ついにオリキャラこと『会計長』ちゃん登場回です。
時間軸は前話と繋がってますので、先にそちらからお読みください。
久々に濃厚なミカリンデのイチャイチャもあるかも?
あと、また後書きが滅茶苦茶長くなっちゃったので、面倒ならオリキャラのプロフィール以外は流して大丈夫です。
という訳で、前置きはこれくらいにして。
最新話です。どうぞ!
「ふ~ん、そんな感じだったんだ。いいな〜、ナギちゃんもリンデちゃんもヒフミちゃんも。私が仕事頑張ってる間、優雅に楽しくお茶してお菓子食べて寛いでたなんてさ〜。」
「で、ですから。お土産は持って帰ってきたじゃないですか、って痛い痛い! 痛いし苦しいですミカ! そんなギュウギュウ抱きしめないでください!」
「ふん! これぐらいさせてもらわなきゃ、割に合わないじゃんね!」
その後、ナギサとのお茶会がお開きとなり、『パテル分派』の執務室へ帰還したリンデを待っていたのは、ミカによる抱きしめ折檻だった。それはもう、前世の体ならおそらく腰がボキッといくだろうなとリンデが思うほどに強力な締め上げ方と力で抱きしめてくるものだから、リンデも思わず呻いてしまうほどであった。まぁ冷静に考えると、仕事で余所に出向いていたと思って話を聞けば、蓋を開けたらお茶会してましたと聞かされれば、ミカのこの態度も宜なるかなというものではあるが。
とはいえ、この状態が長く続くのはそれはそれで辛いので、リンデは努めてミカを刺激しないよう、許しを請うてみた。
「うぅ、本当にごめんなさいミカ。今回はナギサたっての希望で、私も久しぶりに、ナギサと肩の力を抜いて話せるいい機会だと思ったんです。決して、決してミカを蔑ろにしようという意図はないんです。」
「・・・・・・。」
「ですから、その。許してくれませんか? 必要とあれば、何でもしますから。」
と、そこまでリンデが少し涙目になりながら言うと、少しだけピクッと肩を震わせたミカが下からジト目でリンデを睨めつけながら口を開いた。
「・・・じゃあ食べさせて。」
「えっ?」
「お土産のお菓子、持って帰ってきてるでしょ? 食べさせて。『あ~ん』って。」
リンデの胸に顔を押し付けつつ、ジト目でそう言うミカ。なお、顔を胸に押し付けてる都合上、ミカが喋る度に胸に息がかかってるのが少し気になってるリンデだったが、それを指摘するような野暮な真似は出来そうにはなかったので、代わりに他に要求はないか尋ねた。
「・・・他には?」
「撫でて。めいいっぱい。それと、今だけは私の事だけ見て。ナギちゃんの事も、ヒフミちゃんの事も話さないで。私だけに意識を向けて。いい?」
「・・・分かりました。誠心誠意、尽くさせていただきます。」
何だかいつもより妙に湿度が高い自分の『一番星』の事が少し気がかりだが、それでもリンデはミカの要求通り、近くに置いていたお土産の袋から『モモフレンズ』のクッキーを取り出すと、ミカに「あ~ん」と食べさせた。そして、空いている手で撫でながら、周りの情報をシャットアウトしてミカに集中出来るよう、翼で自分達を覆い隠した。
食べさせ始めて最初の頃は、ミカの不機嫌な様子もあまり変わらなかったが、少し時間が経つと、撫でられる度にご機嫌そうに顔をスリスリと胸に擦り付ける動作をし始め、ようやく少しだけ機嫌が上向いたかとリンデも感じ始めた。ただ、それで食べさせるのをやめようとすると、手を掴んで「やめちゃダメ」というようにお菓子の袋へ手を持っていくので、仕方なく、でも満更でもない感じで、リンデはミカからの要求をこなすのであった。
やがて、お土産のお菓子が1袋分無くなると、ミカは今度は食べさせてた手を無言で掴んで背中に回させた。おそらく、抱きしめてという無言のアピールなのだろうなと理解したリンデは、さっきのお返しとばかりにギュッと優しく抱き返した。すると、さっきまでお菓子を食べていたミカの口から、「ん」と甘い声が漏れた。
「あっ、すみません。苦しかったですか?」
「ううん、むしろ逆。もっと、ギュッと抱きしめて。」
「・・・こうですか?」
ミカを自分の胸に抱き寄せるように、要望通り更に強く抱きしめるリンデ。それに対して、ミカもリンデの胸へ自分の顔を押し当て、リンデを感じるように胸の中で呼吸を始めた。それを少しくすぐったく感じたリンデだったが、まだミカから自由にしていいと許しも出てないので、されるがまま、今の姿勢を維持するのだった。
ミカの髪を梳くように撫でる音と、互いの呼吸と心音以外、何も聞こえない時間がしばらく続く。リンデの特徴的な、大きな翼によって包まれているため、ミカもリンデ本人も程よい暖かさを感じながら寛いでいると、不意にミカがリンデに話しかけた。
「・・・やっぱり落ち着くね、リンデちゃんにこうされてると。『お日様』に包まれてるみたい。」
「以前も言っていましたね。そんなに気持ちいいですか?」
「うん。さっきまでさ、何かすごいモヤモヤしてたんだけど。今はもう、どうでも良くなっちゃった。流石は、私の『お日様』、だね。」
「あら、それはいつもの私への意趣返しですか?」
ミカが自分の事を『お日様』といった事に、いつも自分がミカの事を「『太陽』で『月』で『一番星』。何より変えがたい唯一無二の輝き」と例えるのと同じものを感じたリンデがそう言うと、ミカは首を振り、さっきまでの不機嫌な顔とは真逆のふにゃりとした顔でリンデを見上げながら口を開いた。
「そんなんじゃないよ。心の底から、そう思ってるんだから。」
「ミカ・・・。」
ミカの真っ直ぐな瞳に、リンデは照れと同時に困惑を感じていた。今のミカの言葉に嘘がない事ぐらい、自分が誰より1番分かってる。だが、それを向けられてるのが自分である事に、リンデは少し戸惑っていた。それらは本来、自分ではなく未来に現れる『王子様』に向けられるものであるはずで、自分が受け取っていいものではない。そう考えているが故に、リンデは申し訳なく思いつつも、ミカの言葉を素直に受け取る訳にはいかなかった。
「・・・ミカ。私は、あなたにそう言ってもらえるような」
「リンデちゃん。」
「っ、ミカ?」
その言葉を向けられる資格はないとリンデが口にしようとすると、突然ミカがリンデを抱きしめる力を強めながら、真剣な眼差しでリンデを見つめた。それを少し困惑した目でリンデが見返すと、さっきまでの不機嫌な感じともふにゃっとした感じとも違う、『真剣な』としか言い表せそうな表情でミカは告げた。
「リンデちゃん。その先を言うのは、たとえリンデちゃんでも許さないよ。私にとっての『お日様』は、リンデちゃんしかいないの。」
「・・・・・・。」
「きっとリンデちゃん、『自分にはそんな資格がない』とか考えてるでしょ? でもさ、誰かを暖かい『お日様』みたいな存在だって思う事に、資格なんていらないよ。私だって、リンデちゃんに『太陽』とか『月』とか『一番星』とか色々言われてるけど、正直『月』以外、しっくりきてないもん。リンデちゃんをこんな風に暖かく包むことなんて出来ないし、いつものキラキラした私なんてリンデちゃんありきだし。」
「そんな事は」
「あるよ。本気でそう思ってる。でもね、リンデちゃんが私を『太陽』だって、『月』だって、『一番星』だって言ってくれるから、いつでもキラキラした私でいられるんだよ。だからさ、リンデちゃんも私の思い、受け止めてよ。じゃなきゃ、一方的に思われっぱなしなんて、嫌だからさ。」
「ミカ・・・。」
いつも以上に思った事を素直に口にするミカに、ますます戸惑うリンデ。だが同時に、そんなミカに対して、とても愛おしい感情が込み上げてきて、思わず抱き締める腕に力を込めてしまいそうになる自分もいることも理解出来てしまい、どうすればいいかと葛藤していた。
―――ミカのこの気持ちを、素直に受け止めていいものか。
―――受け止めたとして、どう言葉を返したものか。
―――何よりミカの、後の『かの大人』への思いへ影響が出ないか。
そんな葛藤を表に出さないようにしながらも、しかしこのまま黙っているだけでは何も変わらないと分かっているリンデは、先程よりも少し抱き寄せ、頭を撫でながら話し始めた。
「・・・ミカ。私にはまだ、ミカがどうしてそこまで私を思ってくれるのか、分かっていません。」
「・・・・・・。」
「ですが、ミカが私の思いに応えようとするように、ミカの思いに私も応えられるよう、これからも精進していきたい、と。そう思います。それでは、いけませんか?」
リンデの言葉に、ミカは答えない。胸に顔を埋め、こちらに表情を隠してはいるが、抱きしめ返してくる腕の力加減から、何となく不満はあるのだろうと察していた。例え自分の事をどう思われていようと、ミカの事なら何となく分かるくらいには付き合いが長いと自負している。だから、これで素直に納得してもらえるとは思ってはいなかった。
ただ、ミカの思いを真っ直ぐに受け止めるのは、やはり今のリンデにはまだ少し難しかった。先程葛藤した事もそうだが、『前世』という時の積み重ねがあったとしても、これほどまでに自身に純粋な好意を向けられた事は一度としてなかった。
『エルフリンデ』の姿を得た今世であってもそれは同じで、ミカ以外から向けられる感情の大半は、鬱陶しいまでの『嫉妬』や『悪意』ばかりで、そういったものを感じないのは、今のクラスメイトやナギサ、ヒフミ、サクラコ等の友人くらいしかない。
そして、ミカはその中でも特に自分へ向けて真っ直ぐな気持ちをいつも伝えてくれるが、それを向けられるべきはやはり『彼』or『彼女』であるべきだという先入観が邪魔をして、素直に応えるという事が出来ないでいた。
しかし、今日のやけに積極的なミカを受け止めて、ほんの少しだけ自分に素直になってもいいのかなと感じたリンデは、自分がミカに向ける思いに応えようとするように、自分もミカの気持ちに応えたいと言葉にした。そして、そんな素直な思いが少しでも伝わればと、いつものように頭を撫でるのであった。
「・・・やっぱり、こういう時とりあえず頭撫でればいいと思ってるよね?」
「フフッ、そうかもしれません。ですが、言葉よりもきっとこの方が、あなたにはよく伝わる気がするのです。」
「フッ、何それ。意味分かんないよ。」
そう言いつつも、何処か納得しているのか、リンデの胸の中で「しょうがないな」という感じで苦笑するミカ。どうしてリンデは自分の気持ちに素直に応えてくれないのか。どうしてリンデは、本当の自分を隠したがるのか。それに対して、納得できる答えが提示された訳では無い。ただ、それでもリンデが自分の思いに、少しでも応えようという気持ちは、言葉よりも撫でる手からの方がよく伝わってきた。
―――だからだろう、ミカはリンデの胸へ押し付けていた顔を上げると、いつもの笑顔でリンデを見ながら言った。
「しょうがないな。今はそれで納得してあげる。でも、いつかはちゃんと、自分の気持ちに素直になってね。そうしたら私、もっともっとリンデちゃんのこと・・・。」
―――と、そこまで言いかけて、続く言葉がミカの口から出る事は無かった。いや、実際は言語化出来なかった、という表現が正しいだろうか。ミカ自身、自分が今言おうとした言葉が何かわからず、急に脳がエラーを起こしてフリーズしてしまったような感じで止まっていて、急にミカがそんな風に止まるものだから、リンデも少し困惑していた。
「・・・ミカ?」
「っ、何でもないよ。とにかく! いつかはちゃんと応えてよね、私の『お日様』!」
リンデの呼びかけでどうにかフリーズから復活すると、ミカはそう強引に締めくくった。そんなミカの様子に、少し困ったように笑うリンデだったが、言いたいことはなんとなく伝わったため、ミカの言葉に頷いた。
「・・・何だか強引に纏められた気もしますが。はい、いつかは必ず。」
「約束だよ? 誤魔化したりしたら、怒るからね。」
「フフッ、それは後が怖いですね。分かりました、肝に銘じておきます。」
リンデの言葉と共に、何度目かの抱擁を交わす二人。そして、ふとリンデがちらりと翼の隙間から外を見ると、窓の向こうは日が傾き、星々が少しずつ顔を出し始めていた。
「あら、もういい時間ですね。そろそろ帰りますか?」
「ん? もうそんな時間? って、あ〜ホントだ。じゃあそろそろ帰ろっか。」
「はい。」
ミカがスマホで時間を確認すると、確かに結構いい時間であった。なので、リンデは先程まで自分達を包んでいた翼を元に戻すと、先にミカを立たせてから自分も立ち上がり、帰り支度を始めようとした。
ところが、まるで見計らったかのようなタイミングで執務室の扉がコンコンコンッとノックされる音が聞こえてきた。こんな時間に誰だろうかと二人は顔を見合わせたが、無言で無視するわけにもいかないため、リンデが「はい。」と返事した。すると扉の向こうから、少し驚いたような声音が聞こえてきた。
〔あら、リンデ先輩? 帰ってきてたのですか? 『会計』の『藤堂』です。〕
「『カナギ』ですか? どうしましたか?」
〔提出用の書類が纏まったのでお持ちしようと思ったら、執務室の電気がつけっぱなしでしたから。もしかして、お取り込み中でしたか? でしたら、時間も時間ですので後日伺いますが。〕
聞こえてきたのは、『パテル分派』の『会計』の1人である『藤堂カナギ』の声であった。どうやらいつもの提出書類が纏まったために持ってきた所、部屋の電気がついていた為、ノックしたようだった。
取り込み中なら後日伺うとカナギが言うが、今はちょうどミカと帰り支度を進めていただけなので、ミカヘ視線で大丈夫かと尋ねると、指で丸を作って大丈夫と伝えてきた。それを確認するとリンデは、部屋の外のカナギヘ大丈夫だと伝えた。
「大丈夫ですよ、カナギ。入ってきてください。」
〔ありがとうございます。では、失礼します。〕
そう返事が返ってくると、青いケープが目を引く茶髪のロングヘアーの少女が、書類を抱えて入ってきた。少し書類を取りこぼしそうになっていたが、何とか耐えると「ふぅ・・・。」と一息ついて扉を閉め、改めてリンデ達の方へ向き直ると一礼した。
「『パテル分派』、『会計』の藤堂カナギです。提出用の書類をお持ちしました。」
「ありがとうございます、カナギ。いつも助かってますよ。」
「そう思ってくださるなら、たまにはこちらにも顔を出してくださいリンデ先輩。こちらはやっかみを受けてる、若輩者達の集まりなんですから。」
「また『武闘派』達ですか。全く彼女達は・・・。あなた達『事務方』がいなければ、碌に好き勝手出来ないことがまだ理解出来てないようですね。分かりました、明日顔を出します。」
「そうしてくれると助かります。皆も喜びますよ。」
書類を受け取りながら、『武闘派』達の相変わらずの態度にやれやれと首を振ってカナギを労うリンデ。リンデの呼び方から察しが付くと思うが、カナギはリンデの一つ下で、そんな彼女の属する『会計』を含めた『事務方』は、リンデが1から集めて分派内に結成した、新しい部署なのである。最初、リンデは無所属も含めた同期の中から何人か起用出来ないかと考えていたのだが、大半がもう所属先や部活を決めていたり、諸事情で手伝えないと言われたため、その方向は諦めて、自分をトップとして1年下の娘達から集めることにした。
幸い、それ自体はミカから即オッケーを貰った(曰く「嫌な仕事が少しでも楽になるなら何でもオッケー」とのこと)ため、『パテル分派』に入ってきたばかりの生徒や、以前相談に乗った縁からリンデを手伝いたいという生徒が集まってくれて、今の『事務方』が出来上がった。しかし、今残ってる同期の中でも、象徴としての『聖園ミカ』を盲信している者たちが一部いて、その者達からは元無所属やリンデの部下という立ち位置もあり、やっかみを受ける事もあるのだとか。その度にリンデが顔を出すことで目を光らせているのだが、未だに目がないタイミングではそういう事が続いている様だった。
「ふ~ん、大変なんだね『事務方』も。というかあの娘達、まだそんな事言ってたんだ。」
「みたいですね。全くもう・・・。一度、彼女達にもカナギ達の大変さを味合わせたほうがいいでしょうか?」
「逆効果じゃない? というか、それでサボられて仕事増えましたとか、私嫌なんだけど。」
「・・・まぁ、確かにそうですね。」
「でしょ? あっ、カナギちゃん、だっけ? ごめんね、話割り込んじゃって。」
ミカも先日、リンデと一悶着あった件に関して(当事者の相手の生徒については忘れていたが)問題だなと考えていたため、まだああいった輩がいる事に辟易していた。リンデが一度、『事務方』の大変さを味合わせようかと考えたが、逆にサボられて自分達の仕事が増えそうだと感じたミカに却下され、確かにそれは面倒だなと同意した。
と、ここでミカがリンデと話していたカナギに割り込んだ事を謝罪すると、逆にカナギもミカの前で愚痴をこぼしてしまった事を謝罪するのだった。
「っ、ミカ様! いえ、こちらこそ失礼しました。お帰りになられる時に、このような愚痴を零してしまいました。大変申し訳ありません。」
「フフッ、気にしなくていいよ。大変なのは今の会話で何となく分かったし、私も多少関係ある事だからさ。と、自己紹介はいらないかな? 聖園ミカだよ。よろしくね。」
「は、はい! 改めまして、『パテル分派』『会計』の藤堂カナギです。こちらこそよろしくお願いします、ミカ様。」
自分の所属する分派の長と、改めて挨拶を交わすカナギ。その顔には少し緊張が乗っていたが、場慣れしているのかその所作には乱れはなく、綺麗なお辞儀をピタッと決めていた。
「カナギには、普段から『会計』の他に、私がいない際の『事務方』の取りまとめも任せてるんです。要領良く飲み込みも早いので、来年進級した際には『会計長』を任せてみようかとも考えてます。」
カナギの挨拶に合わせるように、リンデがミカにカナギの普段の評価も告げた。それを聞いたミカは、少し目を細めつつ品定めするような顔でカナギを見ながら言った。
「へぇ〜、信頼されてるんだね。」
「い、いえそんな! 私なんて、リンデ先輩に比べたらまだまだ未熟です。『会計』という仕事も、たまたま適性があったからですし。取り纏めといっても、うまく彼女達と接する事が出来ているのか、まだ自信が持ててませんし。」
「あら、そんな事はないと思いますよ。現に、私もあまりあなた達の事をきっちり監督できているとは言い難い状況で、一人の離脱者も出てないのですから。寧ろ、あなたに負担をかけ過ぎていないか、少し心配もしているのですよ。」
ミカからの言葉に謙遜して返すと、ミカに同意するようにリンデもカナギをそう褒め讃え、自分の至らなさを謝罪した。すると、少し顔を赤らめてリンデから目を背けながらも、カナギは自分の思いを口にした。
「それは、その・・・。尊敬する先輩に任せて頂いた以上は、その『期待』に応えたいだけです。」
「っ、カナギ。あなた・・・。」
「ただの『重圧』ではなく、『成長』を促す為の『期待』。リンデ先輩のそれはそういうものだと理解してますから。それに、何かあっても必ずフォローすると言っていただきました。私はそれを、信じているだけです。」
朱に少し染まった顔は変わらないものの、最後はきちんとリンデを見ながらそう言葉を締めくくったカナギ。彼女とのファーストコンタクトや受けた相談が相談だっただけに少し心配はしていたのだが、どうやら良い方向に昇華出来たみたいだと内心ホッとしながら、リンデは感慨深くカナギを見返した。
しかし、そうしていると今度は何やら脇腹を小突いてくる感覚がした。そちらに視線を向けると、またも頬を膨らまして少し不機嫌になったミカがいた。今の会話の何処に不満があったのだろうかと、疑問符を浮かべながらリンデは一応尋ねてみた。
「・・・あの、ミカ? 何か不満が?」
「べ・つ・に。 ふん、リンデちゃんのニブチン。女誑し。」
「に、にぶ? というか今『誑し』って言いましたか? 私がいつ、誰を誑し込んだんですか。」
「ミカ様、分かりますよその気持ち。リンデ先輩って、無自覚に優しさを振りまくので、うちのメンバーも殆どがそうやって誑し込まれた娘達ばかりなんですよね。」
「ちょっ、カナギ?! あなたもですか!?」
ミカから『女誑し』と言われて戸惑っていると、突然カナギからもミカへの援護射撃が飛んできてさらに困惑するリンデ。しかし、リンデの困惑も余所に、ミカとカナギはリンデへの不満をヒートアップさせていた。
「そうなの?! も〜リンデちゃんってば、目を離すとすぐ誰かれ構わず相談乗る上に、気休めでもちゃんと解決策持ってくるからさ。そんなリンデちゃんが私は大大大好きなんだけど、それでも限度ってものがあると思わない?!」
「思います! 確かに、見たり聞いたりした以上放っておけないというのは美徳だと思いますし、それをやり遂げられる力があるのは素晴らしい事です。私もそんなリンデ先輩に救われましたから。ですが、それを無軌道にあちこち伸ばされると、収拾つかなくなるんですよ!」
「だよね!! あ~、良かった。ナギちゃんに話しても何か首かしげられたり、セイアちゃんに話してもスルーされるから、これ私が可笑しいのかなって思ってたんだけどさ。カナギちゃん、話わかるじゃんね♪」
「ミカ様こそ! この思いは私達『事務方』だけでしか共有できないものと思っていましたが、ミカ様にもご理解いただけるとは・・・! この藤堂カナギ、『事務方』を代表してミカ様に感謝をお伝えします! ありがとうございます!」
「こっちこそ! そっか〜、カナギちゃんだけじゃなくて、他の『事務方』の皆も同じなんだ! フフッ、私なんだか急に君達に親近感湧いてきたよ☆」
「こちらこそ、です! この話をしたら、きっとみんな喜びます! ぜひ今度いらしてください! 全員で歓迎しますよ!」
「行く行く! リンデちゃんが行く時に、私も一緒に行くから!」
「分かりました! 私達『事務方』一同、心より楽しみにしてます!」
そして、二人の会話は更にヒートアップした挙げ句、最終的に謎(?)の友情がミカとカナギ、ひいては『事務方』との間に何故か生まれていた。
「・・・・・・え、えぇ〜?」
(これは・・・。一応、私が介入するまでもなく仲良くなってくれたのは喜ばしいのですが、その内容が・・・。何か釈然としませんね。)
一方、その流れに置き去りにされたリンデはというと、ミカがカナギや『事務方』に親近感を覚えたり、カナギと仲良くなってくれたのは非常に嬉しかったのだが、その内容が「自分が『女誑し』かどうか」という謂れのない話なのに、何だか複雑な気分になり、終始二人のテンションにタジタジになっていた。同時に、もしかして本当に自分は誑しなのかという疑問も湧いてきて、後日友人やクラスメイトにその事を尋ねるリンデが『トリニティ』で散見される事になるのであった。―――閑話休題。
「あっ、すみません。これから皆と一緒に帰る予定でしたので、お先に失礼します! お疲れ様です!」
「うん♪ まったね〜!・・・良い娘だね、カナギちゃん。さ、帰ろっか。リンデちゃん。」
「え、えぇ。」
そんな空気も、カナギが『事務方』の皆と仲良く帰宅するという事で執務室から出たことで霧散し、ようやく二人も帰り支度を再開するのだった。
―――その後、ようやく気持ちが状況に追いついてきたリンデは、帰り道の最中、ミカに問いかけた。
「あの、ミカ。」
「ん? どうしたの、リンデちゃん?」
「・・・私って、『誑し』なんですか?」
「えっ? うん。」
「・・・そうですか。」
リンデからの問いかけに、間髪入れずに答えるミカ。そんな親友にして掛け替えのない大切な存在からの即答に、リンデはしばらく頭を悩ませるのであった。
この後、色々迷走した挙げ句、サクラコのお陰で何とか普段の自分を取り戻すことが出来ました。
また、『事務方』との交流は大盛況だった模様。まぁ(共通の話題があったら)、そう(仲良くなる)な。
はい、というわけでオリキャラこと『会計長』ちゃんの『藤堂カナギ』ちゃんの登場回―――の皮を被った、ミカリンデイチャイチャ回でした。
いやね、ホントは軽〜く流してオリキャラ登場に繋げる予定だったんですけど、指が止まらなかったです、はい(;^ω^)
ミカが際限なく今抱えてる感情ぶつけまくるもんだから、リンデも必然的に重くなるというね。
けど『先生』とのこともあるから、今はまだ一歩引いた感じでミカの気持ちを受け止めてます。しばらくはもどかしいかもしれませんが、生暖かい見守ってください。
そして、今回本編初登場となったオリキャラの『藤堂カナギ』ちゃん。簡単なプロフィールは以下の感じです。
◯藤堂カナギ
・学園:トリニティ総合学園
・所属:ティーパーティー(パテル分派会計長)
・学年:2年生(原作開始時)
・年齢:15歳
・誕生日:3月14日
・身長:151cm
・趣味:読書、小説書き
・CV.メメントモリの『パラデア』
『トリニティ総合学園』の『パテル分派』内で、『会計長』を務める少女。
親の意向で進学も(ある意味所属も)決められてしまい、病んでいた所をリンデに救われた過去がある。
リンデの優しさに脳を焼かれた一人であり、そんな彼女のお人好し過ぎる性格やミカに甘い一面に振り回されつつも、いつかリンデに恩返し出来るように、『会計長』として自分にできる事を熟しながら、『事務方』の切り盛りもしている。
また、とある理由で過去にナギサとも交流があるが、本人はあまり触れられたくないため、リンデもその事は伏せている。
外見は本編でも描写しましたが、ほぼメメモリの『パラデア』さんです。違いとしては服装と、眼鏡をかけてないくらいです。
学年はリンデ達の1つ下(つまりヒフミと同い年)で、前回番外編で登場した際は進級して2年生になっていたので、本編内で話していた通り『会計長』を任された形です。
ですが、今の本編時間軸はリンデ達も2年生で、流石に1年生であるカナギに責任重大な『会計長』を任せるわけにもいかないため、現在は監督としてリンデが『事務方』を仕切りつつ、それぞれの総括も担当している形です。
うん、書いてて思いましたが、リンデ2年生にして早くも仕事過多です。ま、まぁ下が成長すれば負担軽くなるからコラテラルコラテラル。
この辺はまぁノリで書いてるので、あまり気にしないでください。突っ込まれると後の展開含めて修正地獄になりそうなのでw
誕生日回でも書きましたが、リンデは割とお人好しです。関わると決めたら、とことん関わってきます。そしてその中で、自分ができる事を精一杯やり通します。結果、脳を焼かれる生徒達がちらほら発生します。これが無軌道に広がり、そこから縁がどんどん繋がっていくから、ミカやカナギがヤキモキしたり、ナギサが胃痛に苦しむわけですね。はい、ギルティ。
ただ、サクラコのメイン回でも言った通り、本人としても節操なしなのかなと考えてはいても、やれる事を全力でやった結果であり、それがきっと巡り巡っていつか、自分やミカを含めた友人達の助けになると信じているため、これからもやめるつもりはないというのが現状です。
ミカ達もそれは分かってるし、大なり小なり脳を焼かれたせいで「しょうがないな」と最終的に許しちゃう訳です。
でも、それはそれとしてこれ以上自分達をヤキモキさせないでという思いはあるので、今回みたいに嫉妬しちゃった時は『女誑し』と言う事もあります。なお、リンデにはその自覚がないので、言われると困惑するしかないわけですが。
ただ、もし何よりミカを優先しなければいけない場合は、文字通り全てにおいてミカを優先します。それくらい、リンデの行動のウェイトはミカが占めているということを覚えておいてください。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!