聖槍に祈りを   作:坂本コウヤ

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はい、どうも皆さん。お久しぶりです。

懲りずにまた新作を投下します。許してください。

今回は書きたいところまでプロットを予め書いておいてるので、言うほど見切り発車にはならないはず。強いて言えば、日常回だらけの序盤が若干曖昧なので、その辺でモチベか急降下しないようには気をつけます。

それと、こっちで言う事ではないと思いますが、ファンキルがサ終しますね。自分はもう、最近モチベが上がらずほぼ引退状態で、最近始まったオルタナの方ばかりやってますが、好きだったソシャゲが終わるのは、やっぱり悲しいですね。
あと、ストーリー見返せなくなるから、たぶんPhantom Orderの方は続けるにしても、ファンキル側のストーリー要素ほぼなくなるかもです(⁠;⁠^⁠ω⁠^⁠)

とまぁ、個人の都合はここまでにして、新作、始めていきます。
あらすじにも書きましたが、ミカのエミュ上手く出来てなかったり、解釈違い起こしてたらごめんなさい。最推しなんですけど、性格が一部めんどくさすぎるせいで、「これで合ってるよな?」ってなりながらずっと書き溜めてます(⁠´⁠-⁠﹏⁠-⁠`⁠;⁠)
ハナコよりは遥かに分かりやすいんだけどねw

それでは、どうぞよろしくお願いします。



プロローグ

 

 静謐さを感じる、明け方の聖堂にて。

 一人の少女が、祈りを捧げていた。

 

 大天使の如き純白の翼が1対、背中から生えたその少女は、まるで彫刻のように微動だにせず、その姿勢を続けていた。傍らにはまるで、血染めのようにも見える真っ赤な穂先の黒い三叉の槍が置かれ、傍目には神に懺悔する戦乙女のようにも見えた。

 

 祈祷(それ)は、彼女にとって『日課』であり、1日を始めるルーティンの一つだ。自らがこの世界に、この姿形でもって生まれたと理解したその日から、今日まで変わらずに続けている習慣の一つである。また、この習慣は少女を『彼女』足らしめるための1種の自己暗示も兼ねている。長年の努力もあって暗示は必要ないと理解はしているが、それでも少女は、この祈祷の習慣を止めることはない。『趣味』と言えるほどに、その所作は洗練されており、この行為は既に、少女の身体が呼吸をするかのような自然さで行われているのだから。

 

 一頻り祈祷の時間を終えると、今度は傍らにある槍を両手で構え、それを振るい始めた。時に鋭く、時に舞い流れるように。さながら、それは神に捧ぐ演武。回転、刺突、斬撃etc.。一つ一つが祈祷と同じく洗練された動作でもって、まるで槍と一体になって生み出される1つの舞踊の如く、少女は舞い続ける。

 

「〜♪」

 

 やがて、気分が高揚してきたのか、槍との舞の中に歌が流れ始めた。鼻歌を歌うように口ずさむその姿は、先程までの演舞と様相を変え、妖精郷に住む妖精達の踊りにも似ていた。

 その詩は、『彼女』の魂に流れる旋律。少女が『彼女』を忘れぬ為に、紡ぎ歌う『(ラメント)』。例え生き方は違うとも、この姿形と名に恥じない生を全うする為にと、生まれた時から歌い続けてきたものだ。歌う事そのものが好きなのもあるが、この『詩』は特に、少女の根幹とも言える部分を形作る重要なものなのだろう。

 

 

 

「〜♪・・・・・・。――――ふぅ。」

 

―――そうして、ワンコーラスに及ぶ歌と槍の演武を終えると、ゆったりと歌の余韻に浸るように、少女は静かに目を閉じて残心。僅かに吐き出した息を合図に目を開くと、構えを解いて槍を手放した。瞬間、槍はふわりと少女の周囲を舞うと、まるでそこに存在してなかったかのように消えた。それを見届けると、少女は聖堂の入口に置いていた荷物を手に、聖堂から出るのだった。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 『桐藤ナギサ』は激怒した。必ずや、あの邪智暴虐の悪戯娘を矯正しなければならぬと決意した。ナギサには悪戯は分からぬ。彼女は生家である『桐藤家』にふさわしい立場として努力を重ね、生徒会たる『ティーパーティー』の1派『フィリウス分派』の首長へ上り詰めた。職務は忙しいが、それでも自らを慕う可愛い後輩にも恵まれ、友人達と趣味のお茶会を楽しく過ごす毎日を過ごしていた。だが、友人の中にたった1人、困った親友がいた。幼き頃からの付き合いで、俗に言う『幼馴染』と言っても過言ではない、そんな親友『聖園ミカ』が仕掛けた悪戯のせいで、危うく後輩の前で大恥をかくところだったナギサは今、普段の淑女らしさをかなぐり捨てて、悪戯娘(ミカ)の下へと駆けていた。

 

 

「ミ〜カ〜さ〜ん〜!」

「ビクッ!? な、何かなナギちゃん?」

 

「「何かな?」、じゃありません! 騙しましたね! 何が新作のパンプキンティーですか! お陰で大恥をかくところでしたよ!」

 

 

 怒髪天を突く勢いで『ティーパーティー』本部へ入ったナギサは、開口一番顔を真っ赤にしてミカに怒鳴り込んだ。そう、彼女はミカが『新作のパンプキンティー』と称して出された飲み物を本当にそうだと信じてしまい、危うくそれを彼女を慕う可愛い後輩である『阿慈谷ヒフミ』に飲ませてしまうところだったのだ。幸い、ミカとは別のもう一人の幼馴染と友人のお陰で、瀬戸際でその行為は止められたものの、羞恥と怒りで頭がいっぱいになったナギサは、ミカのいる『ティーパーティー』本部の部屋へと飛び込んだのである。

 

 

「あっ、バレちゃったか。ごめん☆テヘッ」

 

 

 なお、悪戯を仕掛けた当人の返答はこれである。反省の色なし。流石に天使のように広い心を持つナギサであっても、眉間にシワが更に寄るのも致し方ない事であった。

 

 

「反省してませんね! ロールケーキぶち込みますよ!」

 

「まぁまぁナギサ。ミカだって悪気は・・・、多分ないはずですし。まさか本当に、フフッ、し、信じてしまうとは、お、思ってなかったのでは、フフフッ。」

「そうだよそうだよー! 普通、気づくと思うじゃんね☆ 私悪くないもん。」

 

 

 と、そこへ飛び出していったナギサに追いついたもう一人の幼馴染、『十郷(とさと)リンデ』がナギサを宥めた。いや、実際には少し笑ってるところを見るに、どうやらこちらも下手人か、知ってて黙ってた――普段の付き合いからおそらく後者か――ようだが。そして、それに便乗して自らの無罪を主張しだす悪戯娘。ナギサの怒りのボルテージは更に上昇した。

 

 

「リンデさんはミカさんを甘やかさないでください!あと、何がおかしいんですか!それとミカさんは便乗しない!」

 

「わぁお☆ 怒涛の3連ツッコミ。」

 

「流石『ツッコミのナギサ』ですね。キレは何時でも絶好調のようで。」

 

「『キリフジ』だけに?」

「はい。」

 

「バカにしてるでしょう、あなた達!!」

 

「・・・はぁ。全く、君達幼馴染組は騒いでいないと生活できないのかい? もう少し『ティーパーティー』に相応しい振る舞いをだね。」

 

 

 そろそろ怒りのボルテージが限界突破しそうになったところで、呆れたような声がまた一つ増えた。彼女は『百合園セイア』。ナギサやミカと同じく、『ティーパーティー』の1派の一つ『サンクトゥス分派』の首長であり、ナギサ達の友人でもある。その身に宿す特別な力の代償か病弱な身ではあるものの、その慧眼や聡明さはナギサ達に勝るとも劣らない。ちなみにミカは『パテル分派』の首長である。

 

 

「っ、セイアさん・・・。」

 

「ぶーぶー、私達だって騒ぎたくて騒いでる訳じゃないもん!セイアちゃんのいじわる〜!」

 

「アハハ、すみません。ナギサは昔から打てば響くので、からかい甲斐があるものですから。つい。」

 

「気持ちは分かるが、君は特にストッパーになってくれなければ困るよ、リンデ『首長補佐』。」

 

「フフッ、申し訳ありません。百合園『首長』。桐藤『首長』も、先程までの非礼をお許しください。」

 

「・・・ハァ。最初からそう、素直に謝ってくれれば、こんなに怒らないで済みましたのに。分かりました、謝罪を受け入れます。・・・それで、ミカさん? リンデさんが謝ったんですから、当然あなたも言う事がありますよね?」

 

 

 顔に疲労の色を浮かべながら、セイアの介入のお陰でいくらかクールダウンしたナギサは、リンデの謝罪を受け入れた。そしてそもそもの発端であるミカへと、少し怒りの残った目を向けた。間接的に関わっていたリンデが謝ったのだから、流石にミカも謝ってくれるだろうという考えだったのだが―――

 

 

「フッ・・・、でも私はあやまモゴッ!?」

 

―――ドヤ顔で謝らない宣言を口走りかけたミカに、ナギサは何処からともかく取り出したロールケーキを無言で馳走した。何ならマウントを取って無理矢理上から真顔でぶち込んで食わせてるあたり、冷めた怒りが一気にぶり返し、一周回って無になっているのだろう。「んー!んー!」と抵抗するミカの事など知ったことじゃないと言わんばかりに、無表情でロールケーキを押し込んでいくナギサの姿に、これはヒフミには見せられませんね、とリンデは苦笑しながら見ていた。同時に、素直に謝らなかった『無二の親友』であるミカの態度に若干呆れていた。

 

 

「ハァ、ミカ。そこは素直に謝ればいいものを。」

 

「それこそ君が、普段から諌めていればこうはならなかったのでは?」

 

「諌めて止まるなら、あのやり取りが何度も交わされたりしませんよ。」

 

「それもそうか。ところで、君が本来補佐すべき首長が助けを求めているようだが。」

 

「んー!んー、んー!!」

 

 

 ロールケーキが口に突っ込まれてる故の呼吸困難から、顔色がだんだん赤を超えて青くなり始めてる涙目のミカが、必死に左手でバンバン椅子を叩きながら右手をリンデに伸ばしてリンデに助けを求めていた。普段であれば、『ミカ至上主義』とまで言われる程ミカにだだ甘なリンデであれば、必ず自分を助けてくれると信じてのSOSだったのだが―――

 

 

「・・・申し訳ありません。この状況では、私も火中の栗を拾うのはなかなか勇気がいることなので。という訳で、たまにはご自分で何とかしてください聖園『首長』。私は外回りに行ってまいりますので、どうかごゆっくり。」

 

 

―――困った顔から笑顔に切り替えながら、首長補佐としての立場でその場からの戦略的撤退を、リンデは選択した。・・・決して、背中越しに圧を飛ばしてきていたナギサが怖かったわけではない。ただ、SOSを出した側からすれば、それは明らかな裏切り行為な訳で。

 

 

「ん、むごごむごごー!!(う、裏切り者ー!!)」

 

 

 結果、そんな断末魔を上げながらミカは、ナギサの突っ込んだロールケーキによって、あえなく沈黙したのであった。

 

 余談だが、リンデが部屋から出ると、何やら本を持っていたヒフミとばったり出くわした*1ので、今は忙しいからあとで来ましょうと無理矢理自分の外回りに突き合わせた。流石にナギサ達の醜態をこの可愛い後輩に見られたとあっては、あの状態のナギサといえどしばらく引きずりそうな気がしたのだ。あと、先程も思ったが個人的にヒフミに今のナギサを見せられないなと感じたのもある。

 

 なお、その後外回りと称して『シスターフッド』に顔を出したり、『正義実現委員会』――通称『正実』――や『救護騎士団』で一波乱あったり、その後改めて『ティーパーティー』に戻ってくると、ストレスを発散し切って先程までの怒りは収まったのかツヤツヤなナギサと、いつも通り物静かなセイア、ぷくーっと膨れっ面をしているロールケーキから復活していたミカがおり、ミカのご機嫌取りにリンデがしばらく奔走する事が決まったりといった事があったが、これ以上は蛇足なので割愛する。

 

 

 

―――これが、今の『トリニティ総合学園』を取り仕切る『ティーパーティー』の首長達と、そんな彼女達を支える首長補佐の日常の1幕である。

 

 

 

 だが、ここは銃火が飛び交う事が日常の『キヴォトス』に於いて、特に権謀術策が盛んであり、陰と陽の差が激しい『トリニティ総合学園』。

 

 

 何か一つ大きな波紋が起きれば、それは陽を呑み込みかねない程のうねりとなり、陰が陽を喰らいつくさんと荒れ狂う。やがてそれは、因縁の相手である『ゲヘナ学園』すらも巻き込み、陰の中に秘められた『憎悪』が全てに牙を向く。キヴォトスを未曾有の混沌へと陥れる、大災害となる。

 

 そんな危ういバランスの下に成り立っているのが、今のトリニティなのだ。そして、その崩壊の足音は、すぐそこまで迫ってきていた。

 

 その崩壊を知るものは――――。

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

――――そして、これはいつかの未来。

 

 『憎悪』によって齎された混沌の中、その『憎悪』から抜け出した者達がいた。全ては、彼女達の大切な者を救い出し、陽の世界へと歩きだすため。

 

 だが、彼女達の齎した混沌は、さらなる『憎悪』の引き金となり、1人の少女を、その本来抱いたであろう感情をより深く、濃くさせる結果となってしまった。

 

 

「ぐっ・・・、あ゛っ・・・。」

 

「サオリ・・・、姉さん・・・・・・。」

 

「い、痛、痛い、です・・・・・・。」

 

"■■、もうやめて!"

 

 

 

 

「・・・・・・やめる? 何で?」

 

 

 

"それ以上は、だめだよ。こんな事、■■■は望んで―――"

「・・・うん、だろうね。」

"―――っ、なら!"

 

「でも、ごめんね。もう私、この感情を・・・。自分すら焼き殺しちゃいそうな、この激情を。・・・止めることが、出来ないんだよ。」

 

"っ、■■・・・!"

 

 

 一人の『大人』の説得も虚しく、少女はその激情に身を委ねる。全ては、この混沌を齎した、己の大切な者の仇とも言える存在を、自らの手で屠るために。

 

 

 

―――例え、それを『彼女』が望んでないと分かっていても。

―――例え、それで親友達との永遠の決別となるとしても。

―――例え、そのせいで自分は地獄に堕ちると理解しても。

 

 

―――止めることは、止まることは、出来なかった。

 

 

「っ・・・、■■、■■・・・。」

 

 

 彼女の片腕の先で、仇が呻く。もはや身動き一つせず、彼女は自らに齎される断罪を受け入れようとしていた。仲間達ももはや満身創痍で、唯一の頼りだった『大人』も、この状況で動く事が出来なかった。助けたかった大切な『姫』の存在だけが気がかりでは、あったが。

 

 だが、そんな仇を表面上は感情のない、そして瞳の奥にドス黒い憤怒の炎を滾らせた少女は、もう片方の手に握る、『彼女』の形見である三叉の朱槍を、仇に向けて、構えた。そして―――

 

 

 

 

「じゃあね、■■■。『■■■』ちゃんを殺した事、地獄で一生後悔して。私もあとで行ってあげる。だから――」

 

――死んで。

 

 

 

 

 

―――朱槍を、突き立てた。

 

*1
詳しくは公式四コマ37話にて(ダイマ)




冒頭のラメントは、楽曲コードの都合で歌詞無しにしてます。

最後のは、ある意味後の予告兼伏線ですが、後の展開次第で台詞が微妙に変わるかもしれません。ご注意ください。

オリ主の設定は後で別に載せますので、お待ちください。

感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。

それではまた次回!
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