聖槍に祈りを   作:坂本コウヤ

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何となく筆がノッたので、短めのスパンで投稿できました!

今回も2話分です。といっても前回と違い、長かったので分割した形ですが。

1話目は、誕生日回の際に少しだけ出てきたあのコンビが遂に登場します。そして、初のバトル回です! キャラ描写共々上手く描写できてるかは分かりませんが、よろしくお願いします!
少しだけオリジナル設定も入ってます。ご了承下さい。

あと、いつも通りキャラ崩壊や解釈違い起こしちゃってたらごめんなさい。

お陰様でUAもとうとう12000超え、お気に入りも217件とたくさんの方に読んでいただけてるのが分かって、非常に励みになってます!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!


それでは本編です。どうぞ!


第九詩:『首長補佐』と『正義実現委員会』①

 

「キェェェェェェェ!!」

 

「っ、はぁぁっ!」

 

 

―――地面を抉る程の弾丸の嵐吹きすさぶ中。

 

 『黒』と『白』―――加えて、その間を時に高速で回転し、時に流星のように『黒』へ向かって放たれ戻って来る『朱』が、『トリニティ』のとある一角を縦横無尽に駆け巡り、蹂躙していた。

 互いにレンジの近い『ショットガン』をメインウェポンとしているためか、この戦闘における互いの距離は、銃撃戦の多いこの『キヴォトス』においても珍しい近距離戦闘(クロスレンジ)で終始進んでいた。

 

 なお、その周りにはその蹂躙に巻き込まれたのか、死病累々と言わんばかりの『白』の制服を着た者達と『黒』の制服を着た者達―――『ティーパーティー』『パテル分派』のメンバーと、『正義実現委員会』のメンバーが倒れ込んでいた。全員満身創痍なのか呼吸するのもやっとといった感じであり、立ち上がろうとする者は一人もいなかった。

 

 そんな周りの者達を気にもとめていない―――訳では無いが、『黒』と『白』と『朱』―――『正義実現委員会』委員長にしてトリニティの表の最高戦力『剣先ツルギ』と、『ティーパーティー』『パテル分派』所属の『首長補佐』にして『パテル分派』の一番槍『十郷リンデ』とその愛槍『ロンギヌスの槍』は、互いに息もつかせぬほどの攻防でもって、相手を撃破せしめんと全力をぶつけ合っていた。

 

 ツルギの両手にそれぞれ握られた一対の銃『ブラッド&ガンパウダー』がリンデを仕留めんと火を吹けば、リンデはそれを防御するように直ぐ様『ロンギヌスの槍』を空中で回転させて弾き返しながら突撃し、レンジを縮めた所で槍ごと回転しながら蹴りと回転を止めた槍の一閃を見舞いつつ、己の愛銃『ex machina』を連射してツルギへとダメージを与えようと我流のコンボを叩き込みに行く。

 蹴りはともかく、加減してるとはいえ槍は直撃すれば危険と理解しているツルギは、舌打ちと共にバックステップで下がるものの、そこへリンデが手を離したことでシームレスに浮遊状態へ移行した『ロンギヌスの槍』が独りでに突撃してくる。それをもう一度回避するのだが、そうしても今度は死角から、リンデと共に寸分の狂いなく挟み撃ちをしてくるため、ツルギは槍の方へ向き直りつつ背面跳びでリンデの後方へと飛び上がり、あわよくばリンデに一発撃ち込んで撃破せんと空中で身を捻りながら『ブラッド&ガンパウダー』を連射した。

 しかし、その銃撃はリンデの元に舞い戻ってきた『ロンギヌスの槍』が傘のように回転してガードされ、ダメージが通る事は無かった。

 

 

「チィッ、さっきから嫌らしい手ばかり打ってくるなぁ!」

 

「ふぅ・・・。あなた相手では、手を抜いてる余裕などないですからね。ツルギ。」

 

「ハン。お得意の『薙ぎ払い』を使わないのは手抜きじゃないのか?」

 

「あなた相手にあれを使った所で、気にせず突っ込んでくるのは分かってますよ。だからあえて使っていないだけです。」

 

 

 互いに息は切らしてないものの、集中力を絶やせない全力の戦闘に、ツルギもリンデも疲労の色が少し浮かび始めていた。

 先程からずっと二人は、攻守が逆転しながら似たような攻防を繰り広げていた。ツルギが攻めれば、リンデがそれを槍も使って受け流し、その受け流した流れのままにリンデがツルギへと攻め込めばツルギが距離をとり、そこへ更にリンデが槍での追撃と挟撃をセットで叩き込んでくると、それを回避しながらツルギがチャンスとばかりに撃ち込み、それを手元に戻した槍を使ってリンデが防御する、といった感じに、ほぼほぼ千日手の状況となっていた。

 

 ツルギとリンデ。この二人はよく、あと一人も含めて暇な時間に鍛錬を重ねており、互いの手をある程度知り尽くしていた。故に、互いに取りうる手がある程度読めており、その為に攻め手を欠いている状態であった。

 

 だが、だからといって銃や槍、『戦闘力』だけが彼女達の力ではない。言葉で少しでも隙を作り、作らせ、互いの取れる手を把握しながら次なる手を高速で構築していく。二人の闘いは、それを常に繰り返していた。

 

 そして、何度目かになる攻防が幕を開ける。すると、挟撃の構えになった所で、ツルギが今までと違い飛び上がって避ける事をせず、真っ直ぐに自分へ向けて突っ込んできた。

 

 

(何を考えて――、っ、殺気!)

 

 

 一瞬の空白と共に、リンデは直感で逆にブレーキを踏み、バク転しながら空中へ大きく飛翔しながら飛び退いた。すると、先程まで自分がいた場所を1発の弾丸が穿ったのが見え、更にもう一発自分へと死角から向かってくる弾丸を、直感的に直ぐ様戻した『ロンギヌスの槍』でもって弾いてみせた。

 

 

「この狙撃、ハスミですか!」

 

「っ、これも防ぎますか。ですが!」

「余所見してる暇あんのかぁ!!」

 

「っ、しまっ!?」

 

 

 狙撃してきたツルギの相方――『正義実現委員会』副委員長『羽川ハスミ』の方へ気を取られている間に、一気にツルギが詰めてきていた。先ほどハスミの狙撃を弾く際に槍を自身の元へ引き戻したために挟撃の構えが解けており、更にハスミの狙撃を防御したのはツルギと逆の方向のせいで、さっきまでのようにツルギからの射撃を防御する事も迎撃する事も敵わない状況。―――客観的に見ても、完全に『詰み(チェックメイト)』の状態であった。

 

 

 

(迎撃、間に合わな―――)

「リンデちゃん!」

「っ!!」

 

 

―――これが自分一人であれば、だが。

 リンデは自分の『一番星』の声を聞くやいなや、銃を持つ手以外の全身を直ぐ様弛緩させて、自由落下の体勢へ移行した。当然下から飛び上がってきてるツルギと上下が入れ替わり、ツルギが追撃を入れようと銃を構えるが―――

 

 

「っ、チッ!!」

 

 

―――自らの『お日様』には指一本触れさせまいと、ツルギに対して流星が降り注ぐ。リンデのように空中を自由に飛べる訳では無いツルギにとって、この状況で無理に攻めれば流星に加えて下のリンデからの追撃まで警戒せねばならず、仕方なく流星の一つを蹴ることでこちらも地面へと急降下した。

 

 

「ツルギ、っ!?」

 

 

 

 ハスミもツルギを援護すべく狙撃しようとするが、その前に自分目掛けて凄まじい勢いで『朱』が飛んできていたのをギリギリ視認できたため、その場から飛び退くことで辛くも直撃だけは回避した。

 

 

(まさか、あの自由落下の体勢から、こちら目掛けて槍を投擲してくるとは。)

「・・・相変わらず、バカげた投擲能力ですね。」

 

 

 投擲された『朱』が引き戻されるのを見ながら、そう毒づくハスミ。そのハスミの視線の先には、『ロンギヌスの槍』を手元へ戻したリンデが、逆さの投擲体勢から180°上下を入れ替えつつ大天使の如き翼を広げて着地しており、更にその後ろへは、先ほどまで自分を足止めしたり、リンデの窮地を救うために自らの力を惜しみなく使用した小天使―――『ティーパーティー』『パテル分派』首長にして裏の最高戦力、そしてリンデにとって代えがたき唯一無二の輝き―――『聖園ミカ』が背中合わせに着地していた。

 

 

「すみません、ミカ。助かりました。」

 

「良かった、間に合ったみたいで。ごめんね、ハスミちゃんフリーにしちゃって。」

 

「いえいえ。寧ろ、あなたに狙われたのに無事なハスミを称賛するべきですね。ミカは悪くないですよ。」

 

「それ、ハスミちゃんを褒めてるのか、私を励ましてくれてるのかよくわかんないよ。」

 

「当然、両方ですよ。」

 

 

 着地して早々、ミカに感謝を伝えるリンデ。ミカは親友のピンチに間に合った事にホッとしつつ、逆にハスミを取り逃がしてしまった事をリンデに謝っていた。だが、ハスミとも鍛錬仲間であるリンデは、ミカに狙われてもそれを振り切り、こちらへツルギの援護をする程の余裕があるハスミの実力を称賛して、同時にそんなハスミを取り逃がしてしまったミカを励ましていた。

 

 ただ、その物言いが何となく面白くなかったミカは、頬をプクーっと膨らませると、拗ねるようにそっぽを向いた。

 

 

「ふ~ん、私がいるのにそんな事言うんだ〜。じゃあ次危なくなっても、私助けてあげないよ〜だ。」

 

「えっ、ちょっとミカ?! こんな時に何を言ってるんですか!?」

 

「アハッ☆ 冗談だって!」

 

 

 ミカの突然の拗ねにリンデが慌てると、冗談だと悪戯な笑みを浮かべてミカは後ろのリンデへ向けて手を振った。それを聞いて、自分だけを褒めたり励ましたりしてくれなかった事への当てつけだと理解したリンデは溜め息を吐いた。すると、さっきまでとは違う真剣な―――しかして何処か優しそうな―――声音でミカが語りかけてきた。

 

 

「大丈夫・・・。私がいるからには、リンデちゃんには指一本触れさせないよ。『お日様』の『月』。両方揃った私達なら―――」

「―――照らせぬものは何も無い。ええ、重々承知してますとも。」

 

 

 まるで何処ぞの『歌う戦乙女二人組』のようなやり取りを交わしながら、気合を入れるように浮遊状態を解除して槍を手で持って構えるリンデ。そして自身の前へと槍を翳すと、その顔には先ほどまでの動揺を一切感じさせない力強い笑みで、ミカの言葉に応えた。

 

 

「ならば私はあなたの『お日様』として、あなたへ降りかかる全ての禍を払ってみせましょう。この槍とともに!」

 

「うん! 期待してるよ、リンデちゃん。」

 

「えぇ、お任せを。」

 

 

 リンデの言葉を最後に、まるでもう言葉はいらないと言わんばかりに気合を爆発させるリンデとミカ。その背中にはもう、互いへの信頼のみがあるだけだった。

 

 

 

 一方、リンデとミカの二人を挟んで互いへ視線を交わすツルギとハスミ。一見、挟撃が出来そうな状況からツルギとハスミの方が有利そうにも見えるのだが、その実二人を取り巻く状況は寧ろさっきより悪化していた。

 

 

 そもそもの話。リンデとミカ、ツルギとハスミ。

 この2つのペアには決定的な違いがある。それはツルギとハスミは連携を前提としているが、リンデとミカは連携をせずともどうにかなるという事である。

 これは単純な話で、リンデもミカもゴリゴリの前衛タイプで、しかもどちらも方向性は違えど、ツルギ並の強さを持っている。その上、リンデは『ロンギヌスの槍』という遠距離戦闘(ロングレンジ)を含めたオールレンジでの攻撃手段を備えていて、ミカも持ち前の直感と筋力でもって嵐のごとく暴れる事が出来るという無法っぷり。

 特にリンデがツルギ達にとっては曲者で、例えハスミが狙撃を行おうと即座に防御され、生半な攻めでは受け流されて逆に反撃へ持ち込まれてしまう。故に先程の挟撃が唯一のチャンスでもあったのだが、それをミカに綺麗に台無しにされた上に合流されたせいで、もう一度同じ状況を作り出すのが非常に困難になっていた。

 

 そして、それらに加えて、合流してから明らかに二人の雰囲気が劇的に変わっており、そうそう分断されてくれるようにも見えなかった。

 

 

(・・・戦況はあきらかにこちらの不利。ですが。)

 

「・・・ケヒッ。ケヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」

 

「―――そうですね、これぐらいで引き下がるようでは、『正義実現委員会』の名折れです!」

 

 

 しかし、二人の闘志もまた、リンデとミカに負けないくらい高まっていた。自分達は『正義実現委員会』。この『トリニティ』の治安を、無辜の民の平和を守る事こそ自分達の本懐で、何よりここで折れるようでは、自分達は目の前の友人たちに胸を張ることなど出来やしない。

 

 確かにミカとリンデの力は、隔絶されてると言って良いほどに強大だ。だが彼女達は『ティーパーティー』であり、この『トリニティ』の頭といっても過言ではない。そんな二人が最前線に出なければいけない状況は本来生まれるべきではないし、生まれてはいけないのだ。ならばどうするか。

 

 

〈まだいけますね、ツルギ。〉

 

〈あぁ。あの二人に私達の底力、見せつけるぞ。〉

 

 

 自分達が今為すべき事、それは二人が無理に前線へ立たずとも安心させられる程の力量を示す事。視線でそれを確かめ合うツルギとハスミ。二人は高まる闘志や思いはそのままに、頭は努めて冷静に保ち、己の愛銃を構えた。

 

 

―――先程までしていた戦闘の喧騒とは真逆の静寂。互いの間を吹き抜ける風の音と、いつの間にやら退避した互いの陣営の生徒達の荒れた呼吸。それ以外は音を無くしたかのように、深まる緊張が場を支配する。四人以外の誰も動けず、呼吸と四人を見る事以外の行動をする事が出来なかった。

 

 その支配を打ち破ったのは―――

 

 

 

 

 

「フッ!!」

「っ!!」

「ヘアッ!!」

 

 

―――ハスミを除いた三人だった。

 

 

 『ロンギヌスの槍』を構え、真正面のハスミへ向かって一直線に突撃していくリンデ。それに併せるように、目の前のツルギへ向けてミカも駆け出し、ツルギも真正面のミカへ向かって突貫していった。

 

 ツルギはミカと接敵すると同時に『ブラッド&ガンパウダー』を時間差で連射した。それをミカは下がりつつ横移動する事で被弾を減らそうとするが、当然ツルギもそれを逃がすつもりはなく、執拗に接近戦へ持ち込むために、ミカから時折飛んでくる銃弾の被弾も気にすることなく突貫を繰り返した。

 

 

「っ、リンデちゃんから聞いてはいたけど。厄介だね、その耐久力!」

 

「イヒヒッ! 鍛えてるから、なァ!!」

 

「ムカッ、なにそれ嫌味? 確かに私は、リンデちゃんやツルギちゃんみたいに鍛えてないけど、さぁ!」

 

 

 彼我の距離を詰めながら、時に言葉も交えて徐々にミカを押していくツルギ。ツルギの言葉にムカッときたのか、ミカは上空からまた流星を降らせてきたが、予兆が見えてるなら回避は容易いと接近しながらさらに距離を詰めるツルギ。それにミカは舌打ちしながら、これ以上は詰めさせないと『Quis ut Deus』を連射して足止めをしようとする。それを自慢の耐久力で受け止めながら、ツルギは思考を回し続ける。

 

 ミカにはリンデのような防御手段はない。代わりに耐久力はかなりのものだが、それもショットガンを近距離戦闘(クロスレンジ)で何度も受け続けられる程ではない。気をつけなければならないのは彼女の降らせてくる流星と、その細身から想像もできない程の強烈な怪力だが、それだけならばまだリンデに比べれば厄介度は低い。

 故に先手必勝。そして隙を見せてくれれば、あとは相方がその隙を穿ってくれる。そうすればあとはリンデを先程の形に持ち込んでしまえばいい。

 ツルギはそう思考しながら、今もこちらへ向けて銃撃での反撃を繰り返すミカへと突貫していった。

 

 

 

 一方ハスミも正面を見据え、リンデ―――ではなくその真後ろでツルギと戦闘を続けるミカへ、リンデを挟んで狙いを定めて引き金を引いていた。これでリンデの左右への回避方向を誘導し、槍で正面を防御させてアクションの一つを一時的に封じ、そしてリンデが攻撃モーションに切り替えてきた瞬間に再度回避できないタイミングでリンデ、もしくはミカを確実に撃ち抜く。これがハスミの考えた今できる最善の策だった。いくら闘志が高まろうと、現状でリンデかミカと正面切って一対一を張れるほどの力はハスミにはない。せいぜい逃げの一手と撹乱で時間を稼ぐ事が精一杯。だがツルギならばそれが出来る。なら自分は、その状況へ持ち込めるようにどちらか片方を確実に倒せる一手を打ち、よしんば相打ちに沈んででもミカかリンデをダウンさせる事こそが最善と判断して、この策を使う事にした。

 

 そして、その策はここまで上手くいっていた。リンデも時折ミカの方へチラッと視線を向けるせいで上手く接近することが出来ておらず、得意の『近距離戦闘(クロスレンジ)』へ持ち込めずにいた。

 

 だが、ツルギとミカの戦闘がこちらへある程度近づいてきたタイミングで、リンデは先程までとは違う一手を打ってきた。先程までのように槍を回転させて正面の防御に回さず、回転を止めてハスミの射撃に合わせて急接近しながら槍を地面に突き立てると―――

 

 

「っ、今!」

 

「っ!?」

 

「飛、べえぇぇぇぇ!!!」

 

 

―――その突き立てた勢いのまま、槍を支点にして、脚から勢いよくハスミの方へ向かって、槍を手放して背を地面に向けたまま飛んだ。翼も勢いをなるべく殺さないように背部限界ギリギリまで動かし、頭の方へ広げるようにして、ハスミの真上を通過するように。

 

 

(槍を手放してまで、こちらに飛んできた?! しかしそれでは。)

 

 

 リンデの意外な回避の仕方に一瞬面食らうも、今の回避で逆にリンデ越しに撃った弾は、当初の形と違うものになったがミカへの直撃コースになった。つまりリンデは、自らの『一番星』がダウンすることを厭わずこちらへ突っ込んできたという事だ。そうしてでもこちらを倒しにしたというのなら、ハスミの予定通りツルギをリンデと一対一の形に持ち込める。そうハスミは結論付け、意識をリンデへと絞り込んだ。

 

 

―――だが、リンデへと意識を絞ろうとした瞬間、またも衝撃的な光景がハスミの視界に飛び込んできた。

 

 

「おおおりゃぁぁぁぁああ!!!」

「っ?!」

「っ、ツルギ!?」

 

 

 それは、自身めがけて回転しながら飛んでくるツルギの姿だった。

 リンデが飛んだのとほぼ同タイミングで、今度はミカが接近してきたツルギを無理矢理捕まえて、回転を加えながらリンデへ向かって放り投げたのだ。すると当然、リンデを挟んでミカへ向けて撃った弾は、リンデが空中高く飛翔していて既に回避済み。ミカもツルギを放り投げて壁にしているため、このままでは二人ではなくツルギに当たってしまう。更に回転しているため受け身や身を捻る事が出来ないツルギは、現状回避行動すらとれない。つまり―――

 

 

「ぐっ!」

 

 

―――ハスミの撃った弾は、結果的に味方のツルギへダメージを与えるだけになってしまった。背中に直撃を受けたツルギが呻くが、ミカとリンデの追撃は終わっていなかった。

 

 

「これで。」

「『チェックメイト』、じゃんね☆」

 

「「っ!?」」

 

 

 ハスミの上を通過したリンデは、通過中リロードを済ませた『ex machina』を着地と同時に頭から突撃するようにハスミへ突きつけ、ミカは投げる際に落とした『Quis ut Deus』を素早く拾い上げてツルギへ向けて構えた。そしてリンデが手放した『ロンギヌスの槍』もまた、独りでに地面から抜けると、ツルギへ向かって回転しながら突撃し、更にツルギへ向けて流星が降り注ぎ始めた。

 

 

(そんな・・・。まさかあの会話だけで、始めからこの状況を狙っていたと?!)

 

(今回はリンデとミカ、二人の方が上手だったか。)

 

 

 これ程の連携をあの短い会話以外に何も無しで行ったリンデとミカにハスミは驚愕し、ツルギも二人の方が今回は上手だったことを認めざるを得なかった。ハスミはリンデが槍抜きで最も得意とする零距離戦闘に持ち込まれ反撃手段の尽くが使えず、ツルギも回転がまだ収まってない上に直撃のダメージも癒えてないために、こちらも反撃が出来る状態ではない。リンデに仕掛けたのとは逆に、今度は二人同時に『詰み』の一手をかけられていた。

 

―――万事休す、と思われたその時、ピーッと甲高い笛の音が鳴り響き、また別の二人組の声が聞こえてきた。

 

 

「「「「っ!!」」」」

 

「そこまで! 演習時間終了時刻です!」

 

「先輩方、試合はそこまでっすよ。」

 

 

 聞こえてきたのは、『ティーパーティー』『パテル分派』の『事務方』にして『会計』の『藤堂カナギ』と、『正義実現委員会』の若きホープ『仲正イチカ』の声だった。その声が聞こえると同時に、ミカは構えていた銃を降ろし、リンデは後方へ派手にバックステップしつつ、ミカの流星群を『ロンギヌスの槍』を操作して関係ないところへ弾き飛ばして自らの手元へと戻した。ハスミもツルギの方へ振り返ると、吹き飛ばされてきた相方を、少しふらつきながらも何とか受け止めていた。

 

―――かくして、『ティーパーティー』『パテル分派』と『正義実現委員会』の合同演習は閉幕となるのだった。

 




大好き好き過ぎ、なリンデとミカの前に、遮るものは何もなし!
まぁ、振るうのは槍とゴリry)イノルネ!

・・・シン◯ォギアって、いいよね。
自分はSrbちゃん推しでした。
だからどうした、って話ですけどw

『正義実現委員会』が『ティーパーティー』傘下の組織だった事を書いてる最中に思い出しましたが、ナギちゃんがEXスキルで砲撃部隊呼んでるし、エデン条約編でパテルはクーデター起こそうとするくらいには武力あるっぽいから、たぶん自前の戦力持ってそうという事でこういう形にしました。この小説内で『武闘派』と呼ばれてた連中達がこの娘達です。今回はいいとこ一切ありませんでしたが、まぁ相手も味方も悪かったという事で一つ。

ツルギパイセン描写ムズイ。冷静すぎると「コイツほんとにツルギか?」ってなるし、奇声ばっかだと「いやなんか違うだろ」ってなる。
なので筆者のイメージがいつも以上にバリバリにのった結果、こんな感じになりました。
皆さんのツルギイメージも聞いてみたいです。

何気にイチカも初登場です。前回はクラスメイトとしてツルギ&ハスミは登場しましたが、今回は『正実』総出だったので、このタイミングで所属してる彼女にも白羽の矢が立ちました。
今後も出番があるかは分かりませんが、よろしくお願いします。

やっと出せました。今作随一のチート武器にして、リンデの最強武装『ロンギヌスの槍』。
設定には書ききってませんでしたが、今回新たに描写した特徴を箇条書きするとこんな感じです。

・手から離してる状態だとリンデの意思で自律兵器よろしく縦横無尽に飛び回る
・回転させれば大半の銃撃を無効化出来る
・地面に突き刺さっても抜けるなら動かせるetc...

はい、逆に何が出来ないのか分からんレベルのチート武器です。一応、思考によるタイムラグはありますが、本編描写通りほぼあってないようなものです。

なお、今回思いっきり突っ込ませてますが、任意で突き刺さらないようにもできます。その場合、刺さる手前で見えない壁を作ってそれをぶつける感じです。ただ槍本体が凄い勢いで飛んでくるので、威力はお察し。ツルギの選択が回避一択の時点で、ね。
「まともに当たれば吹き飛ぶぞ!」


感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。

それではまた次回!
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