聖槍に祈りを   作:坂本コウヤ

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更に筆が乗りましたので、また投下します!

今回は、文章量的にはあっさり目(当作品比)ですが、中身の糖度はそこそこ濃いめです。
久々のミカリンデオンリーの話です。
前回の続きからスタートです。よろしくお願いします。

また、最後にアンケートを用意してますので、ご協力していただけると助かります。


という訳で、どうぞ!


第二十三詩:『首長補佐』の微かな揺らぎ

 

「ミカ、その、そろそろ離してくれませんか? その、痛いのですが。」

 

 

 リンデちゃんの腕を掴んで歩いていると、校門前を通り過ぎた辺りでリンデちゃんからそう言われ、私は立ち止まった。けど、手を離す気にはどうしてもなれなくて、私はそのままの止まった姿勢で、その場で立ち尽くしていた。その原因は、さっきのミネちゃんとの口喧嘩が原因だった。

 

 『蒼森ミネ』ちゃん。去年の夏頃からずっと、リンデちゃんを苦しめるようなことを言い続ける『救護騎士団』の団長で、セイアちゃんのクラスメイトでお隣さん。

 セイアちゃんにとってどうかは知らないけど、私とナギちゃんにとっては今、学園内で一番敵視してると言ってもいいくらい、不倶戴天の相手。

 

 そんな相手と、偶然とはいえバッタリ会ってしまった私は、リンデちゃんを守るために、リンデちゃんを連れて通り過ぎようとした。けど、ミネちゃんはリンデちゃんの腕を、逃さないというように掴んでいたのが見えて、私は思わず、普段は出さないくらい思い切り力を振るって、ミネちゃんをリンデちゃんから引き剥がしたんだ。

 

 

「あの、ミカ? 聞いてました? 離してほしいのですが。」

 

 

―――リンデちゃんを一方的に苦しめるのが我慢出来なかった。

 リンデちゃんはこんなにも、私や皆に優しくて、『お日様』みたいに暖かいのに。なのにその『お日様』を『歪んでる』とか、間違ってるとか、好き放題言ってきて!

 

 

「あの、ミカ? ちょっ、痛い! 痛いです! 離してください!」

 

 

 私はそれが、どうしても許せなかった。例えリンデちゃんに危なっかしい所や、私の中で思う所があったとしても。リンデちゃんのそんな『お日様』みたいな暖かさは全部、リンデちゃんの優しさから来るものだって知ってるから。

 その『お日様』が、私の思いをちゃんと受け止めてくれなくても構わない。だって私にとっての『お日様』は、リンデちゃん以外にいないから。例え他の『お日様』の方が仮に暖かかったとしても、そんなのは関係ない。リンデちゃんが私の『お日様』である事。これだけは絶対に変わらないし、リンデちゃんであっても変えさせない。だって、私はそれだけリンデちゃんのことが好きだから!

 

 だから、ミネちゃんがリンデちゃんを苦しめる前に、私は言いたいことだけ言って、リンデちゃんを引っ張ってその場から離れた。リンデちゃんが後ろで何か言ってたけど、ちょっと怒ってみたらそれ以上は何も言ってこなかった。

 リンデちゃんのそういう、自分の事を悪く言う娘が相手でも優しくなれるのはいい事なのかもしれない。でもそれが何となくムカムカってなっちゃって、私はついキツく言っちゃった。

 

 

「ミカ?! 聞こえてますか!? 離して、って痛い痛い痛い! ちょっと、本気で腕砕かれそうなんですけど!?」

 

 

 リンデちゃん、勝手に引き剥がして、引っ張って、怒ってるかな?

 

 でも私だって、リンデちゃんの力になりたいんだよ。

 

 

 

 

 友達を、大切な娘を助けたいって思うのは、間違ってるの?

 

 

 

 

 

「〜〜〜っ、あぁもう! ちょっとミカ!!」

「うわぁっ!? な、何々?!」

 

 

 そんな風に考え事をしていたその時、突然耳元でリンデちゃんの大声が聞こえて、びっくりした私は手を離して飛び上がった。辺りを見渡してみると、後ろには手首を押さえて少しご立腹なリンデちゃんの姿があった。

 リンデちゃんは掴まれてた右手の手首をしきりに触ったり捻ったりして調子を確かめると、少し眉間に皺を寄せて私に怒った。

 

 

「ハァ~、やっと離してくれましたね、ミカ? 痛ったた〜、腕が本気で砕かれるかと思いましたよ?」

 

「ご、ごめんリンデちゃん! わざとじゃないの。その、色々考えてて、それで・・・。本当に、ごめん。」

 

「ミカ・・・。」

 

 

 私の苦し紛れの謝罪に、リンデちゃんの声が返ってくる。どうしよう、わざとじゃないにしても、怒ってるよね? そうだよね、だって腕が、それも利き腕の方をギュッと握りしめ続けて、危うく腕の骨を砕いちゃうところだったもん。いくらリンデちゃんでも、普通に考えたら怒るよね。どうしよう、もし、私の事嫌いになったら・・・。そんなの、そんなの―――

 

 

 

 

―――そんなの、ヤダ。

 

 

 

 

「・・・そんな泣きそうな顔しないでください。ミカ。」

 

「ふぇ?」

 

 

 私が暗い気持ちに沈みそうになっていると、気がついたらまた、リンデちゃんに抱きしめられていた。でも、今度は私を胸に埋めるように抱くんじゃなくて、まるで子供をあやすみたいに、屈んで抱きとめてくれていた。

 

 

「ミカ、私がこの程度のことで、あなたを嫌うような薄情な人間に見えますか?」

 

「み、見えない、けど。で、でも私。リンデちゃんの、腕。その・・・。」

「フフッ、大丈夫ですよ。ミカ。」

 

「・・・リンデ、ちゃん?」

 

 

 震える声でもう一回謝ろうとして、でも言葉がうまく出なくて。

 そんな私の背中を、リンデちゃんは私が握りしめちゃった方の手で撫でながら、もう片方の手で背中を擦ってくれた。そしてもう一度私に、優しく離しかけてくれた。

 

 

「さっきは少しキツくいってしまいましたが、別に私は怒っていません。むしろ、あなたがミネに言い放った言葉が頭の中で反芻されていて、自分でも少し、感情が追いついてないんです。」

 

「私が、言った事?」

 

「『間違ってるなんて誰にも言わせない。歪んでたって構わない。それも含めて私は、リンデちゃんの事が大好きだから。』」

 

「あっ・・・。」

 

 

 リンデちゃんが言った言葉。それは、私がミネちゃんに再度思いを込めてぶつけた言葉だった。あの時はもう無我夢中で言いたいことをありったけぶつけてたから、特に考えてなかったんだけど。リンデちゃんには、どう聞こえてたんだろう?

 

 

「あなたがどんな気持ちで、この言葉をミネにぶつけたのかは分かりません。ですが・・・、その。私、自分でもよくわからないのですが。ミカにそう言われて、自分の中で、よく分からない感情が溢れそうになって・・・。自分の気持ちや表情が、制御できなくなりそうだったんです。」

 

「リンデちゃん・・・。」

 

「・・・初めてでした。あんなにも、心を揺さぶられたのは。自分の内に広がった暗闇の靄が貫かれ、自分の芯の奥深くへと、あなたの想いが伝わってきて。ミカにそれ程まで思われているのだと、改めて理解出来て。その、う、嬉しかったんです。」

 

「っ!」

 

 

 リンデちゃんの言葉に、思わず目を見開いた。今リンデちゃん、私が言ったことが「嬉しかった」って・・・。

 チラリと抱きとめてきてるリンデちゃんの顔を見やると、その耳が少しだけ赤くなっていて、リンデちゃんが照れてるのが分かった。それが理解できた途端、私の心に暖かいものが溢れてきて―――気づいたら、私は笑ってた。

 

 

「・・・そっか。そっか、そっか! フフッ、アハハッ☆」

 

「ミカ?」

 

「そっか〜、リンデちゃん嬉しかったんだ。私の言った事が。それも照れちゃうくらいに♪」

 

「っ、か、からかわないでください!」

 

 

 撫でる事を続けながら、拗ねるように顔を逸らすリンデちゃん。そんな顔や仕草も何処か可愛いなと思うけど、これ以上言うとまた怒られちゃいそうだし、せっかくの『約束』も(リンデちゃんの性格からしてないと思うけど)反故にされるかもしれないから、今日はこれくらいにしておこうかな。

 

 

「アハハッ☆ ごめんごめん。」

 

「全くもう。さっきまであんなに落ち込んでいたというのに、調子いいんですから。」

 

 

 リンデちゃんに言われて、ふと気づく。確かに、さっきまでリンデちゃんに嫌われるかもしれないと思って、泣いちゃいそうになる気持ちだったのに。気がついたら暖かい気持ちが溢れてきてて、そんな暗い気持ちなんてどこかに吹っ飛んでいた。でも、それはきっと―――

 

 

「―――リンデちゃんのおかげだよ。」

 

「? 何がですか?」

 

「フフッ、何でもない♪」

 

 

 不思議そうに首をかしげる私の『お日様』。

 そんな様子が少しおかしくて、少し笑ってしまう。リンデちゃんって、本当いつもはすごく察しがいいのに、「時々わざとやってない?」って思うくらい、こういう時はとことん察しが悪くなるの、何でなんだろうね? そんな所も可愛いし、たまにムカッてなる事やモヤモヤする事もあるんだけど、そんな所も私は―――。

 

 

「? ミカ?」

 

「っ、何でもないよ。」

 

 

―――まただ。何だかよくわからないけど、最近リンデちゃんの事を考えると、たまに言葉に出来ない事がある。おかしいな、いつもならスラっと出てくるんだけど。

 

 まぁ、あんまりそればっかり考えてても、リンデちゃんを心配させるだけだから。名残惜しいなって思いながらリンデちゃんから離れた私は、今度は互いの手を繋いだ。

 

 

「っ、ミカ?」

 

「さ、行こ。リンデちゃん。『約束』、守ってくれるんでしょ?」

 

「・・・仕方ないですね。少し時間が遅いですが、お付き合いしましょう。何がいいですか?」

 

「ん〜、じゃあいつものとこ! 限定スイーツがあるんだって!」

 

「この時間だとあるかわかりませんよ?」

 

「その時はその時で考えるよ♪」

 

「・・・分かりました。では、行きましょうか。」

 

「うん!」

 

 

 日も沈みそうな黄昏時に、私達の影が重なって伸びていく。

 それを引き連れながら、私達は手を繋いだまま、今度は横並びで歩き出した。

 

 こんな日々が、これからもずっと続きますようにって、心の中で思いながら。

 

 




前回の後書きでも書きましたが、ミカはまだ『LIKE』で止まってます。『LOVE』に見えますが、まだ『LIKE』止まりです。

まあ、ミカもリンデも、言語化すると余裕で親愛じゃ済まない激重感情ぶつけ合ってるので、多少そうなるのもしょうがないのかなと。


最後に、今後の展開について、少しだけアンケートを取りたいと思います。

原作通りに進行する箇所については最初、チュートリアルも含めて『ブラックマーケット』の場所までカットしようかと思っていましたが、せっかくリンデと交流を深めているハスミがいるのに、その活躍の機会を奪うのはどうかということと、『首長補佐』という目立つ立場にいる事から、他学園の評価を描写できるいい機会だなと気づきました。

なので、それも含めてアンケートを取りたいと思います。
期限は1週間くらいで考えてます。
ご協力のほど、よろしくお願いします!


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ありがとうございます!
今後も我が道優先な内容で更新していくと思いますが、どうかこれからも応援・お付き合いいただけますと幸いです。
よろしくお願いします!


感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告はいつでもお待ちしてます。いつも通り、感想は返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。

それではまた次回!

原作通りの話について

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