゃんこそ、さっきまで名前呼びしてたからおあいこじゃんね☆」
「うっ。否定しづらい事を。」
「事実じゃんね♪」
と、ここでようやくお互いに呼び方が普段通りになってしまっている事にリンデが気づき、言い直しながら慌てて訂正するように呼びかけたが、ミカに自分もいつも通りの呼び方をしていたことを指摘されて呻くことしか出来なかった。
そのまま、リンデがミカを撫でつつ、抱き合った姿勢で過ごす二人。それから数分ほど経った所で、ミカが大丈夫といって、静かにリンデから離れた。
「うん、もう大丈夫だよリーちゃん。ごめんね、気を遣わせちゃって。」
「いえいえ。むしろ今回は私が、ってあら?」
「ん? どしたの? って、何か視線が・・・。」
ミカが離れた事でようやく当初の予定に戻れると周りに目を向けると、何やらこちらへと降り注がれる視線にリンデは気づいた。ミカもそれに気づいたようで、周りを見渡すと、
「リ〜ちゃ〜ん? 前もこんな事無かったっけ〜?」
「ア、アハハ・・・。ありましたね。はい。」
「ハァ〜、もう。まあ今回は私がからかい過ぎたのも悪いから、いいけどさ。」
そう言うとミカは、周りの視線を気にすることなく先へと進み始めた。それにリンデが困惑していると、ミカがリンデに顔だけ振り向かせて早くついてくるように促した。
「ほら、早く行こリーちゃん。私を楽しませてくれるんでしょ?」
「っ、そうですね。」
促すミカの、振り向き美人の中に混じるあどけない笑みに一瞬心を奪われかけるも、すぐにミカの隣に並んで、共に行こうと手を差し出した。
「では、いきましょうかミーちゃん。」
「うん♪ エスコートはお願いするね、リーちゃん。」
「はい、お任せを。最高の一日にしますよ。」
「アハッ☆ 楽しみにしてるね♪」
そうしたやり取りをして、改めて手を繋いで『即売会』のイベントを満喫しようと歩き始めるリンデとミカ。そこにはもう、さっきまでのギクシャクした雰囲気はなく、いつも通りの和やかな空気が流れていたのだった。
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一方その頃、ヒフミとナギサはというと―――
「手製のぬいぐるみに缶バッチ、キーホルダー。色々な『ペロペロ』さんがあるのですね。」
「ペロペロさん、だと?」
「わー、ごめんなさいごめんなさい! ナギちゃん様もわざと『ペロロ様』の事を間違えてる訳じゃないんです! 許してください!」
―――ナギサの予想外のボケにヒフミが振り回されていた。
なお、リンデと事前に話し合っておいたものや、自分の欲しい物販の購入はきっちり果たしている辺り、まだ一応余裕はある模様。
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さて、ようやく元通りの関係に戻れたリンデとミカはというと、頼まれていた物販を購入しながら、時折リンデの解説を挟んみつつ色々な店を回っていた。
「『フリーマーケット』みたいなものって聞いてたから、どんな感じなのかなって思ってたけど。皆、結構凝ってるんだね。」
「こういった『即売会』は、ちゃんと利益が出ないと継続できませんからね。それに、参加している方々の熱意もすごいです。売られているものからも、彼らがいかに『モモフレンズ』を大好きであるかが感じられて、私としても、とても胸が熱くなります。あっ、すみません。こちらなんですけど―――」
ミカと会話しながらも、ヒフミからのお願いもこなしつつ自分の買い物も済ませていくリンデ。ミカを退屈させないよう、並ばないでどうにかなりそうなものから順に押さえていたので、今は一旦スルーした場所へと戻っているところだ。
そんな中、普段とはまた違うリンデの活き活きとした表情を見て、ミカは何だか複雑な感情が渦巻いていた。
「ん、どうかしましたかミーちゃん?」
「え? う、ううん! 何でもないよ! うん。別にその、普段見れないリーちゃんの楽しそうな顔が見れてるのが嬉しいだけで。それが私に向けられてない事に嫉妬したりとか、全然そんな事はないからさ。」
前言撤回。別に複雑でもなんでもなかった。
ミカはただ、なかなか見れないリンデの年相応に楽しそうな表情の対象が自分に向けられていないことが何となく面白くなくて、嫉妬していたのだ。他ならぬリンデを引き付ける『モモフレンズ』達に対して。ただ、人でもないただの創作物に対してそんな感情を向けるのが子供っぽく感じて、認めたくないだけなのだった。
「・・・・・・。」
「な、何その目?」
そんな自分の『一番星』の意外・・・でもないが珍しい一面に面食らって、ほけーっとした顔でミカを見るリンデ。その目線が何となく面白くなくて、またムスッとした顔でリンデを見るミカだったが、逆に今度はリンデがプッと吹き出すと、急に笑い出した。
「フフフ、アハハハハ!」
「なっ!? 何急に笑い出して! 失礼じゃんね!」
「ご、ごめんなさい。ミーちゃんが『モモフレンズ』達に嫉妬してると気づいたら、なんだかおかしく感じてしまって。」
「にゃ!? だ、だから別に嫉妬なんてしてないって!」
リンデの指摘に、思わず変な声が出るも即座に否定するミカ。そんな所が何処かナギサに似ていて、やっぱり幼馴染ですねと場違いな感想を抱いたリンデだったが、指摘したら確実に拗ねると分かっていたので、あえてスルーする事にして別の言葉でミカの気持ちを上書きすることにした。
「それにですね、ミーちゃん。」
「・・・何?」
「あなたには、私が珍しく楽しそうにしているように見えてるみたいですが、それはきっと、あなたとこの時間を共有できているからだと思います。」
「えっ?」
「一番大好きなあなたと、こうして何の気兼ねもなく、大好きな時間を共有できている。それがきっと嬉しくて、だから楽しんでいるんだと思います。」
「リーちゃん・・・。」
リンデの珍しい純粋な喜びの言葉、そして今リンデがしている表情に自分も関係しているんだと分かると、ミカの中で暖かな気持ちが広がってきた。さっきまではほんの少し胸がチクチクしたり、モヤモヤしていたのが、何だか綺麗さっぱり何処かへ行ってしまったみたいだった。
(あぁ、やっぱりそうだ。リンデちゃんにとって私が『太陽』で、『月』で、『一番星』であるみたいに。私にとっての『お日様』は―――リンデちゃんなんだ。)
「・・・ミーちゃん?」
それを自覚したミカは急に無言で笑顔を浮かべ、不思議そうに首を傾げているリンデに、お礼を言った。
「・・・ありがとう、リンデちゃん。」
「っ、急にどうしたんですか? 呼び方までいつも通りになってますし。」
「フフッ、何でもない♪」
急にお礼を言われた事にリンデが訝しむも、そんなリンデの顔が可笑しくて、つい笑ってしまうミカ。そんな時、ミカはふと視界に映った『あるもの』を見て、「あっ」とこぼした。
それは、普段であれば特に何か惹かれるようなものではない、何処にでもありそうなキーホルダー達だった。強いて言えば、『モモフレンズ』達のイラストが描かれているという特徴があるくらいで、『モモフレンズ』に興味のないミカからすれば、平時ならスルーするだろうなと、後に述懐している。
ただ、その時は何故か、そのキーホルダー達に、無性に目が惹かれていた。連なった『モモフレンズ』達のイラストが描かれたキーホルダー達の一部に、何だか今の自分達が重なって見えたから。
「ねぇリーちゃん。一つ、お願いがあるんだけど。」
「? 何ですか?」
「あれさ、一緒に買わない? 今日一緒に来た記念にさ。ほら、セイアちゃんにもお土産買って帰りたいし、ナギちゃん達と記念になるものもさ、欲しくない?」
気づけば、ミカはリンデにそんな提案をしていた。最後の方、少し気恥ずかしくて言い訳じみたものが混じってしまい、少し顔が熱くなってしまったが、きっとリンデなら自分の気持ちを汲んでくれると信じて、ミカはリンデの方をじっと見つめた。
一方、この『即売会』に参加してから初めてミカが購入したいものがあると言われたリンデは、少し驚いたものの、ミカが指差す方を見て、ミカが欲しがっているのが『モモフレンズ』のキーホルダーセットだと理解した。代表的なキャラが描かれた5つのキーホルダーは、並べると繋げ絵になっているものなのだが、それをミカが欲しがった事というのが意外だった。
とはいえ、ミカが欲しいというなら、それに否という選択肢はリンデにはない。何より、照れが混ざっているが、セイアへのお土産やナギサ達とお揃いのキーホルダーを購入したいというのもミカの本心から出たものだろうとリンデは思った。
「あれですね。えぇ、構いませんよ。」
「やった♪ リーちゃん大好き!」
「ちょ、ミーちゃん! もう、調子いいんですから。」
リンデの返事を聞いて、嬉しさから飛びつくミカ。そんなミカの様子に少し呆れながらも、満更ではないように抱き返し、店の方へと足を進めるリンデであった。
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一方その頃、ヒフナギコンビはというと―――
「リンデさんが好きなのが『ウェーブキャット』さん、それに『ピンキーパカ』さんですか。で、こちらが『アングリーアデリー』さんに『ビッグブラザー』さん、『Mr.ニコライ』さん、と。こうしてみると、色々なキャラクターがいるのですね。」
「ア、アハハ・・・。ソウデスネー。」
「ヒフミさん? どうかされましたか?」
「イエ大丈夫デス。何デモナイデスヨナギサ様。」
「?」
―――ヒフミの頬の引き攣りが尋常じゃない事になっていた。何ならこめかみにうっすら「 」が浮かびそうになっていたが、それをヒフミは表に出さないよう、憧れの先輩への憧憬と『ペロロ様』への愛で無理矢理抑え込んでいた。結果はご覧の有様だが。
彼女がこうなっている理由は3つあった。
1つ目は、ここに至るまで『ペロロ様』の名前をナギサがなかなか覚えてくれない事。
2つ目は、色々な店で間違いを訂正してるにも関わらず、未だそれが治らず、方方に迷惑をかけてしまっている事。
そして3つ目。試しに他の『モモフレンズ』を紹介したら、こちらは一発で覚えた事。
もはやここまで来ると、わざとやってないかと思いたくなりそうだったが、ヒフミはその思いを前述の憧憬と愛で何とか抑え込んでいるのだった。
(リンデさん、早く来てください。ちょっとどうにかなりそうなんですけど。)
正直、何時決壊してもおかしくない程には精神的に限界が来ているヒフミであった。
ミカリンデ→超甘々デート
ヒフナギ→ドタバタデート
いったいどうしてこうなった?
それもこれも全部、ナギちゃんのギャグ適性(しかも天然)が高いせいなんだ。
ちなみにナギちゃん達の視点ももうちょっと書きたかったのですが、天丼の繰り返しになりそうだったので、あえなく没になりました。
ミカがリンデを自身の『お日様』と確信した模様。
なお、その大元になる暖かい感情の正体が何なのかには自覚がないので、まだしばらく距離感はこのままですね。
果たして自覚できる日は来るのかどうか。
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それではまた次回!