たぶんこれ以上は、筆が乗らない限りはないと思います。
3分割の3つ目は、前回の予告通り、初の過去描写です!
そしてこの小説初の一人称です! 乞うご期待ください。
それと、あと2、3話でこの第1槍も終わると思います。つまり、そろそろ原作開始が迫ってきてます。
果たして、プロローグ後半のあの描写は、いったいどういう事なのか。その辺りも楽しみにお待ちいただければ幸いです。
それでは、どうぞ!
―――リンデちゃん、覚えてるかな。
あの時も、こんなふうに日が少し差してるのに、雨が少し降ってる変な天気だったよね。
あの日はナギちゃんが、家の用事で遊べなくなっちゃって。だから暇になった私は、何をするでもなく適当に傘を差して、変な天気だなとか思いながら歩いてたんだ。
でも、そんな雨の中、ふと歌声が聞こえてきて。歌詞なんて知らない、どんな曲なんて分からない。何となく綺麗な歌声だな、とか最初は思った。
―――でも、その歌声を聴いてたら、すごく悲しそうで、辛そうだなって思って。気がついたら、その歌声を辿って。
「―――リンデちゃんに、出会ったんだよね。」
雨の中、ずぶ濡れになりながら。
背中に生えた大きな白い翼が、ドロドロになるのも構わずに。
まるで血を吐くように。心の中が空っぽになってしまえばいいって、叫ぶように。
―――リンデちゃんは、誰を気にする事もなく歌ってたんだ。
そんなリンデちゃんが何となく気になっちゃった私は、歌の途中で思わず声をかけちゃったんだよね。「どうしてそんな悲しそうに歌うの?」って。
リンデちゃんとよく話すようになった今だから言えるけど、あの時の私はデリカシーにかけてたかもしれない。リンデちゃんは一人でいる時、よく鼻歌混じりに何かを歌ってたりする。そういう時に声を掛けると、偶に凄く不機嫌な顔をするんだよね。いつか言ってたっけ。「歌には流れがあって、それは歌わない部分も含めて切られるべきではない」、って。たぶん、あの時の私の行動って、今のリンデちゃんが見てもきっと怒るよね。実際、あの時も今みたいに暗い雰囲気で、「関係ないでしょ」って言って怒ってたし。
だけど、そんな事言われたのも気にせず私は、ずぶ濡れだったリンデちゃんに風邪引いちゃうよって言って傘に入れてあげようとした。で、差し出した傘をはたき落とされて、すっごい怒られたっけ。
雨も降ってたせいで、何て言ってたか正確には覚えてない。でも、あの時のリンデちゃんは今と違って、まるで世界と自分に絶望してるようにも見えた。
―――希望なんてない。
―――神様なんて何処にもいやしない。
―――この世界の何処にも、自分の居場所なんてない。
そんな、今のリンデちゃんから想像も出来ないような想いや感情を剥き出しにして、今とは違うすごく荒々しい口調で、リンデちゃんは私に怒鳴り散らしてきたんだ。
まぁ、当然ムカッときて、私も何か言ったんだよね。でも、私がその何かを言った途端、リンデちゃん言い返しもせずに、急に大人しくなったんだよね。ん〜、なんて言ったんだっけ。よく覚えてないや。
とにかく、そんな風に大人しくなったリンデちゃんに、私は歌の続きをせがんだ。弾かれた傘も、自分がずぶ濡れになる事も気にせずに。そしたら、今度は急にリンデちゃんが私の事を心配し始めたんだよね。この辺は今のリンデちゃんとそう変わらないかな。うん。
それでも、関係ないから聞かせてって何度もせがみつづけたら、リンデちゃんが折れてくれたんだよね。一緒に傘を入るのを条件に。だから傘を拾って、一緒に入って。リンデちゃんの歌を聞いたんだ。
最初はまだ、何となく辛そうな感じだった。目を閉じて、周りの何もかもを遠ざけてるようにも見えた。それに歌自体も、リンデちゃんの気持ちが乗ってるせいで、何となく悲しそうで。
でも、雨の中あれだけ叫ぶような歌い方をしてたのに、その声はガラガラにかれてるとかそういうことはなくて。寧ろさっきよりも綺麗だなって。そう思って聞いてて。そしたら、だんだん雨が止んで、空が晴れてきて―――
―――夕日から星空に切り替わる、幻想的な空に照らされながら。まるで生まれてきたことを祝福されて、それを心から喜んでるみたいに歌うリンデちゃんが、そこにいたんだ。目は閉じて歌ってたから、何だか歌うことに夢中になってるようにも見えたけど。さっきまでの暗い感じのリンデちゃんは、もうそこにはいなかった。
あの時のリンデちゃん、すごく生き生きとしてた。歌にも気持ちが乗ってて、まるで物語の歌姫みたいで。まぁ、雨でドロドロに汚れてたんだけどさ。
―――思えば、あんな出会いから随分仲良くなったよね、私達。別れ際にまた雨降ったらダメだからって傘を押し付けて帰って。それで次の日学校に行ったら、実はクラスメイトだったっていうね。今思うと、すごい『奇跡』だよね。それからナギちゃんにもリンデちゃんを紹介して、ナギちゃんが「泥棒猫」とかリンデちゃんに言ったりしたこともあったな〜。今じゃすごく仲良しだけど。
でも、もしあの出会いが無かったら、きっと私達は赤の他人だったんだよね。こんな風に甘え合う事もなくて、お互いに『お日様』も『一番星』も見つけられず、悶々と過ごして。
私はきっと、代わり映えのない日々とチヤホヤされるだけの人生に退屈して。
リンデちゃんなんてきっと、今も暗い雰囲気のまま、暗闇で一人ぼっちだったりしたのかな。
「・・・何か、嫌だな。そんなの。」
そんなあり得たかもしれない未来の事を考えて、私はちょっと憂鬱な気分になりそうだった。だけど、膝の上でスヤスヤと寝てるリンデちゃんの温もりに、私の意識は現実に引き戻されて、ブンブンと頭を振った。
―――そうだよ。今私とリンデちゃんは、こうして触れ合えてるんだ。
互いに『お日様』と『一番星』――リンデちゃんの場合、それに加えて『太陽』と『月』、それと替えのない唯一無二の『輝き』、だっけ?――に出会えて。
代わり映えのない日々に退屈したり、暗闇の中ずっと一人ぼっちだったりなんてこともなく。
互いに甘えて。何でもない事を語り合って。
ナギちゃんやセイアちゃん、ヒフミちゃん、サクラコちゃん、それにカナギちゃんに『事務方』の皆。暖かい皆と笑いあって、お茶会して。時にナギちゃんをからかって、怒られて。呆れられて。でも、そんな何でもない、楽しい時間を過ごせてる。
なら、これが私の現実。私とリンデちゃんの、確かな現実。
それが間違ってたり、歪んでたりする事なんて。そんな事は絶対ないから。
だから―――
「大丈夫だよ、リンデちゃん。誰が何て言おうと、私は、リンデちゃんの味方だから。例え何があっても、私がリンデちゃんの事、ずっと守るから。」
―――リンデちゃんの耳元でそう囁いて、私はまた、リンデちゃんの頭を撫でる事を再開した。リンデちゃんが幸せな夢を見て、笑顔でまた、明日を迎えられるように。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
―――ミカは気づかない。自分の中にあった黒い感情が、何故消えたのか。
―――リンデは気付けない。自分の心の不安が、どうして消えていくのか。
―――もし。
―――もしも、二人が『それ』に気づいていたのなら。
―――後の『悲劇』は、『回避』出来ていたかもしれない。
「・・・・・・。」
―――暗闇の中で、『何か』が鳴動した。
最後のアレは・・・、何でしょうね。
まぁ、「いずれわかるさ。いずれな。」ということで一つ。
Next 聖槍'sヒント:Ⅰ
リンデが小説内で歌っていた曲は、いずれまた作中で歌う予定なので、それまで楽しみにしていてください。
あと、誰か百合百合してるミカリンデ描いてくれる方とかいませんかね?(チラッチラッ)
ちなみに筆者は絵心ないです。いやほんとに。
どれぐらい酷いかというと、顔と手と目のバランスが酷すぎて、子どもの落書きの方がマシじゃないのかってレベル。
まぁ、もし見たいっていう奇特な方がいるかもしれないので、アンケート載せておきます。良かったら回答してください。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!
主絵見たい?
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見たいじゃんね☆
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どちらでも構いませんよ。
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アハハ・・・無しで。