聖槍に祈りを   作:坂本コウヤ

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連日投稿フェイズ、2日目です。

今回は前回の続きです。果たして、リンデの言っていた『保険』とはいったい?


それではどうぞ!

P.S.)投稿段階でまとめて予約投稿していたせいか、③と④がズレていました。
先程ご指摘いただき、修正しました。
申し訳ありませんでした。以後気をつけます。


第六詩裏:『ティーパーティー』と『普通』と『モモフレンズ』④

 

 一方、不良生徒と店主の睨み合いはまだ続いていた。

 

 先程から放たれている不良生徒の一方的な圧のせいで、さっきまで並んでいた参加者達もそそくさと離れてしまい、かなりの営業妨害になっていた。

 そのため、店主も店主で早く連絡しようとはしていたのだが、目の前の不良生徒をこれ以上刺激する訳にもいかず、行動を取りあぐねていた。

 

 

「チッ、拉致があかねえ。こうなりゃ」

 

 

 しかし、業を煮やした不良生徒が銃を取り出して発砲しようした、その時だった。

 バーンッ、と、誰かが上空に向かって発砲する音が聞こえた。

 

 

「っ、何だ?」

 

 

 音につられて不良生徒が辺りを見渡すと、自身の少し後ろの方に白い外套に身を包んだ、怪しげな人物がいた。顔の半分も黒い仮面のようなものに隠れてよく見えず、外套からはみ出ている手足も白い長手袋やハイソックスに覆われていて、まるで幽霊のようにも感じられた。

 

 

「失礼。少々五月蝿いハエがいたものでな。黙らせるのに一発撃ってしまった。」

 

 

 静寂の後、外套の人物が口を開いた。しかし、その声は何処か機械的で、変声機を用いているのか、男性か女性か区別のつかない声色をしていた。

 

 どう見ても明らかな不審者であるのだが、怒りで視野狭窄に陥っている不良生徒は、その外套の人物にもガンを飛ばし始めた。

 

 

「アァン? 何だテメェ?」

 

「何、名乗るほどのものでもないさ。店主、この限定『ペロロ様ハーモニカ』と『ウェーブキャットネッグウォーマー』を一つずつ。」

 

 

 そんな不良生徒の圧などまるで感じていないのか、外套の人物は周りを気にすることなく店主の方へと歩み寄り、注文を始めた。当然これは不良生徒からすれば面白くない反応だったので、今は自分の順番だと主張し始めたが、

 

 

「オイ、今買いもんしてんのはオレだ。横入りは」

「かしこまりました。では、いくつかの質問をさせて頂きますが、よろしいですか?」

「ハァ?!」

 

「あぁ、構わないとも。」

 

「では第1問。『Mr.ニコライ』の有名な著書といえば?」

 

「簡単だな、『善悪の彼方』。」

 

「正解です。」

「なっ、オレの時と質問が違うじゃねぇか!」

 

 

店主も外套の人物も、まるで自分がいないかのように無視して、店主と客の対応をし始めた。

 そして、先ほど自分がされたように外套の人物にも店主は質問を始めたが、それはさっき自分が質問された時とは違う問題だったため、またもや店主に食ってかかり始めた。

 

 

 

「では第2問。」

「オイ聞いてんのかコr」

「シーッ。」

 

 

 それを涼しい顔で受け流して、質問を続けようとした店主へ銃を突きつけようとした不良生徒だったが、突然聞こえてきた空気の抜けるような音につられて、動きを止めていた。

 

 そして、音の方へと視線を向けると、外套の人物が手を口元の辺りに持ってきていて、仮面越しにこちらの事を睨めつけているようにも感じた。

 外套の人物は不良生徒の動きが止まったのを確認すると、また静かに言葉を紡いだ。

 

 

「静かにしたまえ。質問が聞こえないだろう? 店主、続きを。」

 

「はい。では第2問。今年の新春に行われた『モモフレンズレース』のうち、2日目に行われたレースの勝者は?」

 

「『ウェーブキャット』さんだな。身体の柔軟性を活かしたあの追い上げは見事だった。ちなみに、残りの順位は2着『アングリーアデリー』、3着『スカルマン』、4着『ペロロ様』の順だ。」

 

「正解です。よく見てますね。」

 

 

 2問目も難なくクリアしていく外套の人物。・・・少し答え方に熱を感じるような気もしないでもないが、おそらく好きなキャラが混ざっていたのだろう。

 

 

「では第3問。これが最後の質問です。現在『モモフレンズ』には様々なキャラがいますが、その中でもバリエーションが尤も多いキャラと言えば」

「っ、『ペロロさm」

「『ビッグブラザー』。」

 

 

 そんな雰囲気で最後の質問を始めた店主。そこへ横から意気揚々とヒフミが答えようとしたが、それを遮るように外套の人物は静かに別のキャラの名前を答えた。

 

 

「っ、えぇ!? そんなはずは」

「正解です。ひっかけ問題でしたがよく分かりましたね?」

 

 

 ヒフミはそんなバカなと驚愕した顔でグッズの数を調べ始めようとしたが、店主がひっかけ問題だと言ったことで「ひ、ひっかけ問題だったんですか」と小声で呟いていた。

 

 そして、外套の人物はそのひっかけに何故ひっかからなかったのか、理由を簡潔に述べていた。

 

 

「何、ここに来て急にイージーゲームを持ってくるとは思えなかったからな。逆張りという捻くれ者の思考をしてみただけさ。大方、質問の続きはバリエーションが尤も多いキャラといえば『ペロロ様』ですが、逆にバリエーションが尤も少ないキャラと言えば? という感じではないか?」

 

「お見事です。ではお会計を」

「ちょっと待てよコラァ!!」

 

 

 質問を無事全問正解した事で、注文した商品の会計を済ませようとする外套の人物と店主。しかし、それを面白くないと言わんばかりに叫んで、先程の不良生徒が中断させた。

 

 

「ん? おや、まだいたのか。何かね?」

 

 

 外套の人物は、まだそこにいた不良生徒を仮面越しにどうでもいいと冷めた目で見ながら何か用があるのか尋ねたが、返ってきたのはくだらない言いがかりだった。

 

 

「舐めやがって。テメェらグルだろ!? それかテメェ、何かカンニングとでもしてたんだろ?! なぁ!」

 

「ひどい言いがかりだな。私は正々堂々と、店主の出した質問に答え、そしてその褒賞として物品を購入する権利を得たにすぎない。君のように不正解だったのであれば諦めもつくが、そうでないのに文句を言われる筋合いはない。」

 

「んだとコラァ!?」

 

 

 不良生徒の言いがかりに理路整然と返す外套の人物。それに逆ギレするように怒りのボルテージを上げる不良生徒だったが、それを無視して外套の人物は店主と会計を進めた。

 

 

「店主、会計だ。これであってるか?」

 

「オイ、無視してんじゃ」

「はい、問題ありません。毎度ありがとうございます。」

 

「こちらこそ。とても楽しませてもらった。いつか、知り合いも交えて『モモフレンズ』の話をしたいものだな。」

 

 

 不良生徒の言いがかりを努めて無視して会計を進める二人。商品を受け取った外套の人物は、店主との質疑応答に満足したのか、手を差し出して握手を求めていた。

 

 

「いいですね、それ。連絡先の交換でも」

「〜〜〜っ、舐めてんじゃねぇぞコラァ!!」

 

 

 しかし、ここに来てとうとう不良生徒の怒りが爆発した。手に持った銃を乱射して、店主と外套の人物をまとめて撃ち抜こうとしてきたのだ。

 

 

「っ、リーちゃん!」

 

 

 ババババババッ、と不良生徒のアサルトライフルが乱射され、思わずミカが声を上げる。地面にも何発か当たったせいで土煙が起こっていたが、一頻り撃って満足したのか、不良生徒は満足そうな笑みを浮かべて調子に乗り始めた。だが―――

 

 

「ヘッ、オレを舐め腐るからこうな、っ!」

 

 

―――土煙の中から現れたのは、無傷の店主と外套の人物の人物だった。外套の人物の外套は土埃で少し汚れていたものの、その立ち姿には些かの翳りもなかった。

 

 外套の人物は少し呆れながら口を開き、店主の無事を確認していた。

 

 

「・・・やれやれ。阿呆だとは感じていたが、こうも話の通じない愚か者とはな。店主、無事か?」

 

「は、はい。何とか。」

 

「それは良かった。さて、抜いたのはそちらが先だ。ここからは『正当防衛』とさせてもらうぞ。」

 

 

 店主の無事が確認できて、嬉しそうに軽く笑みを浮かべる外套の人物。しかし、すぐにキリッと表情を戻すと、不良生徒へ向けて凛とした態度で相対した。

 

 目の前の人物から感じたことのない圧を受けて怯みそうになった不良生徒だったが、すぐに虚仮威しだと判断して銃を構え―――

 

 

「っ、へっ。何したか知らねぇが、そう何度も」

「おや、何処を見ているのかね?」

 

「っ、何!?」

 

 

―――気づいた時には、さっきまで目の前にいた人物に背後を取られていた。外套の人物は、背後に回り込むと同時に腰からハンドガンを2丁取り出すと、

 

 

「見せてあげよう、『トリックショット』を。」

 

 

と言いながら、銃弾を数発発射した。ただ、放たれた弾丸はどう見ても不良生徒へ当たる軌道をしておらず、不意を突かれてぼっ立ちしていた不良生徒の横を通り過ぎていった―――はずだった。

 

 

「っ、何処にうっ、グハァ!」

 

 

 だが次の瞬間、まるで見えない何かに当たって跳弾したかのように、通り過ぎていった弾丸が不良生徒の背中に直撃した。それも1発2発ではなく、撃った弾のおよそ半分程がである。その様はまさに『トリック(手品)』という他無く、周囲の人間も呆気にとられていた。

 

 

「す、すごいです。今の、どうやったんでしょうか?」

「わ、分かんない。一瞬何か弾かれるような音がしてた気はするけど、う~ん・・・。」

 

 

 それを見ていたヒフミとミカも当然驚いていて、ミカの方は外套の人物が射撃した後、弾か何かが弾かれるような音を聞いていたのだが、その正体までは掴めきれていなかった。

 

 

「チッ、クショウ・・・。何で、オレがこんな・・・。」

 

 

 一方、倒れ伏した不良生徒は、悔しげに拳を握りしめていた。自分の方が格上だと思っていた。あの『姐御』に鍛えられた自分なら、たとえ『ヴァルキューレ』が来ようと敵ではないと。なのに、今のこのザマは何だ?

 いきなり何処からか湧いてきた謎の人物に一瞬で叩きのめされ、何も出来ずに地に這いつくばるしか出来ないなど、あり得ないと叫びたかった。しかし、自身の身体に走る痛みが、これが現実だと教えていた。

 

 

「囀るだけで、撃たれる覚悟を持っていなかったからだ。愚か者。せいぜい『矯正局』でやり直すのだな。」

 

 

 それに対して、外套の人物は先程同様冷めた目で不良生徒を見下ろしながら、『矯正局』でやり直すよう告げてきた。

 その見下すような態度に苛立ちを覚えるも、立ち上がる事が出来ない不良生徒は、睨みつけながら何者かと再度問うた。

 

 

「て、テメェ・・・。何もんだ・・・?」

 

「・・・名乗るほどのものでもないと言ったはずだが。まあ、よかろう。冥土の見上げに覚えておけ。」

 

 

 不良生徒の態度を面倒くさそうに受け流そうとした外套の人物だったが、何を思ったのか徐ろに外套を靡かせて、両手を上に広げながら、自身の名を、そして己の存在理由を告げた。

 

 

「我が名は『ファウスト』! 裏世界を牛耳り、いずれはこの『キヴォトス』を影から制する者なり!」

 

 

 その宣言に、周囲の人物は途端にざわめき出した。それもそのはず。今『ファウスト』と名乗った人物は、先程悪の不良生徒を叩きのめして、まるで正義の味方のような行動をしていたのだ。

 しかし、その人物が急に悪の親玉のような事を宣言し出したのだから、誰しもが混乱していた。

 

 

「これを宣戦と受け取るかどうか。それは諸君らに委ねる。だが、今日はただのしがない一人の『モモフレンズ』ファンとして、大人しくこの場を去ろう。さらば!」

 

 

 混乱するイベント参加者達を余所に、『ファウスト』はそう言い残すと何処かへと跳躍して飛び去っていった。あとに残ったのは、叩きのめされた不良生徒と、事態の急転についていけず置いてけぼりにされた参加者達だけだった。

 




ここでリンデに『ファウスト』を名乗らせたのには、意味があります。
まあ、本編も読んでる方は薄々察している方もいると思いますがw(ヒント:投稿日時)
つまり、そういう事です。
後の事を考えて、どうしてもこの展開がやりたかったもので。

ちなみに『ファウスト』時のリンデの喋り口調はもろ某ギアス系アニメの『魔王』を参考にしてます。で、攻撃手段は、先日メメモリの人気投票で見事1位に輝いた『あの娘』です。
で、見た目はヒフミの中の人繋がりの『お姉ちゃん』と。
もはやパロディの悪魔合体ですが、リンデははっちゃける時はこれくらいはっちゃけます。
その代わり、指摘された際の反動も凄まじいですがw
どういう事かは、明日投稿する話で見ていただければ。


感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告はいつでもお待ちしてます。いつも通り、感想は返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。

それではまた次回!
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