思ってたより長くなりました。
今回も基本は生徒視点で話を進めます。一部先生視点視点がありますが、相変わらず先生単独のシーンとかはカットしちゃってます。
つまり「アロナァ!」の出番はありません。よろしくお願いします。
あと、今回スキルや『先生』の指揮の仕方に関して独自解釈があります。なので、アニメとかとは演出が違うと思います。
また、前編同様セリフや言い回しは一部変えてます。スキル発動時のセリフも微妙に変えたり混ぜたりしてるので、ご了承ください。
それと、ハスミ達が無茶してますが、物理的に可能かどうかは気にしないでください。考え出すとキリがないと思うので。
ようは「考えるな、感じろ!」ということです。
それでは、どうぞ!
―――そうして、時間は
ハスミ達は現在、リンからの要請で『先生』を護衛しながら、『D.U.』の『外郭地区』に存在する『連邦捜査部
最初こそバラバラに戦っていた彼女達は今、『先生』の的確な指揮の元、初めてとは思えない連携を見せて次々と不良生徒達をなぎ倒していた。途中、『ホローポイント弾』なるものが違法かどうかとかで軽い口論があったくらいで、それ以外は『先生』が狙われそうになった所を、先ほどハスミがやった劣化版『ロンギヌスの槍』コンボで切り抜けたくらいで、それほど苦戦はしていなかった。
そんな中、この戦闘のために予め『先生』に渡されていた端末からリンの声が聞こえてきた。彼女も現在、5人より遅れて後方から『外郭地区』を目指していて、情報の精査などを行っていた。その彼女から、今回の騒動の主犯格の情報が伝えられた。
『ワカモ』。
『百鬼夜行連合学院』に所属しているものの、停学処分で『矯正局』へ入れられていた生徒との事で、似たような前科をいくつも犯しているとの事だった。
確かに、伝えられた情報だけで考えてもとんでもない問題児だと『先生』は感じていた。しかし、未だ『先生』はこの『キヴォトス』に赴任してきたばかりで、この世界の常識や情報には非常に疎い面があった。そのため、会って見ないことにはイマイチ分からないなとも思っていた。
「っ、先生! 前方に敵影!」
そんな風に思考を回していると、チナツから鋭い声が上がった。端末から顔を離してふと顔を上げると、そこには不良生徒達を従えた、和装を纏う白い狐の面を被った少女がそこにいた。
「フフッ、『連邦生徒会』の子犬がぞろぞろと。大切なものを壊されては困ると言うことですか? それにしては、随分と重い腰ですが。」
「データ
「なるほど。では彼女こそがこの騒動の首謀者、『ワカモ』ですか。」
「気を引き締めないといけませんね。『先生』、戦闘の指揮を頼みます。」
「分かった。皆、気を付けてね。」
ユウカが遮蔽物の裏に隠れ、手元の端末で素早くデータを照合して目の前の狐面の少女こそが件の『ワカモ』であると判明すると、ハスミとスズミは銃を『ワカモ』達に向けて構えた。そして、スズミの頼みを受けて、ここまでと同様に『先生』は指揮をするために端末を起動して遮蔽物の裏に隠れると、そんな『先生』をすぐ近くで守れるよう、近くにチナツも隠れるのだった。
[COMBAT COMMAND SUPPORT SYSTEM.....]
[Ready......]
[start-up.]
端末にそう表示されると同時に、画面の中に各メンバーのバイタルや状態、戦闘状況等が数値化された―――『ブルアカ』プレイヤーなら見慣れたことのあるものに似た―――映像が表示された。
『
リンから『先生』に渡された端末に搭載されていた、その名の通り『戦闘指揮』を補助するためのシステムである。
端末に登録された補助ドローンのカメラを用いて撮影されるリアルタイムの戦闘映像を用いつつ、『先生』の指揮下に置かれた生徒達の端末とリンクを構築することで、各生徒全員の現在の各種バイタルや『毒』『麻痺』といった状態異常、残弾数、『
そのシステムにより映し出される映像の向こう側では、現在ハスミ・ユウカ・スズミの3人が、各々の得意レンジへ素早く移動して遮蔽物へ隠れ、『ワカモ』と不良生徒達へ向けて、いつでも攻撃が開始出来るよう待機していた。『先生』は取り付けたインカムを起動すると、ハスミ達に指令を出していく。
「ハスミとスズミは、先に周りの不良生徒達を無力化して。」
〔了解。〕
〔分かりました。〕
「チナツは後ろから、皆のサポートを適宜お願い。」
〔分かりました。〕
〔『先生』、私は?〕
「ユウカは正面の敵を無力化したら、ハスミ達が合流するまで『ワカモ』を抑えてて。」
〔抑えるだけですか?〕
「うん、無理はしない範囲でお願い。傷が残っちゃったら嫌でしょ?」
〔っ、その話は引き摺らないでください! もう。〕
先ほどの『ホローポイント弾』の話の時に、ユウカが言っていた事を覚えていた『先生』。『先生』としては、うら若き『女子生徒』達に傷が残ってしまうのは同じ女性として嫌だよねというつもりの発言だったのだが、ユウカは覚えていてくれたのは少し嬉しかった反面、蒸し返されたとも感じて少し顔を赤らめていた。
それを見て、怒らせちゃっかなと思った『先生』はすぐに謝罪して、改めてユウカに指令を出した。
「ごめん。でも、無理して怪我してほしくないのは本当だから。『ワカモ』を抑えるの、頼めるかな?」
〔・・・ふぅ、分かりました。無理しない範囲で、ですね。いきます!〕
一度目を閉じて息を吐き出し、気持ちを整えるユウカ。そしてすぐ目を開くと、再度銃を構え直して、遮蔽物から飛び出して戦闘を開始した。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
眼前の不良生徒達を蹴散らして、果敢に『ワカモ』へ攻撃するユウカ。しかし、『ワカモ』はヒラリとそれを飛び降りて躱しながら、逆にユウカへ射ち返していた。先端に短剣がついた独特な銃を軽々と使い熟し、ユウカが回避しづらい射線で放たれる弾丸は正確無比。しかも弾丸自体が特殊なのか、それとも彼女自身の『スキル』なのか。直撃したユウカには無視できないダメージが入っていた。
「キャアッ!」
〔ユウカ、大丈夫?!〕
「っ、大丈夫です! このくらいならまだ!」
ここまで大したダメージを負うことがなかったため、ユウカの体力が半分も削られた事に慌てる『先生』。しかし、そんな『先生』の動揺を払拭するように、ユウカは崩れた体勢を整えて己を鼓舞し、再度攻撃を開始した。
とはいえ、流石話に聞いていた通り、今まで相手してきた不良生徒達とは比べ物にならない強さだ。ユウカも、さっきから連射して相手の回避をしづらくしているにも関わらず、なかなか当てさせてもらえないでいた。
このままだと、抑えるにしてもジリ貧だと判断したユウカは、自分の『スキル』を使用することにした。
「まだ終わらないわよ? 喰らいなさい!」
自身の愛銃をもう1丁取り出し、『ワカモ』へ連射していくユウカ。『I.F.F』と呼ばれるそれは、普段は1丁しか使わないサブマシンガン『ロジック&リーズン』の2丁目を取り出して構え連射することで、相手に大ダメージを与えるユウカの『スキル』の1つである。不良生徒達相手に放つには少し過剰にも感じられる場面もあったため、速攻目的以外であまり使用しなかったのだが、目の前の『ワカモ』相手に出し惜しみをしている余裕は無いと判断し、形成を逆転させる為に使用した。
しかし、『ワカモ』は何発か避けきれなかったものの、直撃してもケロリとしており、大したダメージにはなっていなかった。
「おやおや、この程度ですか? 拍子抜けですね。」
「嘘、あれだけ撃ち込んだのに!?」
「ユウカさん!」
「お待たせしました。」
「っ、スズミさん。ハスミ副委員長。」
「あら、もう蹴散らされたのですか。案外と不甲斐ないですね。」
自身の切り札の1つを撃ち込まれた側の『ワカモ』の反応が想定よりも軽かった為、驚くユウカ。そこへ、ちょうど『ワカモ』の周りにいた不良生徒達を倒したスズミとハスミが合流してきた。『ワカモ』としてはもう少し時間がかかるだろうとおもっていたのだが、思った以上の不甲斐なさに、のされた不良生徒達を見回して呆れていた。
「これで3対1。数ではこちらの方が有利ですが。」
「気を付けてください、ハスミ先輩。彼女、只者じゃないですよ。」
「えぇ、分かっています。」
油断なく銃を構え、険しい表情をするハスミ。合流直前に見えた2人の攻防から、彼女がかなりの戦闘力を有しているのは把握できたため、数の利があれども決して気を抜いていい相手ではない。
ましてや相手は『矯正局』を脱獄し、いくつもの罪を重ねてきた立派な犯罪者。であれば、たとえここが『トリニティ』でなくとも、そこに打倒すべき悪があるならば、『正義』の名のもとにその悪を誅滅する。それこそが、『正義実現委員会』に身を置く己の役目だと、ハスミは内なる気炎を燃やしていた。
一方、周りの雑兵を蹴散らされて孤立した『ワカモ』だが、正直なところ周りでのびてる連中がどうなっていようが、彼女にとっては心底どうでもよかった。彼女には彼女のやりたい事があり、その過程で利害が一致して利用価値があったから彼らに力を貸していたに過ぎない。
それに、別にここで目の前の3人―――援護している二人を含めれば5人―――を戯れに相手取ることをしてもいいのだが、彼女達が囮で、それが『連邦生徒会』の思惑通りだとしたら、それに引っかかるのは、少々どころかかなり癪だ。
となればこの辺りが潮時だろうと『ワカモ』は判断した。
「戯れにあなた達を相手取っても構わないのですが、これ以上は時間の無駄ですね。という訳で、私はここまで。あとはお任せしますね。」
『ワカモ』はそう言い残すと、ユウカ達を気にすることも無く何処かへと飛び去っていった。
「っ、ここで撤退、ですか?」
(いや、あの感じからして、むしろ見逃されましたか?)
「ちょっ、待ちなさい!」
『ワカモ』のいきなりの行動に、怪訝な表情をするハスミ。『ワカモ』がどういった意図で撤退を選択したのかは分からない。しかし、あの口ぶりからして、こちらの3人を相手取ってもなお余裕があるようにも感じられて、ハスミは少し苛立ちを覚えたが、ユウカが深追いをしようとし始めたので止めることにした。
「待ちなさい、ユウカ。気持ちはわかりますが、1度落ち着きましょう。私達の目的はなんですか?」
「目的? それは『シャーレ』の『部室棟』の奪還で、あっ・・・。」
ハスミに指摘されて、自分達の本来の目的を思い出すユウカ。それに頷いて、ハスミは再度口を開いた。
「そうです。ここで『ワカモ』を捕らえるのは、あくまで二の次です。深追いして彼女を捕らえにいっても、『シャーレ』が奪還できなければ意味がありません。それに、あの様子からして『ワカモ』と不良生徒達は、あくまで利害の一致で行動しているようにも感じられました。つまり―――」
「―――『ワカモ』を捕らえた所で、騒動自体が収まる訳では無い、ってこと?」
「その通りです。」
ハスミは先ほど、不良生徒達を見回すワカモの反応から、彼女達は仲間ではなくあくまで利害の一致による協力関係でしかないと推測していた。事実、それは当たっていて、『ワカモ』にとっては目的が達成できれば、ここにいる不良生徒達が捕まろうがどうなろうが知ったことではないのである。
そして、仮に自分を追撃してきたとしても、先ほどの様子からして、この3人を相手取って逃げおおせる事も余裕なのだろう。
であれば、ここは『ワカモ』は一旦放置して、自分達は当初の目的である『シャーレ』の奪還を最優先にする事こそ肝要だとハスミは判断した。
ユウカはハスミの意見を聞いて、自分が柄にもなく少し熱くなっていた事を自覚して、1度深呼吸した。
「・・・分かったわ。確かに、『ワカモ』は騒動の首謀者だけど、あれを追うのは私達の役目じゃない、ってことね。」
〔そうですね。それに、罠の可能性も捨てきれませんから。〕
ハスミとユウカの会話に、チナツもインカム越しに混ざってくる。『風紀委員会』として普段から治安活動に従事している彼女もまた、ここで『ワカモ』を追うことのリスクを把握していた。ハスミもそれに頷くと、ここからの方針を決めて先生に報告した。
「えぇ。まずは『部室棟』の奪還を最優先に。『先生』、よろしいですか?」
〔うん、それでいこうか。流石副委員長、頼りになるね。〕
「いえ、これくらい何でもありません。さあ、進みましょう。」
そうして、道中の不良生徒達を無力化しながら『シャーレ』の『部室棟』目前の広場まで歩みを進めたハスミ達だったが、最後の最後で不良生徒達はとんでもないものを持ち出してきた。
「っ、くそ! おい、あれ持って来い!早く!」
「っ、何? この音。」
不良生徒の一人が大声で指示を飛ばすと、ゴゴゴゴゴッという音とともに、不良生徒達の後方から何か大きなものが接近してきた。その音にユウカが首を傾げていると、音の正体に気づいたチナツが警戒するよう呼びかけ、ハスミはその正体の詳細に気づいて目を見開いた。
〔気をつけてください、巡航戦車です・・・!〕
「あれは、クルセイダー1型!? 何故あれがここに・・・?」
〔クルセイダー1型?〕
「私の学園で正式採用されている戦車、その同型です。」
「不法に流通されたものに違いないわ!たぶんPMCあたりに流れたのを、不良達が買い入れたんじゃない?」
疑問に思いながらも、先生の疑問に逐一答えつつ周りの不良生徒達への迎撃は忘れないハスミ。そんなハスミの疑問にユウカが答えると、ここ最近問題になっていた件について思い出して、ハスミは苦い顔をした。
「っ、なるほど。最近『トリニティ』内でも問題になっていた、違法流通の類ですか。前線に出てきてなければ、接収で済んだのですが。」
「出てきてる以上、ぶっ壊すしかないわ。幸い、あんなの禄に整備もされてないガラクタなんだし、壊しても問題ないでしょ?」
「ですね。ただ、クルセイダーの装甲は堅牢です。正攻法だと少し骨が折れそうで―――」
―――と、ここでハスミはまたも遮蔽物の残骸から鉄パイプを見つけて、クルセイダーの方を―――正確にはクルセイダーの砲塔部分を―――見た。
(・・・またぶっつけ本番ですが、やってみる価値はありそうですね。問題は、私一人では完遂するのが厳しい点ですが。)
ハスミの脳裏には、またもリンデの姿が浮かんでいた。彼女であれば、速攻でクルセイダーを落とすならおそらくこうするだろうという確信があった。ただし、それを自分の身一つで行うには、ハスミの身体能力では限界があった。そのため、ハスミは一度遮蔽物に身を隠して、同じくリロードのために一度遮蔽物に隠れたスズミに声をかけた。
「スズミ!」
「っ、ハスミ先輩? どうしました?」
「スズミ、あなた棒状のものをまっすぐ狙ったところに投げる事はできますか?」
「えっ?・・・まぁ、やろうと思えば出来ないこともないですが。」
ハスミの質問に少し考えてから答えたスズミだが、ふと視線をハスミの近くに飛ばして、何故ハスミがそんな質問をわざわざしてきたのかに気づいた。
「っ、待ってくださいハスミ先輩。まさか」
「えぇ、そのまさかですよ。」
ハスミの笑顔で、ようやくハスミがやりたい事を理解したスズミ。そして、そんな普通なら考えないような方法を取ることを決めたハスミの思考の裏に、尊敬する『守護神』の影が見え隠れして、スズミは思わず苦笑した。
「ハスミ先輩も、大概リンデ先輩に影響されてますよね。」
「当然ですよ。何せ、1年の頃からツルギも含めて、互いに切磋琢磨してきましたから。影響されないほうがおかしいです。」
スズミの言葉に、これまで彼女と、そしてツルギも交えて積み重ねてきた鍛錬を思い浮かべながら答えるハスミ。自分は、あの中では比較的に理性的で慎重派な方だと自負していたのだが、こういう時に「リンデならどうするか」という思考が過ぎるあたり、かなりリンデに毒されてるかもしれないと内心苦笑いを浮かべていた。
明後日、ミカの見学の元行う鍛錬の時にでも、何か言ったほうがいいかとハスミは一瞬考えるも、それはきっと違うなと思い直し、鍛錬の中で全力でぶつかることで伝えることにしようと思った。
なお、この思いは翌日に思わぬ方向へ向くことになるのだが、それはまた別の話。
そんなハスミの内心はともかく、ハスミの言葉に頷き返すスズミだったが、少し不安になる面もあった。
「それは、そうですね。ただ、投げることは出来てもタイミングが・・・。」
そう、仮にぶっつけ本番で投げるとしても、ただやみくもに投げれば良いというわけではない。タイミングよく投げなければ、この作戦は成功しない。そして、そのタイミングを取るというのは、スズミには難しかった。だが、それはスズミが一人でやるならば、である。
ハスミはそんなスズミの不安を払拭するように、続けてこう言った。
「タイミングはこちらで取ります。即席ですが、やれますか?」
ハスミの考えはこうだ。
まず、ハスミがタイミングを取る。そして、それに合わせてスズミが鉄パイプをある場所に向かって投げる。そうすれば、正攻法でクルセイダーをスクラップにするよりも早く無力化出来ると考えてのことだった。
スズミはしばし目を閉じて考え込んだ。そして頷くと、ハスミの提案に乗ることにした。
「やってみせましょう。どの道、正攻法だと時間がかかりますしね。」
「ありがとうございます。『先生』、聞こえますか?」
〔どうしたの、ハスミ?〕
「こちらから提案があるのですが―――」
ハスミは先ほどスズミと共有した作戦を、『先生』にも提案した。それを聞いて『先生』は、なるほどと感心したものの、実際に出来るかどうかの判断がつかず、ハスミに聞き返した。
〔なるほどね。確かに、それなら速攻で無力化出来そう。でも、大丈夫? その間ハスミ達は無防備になっちゃうし、いくら今近くに戦車以外敵がいないにしても、危険じゃない?〕
「そうですね。ですから、その間はユウカに『シールド』を張ってもらい、囮になってもらおうかと思うのですが。」
ハスミ達が無防備になっている間、『シールド』を張ったユウカに囮になってもらえないかと尋ねるハスミ。『先生』も、それなら何とかなるかと考えると、ハスミの提案を受け入れつつも、無理だけはしないよう釘を差した。
〔あ~、それなら何とかなるかも? 分かった、それでいこっか。だけど、無理だと思ったらすぐに言ってね。〕
「安心してください。一発で決めます。」
〔頼もしいね。じゃあ任せるよ!〕
「はい、必ず!」
互いに頷き合うハスミと『先生』。先生は直ぐ様端末を操作すると、ユウカに連絡を入れた。
〔ユウカ、私が合図するまで『シールド』を張って、その位置で戦車を引き付けてもらえない?〕
「えっ? それくらいはいいですけど。何をする気ですか?」
〔ハスミがいい案あるって言ってくれてね。それをするのにちょっと時間がかかるの。お願いできる?〕
「ハスミ副委員長が? ・・・分かりました。任せてください!」
〔頼んだよ。〕
ユウカは『先生』に頼まれた通り、『シールド』を展開するために端末を取り出し、速攻で入力を始めた。
「現在の条件と状況を入力・・・。さぁ、勝利を証明するわ。」
そうして端末の操作を終えると同時に、彼女の周りを覆うように青いパネル上の情報が出現して、それが消えると彼女の周りに、半透明かつ多面体構造の『バリア』のようなものが発生した。
これこそが、ユウカの有する『
ちなみに『Q.E.D』と聞いて、『先生』の脳裏に真っ先に浮かんだのは『龍素王』という言葉だった模様。―――閑話休題
「ほら、こっちよ!」
『I.F.F』も使って、戦車のヘイトを自分へ向けさせるユウカ。その間にハスミは狙撃態勢でタイミングを計り、スズミはハスミから渡された鉄パイプを槍投げの要領で構えて待機した。
―――『シールド』消滅まで15秒。
まだか、まだかと狙いを定めるハスミ。そのハスミの指示を、スズミはじっと待ち続ける。
―――『シールド』消滅まであと10秒。
まだなの? と、そろそろ消滅まで秒読みになってきて少し焦りが生まれ始めるユウカ。しかし、まだ『先生』からの合図はない。つまりまだ引きつけていないといけない。不安が鎌首をもたげ始めるが、それでも信じると決めた以上、腹を括って囮の役目を果たそうと再度奮起した。
――――『シールド』消滅まであと5秒。
そして、ついにその時は訪れた。
(っ、きた! これを待ってました。)
囮としてヘイトを集めるユウカへ向けて、ついにクルセイダーがその砲塔をユウカに向けて発射しようと、砲弾が装填されるのを、ついにハスミは捕らえた。
「今ですスズミ!」
〔ユウカ、伏せて!〕
ハスミがスズミに合図すると同時に、『先生』もユウカに合図を飛ばす。そして、ユウカが伏せるよりも早く、スズミが気合いを入れて鉄パイプをクルセイダーの砲塔に向かって投擲した。
「いっけぇぇぇぇえ!!」
力いっぱい投擲された鉄パイプは、まっすぐスポッとクルセイダーの砲塔に入った。そう、砲弾発射直前の砲塔に、である。当然発射は止められるはずもなく、砲弾は砲塔に侵入してきた鉄パイプと砲塔内で衝突した。するとどうなるか。
―――ドカーンという大音量とともに、クルセイダーの砲塔が吹き飛んだ。当然吹き飛んだ砲塔の破片があちこちに飛散するが、一番近くにいたユウカは『シールド』がまだ展開されているため無傷。それ以外のメンバーも物陰に隠れることで、砲塔の破片から身を守っていた。
そして、『シールド』が展開できる限界時間を超えて解除されたユウカが正面へ視線を向けると、そこには砲塔が丸々吹っ飛んでスクラップとなったクルセイダーがあった。
「う、うわぁ。何をやったらこうなるのよ?」
「パイプを発射直前の砲塔へ投げ入れたんですよ。これなら、正面から正攻法で攻めるよりも、早く沈黙させられるかなと。」
「・・・えっ? えっ?」
ハスミの種明かしに、さしものユウカも思考が止まった。確かに理屈や理論は―――それが可能かどうかはともかく―――まだギリギリ理解はできる。だが、それをこの場で即席で実行しようするのはまた別の話だし、ましてや成功前提でこの作戦を組み立ててるのも、大概おかしいと感じていた。
『トリニティ総合学園』は策謀行き交うお嬢様学校と聞いていたのだが、もしやうちに負けず劣らずの変態集団しかいないのではないのか? と思考が明後日の方向に向きかけるユウカであった。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
その後、先に『先生』だけを『シャーレ』の『部室棟』へ送り届け、残敵を掃討した四人は、後から来たリンの指示で『部室棟』の前で待機していた。
そして、リンが『先生』を連れて『部室棟』を出た所で、リンはそのまま『連邦生徒会』へと引き上げていった。結局、最後まであまり友好的ではなかったが、『連邦生徒会』も『連邦生徒会長』がいなくなり、彼女が代行として色々と熟さないといけないのだろう。あの感じからして引き継ぎの業務なども禄に出来ていないのであろうし、今は余裕がないのかもしれない。そう思えば、態度はともかくこちらに指示を出してくれただけ、まだマシかもしれないと、ハスミは溜飲を下げるのだった。
そして、今日の騒動解決のもう一人の功労者にして、この中で唯一の大人の方へと向き直った。
「『サンクトゥムタワー』の『行政制御権』が、『連邦生徒会』へ移行したのを確認しました。これで一安心ですね。」
「『ワカモ』は残念ながら自治区へ逃げてしまったようですが、すぐに捕まるでしょう。私達はここまでです。あとは、担当者に任せます。」
「お疲れ様でした、『先生』。『先生』の活躍は、『キヴォトス』全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」
ユウカとハスミが『先生』に現状の報告と、労いの言葉をかける。すると、『先生』もはにかみながら、労いの言葉をかけてきた。
「皆もお疲れ様。本当に、色々と助かったよ。ありがとう。」
「いえ、こちらこそ。ここでお別れですが、近い内に、よければ『トリニティ総合学園』に立ち寄ってください。先生。紹介したい方々、まだまだいますから。」
先生と握手を交わしながら、笑顔でそう告げるハスミ。傍らにはスズミもいて、ペコリとお辞儀をしていた。
「私も、『風紀委員会』に今日の事を報告しに戻ります。『ゲヘナ学園』にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください。」
「『ミレニアムサイエンススクール』に来てくだされば、またお会いできるかも? 『先生』、ではまた!」
「うん! またね、皆!」
ハスミ達に続いて、チナツとユウカも自分達の学園にいつか来て欲しいと言って、それぞれの学園への帰路についた。その後ろ姿へ向かって、先生もまた別れを告げて、『シャーレ』の『オフィス』へと戻るのだった。
――――かくして、『
ここから先、いくつもの困難が、この『キヴォトス』を襲う。その度に、ここにいる『先生』が『最後の希望』になれるかどうか。それは、誰にもわからない。
――――先にある『希望の未来』を知る、『
幕間1節 EDイメージ:RESULT
(機動戦士ガンダムSEED DESTINY Remaster ver.より)
上の選曲は何となくです。
何だか頭の中で勝手に流れてきたものでして。
流す場合、後編まで読み切った後が個人的にはオススメです。
自分、アニメの方は見てなくて『先生』がどうやって指揮してるのかはだいぶイメージで描いちゃってるんですけど、こんな感じで良かったですかね? かなり独自解釈入ってますけど。
あと、システム表示はロマンで入れてます。
ガンダムSEEDとかの、あの文字がバァッて流れてOSが立ち上がっていくの、大好きなんですよね。特にちゃんと意味が分かるように単語が配列されたうえでOSの頭文字が『G.U.N.D.A.M.』になってるの。
流石にそのセンスは無かったので、そういうのは今回無しにしてますが、いつかそういうシーンも入れてみたいものです。
今作では『ノーマルスキル』を本人が神秘関係なく発揮できるスキル、『EXスキル』を本人の神秘を用いることで発動出来るスキルと解釈しています。
ミカみたいにノーマルの時点で神秘使ってる娘や、ナギちゃんみたいに逆転してそうな娘もいますが、基本はこれでいきます。
例外が出た場合はその都度書くようにしますので、よろしくお願いします。
戦車の砲塔に物が詰まると砲塔が破裂するのは調べて知ったのですが、発射直前の戦車に物を投げ入れたら同じようになるのかは不明です。
一応、個人的な解釈としては、投げ入れた鉄パイプと砲弾が正面衝突した結果、砲弾が爆発して砲塔が粉々に吹き飛んだと言う感じです。
ちなみにスズミに槍投げの才能があるのかは分かりません。たぶん彼女にこんな無茶振りするのは今回限りだと思いますので、間違ってても許してください。
『Q.E.D』と聞いて、真っ先に『龍素王』が浮かんだ人いたら、主と握手しましょう。紙だとこのカードいた期間はやってないんですけど、アプリの方だと初めてパックでゲットしたドラグハートなんで、思い入れは少しあるんですよね。
火文明好きだから結局使わなかったんですけどw
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告はいつでもお待ちしてます。いつも通り、感想は返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!