長いので前後編に分けました。後編に関しては明日投稿します。
『幕間』は時間軸を合わせたいので、今回のように最新話よりも前に挿入する形で投稿することもあります。
あと、幕間は基本三人称視点で進めます。特定のキャラに絞る時は別のサブタイトルを設定すると思いますので、よろしくお願いします。
またセリフですが、今回原作と言い回しやセリフが変わっている場合がございます。完コピするのもどうかなと思いましたので、ご了承ください。
それではどうぞ!
「・・・ふぅ。記憶頼りではありましたが、意外とやれるものですね。先生、ご無事ですか?」
「う、うん! 大丈夫。」
「ちょ、ちょっと今の何!? 何が起こったの?!」
「見えた範囲では、地面に落ちていた鉄パイプを蹴り上げたのは分かったんですけど。」
『連邦生徒会』のお膝元たる『D.U.地区』の一角。
そこにある、とある建物を目指して進軍する、5人の集団がいた。
その内の一人、先日リンデ達に『連邦生徒会』の特使として、派遣されたハスミはというと、不良達の銃撃に晒されそうになった大人―――『先生』、と呼ばれる『ヘイロー』を持たない人物―――の無事を確かめていた。幸い、流れ弾なども直前にとったハスミの行動のおかげで届いておらず、怪我もなく切り抜けられたのは僥倖であった。
なお、その動きを近くで見ていた『ミレニアムサイエンススクール』の生徒会『セミナー』の『会計』を務める2年生の『早瀬ユウカ』は何が起こったのか理解出来ておらず、『ゲヘナ学園』の『風紀委員会』所属の1年生の『火宮チナツ』は初動を追うことこそ出来たものの結局何が起こったかまでは思考が追いついていなかった。
そんな中、残るもう一人の生徒、『トリニティ自警団』の2年生『守月スズミ』は、ハスミの今の動きに覚えがあったようで、直ぐ様ハスミに尋ねていた。
「ハスミ先輩。今の動きは、もしかして・・・!」
「フフッ、流石にスズミは気づきますか。」
「当然です。私達のような『トリニティ』の無派閥生徒にとって、あの人は『守護神』のような人ですから。それにしても、槍の代わりにパイプで同じような事をするとは思いませんでしたよ。」
「本家本元と違って自由には動かせませんし、私にリンデのような投擲能力はないので、精密さは劣りますがね。あれが常時できる彼女が、時々羨ましく感じますよ。」
ハスミが真似した人物の事を思い浮かべながら、スズミが嬉しそうに語る。
ハスミがとった行動は至ってシンプル。『先生』の近く寄りながら、転がっていたパイプを自分達の前に素早く蹴り上げて回転させ、飛んできた銃弾を弾いた後に掴んでポイ投げし、不良を昏倒させたというもの。流石に本家と違って自分の意思のままに動かすと言うことは出来ないため、使い捨ての盾兼牽制道具として使った形だったが、ハスミとしてもぶっつけ本番でここまで上手くいくとは思っていなかったものの、やはり本家本元たるリンデの槍捌きには劣るなと感じていた。
そんな中、ハスミがリンデの名前を口にすると、別学区の生徒であるユウカとチナツがそれぞれ違った反応をしていた。
「『リンデ』って、まさか『十郷リンデ』!? あの『パテルの双姫』の?!」
「なるほど、彼女の動きを参考にしたんですね。しかもそれを、事前練習無しで成功させるとは。」
二人とも、共にそれぞれの学区の代表的な組織に属してる関係でリンデのことは耳に入っていたため、ハスミやスズミが彼女達と知り合いな事が分かって、内心驚いていた(ユウカはもろに表に出ていたが)。それと同時に、先ほどの動きが劣化とはいえリンデ由来であるなら、自分達の元へ届いていた情報が正しかったとチナツは納得もしていて、それを(本人の言を信じるなら)ぶっつけ本番で成功させたハスミの技量にも驚嘆していた。
そんな中、一人この世界の事情をよく知らない『先生』は、近くにいたチナツに、話題になっているリンデの事を尋ねていた。
「その、そんなに有名なの? その『リンデ』って娘は。」
「はい。『トリニティ』の政治機関『ティーパーティー』に属していながら、その派閥を気にしない行動で様々な繋がりを持っていると噂されている方です。何より本人の持つ戦闘力も凄まじく、この『キヴォトス』では異端ともいえる槍使いとして、勇名を轟かせています。」
「正直、入ってくる情報がどれもこれも『トリニティ』、どころかこの『キヴォトス』の中でもかなりの異端児、って評価を会長が下すくらいには、変わり者という印象を受けますね。あれだけ能力がありながら、どうして『首長補佐』なんて役職をつけてそれに甘んじているのか分からないって言ってました。」
「へぇ~、そうなんだ。」
近くへ戻ってきたユウカが付け足した補足に相槌をうちながら、「変わった娘なのかな」と少し失礼な事を考えていた『先生』。そんな先生の内心に薄々気づいていながらも、ハスミはあえてそれをスルーして、口を開いた。
「今度、『先生』が『トリニティ』を訪れた際に、また紹介をさせていただきます。ですが、どんな評価を得ようと、リンデはおそらくそれを気にもとめないでしょう。そういう方ですので。さて、不良達に立て直される前に、先に進みましょう。目的の場所はもう目と鼻の先です。」
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―――さて、何故『連邦生徒会』の特使として送られたハスミが、スズミや他校の生徒達、そしてヘイローを持たない『先生』とこんな事をしているのか。それは数十分ほど前に話が戻るのだが、その前に何故特に関係のないスズミがここにいるのかを先に説明する。
まず、スズミもいる理由だが、これは先日の夜『モモトーク』にて、リンデがハスミも交えて彼女の同行を頼んだためである。これは、なるべく原作通りの展開へ持っていきやすいようにとリンデが考えて決めた*1もので、提案したリンデ自身も「少し強引すぎましたかね?」と不安視していたのだが、そこは空気の読めるハスミ。何かしら意図があってこのお願いをしてきていると察して、深く追求することは無かった。スズミも、名指しで自分を頼ってきたのは気になったものの、珍しく自分達『自警団』をリンデが頼ってくれた為、こちらも快諾してくれた。スズミとしても、元々『連邦生徒会長』に直談判をするつもりでもあった為、リンデの提案は渡りに船であった。
なお、如何せん会議後に思いついた独断でもあるので、ナギサ達には事後承諾という形で通す事になったが、当然ナギサには翌日怒られた。それでも「ハァ〜。もう、しょうがないですね。」という感じで受け入れてくれる辺り、彼女も彼女でリンデに甘い部分はあるのが透けて見える。ちなみに、ミカはいつも通り 「オッケー☆」の一言で通していて、セイアは少し訝しんだものの、ナギサもミカも納得しているなら仕方ないと承諾していた。
以上のことから、スズミもハスミに同行して『D.U.地区』の『連邦生徒会』へ赴いていたのだが、そこで思わぬメンバーと出くわす事となった。
「っ、あなた達は。」
「これは、まさかの事態ですね。」
「っ、その制服。『ミレニアム』に、『ゲヘナ』の・・・。何故ここに?」
そう、『連邦生徒会』のビルへ赴いた際、ハスミとスズミとほぼ同タイミングで、ユウカとチナツも来ていたのだ。チナツの纏う『ゲヘナ』の制服を見た瞬間、ハスミの中の『ゲヘナ』嫌いが一瞬だけ顔を出しかけたが、治安が悪化していてもここは『連邦生徒会』のお膝元。何より自分は特使として赴いているという事を思い出して、その嫌悪感を鋼の意志で以て何とか抑え込み、ここに来ている理由を二人に尋ねた。すると、二人もどうやら『連邦生徒会長』に用があって来たようで、自分達とほぼ目的は一致していた。
「図らずも、3大校全ての考えは一致していたみたいですね。」
「えぇ、そのようですね。」
スズミの言葉に同意しつつ、ハスミはユウカとチナツに、目的が同じなら共に行くことを提案した。特に不都合もなかった為、二人も快諾し、軽く自己紹介だけして、共に『連邦生徒会』本部へと入り面会の手続きを行った。残念ながら『連邦生徒会長』が多忙なため、代わりに『首席行政官』が対応するとのことで、通されたレセプションルームにて待っていたのだが。
「・・・遅い。遅すぎる! 何やってんのよ代行は!?」
「確かに、この部屋に来てからもう30分ほど経ちますが。未だに誰も来ませんね。」
「私達よりも先に、別の学校の生徒が訪れていたのでしょうか?」
「だとしてもじゃない? 明らかに遅いわよ。」
「落ち着いてください、ユウカ。ここで苛立ってても、状況は好転しませんよ。」
「・・・言われなくたって、分かってるわよ。でもこうも長時間待たされたら、愚痴の一つも言いたくなるでしょ。」
待たされて既に30分以上。痺れを切らしたユウカが少し苛立ち始めていた。チナツもそれに同意していて、スズミは逆に、ここにいない学校の誰か別の生徒が訪れている可能性を考えていて、ハスミやユウカにその可能性について尋ねていた。しかし、ハスミが答えるよりも先にユウカがだとしても遅いとバッサリ切り捨ててしまい、ハスミはユウカを宥める方に回らざるを得なくなっていた。
そんなやり取りがあって数分後、ようやくドアが空いて誰かが入ってきたのが見えてユウカが我先にと動いたため、ハスミ達もそれに追従するように動いて次々に言葉を発した。
「やっと来たわね! 待ちくたびれたわよ『代行』!」
「『主席行政官』、お待ちしておりました。」
「『連邦生徒会長』に会いに来ました。『風紀委員長』が、現在の状況について納得のいく回答を要求されています。」
「『トリニティ自警団』です。『連邦生徒会長』に直談判を―――」
「・・・ハァ。面倒くさい人達に捕まってしまいましたね。まぁ、理由は分かりきっていますが。」
「ちょっと、分かってるなら何で説明がないのよ! というか、今面倒くさいって言ったわね!? いいから説明を―――」
「ちょ、ちょっと待ってもらっていい?」
「―――? あなたは?」
ハスミ達に声をかけられた、眼鏡をかけた長髪の少女『七神リン』が露骨に嫌そうな態度を取ると、その物言いにイラッと来たユウカが再度喧嘩腰に話しそうになったところで、彼女の後ろにいた誰かがリンの前に出てきて、話を遮ってきた。
背丈は自分達よりも少し大きく、見るからに自分達よりも年上で『大人』だとわかる外見で、そして何より、この『キヴォトス』にいる人間なら必ず存在しているはずの『ヘイロー』が彼女には存在してなかった。
いったい何者なのだろうかと疑問に思っていると、件の『女性』がリンに尋ねていた。
「リンちゃん、彼女達は?」
「リンちゃんはやめてください。・・・彼女達は、この『キヴォトス』に存在する学園の内、3大校と呼ばれている学園に属する要人達です。残念ですが、彼女達の説明をしている時間はないので、今は先を急ぎましょう。」
「でも、何か大切な用事があるみたいだけど?」
「そ、そうよ! 納得のいく説明をちょうだい!今、『キヴォトス』中で数千もの学園自治区が混乱に陥っているのよ!? だいたいこんな状況で、『連邦生徒会長』は何をしているの?! 多忙って話だけど、だからって何週間も顔を見せないのは流石におかしいわ! 今すぐに会わせて!」
『女性』の言葉に乗っかる形で、四人を代表して矢継ぎ早に追及するユウカ。それら全てに対してノーリアクションといった感じのリンであったが、最後の『連邦生徒会長』に関する追及にはピクリと眉を動かすと、息を吐き出して一呼吸おいてから、口を開いた。
「残念ですが、『連邦生徒会長』はここにはいません。正確に言えば、現在行方不明となっています。」
「なっ!?」
「!? やはり、あの噂は・・・。」
(・・・噂通り、ですか。)
(事前に、リンデ先輩から聞いていた推測通りでしたね。ハスミ先輩。)
(えぇ、当たって欲しくはありませんでしたが。これで『ヴァルキューレ』が機能不全になっている理由も理解できました。)
『連邦生徒会長』が行方不明になっていると知らされ、驚愕する生徒一同。ユウカは驚きのあまり追及を辞めて大声を上げ、チナツも衝撃の事実に驚きつつも、自分達の学園である『ゲヘナ』でもその噂はまことしやかに囁かれていたため、噂が真実であったという事に納得していた。
一方、表面上目を見開くなどして驚きはしていたが、復帰が早かったのはハスミとスズミであった。事前にリンデから『ティーパーティー』の会議内で出た推測を伝えられ、可能性としてあり得るかもしれないと考えていた故にダメージが少なく済んだようで、2人で目線で軽く会話するくらいにはまだ余裕があった。
そんなバラバラな状態の4人を気にすることなく、リンはさらに現状を伝え始めた。
「事実です。そして現在、『連邦生徒会長』の失踪に伴い、『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなった為に、今の『連邦生徒会』は『行政制御権』を失っています。認証を迂回する方法をこちらでも模索していましたが、先ほどまで、そのような方法も見つかっていませんでした。ですが―――」
と、ここで一度言葉を区切るリン。そこにハスミが、確信を持って質問すると、眼鏡をクイッと上げながら淀みなく答えた。
「解決策が見つかった、という事ですか? 『首席行政官』。」
「―――えぇ、その通りですハスミさん。こちらにいる『先生』が、『フィクサー』となってくれます。」
「『先生』、が?」
リンに示され、その場にいる全員が『先生』の方へ顔を向ける。5人分の視線が自分に集中しているせいか、少し緊張した面持ちの『先生』であったが、リンが続きを話し始めた為、そのままの姿勢を保っていた。
「『先生』は元々、『連邦生徒会長』が失踪前に立ち上げていた、とある『部活』の『担当顧問』として、此方に来る事になっていました。その名は、『連邦捜査部
「『連邦捜査部―――」
「―――S.C.H.A.L.E.』、ですか。」
「はい。便宜上『部活』と呼称してはいますが、『シャーレ』は一種の超法規的機関です、所属は連邦組織になりますので、『キヴォトス』に存在する全ての学園の生徒達を、制限なく加入させる事が可能なものです。さらに各学園の自治区内で、制約なしでの戦闘行動も許可されています。」
新たに齎された、『連邦捜査部S.C.H.A.L.E.』なるものの情報。それは、あまりに突拍子がなさすぎて、その場にいる四人の生徒達は、思考が追いついていなかった。リンの口ぶりから、『先生』と呼ばれる女性が『キヴォトス』の外から招かれた存在だということはギリギリ理解できたが、その外部から招かれた人を『担当顧問』にした超法規的機関を、『連邦生徒会長』が設立していたなど前代未聞の事。前例も何もあったものではないため、ここまでは4人の中で比較的冷静だったハスミとスズミもこれには言葉を失っていた。
そんな中、ある疑問が浮かんだチナツが、リンに少し険しい表情で尋ねていた。
「・・・とんでもない『部活』ですね。いえ、『部活』というよりは、最早一個の戦力ですか。」
チナツの発言に、ふと我に返って冷静に考えるハスミ達。確かに、「『キヴォトス』に存在する全ての学園の生徒達を制限なく加入させる事が可能」で、「さらに各学園の自治区内で制約なしでの戦闘行動も許可されている」という事は、すなわちこの『先生』の匙加減一つで、『キヴォトス』にいる全戦力を好きに動かす事が出来るということになる。これはつまり、『先生』がもし悪意ある人物であれば、今起きているこの動乱をさらに悪化させたり、自分の私利私欲の為に生徒を好き放題出来てしまうのではないか?
と、全員が疑念を抱きかけたところで、リンがチナツに表情を変えることなく反論を返した。
「チナツさん、あくまで『シャーレ』は『部活』です。そして、現状所属しているのは『先生』のみ。ですから、今動かせる戦力はありません。」
「・・・・・・。」
淀みのないリンの反論に少し疑いの視線を向けるも、一旦疑惑の念を引っ込めるチナツ。それを見届けるとリンは、『シャーレ』についての説明と、自分達が今何を目的に動いているか明かした。
「『シャーレ』の部室は、外郭地区にある一棟です。私達は『連邦生徒会長』の命令で、その建物の地下にある『もの』を『先生』へ渡すため、其処にお連れしなければなりません。」
「その、ある『もの』というのは?」
「『連邦生徒会』の『行政制御権』を取り戻す為のもの、と云っておきます。」
スズミの疑問にも迷うことなく答えるリン。ある『もの』についての詳細は不明なままだが、言外にかなり重要な代物である事は伝わってきたため、スズミは「かなり重要なものらしいですね」と返した。
「えぇ。ですから、直ぐにでも使う必要があります。」
と、そこまで話すとリンは手元の端末を操作して、何処かと連絡を取り始めた。数コールの後、リンと『先生』、ハスミ達の目の前にはホログラムが投影され、そこには濃い桃色の髪をした気怠そうな少女『由良木モモカ』が、お菓子を食っている様子が映っていた*2。モモカの様子に少し苦々しい表情をするリンであったが、直ぐに咳払いして表情を元に戻すと、指示を飛ばした。
「モモカ、至急『シャーレ』の部室に直行するヘリを手配して。」
〔『シャーレ』? あ~、外郭地区の・・・。あそこ今、大騒ぎになってるけど?〕
「大騒ぎ? どういう事ですか?」
『シャーレ』にヘリで向かおうとして、モモカに指示を飛ばした矢先、その目的地が大騒ぎになっていると聞いて、事情を確認するリン。モモカはお菓子を食べる手を一旦止めると、外郭地区で起こっている『大騒ぎ』について教えてくれた。
何でも『矯正局』を脱出した停学中の生徒が暴れていて、辺りはもう戦場と化しているとの事。その生徒達は『連邦生徒会』に恨みを抱いており、地域の不良達を先頭に周りを焼け野原にしていて、「本当かどうか知らないけれど」と前置きされたものの、巡航戦車まで手に入れているそうだ。
何がどうしてそうなったと愚痴を零したいところだが、言った所で現状が変わるわけでもない。リンは「何てタイミングの悪い・・・。」と零すことしか出来なかった。
だが、今日の彼女はとことん運が無いようで。間の悪さはこれだけでは終わらなかった。
〔『連邦生徒会』所有の『シャーレ』の部室を占拠しようとしているみたい。まるでそこに大事なものがあるみたいな動きだけれど・・・、っ。あ、頼んでいたデリバリーが来たから。また連絡するね先輩!〕
何と、ここまで『シャーレ』の部室棟周辺の情報を伝えてくれていたモモカが、「デリバリーが届いた」という理由で一方的に通話を切断してきたのだ。この非常時に、能天気にデリバリーを頼んで寛いでいたモモカの神経も相当なものだが、これには『先生』だけでなく、流石のハスミ達も同情の眼差しをリンに向けていた。
通話が切れ、しばし無言で佇むリン。
―――しかし、時間が経つにつれて、徐々に彼女の背後がユラユラと揺らめき出し、普通自発的に発光しないはずの眼鏡が白く光り出していた。
「あの時のリンちゃんからは、何というかこう、『凄み』みたいなのが感じられたね。ほら、漫画とかでよくあるでしょ?『ゴゴゴゴゴゴゴッ』ってやつ。あれが何となく、視界に映ってたというか。」
と、後に『先生』はとある生徒に語っていたという。―――閑話休題。
「・・・大丈夫?」
それはさておき、今の時間に時を戻す。『先生』がリンを心配して声を掛けると、リンはさっきまで放っていた『凄み』を引っ込めて、首を横に振って額に手を当て―――
「・・・大丈夫です。少々問題が発生しましたが、大したことでは」
―――かけた所で、ふとハスミ達の方へと視線を向けるリン。そのまま無言で手を下ろすと、今度はじーっと見つめ出した。
「・・・な、何よ?」
何だか嫌な予感がして、ユウカが若干引きながらリンに問いかける。すると、さっきまでの塩対応が嘘のように、満面の笑顔でサラッととんでもないことを口走った。
「いえ。ちょうどいいところに立派で暇そ、もとい手の空いている各学園の代表達がいらっしゃったので。心強いな、と。」
―――ポクポクポクチーン。
リンの突然の発言に、そんな効果音が聞こえてきそうな無音が数秒流れた後、ハスミ達の間の抜けた声が同時に聞こえた。
「「「「―――えっ?」」」」
「さて、では『キヴォトス』の正常化の為に働きましょうか、皆さん?」
「ちょ、ちょっと待って! どこ行くのよ?!」
騒ぐユウカをまるで気にすることもなく、スタスタと何処かへ足を進めるリン。そして、ふと思い出したかのように振り返ると、ニコリとこう告げたのだった。
「それは勿論―――、
原作主人公の『先生』ではなく、生徒視点でチュートリアルが進行したの、たぶんうちぐらいですよね?
今回に関しては、第二十ニ詩から地続きの話だったので、ハスミ視点で話を進めた方が自然かなと思い、こういう形にさせていただきました。
おかげで『連邦生徒会長』の出番丸々カットしちゃいましたが。
あくまで本作の主人公はリンデとミカ、というスタンスだけは崩したくないので、今後もちょいちょいこういう事はあると思います。ご理解の程、よろしくお願いします。
で、今作の『先生』ですが、ギリギリまで悩んだ末に『女性』の『先生』にしました。『男性』の方が『王子様』感は出るんですけど、限界ヒナ概念に脳を焼かれてしまいまして。
まあヒナの出番、かなり先になりそうですけど。(←おい)
あと先生×生徒の百合もいいよね? ホシおじめちゃくちゃ甘やかしたい。
という一部私利私欲の元、女先生でいかせていただきます。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告はいつでもお待ちしてます。いつも通り、感想は返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!